電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

神拳 ヤング・ボディガード

2012-07-30 00:00:00 | TV放送作品

「ジャッキー・チェンの飛龍神拳」または「神拳」、「ヤンボデ」として知られる拳シリーズ。残念ながら来月のBDリリースには入っていません。数年前、DVDが発売された時はオリジナル予告を見て感動を覚えましたが、あれは撮影風景が含まれていてとても良かったですね。またいつか発売されることを期待してます。

この映画は御存知の通り、『風、雨、雙流星』、『劍・花・煙雨江南』に続く羅維影業・古龍原作映画3作目の『飛渡捲雲山』のことです。
日本では「天中拳」が劇場公開された83年夏、時期は不明だったものの『『飛渡捲雲山』が今後の公開予定作(なんと3Dとしての公開!)として名前が挙がっていた作品でした。当時は、超立体映画「ジョーズ3」なども公開され、立体映画に注目が集まっていただけに是非劇場公開して欲しかったのですが、その後、劇場公開は中止となり、TV放映された経緯がありました。

 TVでは「神拳」のタイトルで放送

ここでは、『飛渡捲雲山』の原作について少しばかり迫ってみることにしましょう。

この『飛渡捲雲山』は、数多く発表されている古龍の原作小説のどれに当たるのでしょうか。

これは、75年に発表された『拳頭』という小説が該当します。
オリジナルでは”捲雲山”という名が”狼山”という名前であったり、登場人物(主人公)が小馬という幾度か古龍の小説に登場している人物だったりしてますが、病気の弟の護送を藍蘭が主人公や常無意らに依頼して、山の王と対決するという大筋は変わっていないようです。
『拳頭』での老皮という人物は、古龍の七種武器シリーズ『霸王槍』に出てくる人物でもあり、少林神拳を使う設定になっていたようで、これが『飛渡捲雲山』で神拳を使うの主人公・丁冲で劇中でも握りコブシを強調して見せているように”拳頭”を売り(すなわち神拳の使い手を黒幕が欲しているという状況)とした主人公になっていると思います。

 これが、拳頭の由来(?)

上で書きました『霸王槍』ですが、実は先に映画化されていたようで
『五虎屠狂龍』(又名:『風起雲湧鬥狂龍』)として、78年に台湾で公開されています。(ロケ地は『飛渡捲雲山』と一部同じ場所を使用しています。)
「飛龍神拳」はブルース・リャンや「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」のワン・ピン(汪萍)などキャストもかなり豪華だったんですけど、こちらも豪華な顔ぶれで、監督のポール・チャン(張冲)をはじめ、岳華、上官靈鳳、金童、胡錦、羅烈らが出演し、『拳頭』の老皮に当たる役をなんと張午郎がやっていました!(岳華VS高飛なんて対決もあります)
関連する映画を見比べてみると、面白いですね。

ココの場所「飛龍神拳」では”湧泉寺”となっていました。


 これはレアな共演(上官靈鳳とチャン・ウーロン!)

『五虎屠狂龍』海報

次回は拳シリーズ・最終回『カンニングモンキー天中拳』です。


【作品DVD】

これは貴重。日本語吹き替え収録!!

ジャッキー・チェンの飛龍神拳 [DVD]
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フィルムセンター「Mr.BOO!」

2012-07-27 00:00:00 | 劇場公開作品研究

フィルムセンターで「Mr.BOO!」を観てきました。劇場で観るのは初めてで、とても楽しみにしてましたから、もう開演まで待ち遠しかった(笑。

「プロジェクトA」と同じ、青い画面の東宝東和提供が出たあと、
カラフルな映倫のタイトルが表示されました。(字幕監修はやはり前川宏司氏でしたね)これはもちろんはじめてみるもので、ちょっぴりうれしい気持ちに。

次の瞬間、とんでもない光景が。
朝日は確かにありました・・・。しかし、なんと、ハーベストのロゴ吹っ飛ばして始まったオープニングクレジットは英語で表示されてるではありませんか!(おかしいな。てっきり中文と思っていたのでこれはかなり意外でした。)
英語というのもはじめて見ましたが、音声は広東語!(当たり前!英語はしゃべらん。)がうちょーあ。

そして、これも驚愕なのですが、どなたかにコメントしていただきましたが、サムの役名は”ミスター・ブー”(字幕を読むと・・ですね)となっているではありませんか。これはあとで謎が解けます(?)。

