電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

蕩寇誌

2019-02-03 17:00:00 | 七十年代作品【1975】

こんにちは。醒龍です。

今日は『蕩寇誌』(75)です。

女流作家パール・バックが1933年に書いた小説。その名は、"All men are brothers."。『蕩寇誌』の英文題名としてこのタイトルが付けられています。ということで御存知、チャンチェ監督の歴史モノですよ。監督は数名いて他にもウー・マがやってます。主演はデイビッド・チャン、ティ・ロン、チェン・カンタイ、ワン・チュン、ダニー・リーなどなど多数。お話はもちろん水滸伝であります。

ここでちょっと史実を確認しておきますと北宋末期、宣和2年(1120年)に農民の反乱が起きたそうですが、これが方臘の乱ですね。そして宋江という名の将軍が実際にいたことになっています。正史に対して民間伝承の話を野史または稗史とも言いますが、創作物である水滸伝ではこの反乱がモチーフになって形成されていると思われます。映画では自ら王と名乗る首謀者・方臘(飾チュー・ムー)がラスボスとなって進行します。

オールキャストで相当の予算をつぎ込んで作られているようですが、絶大な人気を誇っていた邵氏のスター姜大衛と狄龍。映画の持つ価値をここまで引き上げたのは当時の稼ぎ頭、このお二人のおかげ。しかし、当時の興収ランキングでは公開がちょっと遅れて75年度のデータとなっていますが、25位まで落ち込んでしまったようです。公開が遅れた原因は不明ですが、ブームも下火になってしまった時期で日本人・丹波哲郎が出演する大スペクタクル映画でも数字が取れない、稼げない、リー・ハンシャンの『傾國傾城』にも大敗(こちらは第3位)してしまいます。チャンチェ監督の大ピンチだったのです。それにしても監督が描きたかったものは果たして何だったのか。これも見て行きましょう。

そうそうオープニングには有名な妓女・李師師が登場してますね。ここのシーンに登場するのはあのベティ・チュンですよ!『燃えドラ』よりもちろん前に出演してるはずですが、監督がどうやって引っ張って来たんでしょうね。デイビッド先生とのきわどいシーンもあるんですが、シリーズを通して先生は"チカチカチャー"という効果音で登場するんです(笑)。海外なんかでもネタになっていたこの登場音ですが、こんな演出がまたいいんですよね!!(別格なのかな??)

ちなみに水滸伝の登場人物は108人。かなり多いですが、覚えておくのは7人ぐらいが丁度いいかも知れません。宋江、盧俊義、武松、呉用、林冲、戴宗、魯智深の7人あたりでしょうか。まぁ好きな7人を選んでみてください。キャストは当時の人気俳優さんが揃ってましたし、それぞれ大きい役(頭領)を担当してます。覚え方は五虎将や八虎将という分け方もありますので、この括りで覚えるか、主要なメンバーで覚えるかになるかと思います。まずは前述の7人あたりでしょうか。"方臘の乱"制圧を描く本編では燕青、李逵、石秀、張順、張青、孫二娘、そして史進の7人が討伐軍のメインとなります。

注目したいのは、五虎将の一人・董平を演じたチャン・ワイマンこと陳恵敏なんですよね。チャーリー親分は、刺青姿で登場しますが、もしかしたら映画に呼ばれたのはこの線だったりして・・。水滸伝には刺青キャラが何人か登場します。その親分が邵氏のこの時期の出演はかなり珍しく、まぁたまに出たりすることだってモチあるのですが、例えば『五トン忍術』なんて良かったじゃないですか。役柄上、槍で必死に戦いますが、あっという間に消えてしまいます。残念、もうちょっと見たかったですね。 

人気という面で言うならば日本では"三国志"の方が圧倒的に人気があるかと思います。しかし、70年代の香港映画では三国志が描かれることは殆どありませんでした。前作『水滸傳』や続く本作『蕩寇誌』のように水滸伝のキャラたちが次々と映画の世界に飛び込んで行っていたのはどうしてでしょうか。我らが兄貴の為に。我らが山寨の為に。我らが天子の為に。無頼漢たちが山寨・"梁山泊"に集まって繰り広げる物語。水滸伝も実に面白いではありませんか。

物語は百回本の終盤、第81回よりスタートします。燕青は東京に向かい李師師の力を借りて道君(徽宗皇帝)に江南で勢力を拡大している方臘の討伐のため梁山泊メンバーの招安を訴えた・・。

途中、湧金門の湖のシーンでは当時セリフのない小さな役などで下積みをしていたジャッキー・チェンが出演していたようですね。71年~72年ぐらいだと思いますがジャッキーもまだ駆け出しの頃でしたので、こういった小さな役をいっぱいやっていた時代ですね。邵氏作品では何本もこういった形で出演しているケースがありましたね。

10個ある難攻不落の杭州城の門。こういった城攻めにはやはり軍師も必要となるでしょう。まず両斧をブン回す李逵が先陣を切って門へ突入します。その隙に燕青が裏から門の中へ。続いて好漢・石秀が割って入ってくるのですが・・・。(本編の石秀役のワン・チュンが大変素晴らしかった!)

そして、相撲大将軍(ヤン・スエ)と燕青の対決だあ。面白くなってきましたね~!!ここのヤン・スエの動きが実に良くて楽しいんですよね。アクション場面は本作の武術指導、劉家良&唐佳の本領発揮です。中盤の九紋竜・史進(陳観泰)のバトル・シーンや前述のヤン・スエのシーン、ワン・チュンの格闘シーンなどは当時の一級のバトルですよね。そんじょそこらの殺陣とは違いますね。

その後、城の攻略は燕青、武松が作戦を立て、突破口の湧金門へ向かうのは張順(ダニー・リー)。水門を開け、燕青率いる歩軍は砦の占領に成功するも、張順は戦死してしまう。敵の突破に方臘は動揺し梁山泊軍の想定通り、北関へ逃げるしかなかった・・。

梁山泊最後の戦い。ついに方臘を討伐するところまで来た燕青。どんなラストをみせてくれるのでしょうか。国王を追い詰める燕青が死に、そしての腕を斬られた武松が崩れるように倒れる姿・・・。チャン・チェ監督が描いたのは、梁山泊のメンバーだちが次々に倒れていく中で燕青と武松の最後の最後の美しい見せ場、それはつまり滅びの美学だったのです。

監督が当時力説していたのは、東洋人の死が西洋では考えられない、受け入れがたいものがあるが、それを数々の映画で繰り返し描くことによりいつしか理解してもらえる日も来るのではないかという事でしたね。そういった意味ではこの『蕩寇誌』も梁山泊最後の闘いであり、絶好のシナリオであったのではないでしょうか。方臘との戦いが終わった時、生き残った仲間はわずか27人だった。にも拘わらず、デイビッド&ティ・ロンの2人に印象深い映画のクライマックスを演じさせたんですね。

現在、漫画でも小説でも何でも読める時代になりました。例えば、中国の宮廷ドラマとか現在も人気のあるジャンルではありますが、なかなか観る機会がありません。三国志であれば日本の会社がコンテンツを共同で制作したりとかメディア展開されることも多いのですが、忙しい中でそういった情報も積極的に吸収しなければ何年も気が付かなかったりして取り残されることになりますね(苦笑)。

私は本作のように邵氏が作った歴史ある作品が好きです。大監督であれば、文献も多く世界中にそのメッセージが伝わることでしょう。様々な要因によりなかなかメッセージが伝わってこない映画も多いのですが、私には充分伝わりました。この『蕩寇誌』や前作『水滸傳』などは当時、出演者の丹波さんや黒沢さん、日本人スタッフも多数かかわっていたと聞きます。ここは興味のあるところです。本作も国内では『水滸伝 杭州城決戦』として無事DVDもリリースされましたね。(快挙です!)杭州城って言っても実際は西湖の畔の広大な土地に城壁で囲まれている所だったようですが、現在の杭州や西湖はとても美しく観光地として世界遺産にもなっていますので旅行に行きたいぐらいです。

古い時代の長編、三国志("三国志演義")も壮大なスケールではありますが、この水滸伝も個性的なキャラクターが数多く登場したり、一部のプロットが別の小説として枝分かれしたりと決して単純ではない読み応えのある内容ですよね。私は水滸伝が時代小説の中では好きな方なのですが、水滸伝のような中国古典を扱っている未だ観ていない映画もあると思いますので私自身これからがとっても楽しみです!