注目していたのは、例のシーン。
おや、ちょっと違うぞ。

チョンボが車を壊して、車をバックさせたところから蚊のシーンと続いてサモハン登場シーンがはじまって、例のサムのストップモーションの後、マイケルがサイフをゴムでスーツに仕掛ける場面から再開する編集になっていました。
これの方が分かりやすい編集だと思います。

ところで、サムの演じたキットという主役の青年。
でも字幕では”ミスター・ブー”。
サムはレストランでニンジンを食べた後、あちこちでブーっとオナラをすることになりますが(笑、今回の劇場版を御覧になった方ならきっとこう思うはず。
そう、どうしてサムがミスター・ブーなのか。
オナラをする人。つまり彼こそがMr.BOO!(爆。
(ブーはオナラだったんだね(笑)。本来はこういう意味もあったのではないかと思います。

ラストは、サムの歌う『半斤八両』をバックにDVDよりちょっと短い英語クレジット付きのエンディング。(これで100分のつじつまが合った!)

いやぁ、「Mr.BOO!」まさに最佳喜劇!!
広東語コメディってやっぱり楽しいですし、いいですよね~。
ということで、あとはDVDで広川太一郎の爆笑日本語バージョンを楽しむのも良し。サムやリッキーのコメディもまた観たくなってしまうのでした。

そうそう、窓口で販売してたパンフレットによると、フィルムセンターの貯蔵庫とも言えるフィルム保存棟が相模原にあるそうなんですよ。
ウチから車で30分もあれば行けそうな距離にこんな施設があったことに驚かされました!
元米軍キャンプの跡地でよく車で横を通るたび広いとこだなぁって思ったりしてましたね。外国映画も8000本以上あるそうですけど、この中に香港映画はいったいどの位あるのでしょうね。
パンフレットからは施設が見学できるのかどうか分かりませんでしたけど、見学に行ってみたいなぁ。

 

 

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「プロジェクトA」上映会

2012-07-21 00:00:00 | 成龍的電影

京橋のフイルムセンターで『プロジェクトA』を観賞して来ました。

ジャッキーの雄姿をスクリーンで、当時のままのフィルム上映!!

当時の少年たちの心をワシ掴みにしたのはやはりジャッキーですね!!

この京橋ってところは、私にとっては思い出のある場所なんですけども、ひさしぶりに足を運んでみました。

会場のフィルムセンターは職場からかなり近いところにあるので、仕事帰りにちょっと寄ってみるなんてことも容易いですね。
正面から

今回というか今月フィルムセンターで開催されているのが『ロードショーとスクリーン』上映会。ポスターにありますように「エレファントマン」とか懐かしい洋画もいっぱい上映されるんですけど全部で17本もの洋画がフィルム上映されるんだそうです。

人間が持っている若返りたいという願望。その潜在意識をくすぐって、それこそ「ロードショー」誌や「スクリーン」誌を買って読んでたような人たちに猛烈にアピールした企画だと思いました。

誰だってそっとしまっておきたい。静かに記憶の底にとどめておきたい。そんな気持ちがあると思います。

でもしまったままで本当にいいんでしょうか。

ひょっとしたら何かの拍子に忘れてしまうかも知れません。もう一度だけでいいからまたいい夢見させてよ。

そんな遠い記憶を甦らせてくれる絶好のチャンスが巡り巡って今年2012年、夏。ついに到来です!


ちっとも遅くなんてありません。 こうやってまた目にすることが出来たんですから。

まわりの男連中の気持ちはみんな一緒。30年近く前だなんて思わない。
サモハンやユンピョウも若くて活き活きしてる。そう、いまがまさにそうなんだ…。
終わって外に出たらみんな満足した同じ顔してて、今日が平日なんてことも忘れて、きょう一日の疲れも吹き飛んだ気がしました。

ありがとうございました。アンケート書いとこ(笑)。

 

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少林寺木人拳に意外な人物!?

2012-07-19 00:00:00 | 成龍的電影

今日の記事ですが、またまた登場の「少林寺木人拳」です(笑。

動画も用意しましたので、あわせて御覧くださいませ。

ところで、この木人拳でのミャオ・ティエン(苗天)はなかなか
いい味を出してますよね。
私の好きな場面は、食堂で友人のスーリンを殺した犯人が使っていたというワザを
周囲に見せるというシーン!!
これを見たジャッキーがその型に反応して
すかさずミャオに挑戦するという場面ですね。

これがそのシーンです。
 独特の型を見せる苗天

この場面で、外野に一瞬映りますが
どこかで見たような人物がテーブルにすわっています。
これはマース(火星)ではないでしょうか。
 クリックして拡大→

ジャッキーのスタント時代の作品などでは同じ映画に関わる機会も多かったマース。

拳シリーズではもちろんジャッキーと一緒に現れることなど無かったのですが、たまたまなんでしょうけど、こんな形でカメオ出演していたらびっくりですね!(これは今まで気づかなかったなぁ。)

「ドラゴンロード」以降は、マースもジャッキーとともに活躍して楽しませてくれました。羅維時代になぜいなかったのか不思議なくらいでしたね。

 


 

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新白蛇伝

2012-07-13 23:36:46 | 七十年代作品【1978】

ジャッキーの拳シリーズはちょっとおやすみ。

ジェット・リーの「白蛇伝説」が公開されるようですが、78年にはブリジット・リンとチャールズ・チンが主演した映画『真白蛇傳』(邦題:「新白蛇伝」)がありました。(ファースト・フィルム社製作。広東語版)
タイトル

そして、あの陳誌華が監督です。(但し、執行導演だけど。)
それじゃあ、バリバリのカンフーで、蛇拳のブリジット・リンとチャールズがバトルを繰り広げる映画??いや、そんな訳ありませんって(笑。

白素貞(ブリジット・リン)という美女に姿を変えた白蛇が、許仙という青年(チャールズ・チン)と恋に落ちるというSFXファンタジー。ベースとなっているのは何度か映像化されたりしている有名な伝説・白蛇伝より。

お似合いのお二人。

1000年修行した白蛇のリンさん。「下界で許仙さまが困っておられるので、あと1000年も修行なんて出来ないわ。」
師匠からよく仕えたので行ってもよろしいと言われた白素貞と妹・小青。

下山を許された。
常に情に溺れず蛇の心を忘るるなかれ

白蛇の兄が、ヒゲのおっさん。 

苗天は本当に監督のお気に入りなんですなぁ


クレジットを見ればそうそうこんな人たちも・・・。

武徳山に林テルオさんね(笑。

武さん。妹の術で生まれた召使い。

あと、ちらっと出てる江青霞って誰かと思ったら「成龍拳」のジャッキーのお母様役の方でしたか。

結構、お笑いもあって安心して見ていられますよ。「笑拳」好きな方には特に!!(音を聴けば分かりますって)

妹がけっこうなおてんば娘

大雨降って無理矢理舟に同乗したりして、屋敷に案内したら「雨が止んだから帰ります」って許仙さまが言ったって帰すものかと、雷を落として帰らせないんだから(笑。

ちょっと面白い格好した道士役のリークンさん(法海でっせ。今回ジェット・リーがこの役!)

1000歳のヘビだからオフダを貼れと言われる許仙。(リークンと言えば”オフダ”の人でしたね(笑。)

ポクポクポクポク・・・。
ってお坊様の修行がはじまったと思ったら、

こんな竜を出しちゃうお坊様!

こんなのとかいろいろ出てきます。

いよいよ、決戦となります。

白素貞の術が勝つかポクポクちゃんが勝つか!

最後はちょっとしんみり。

そうそう。「白蛇伝」ってジュディさんのバージョンもあるんだって!(これは見なきゃ。)

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成龍拳

2012-07-12 00:00:00 | 成龍的電影

今回は残念ながら来月発売のラインナップから外れてしまった「成龍拳」について。ちょっと残念ではありますが、またそのうちリリースされる機会もきっとあるでしょう。

最近台湾では古龍や金庸の小説もスマホなんかでも読めるそうで、武侠小説も手軽にスマホで楽しめるなんてなんとも羨ましい限りですね。 

映画と小説についてですが、当時、監督のローウェイが古龍の原作を費用が莫大となってもどうしても使いたいとかそんな話があったそうです。 
人気があるといっても映画化するとなると『風、雨、雙流星』のようにかなり複雑なシナリオだと本編の構成に失敗したり、解釈が難しくなって要するに安心して見ていられなくなりますね。原作に忠実にするか、多少のアレンジをしてみるかそこはスタッフの力にかかっていると思います。この「成龍拳」は前半部分はかなり原作に忠実に作られています。

『劍・花・煙雨江南』は一度映画化されてもその後全くリメイクなどされなかったりするところからみれば人気の高い小説という訳ではなかったのかも知れません。
何度もリメイクされているものとは違い、ポピュラーなものではないかも知れませんが
劇場公開当時、日本初登場だというシー・フォンの潔い演技!
彼女がこの映画で魅せた女盗賊・丁錢艶という女性はとても素晴らしい。 