 

以下、余談を少々・・。

時間さえあれば、史実と比較したり時代時代の戦術を研究するのもいいかもですね。水滸伝のゲームソフトもいくつかありましたが、私が当時プレイしたことがあったのはPC用『三國志』というソフトでした。現在も新作ソフトがリリースされたりしてる人気シリーズですが、こういった歴史シミュレーションも根強いですね。今出ているソフトは昔に比べたら地形がかなりリアルになったり、セリフも中国語になったりとかかなり進歩してますよね。

水滸伝関連では当時購入したのが『水滸伝天導108星』というWindows95用のPCソフトでしたね。プレイ画面に出てくる武松の顔グラフィックがティ・ロンにそっくりなんです!(これはもしや!?)先日、久々に起動してみるとなんとWindows10でも仮想環境上でという制限付きではありますがしっかり動作しました。これはビックリ。仮想の力は偉大ですね。正常に動作するのでタイムスリップしたような気にもなります。仮想環境さえ構築してしまえば最新のOSでも動作するのです。うれしいですね。水滸伝の方は新作はいまのところないようなので作り直した新しいシステムで是非遊んでみたいですね。

電脳遊戯といえば水滸伝の本場、あちらでも当然あるんですよね。誰が作者かまったく分かりませんが、例えば"歓楽水滸傳"なんてヤツもそう。何匹もの虎が道を塞いだ迷路を駆け抜けるステージ"武松打虎"とか超笑えるんだけどwww。
とにかくキャラが乙女チックで今風のとても可愛らしいアクション・ゲームです。
豹子頭林冲なんて最高ですよ。私は水滸伝の中ではやはり林冲がお気に入りですね。
そうそう、動画を見てて思ったのですが、あちらでもゲームの実況なんて当たり前の時代ですので、皆さん普通にゲーム実況しています。もちろん男性が中国語で実況してたりするんですよね。時代は変わったものですよ。

もし映画の展開で物足りなさを感じたら、たまには無頼漢キャラになったつもりでゲームをプレイするとか、さすがに小説を書いたりまでは少々行き過ぎと思いますけど、そういった楽しみ方も面白いと思いますよ。最後はちょっとしたPCゲームのお話でした。

ふー。さて、お茶を一杯淹れて飲むとしますか。(終) 

All men are brothers (75)

David Chiang

Ti Lung

 

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少林寺羅漢拳

2015-01-01 00:00:00 | 七十年代作品【1975】
「少林寺羅漢拳」はメン・フェイ(孟飛)やカーター・ワン(黄家達)、そしてシー・フォン(徐楓)主演の75年の古い台湾のカンフー映画です。

注)邵氏の「少林羅漢拳」(原題『三闖少林』)とは別の映画です。

少林寺を舞台とし、ある男の復讐劇ともう一人の青年の出生の秘密がキーワード。
十八羅漢が登場しますが、形だけのものに見えますね(笑)

私が中学生のころ、この映画をテレ東で放送するって時に塾に通っていたのでその時間帯はテレビを見れなくって、とても悔しい思いをした記憶がありました!(相当昔の話・・・。)

83年の新聞のテレビ欄に載ってたのを引用してみると、幻のカンフー秘技大爆発なんて書いてあって、この宣伝が余計に悔しい思い(当時はですね)をしたんだと思います。その解説は”過去を悔いて少林寺の僧になった父と、父を捜す若者の運命的な出会い。”なのだそうです。たった一文で映画を表現する新聞欄って凄いなぁと思いますね。

この頃はテレビでの放送がとても多かったのですが、周辺とか関連するものとか、また見直してみたりしてみると面白いですね。


そういえば、同じテレ東で「少林寺羅漢拳」の前の年には、アニメ「ドラゴン水滸伝・四大魔王との戦い」も放送してましたね。
このアニメはVHSも発売されたようですが、(どうやらビデオ発売前に放送されたらしい。)今でこそカンフーのアニメなんて当たり前のようにありますけど、当時は「ドラゴン水滸伝」(劇場公開済み)のようなアニメもあったりして楽しかったですね。

さて「少林寺羅漢拳」を久しぶりに見てみると、確かに古い映画であるので作りもシンプルで、いかにも台湾らしい地味な映画だと感じますね。(どちらかというとドラマに近い。)

ロケ地は「拳精」などで有名な台湾の行天宮。半分ぐらいはここで撮影したシーンじゃないかって言うぐらいこの寺院が出てきます(笑)
ここは関帝廟だそうなので、横浜中華街の関帝廟に行ったようなものですね。

で、ここを少林寺として黄色い法衣を着た僧侶たちが羅漢となって寺を守るという設定です。(確か「拳精」も羅漢たちがこの行天宮で出てきましたね)
 1、2、3、4・・・16人。あと2人います。

このフォーメーションはラストでもう一度出てきます。

 

メンフェイさん


映画の序盤。ある武芸者(カーター・ワン)から友人に赤ん坊が預けられて10数年。成長した青年(メン・フェイ)は、育ての親から衝撃的な事実を知らされる・・・。
こう書くと主役はメン・フェイのはずなんですが、最後まで見ると結局よくわからなくなって来ます(笑)

日本語版でメン・フェイの声をアテたのが、なんと石丸博也。(これは珍しいケースでしたね。)
メン・フェイさんはいつも女優さんに囲まれている感じですが、この映画でも旅に同行するスリの女とか、いつもどうなるのかなと展開が気になります(笑)
ちょっとはしゃいでる感じ?

ここの敵のお相手が楽しい!(孟飛版「笑拳」!?)

「カモン、カモン」

最後は「まわし蹴り」。ひょうきんなメンフェイ

テレビだとメンフェイの登場シーンがいくつもカットされてます。たとえば、夜、姉に怒られ家に戻らされた後の次の朝のシーン。
町を歩いて、輪投げのゲームをするメンフェイがカット。確かに本筋とは無関係のあまり重要なシーンじゃないんですが、輪投げのウマさにビックリします。(NGを何回出したか知りませんけどね(笑)

逆に海外盤DVD(短縮版)だと、スリの女が食堂に入って来てからのシーン、夜、屋敷に来たチャンイーらとシーフォンが戦うシーンがカットされています。

↑で、よくわからないと書きましたのがチャン・イー(張翼)です。この映画では盗賊のボスになったり、後半には政府の回し者(ラストはさらに別人に・・。)といろいろ変わってしまうのです(苦笑)
チャン・イーって武侠片の若い頃は主役を張ったりしてたのに、悪役をやるようになったのはいつ頃からなのかちょっと気になりますね。
チャン・イー

衝撃のラストシーンを演じたカーター・ワン。カンフーアクションは少ないので、ちょっと物足りないですが、冒頭で少しアクションを見せた後、少林寺の僧になって
ヒゲを生やした物静かな人物を演じています。(「少林寺への道」よりちょっと前ぐらいになるのかなと思います。)
少林寺管長になったカーター・ワン

あまり活躍する場面が無いですが、シー・フォンがメン・フェイの姉という設定でした。(年齢的にそうなってしまうのかな??)
出番が少なくてちょっと勿体無いですね。
姉御

この映画は「カンフー十八羅漢陣」というタイトルのVHSが発売されていましたが、気になるデータとしては、字幕なしの英語版ビデオの話は有名でしたけど、これが約90分のロングバージョンであるということ。

また、英語タイトルは"18 Shaolim Disciples"と、shaolin じゃなくて最後がm の"shaolim"になっているのがちょっと不思議といえば不思議。
(通常なら少林はshaolinとなるはず)
映像でも海報でも同様の表記でした。

”十八”の人文字のフォーメーションで十八羅漢完成!
 THE END

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悪霸

2015-01-01 00:00:00 | 七十年代作品【1975】

今回の作品は75年邵氏製作の『惡霸』。

ダニー・リー主演のカンフー映画です。

監督は同年にクイーン・ハスラー(原題:『大老千』)という映画も撮っている監督で(こちらはダニー・リーがゲスト出演。)、ポイントは武術指導にユエン・ウーピン(兼ゲスト出演。ヤクザに手をつぶされる役)とユエン・チュンヤンのコンビが当たっている点でしょうか。