ちょっと今回は、ストーリーをじっくりと観察、振り返ってみようと思います。

※以下、ネタバレします

三月には霧のような雨が降る江南地方。ここ奇峯山荘はここ一帯を治める総督・雷奇峯の屋敷である。人望の厚い総督は人々に親しまれ、今晩も還暦の祝いの席では沢山の人々が集まり、大広間で宴会が開かれていた。 

屋敷内の静かな庭園に一人大樹の下に横たわる青年がいた。何かを想って深く沈んでいるのか、その顔は険しい表情をしている。この青年は総督の一人息子、小雷(シャオレイ)であった。 
暗闇の中を駆けてきた一人の乙女が彼にそっと寄り添った。
侍女の役目を終え、抜け出してきた小雷の恋人の千千(チェンチェン)の美しく可憐な姿だった。
しかし、小雷の表情は少しも動かない。千千は愛する人の異様な様子に戸惑った。
よく見ると小雷の脇腹には血が滲んでいた。 
「また喧嘩したのね?」 
心配する千千を他所に小雷の言葉は冷たかった。
「女房気取りはよせ。召使いのくせに。おまえをどうしようと俺の勝手だ。」 
「でも私のおなかにはあなたの子が・・。」 
いきなり平手打ちを食わせる小雷。 
「誰の子だか分かるものか。」
小雷の酷い仕打ちに泣きながら走り去ってゆく千千。
その姿を見届けて大広間に戻った小雷は、暴言を吐いて客人たちを追い返してしまった。 
激怒する父の総督。その時、小雷は静かに言った。 
「父上、客人に巻き添えを食わせないためです。今晩、花蜂党が襲ってくるという情報を耳にしたのです。」 
証拠に取り出したのは人間の手首。小雷の服を血で染めていたのは蜂の入れ墨が彫られたこの手首から出たものだった。 

総督が花蜂党一味を壊滅させたのは今からちょうど15年前の今日であった。
一族の血を絶やすまいと一人息子を逃がそうとする総督。
しかし、小雷は意外なことを口にする。 
「私は逃げはしません。跡継ぎはすでに千千の体内にいます。わざと酷い仕打ちをして別れたのです。あとのことは親友の金川に頼みました。」 
そうとは知らない千千は泣きながら走り続けていた。
 
やがて山荘には不気味な風が吹き、夜空から5つの棺桶が舞い降りると中から盗賊たちが姿を現した。桃の花の仮面をつけているのが女首領の丁錢艶(ティン)である。 
仮面を取ったティン。
しかし、顔の半分は緑色のヴェールにつつまれている。

「15年前の恨みを思い知るがいい。」 
忽ち始まった大乱闘の中で小雷の父と母はティンに殺されてしまった。 
怒りに燃える小雷。 
ついにティンを追いつめて喉元に剣を突きつけた。
「両親の仇だ。覚悟しろ。」 
平然としているティン。その瞳は氷のように冷たい。 
「私も親の仇を討ったまでのことよ。」 
「おまえの父は盗賊の首領で、悪党じゃないか。」 
「おまえの父は何だと言うの。5つの時、切りつけられたのよ。見るがいいわ。」 
ヴェールを取ったティンの頬には無惨な傷跡があった。
一瞬、たじろいだ小雷の隙をついて、ティンの手刀を受けた小雷は気絶してしまう。

 
気を失った小雷をそっと安全な場所に移すティン。 
どうしてこの青年を殺すことが出来ないのか。こんな気持ちは初めてのことだった。
「復讐だけを生き甲斐にしてきた私。人を愛する心があったなんて・・。」
夜が明け目覚めた小雷は真っ先に千千の名を呼んだ。
「このまま生きて苦しむがいい。」と言うと、ティンは去っていった。 

一方、金川の家に向かう途中、千千は三人の男に襲われるが小雷にそっくりな男に助けられた。その男は金川であった。
山中の金川の家は身分の違いの恋に身を窶した小雷と千千が逢い引きを重ねた思い出の場所でもあった。千千は、そんな昔を思い出すのが辛かった。「どこか遠くへ連れて行ってください。」 小雷が金川の家に駆けつけたときには二人の姿はなかった。

もう何日も飲まず食わずでこうして金の家に横たわっているのか。 千千に会いたさの余り、体が衰弱していく小雷。
そこへティンが現れた。 
意識が朦朧としてティンと千千の見分けがつかない。
うわ言でさえも千千の名を呼び続ける小雷を見たティンはかなわぬ恋だと知る。 