あと、ロー・リエがファンにはうれしいゲストとして、刑務所長で顔を出してます。

 先日亡くなったリッキーも小さい役ながら出演。(しっかりセリフもあります)

 

リッキー・ホイ

英語題のギャンブリング・シンジケートが表しているようにカジノを舞台に組織のボス(グー・フェン)と戦う男・方達(ダニー・リー)が主人公の物語です。

主人公は刑務所長(ロー・リエ)のところに行き、スリの名人(チェン・カンイエー)と腕のたつ男(ファン・メイサン)の囚人2人を利用して組織壊滅作戦に使ってしまおうというどこかで聞いたような展開になってます(笑)
分かりやすく言えば、例えば「大福星」のようなお話。確か囚人のサモハンを出所させて利用するというプロットでしたね。

カジノディーラー役のフー・チンさん。「大福星」でいうところの西脇美智子みたいなものかな。
 

先にスリの名手が潜入します。
アクションはあまり出来ないですが、邵氏ならこの人も欠かせない存在です。

 

スリの名手チェン・カンイエー

カジノの見張り番には大きな口のワン・チンがいます。
 

王青だぁ

カジノで金品を盗まれた客が騒いで場内は大混乱。見つかってボコボコにされるが、命からがら逃げ出した。

いよいよカジノに潜入する方達ら
 

潜入する捜査官

 乱闘シーンでは、ユエン・ウーピン率いる武師たち(ユン・ピョウ、ユン・ケイ、ユン・ワー、袁信義、チン・ユーサンなど)が登場してます。

ダニー・リーと戦うユン・ピョウ


ピンチ。捕まってしまう方達
 


そして、一番の見所。ラストは上記の袁家班総動員でものすごい大立ち回りが展開されます。

このラストはとてもしっかりしていて見ごたえがありますね。
「大福星」より10年も前の作品ですが、ロー・リエのゲスト出演とか、リッキーも顔を見せたりとか細かいところも楽しいなかなか面白い映画でした。

おまけ:笑顔のフー・チンさん

 

本日のベストショット


 

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スカイハイ北京語版

2010-08-26 23:14:16 | 七十年代作品【1975】
突然ですが香港と他国の合作映画の場合、よく見られるものはタイトル表記(タイトルカット)が中文でないケースが多いように思う。
例えばショウブラ作品なら『七金屍』(ドラゴンVS7人の吸血鬼)や『四王一后』(未)があったり、他にもイタリアとの合作などが数本ありました。
一方で香港の広告やポスターなどの宣伝材料にはタイトルが漢字で書かれている場合が多いですね。
広告画像

実際のプリントはどうなるだろうか。
英語か中文のプリントどちらかに例えばタイ語をダビングしたりする等、音声と表示が合わないケースもあるが、タイトルが中文なら北京語(または広東語)音声、英語なら英語音声になっているのが普通のケースです。
ついでにオリジナルの中文プリントなら焼付けの字幕(中国語と英語字幕の二段)がつく。
香港版というか合作で中文のものがあるのかどうかはもしかしたら香港での上映時の音声がヒントになるかも知れない。
調べてみると、『七金屍』や『四王一后』は北京語音声で上映されたようだ。香港を除いた地域でのプリントは英語版だったりイタリア語版だったり様々だが、香港で上映されたプリントというのは存在しないのだろうか。

話は戻って最初に合作なら中文でないと書きました。ではその中文タイトルがあった場合、中身の編集も当然違うのではないかと考えていました。

その中文タイトルが実際にあったので早速確認してみることに…。

例えばジミーさんの「スカイハイ」(75)。これもオーストラリアとの合作映画でした。(ゴールデンハーベスト作品)
タイトル画像



英語版と見比べるといくつか気になる点がありました。やはり編集は他と違っていて焼付け字幕の北京語音声なので北京語版としておくと、こちらは監督がジミーさんと鄭嘉時(つまりブライアン・トレンチャード・スミス)の共同監督になっているのが分かります。
字幕からはジミーさんはファンという役でしたが漢字では“方”と書くことなんかも判明。(ジミーさん、この方という名前が好きなのかも。)
確かにいままで無かったと思っていた合作映画の中文タイトルが存在したことになるではありませんか。(これで少しは希望の光が見えたかな?『四王一后』の北京語版だってきっとあるはず。私はこれにジャッキーの姿が映っていることを期待しています)