しばらくして血雨党3人組の刺客が現れ小雷を襲う。敵の睡眠ガスを吸って気を失ってしまう小雷。
そこへ現れたのは、飛龍隊の隊長・龍四であった。
刺客を雇ったのは彼らだったが、人違いであることがわかって血雨党は引き上げた。

やがて小雷が目を覚ますと龍四がいた。龍四が自分の宿に連れて帰っていたのだった。
人違いを詫びた龍四は意外な事実を告げる。
彼らが追っているのは金川で、ある王族から預かった宝石を盗んだ犯人が、その金川だというのだ。
「そんなはずはない。親友だと信じていたのに。それでは千千はどうなる?」
荒れた野原を歩き一人泣く小雷。
遠くの木の上から降り立ったティンは言い放つ。
「両親の埋葬もせず、裏切り者も追わず、ただ泣いているだけ。千千だけが女じゃないわ。あなたは私の名前も知ろうとしない。」自分の名前を繰り返し叫ぶティン。
だが、千千を探しに立ち去った小雷の耳にはそのせつない声も届かない・・・。

その頃、千千は金川とともに町の宿に泊まっていた。
あんな酷い仕打ちをされても小雷を想う心に変わりは無かった。
翌日、小雷は龍四を訪ねると仲間に加えて欲しいと頼んだ。喜んだ龍四は小雷を兄弟と呼んで歓迎した。森の中の広場にたどり着いた龍四一行が休んでいると、一人の老人が近づいてきた。龍四に贈り物があるという。それは一枚の絵だった。
体を切断して苦しむ龍の血を老人が番傘で受ける奇妙な絵。
「江南の龍。ここに死す。わかるかね。」
老人のこの言葉を聞いて嘲り笑うと、七人の血雨党が襲って来た。
「ここは私にまかせて。」と進み出る小雷。
懸命に戦うが敵のからくり仕掛けの武器に振り回され、絶対絶命。
そこへ空を切って現れた人影。
愛する小雷の危機を察知して駆けつけたティンであった。
ひらりと飛びながら瞬く間に敵を全滅させ、凄まじい力を見せるティン。

何がなんでも小雷を助けるつもりだった。
息も絶え絶えの小雷。運び込まれたのは龍四の屋敷で小雷は生死を彷徨っていた。
「私は小雷を救える唯一の人間。彼を私に渡すか、ここで死なせるか、選ぶがよい。」ティンは龍四に決断を迫る。
龍四は彼女を信じて小雷を預けることにした。
彼を運ぶ馬車の中でお供の女が本当に治るのだろうかと聞いた。
「分からない。でも死ぬのなら、私のそばで死んでほしい。」
女盗賊は悲しく泣いていた。
それからしばらくして龍四は弟とともに盗まれた宝石の持ち主・小候のいる王宮を訪ねた。
「宝石は取り返したか?」
「いいえ。申し訳ありません。私の命に代えて償います。」
「人間の命にどれだけの値打ちがあるというのだ。」
そういって小候が振り返ると、この男はなんと金川だった。
「宝石の護送を依頼して自分でそれを盗む。さては図ったな。お前こそが血雨党の首領に違いない。」
「よく分かったな。我々が江南を手に入れるには総督と飛龍隊が邪魔なのだ。」
身構える龍四。しかし、金川は武芸の達人。たちまち隙をつかれ、殺されてしまった。

そして、金川は千千に悪い知らせと「小雷は死んだ。」と言ってしまう。
「生まれてくる子供のことを考えて私の妻になるといい。」
しかし、小雷は死んではいなかったのだ。
山にある小屋でティンの手厚い看護によって一命を取り留めた小雷。
だが小雷の目はウツロで生きる意志を失った抜け殻のようだった。
「龍四と弟の欧陽急が殺されたわ。犯人は血雨党の首領よ。」
小雷の表情が変わる。
「血雨党の首領と、その王族は同一人物。」
「同一人物?」
「親友の金川よ。」
執拗に小雷を引き止めるティンだったが、このままでは無駄死にしてしまう。
「私を倒せるようになったら行きなさい。」と厳しい修行が始まった。
最初の挑戦にあっさり負けを喫し、火鉢の中の炭を食べさせられる罰を与えられた。

2度目の挑戦でも到底敵わない。ティンは小雷の顔を焼いてしまった。
再び修行に戻る小雷。一日も早く復讐したい。
3度目の挑戦で「これが最後よ。」と言われ必死になる小雷。
しかし、この挑戦にも負けてしまうのだった。

するとティンは毒入りの葡萄酒を用意した。
復讐できないのなら生きている意味もない。
その酒を一気に飲む小雷。
「死をも恐れないその覚悟があるのなら望みを叶えてあげるわ。
それは毒じゃない。私の血よ。今までの罰は我が家に伝わる秘伝、成龍拳を会得するためのものだったのよ。」
差し出された秘伝書を持って先を急ぐ小雷。途中で戻って礼を言う。
「ご恩は一生忘れません。」
小雷の後ろ姿を見て一人泣くティンであった。

小雷は山を降り、金川の屋敷に忍び込んだ。
金川は千千と一緒にいた。
「よくも裏切ってくれたな。龍四の仇も討つ。」
こうして戦いは始まった。
千千が見守る中、二人の戦いは続く。 
すると小雷は金川の腰帯を使って首を絞め、ついに金川の息の根を止めた。
愛する千千が駆け寄ってくると二人は抱き合った。
そして一人、馬に乗って去っていく、ティンの姿があった。

 


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日本語吹き替えです。是非とも石丸ジャッキーをご堪能ください!!

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クレージーモンキー笑拳

2012-07-06 00:00:00 | 劇場公開作品研究

「Mr.BOO!」に代表されるコメディ映画も昔の香港映画の特色でもあったと思いますが、79年香港で大ヒットしたのはコメディ映画「ザ・ポップマン」を抑えて(注1)、第1位に輝いた「クレージーモンキー笑拳」(原題:『笑拳怪招』)でしたね。
でも、香港で1位になったからといってやはりそのまま日本に持ってきても映画会社は受けはしないと踏んだのですね。

日本での劇場版(80年4月公開)だと広東語でしたけど、アニメーションが挿入されていたり、主題歌を流してみたりと、日本のアレンジを日本人向けに思いっきり入れ込んだ、逆に言うと日本人にしか見れないバージョン、日本人にしか楽しめないモノになってしまっていたかも知れませんね。
 

劇場版

当時の人気を調べてみると(注2)あまり順位は高くなかったようで、テレビで何度か放送されたのに笑拳があまり支持されないのって、(いまだに日本で「酔拳」に絶大な人気があるのは、やはり”酒”。酔っ払いの拳法が凄いと思ってしまう。)喜怒哀楽の拳法なんてどこかつかみ所が無くって中途半端で、感情よりも人間の状態(眠っている、死んでいる、酔っている、狂っている(病気)・・・etc)を表す方が面白いってこともあるんじゃないかと思うのですね。

そう、小説を読んでいたら、八足麒麟は足技が早くて八本に見えるから八本足とか書いてありました。キリンじゃなくてタコみたいですね(笑)

 

字幕は山崎剛太郎氏

CRAZY MONKEYなのだ~

上の画像の鉄の爪・任。この任を”エン”と訳したのがなんとも不思議ですが、リュウ・バチョン(笑)こと柳葉刀なんて人までしっかり字幕に刻まれてました。劇場版はスコープサイズで見れるのが利点ですけど、このVHSはあたまの方だけがそうなってたみたいでした。。そして、モンキー・パンチ先生とのコラボもここまで・・。

最近はまた日本語版(吹き替え)の良さを実感しつつ、いろいろ気になってたことを思い出したり、今まで気がつかなかった事とかを整理します。記憶も薄れてしまいますので、何がよかったのだろうとか、どの辺が突っ込みどころだったのだろうかなんて考えています。劇場版にあったディーン・セキ(石天)の出演シーンがまるまるカットされてしまって、もしあったらどうなってたのかなと思うのですが、何といってもシーフー(李昆さん)の声がバカボンのパパなんですからね♫(ジェームス・ティエンの声はハイジのおじいさん!!)あそこでバカボンを出されたら一溜まりもありませんですよ。

自分自身がどれだけ楽しむことができるのか、これが重要でこの日本語版を通して、アメリカ人が英語吹き替えを求めるのと同じように、日本語で聞ける楽しさ(日本的ギャグを笑う)、気楽さ(すぐに意味が分かる)、分かり易さ(全体を把握して感想を持てる)などを実感しています。

とりあえずジャッキー・チェン主演映画を除くと、いま現在の私の日本語版ベスト3は、
1.「モンキーフィスト猿拳」(師匠との対決の発展型)
2.「少林寺拳道」(ニセ修行僧の活躍)
3.「南北酔拳」(酔っ払い拳法の発展型で、病拳が登場する)
の順になるでしょうか。一応、これはカンフー部門になります。

映画を分類してみましたが、どうしてベストかを簡単に言うと、私が日本語で頻繁に見てたという映画なのでした。

コメディだと、どうだろうかなぁ?