そして気になるシーンは“削除シーン”についてです。
この北京語版はちょっと変わっています。ノーカット全長版ではありませんが、何とデジタルリマスターのFS盤DVDでは本編からカットされオーストラリア盤DVDにあった2つのシーンは、確かに存在していたのです。実際には約90分に短縮されていますが、ある一部のシーンが丸々削除されたりしているのではなくて、各シーンから少しずつ削って無駄を省いたような編集になっていました。なので一応すべてのシーンは含まれていますがちょっとずつ削って削って正味約90分に収まっているということになります(笑。

この「スカイハイ」も調べてみれば香港上映時の音声は北京語との事でした。
いろいろ考察してみた結果ですが、この北京語版は恐らく香港の劇場公開版なのではないかと思っています。(これがどこで見られるかと言いますとインターネットで大陸系の動画サイトにアクセスすると見られます)

ただ、短く編集されたオリジナル北京語版もいいですけど、やっぱり主題歌のスカイハイがかかる場面も多いのでオンエア版(ちなみにタイトルは英語ながら別プリント。こっちは日本公開時のもの??)が好きなのですが、日本語版もいいですね。
他にも日本語をしゃべるジミーさんは渋いところでは、『いれずみドラゴン嵐の血斗』や『ドラゴン特攻隊』などいくつかありますね。個人的にはスカイハイの池田秀一さんの声あたりがシックリと来てますのでジミーさん理想の声と思います。是非新しく作るる時は池田氏を起用で!(ジャッキーが共演した初期作品『キラードラゴン流星拳』だけはなぜか日本語版が存在していないのだが…。 )


参考資料
ジミー王羽 『スカイハイ』日本語版、北京語版


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ダイナマイト諜報機関クレオパトラカジノ征服

2008-07-04 23:34:30 | 七十年代作品【1975】

タイトルの『ダイナマイト諜報機関クレオパトラカジノ征服』って、
なんと長い題名なのでしょうか。
しかし、この長~い名前には何とも言えない良い響きがあるのですよね!



ちなみにサントラCDが発売されていました。(URLは下記。試聴可)
http://www.wmg.jp/artist/ost/WPCR000010996.html
ジャズとソウルのエッセンスが絶妙にミックスされた今なお新鮮さを失わない
傑作サウンドトラックなんだとか。

この映画のタマラ・ドブスン(故人)はかなりファッショナブルでありましたが、
共演しているタニーもそれに合わせたような印象がありました。
(アクションは少なめ)




麻薬捜査官クレオパトラジョーンズ(カッコいい!!)


おっと、お茶を飲む海ボウズ。(ウソ)


いやいや、この映画SBスターがホントに沢山出演しているようです。

合作映画であるのですが(セットもいつものSBセット)、


香港の街を走りまくるとか、現代劇ならまぁ良く出てくると思います。
というかオープニングからやはり香港気分を出すにはコレが一番ですのでね。


しっかし、ラストのバイク暴走から、暴れまくり、ぶっ壊しまくりの
アクションシーンはもう滅茶苦茶でした。(こんなのしか出来なかったのかなぁー)


香港と他国の合作映画というのは面白くて楽しい娯楽映画であるのですが
ロケが香港とかであるのに対し、音声やフィルムのプリントは英語版だったり
するようですね。
(『ドラゴンVS7人の吸血鬼』にしても『007/黄金銃を持つ男』にしても
中文のものなんて存在しない)
どうも純正な香港作品と同じ目で見てしまいます(ポスターなどの宣伝材料は別)


また、80年代に出版されたスクリーン増刊「功夫映画大全集」にはしっかり紹介されていました。(なんとタマラが"クンフーギャルズ全員集合!"のコーナーに登場)
他にも『クレオパトラ危機突破・ダイナマイト諜報機関』『金髪ドラゴン/ブロンドフィンガー悩殺篇』なども記事、紹介文がありますが、これらはあまり見る機会は無さそうです。


【作品DVD】

ついに発売された国内盤ソフト!!!

ダイナマイト諜報機関/クレオパトラ カジノ征服 [DVD]
クリエーター情報なし
復刻シネマライブラリー


【関連書籍】

 

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