 注1:参考「ザ・香港ムービー下巻」「香港電影百科」

注2:「シネアルバム1981」

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Mr.BOO!メモ2

2012-07-04 00:00:00 | 劇場公開作品研究

広東語映画としての『半斤八両』はとても素晴らしいと思っています。

今回ご紹介するのはその『半斤八両』北京語版です。

オープニングには、ハーベストとホイ・ブラザースのクレジットが入ります。
嘉禾・許氏聯合攝製
これがなぜか入ってなかったりしますね。


焼付け字幕がうれしいですね。
あーら、つかまっちゃったー。

 

これはドラゴン大全集のP.109にあるのと同じシーンです。


そこのページにはシネ・フォントの字幕が右側に入った日本での試写プリントの写真が載ってました。試写では違うプリントで上映されたんですね。

日野さんの書いてた通りの北京語発声、中国語・英語字幕併用の”みかん映画”を見てることになってなんか不思議な気持ち。

この北京語版は、ランニングタイムが短くて約90分になってるのが残念ですが、音声も北京語版のセリフだと面白さが半減してしまうような・・・。

まだまだこの『半斤八両』にはいろいろあるようですので、調べてみようと思います。

 

 

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Mr.BOO!メモ

2012-07-03 00:00:00 | 劇場公開作品研究

今月、東京・京橋のフィルムセンターで上映されることになった「Mr.BOO!ミスター・ブー」(原題:『半斤八両』)。本当にびっくりしました。当日、場内は爆笑の渦になるでしょうね(笑。

というか、最初のゴールデンハーベストのロゴ。これだけで鳥肌モノですね(爆。


まだ日にちがありますので見所などをちょっとメモしておきます。

もちろんタイトルは、”Mr.BOO!”(・・・のはず。)

つづいて有名な削除シーンへ。
最初の方の事務所の部屋のシーン。マイケルがチョコボールをぶつけて「結構やるじゃないですか」とサム。

いきなり画面が切り替わって、サムとリッキーの会話へ。
ここのつなぎが不自然なので(無理やり押し込んだ感じ。)どうなってたのか
チェックしてみたいと思います。

ぽかーん
リッキー「凄い、早業!」
サム「軽いよ、こんなの。」
リッキー「俺もカンフーやれるかな?」
サム「その気になれば誰だって出来るよ。」
リッキー「どうして始めたんだ? カンフーを。」
サム「ん?動機は単純! こんな具合だよ・・。」
・・・と、ここまで。

そして、海辺のシーンへ。(約3分)
これがサムとサモハンが対決するシーンで劇場公開時に挿入されたというお話。

このシーンまで

ここまでが「ギャンブル大将」のDVD特典に収録されていますが、上記の二人の会話の部分がDVDには無いのです。(情報提供:リバーズさん)

上映時間は100分だったそうですので、NTSCのDVDは約96分なので、あと1分ぐらい他のシーンがあっても良さそうな感じですね。

あと気になる点といえば・・・ハーベストのロゴのあとの朝日。(これってホントにあるのかな??)

次男のスタンリー・ホイの登場シーンなんかも見所ですね。
兄弟3人

エンディングもどうなってたのかこれもお楽しみということで、いまから興奮して眠れなくなっちゃいますねー。はーやく来ないかな。

 

 

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少林寺羅漢拳

2012-07-01 00:00:00 | 七十年代作品【1975】

少林寺羅漢拳」はメン・フェイ(孟飛)やカーター・ワン(黄家達)、そしてシー・フォン(徐楓)主演の75年の古いカンフー映画です。

注)邵氏の「少林羅漢拳」(原題『三闖少林』)とは別の映画です。

少林寺を舞台とし、ある男の復讐劇ともう一人の青年の出生の秘密がキーワード。
十八羅漢が登場しますが、形だけのものに見えますね(笑。

私が中学生のころ、この映画をテレ東で放送するって時に
塾に通っていたのでその時間帯はテレビを見れなくって
とても悔しい思いをした記憶がありました!(相当昔の話・・・。)

83年の新聞のテレビ欄に載ってたのを引用してみると、
幻のカンフー秘技大爆発なーんて書いてあって
この宣伝が、余計に悔しい思い(当時はですね)をしたんだと思いますが
その解説は”過去を悔いて少林寺の僧になった父と、父を捜す若者の運命的な出会い。”

なのだそうです。たった一文で映画を表現する新聞欄って凄いなぁと思いますね。

この頃はテレビでの放送がとても多かったのですが、周辺とか関連するものとか、また見直してみたりしてみると面白いですね。


そういえば、同じテレ東で「少林寺羅漢拳」の前の年には
アニメ「ドラゴン水滸伝・四大魔王との戦い」も放送してましたね。
このアニメはVHSも発売されたようですが、
(どうやらビデオ発売前に放送されたらしい。)
今でこそカンフーのアニメなんて当たり前のようにありますけど、
当時は「ドラゴン水滸伝」(劇場公開済み。)のようなアニメもあったりして楽しかったですね。

さて「少林寺羅漢拳」を久しぶりに見てみると、確かに古い映画であるので
作りもシンプルで、いかにも台湾らしい地味な映画だと感じますね。
(どちらかというとドラマに近い。)

ロケ地は「拳精」などで有名な台湾の行天宮。半分ぐらいはここで
撮影したシーンじゃないかって言うぐらいこの寺院が出てきます(笑。
ここは関帝廟だそうなので、横浜中華街の関帝廟に行ったようなものですね。

で、ここを少林寺として黄色い法衣を着た僧侶たちが羅漢となって寺を守るという設定です。(確か「拳精」も羅漢たちがこの行天宮で出てきましたね)
 1、2、3、4・・・16人。あと2人います。

このフォーメーションはラストでもう一度出てきます。

 

メンフェイさん


映画の序盤。ある武芸者(カーター・ワン)から友人に赤ん坊が預けられて10数年。成長した青年(メン・フェイ)は、育ての親から衝撃的な事実を知らされる・・・。
こう書くと主役はメン・フェイのはずなんですが、最後まで見ると結局よくわからなくなって来ます(笑。

日本語版でメン・フェイの声をアテたのが、なんと石丸博也。
(これは珍しいケースでしたね。)
メン・フェイさんはいつも女優さんに囲まれている感じですが(羨)、
この映画でも旅に同行するスリの女とか、いつもどうなるのかなと展開が気になります(笑)。
ちょっとはしゃいでる感じ?

ここの敵のお相手が楽しい!(孟飛版「笑拳」!?)

「カモン、カモン」

最後は「まわし蹴り」。ひょうきんなメンフェイ

テレビだとメンフェイの登場シーンがいくつもカットされてます。たとえば
夜、姉に怒られ家に戻らされた後の次の朝のシーン。
町を歩いて、輪投げのゲームをするメンフェイがカット。
確かに本筋とは無関係のあまり重要なシーンじゃないんですが、
輪投げのウマさにビックリします。(NGを何回出したか知りませんけどね(笑。

逆に海外盤DVD(短縮版)だと、スリの女が食堂に入って来てからのシーン、
夜、屋敷に来たチャンイーらとシーフォンが戦うシーンがカットされています。

↑で、よくわからないと書きましたのがチャン・イー(張翼)です。この映画では盗賊のボスになったり、後半には政府の回し者(ラストはさらに別人に・・。)といろいろ変わってしまうのです(苦笑。
チャン・イーって武侠片の若い頃は主役を張ったりしてたのに、
悪役をやるようになったのはいつ頃からなのかちょっと気になりますね。
チャン・イー

衝撃のラストシーンを演じたカーター・ワン。
カンフーアクションは少ないので、ちょっと物足りないですが
冒頭で少しアクションを見せた後、少林寺の僧になって
ヒゲを生やした物静かな人物を演じています。
(「少林寺への道」よりちょっと前ぐらいになるのかなと思います。)
少林寺管長になったカーター・ワン

あまり活躍する場面が無いですが、シー・フォンが
メン・フェイの姉という設定でした。(年齢的にそうなってしまうのかな??)
出番が少なくてちょっと勿体無いですね。
姉御

この映画は「カンフー十八羅漢陣」というタイトルのVHSが発売されていましたが、
気になるデータとしては、字幕なしの英語版というビデオ
という話は有名でしたけど、これが約90分のロングバージョンであるということ。

また、英語タイトルは"18 Shaolim Disciples"と、
shaolin じゃなくて最後がm の"shaolim"になっているのがちょっと不思議といえば不思議。
(通常なら少林はshaolinとなるはず)
映像でも海報でも同様の表記でした。

”十八”の人文字のフォーメーションで十八羅漢完成!
 THE END

コメント (2)
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