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電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

心蘭的故事

2007-10-20 10:20:32 | 嘉禾電影
72年の文芸作品(撮影は72年8月頃)。前回の「黒夜怪客」と同様、この映画では苗可秀が柯俊雄と共演しています。
台湾映画ですが、【嘉禾】が発行(配給)して73年に香港でも公開されています。製作したのは鴻達公司という柯俊雄の会社のようです。

苗可秀が出演したのは「ドラゴンへの道」が終わった頃だと思いますが、この映画で功夫片では見られない演技をこなしていたと思います。例えば歌手として歌うシーン。子を持つ母親役などは女優としての力量を試された演技でしょう。
また文芸なので武術指導はないと思っていましたら周新貴という人が当たっていました。(アクション場面は冒頭のからみや、ボクシングの試合など。)
いえいえ、この周新貴という人、どうも龍飛の別名のようですが・・・。

タイトルにある心蘭はナイトクラブの人気歌手を演じる苗可秀の役名・呉心蘭のことで彼女のお話です。柯俊雄は学生でボクサーのチー(役名・羅起鵬)を演じています。

そのチーは毎日ケンカばかり。裕福な家庭の息子(つまりボンボン)でバイクを乗り回している。心蘭はケンカで道に倒れていたチーを偶然見つけ、家に運んで看病する。それがきっかけとなり二人は付き合い始める。

チーの父親(常楓)は厳しい人で、母も元歌手だったからと心蘭との結婚に反対する。チーが卒業すると父親の反対を押し切って結婚するが、喧嘩っ早いチーは仕事がうまくいかない。チーは叔父の漁船に乗ってやっと定職に就いた。やがて女児が生まれ、赤ん坊を抱えてチーの帰りを迎える心蘭であった。(やはりチーは白のTシャツ姿です。)幸福な暮らし送っていたが、2人目の男児が生まれた日、チーは海へ出たまま行方不明になってしまう。

そして…それから6年が経過した。医者のホー(武家麒)は、豆乳を売っている子供の屋台に車をぶつけてしまう。なぜ子供が商売をと思い子供に訊くと母親が病気であることを知った。その後、学校を休み、ホーからお金をもらったことで子を叱る心蘭だったが、チーがいなくなり貧しい生活で自分の為に働いたと知ると2人の子を抱き寄せた。(健気な子供たちの姿は涙を誘う場面です。)

心蘭は心労で病気になってしまっていた。その心蘭を医者として放っておけず助けたホーはお金は要らないと言う。親切な医者であった。頼りがないところでの親切心から少しずつホーに惹かれていく心蘭。チーが帰らないままだが叔母(王莱)の勧めもあり心蘭はホーと結婚してしまう。

1年後、足が不自由になったチーが港の家に戻ってきた。心蘭は子供を連れて出て行ったと叔母は告げるが心蘭を探し求めて街を歩き回るチー。新聞に捜索の広告を載せても心蘭は気がつかない。チーは酒に溺れる毎日を送るが金もなくなり、バーの店員に殴られ追い出されてしまう。

怪我を負った彼は病院へ運ばれる。そこはホーの病院だった。夫を手伝おうと治療しているところへ心蘭は近づいた。チーの目には心蘭の顔が確かに映っていた。心蘭を遂に見つけたのだ。奇跡的な再会に抱き合うふたり。しかし、心蘭には医者の夫がいる。激しく動揺し、その場に倒れる心蘭を2人の男が心蘭の腕を支えている。すると、チーが口を開いた。「君は残るんだ。俺が出て行こう…。」寝ている子供を一目見たチーは外へ出て行くのだった。

この映画は自らが背負った運命に苦悩する男女を描いた悲劇のドラマでした。
結婚し歌手をやめてからの苗可秀が、ごく普通の平凡な女性を演じていたせいかそれが新鮮に感じました。そういった面では彼女の違った一面が見れました。



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黒夜怪客

2007-10-15 22:10:48 | 嘉禾電影
柯俊雄主演で苗可秀が共演したハードボイルドタッチのアクション映画です。

「スカイホーク鷹拳」や「破戒」の鄭昌和が監督した作品(韓国ロケ)で【嘉禾】では「黒夜怪客」(73)が初となります。(宇進電影公司の製作)

物語は、1人の男がある組織の殺し屋に射殺された。男が持っていたアタッシュケースに入っていたのは財宝のありかを示す地図だった。
主人公のワン(柯俊雄)は海の男で腕っ節が強く、港にいるチンピラどもの相手ではなかった。そんなワンであったが組織からの依頼を受け、父親の借金返済の為、とある仕事を引き受けた。それは海に沈んでいる財宝(金の延べ棒)を探すというものだった。前金をもらって借金を返済し晴れて彼女(苗可秀)と結婚するワンであったが…。
お宝探索の当日、ワンと組織の人間たち(南宮勳、洪性中)はクルーザーに乗りこみ沖へ出た。現場に到着しワンが海底に潜ると、そこには確かに沈没船があった。そしてお宝を発見、ワンの仕事はここまで。組織の連中が財宝を引き揚げて歓喜していると、元日本兵の荒木(易原)、カオシャン(洪金寶)、ポンウェイ(楊威)、ツイチェンティエン(黄仁植)の4人組がボートに乗って襲撃してきた。ワンたちが出航する前から狙っていた彼らは財宝を横取りするつもりだったのだ。財宝は戦時中ビルマから日本へ運ぶ途中に沈没したものだった。咄嗟にワンが船に火をつけ、海に飛び込んだ隙にワンはひとり脱出に成功する。
数年後、牧場で妻と5歳になる娘の3人で平和に暮らすワン。彼はお気に入りの劇団に寄付するまでの実業家になっていた。しかし、ある雷雨の夜、ワンの家を黒いサングラスの暴漢が襲ってきた。それは6年前の事件でワンがまんまと撒いた4人組の1人だった。

・・・と韓国を舞台にアクション映画の巨匠・鄭昌和が金の延べ棒を巡って拳銃アクションあり、カーチェイスあり、トロッコありの争奪戦を展開する無駄のないアクション映画です。ラストに残ったのはサモハンと黄仁植の2人。このラストの大物2人と柯俊雄の対決は息を飲んでしまいます。

冒頭、ノンクレジットですが劉永が港でのファーストバトルに出てきます。(バンコク?ここでは何と劉家榮の顔も見える。)
白いTシャツが似合う主役の柯俊雄は台湾生まれ。台湾で多数映画出演し亞州影帝とも呼ばれていましたが、この時期に【嘉禾】と契約し「心蘭的故事」(72)に続いて苗可秀と共演。この映画での貫禄も十分でした。易原(荒木一夫役)はこの数年間に黄楓監督の「山東響馬」や「黒路」などに出演、そして鄭昌和作品に出演という貴重な時期を過ごしました。前半に登場する南宮勳は鄭昌和監督の関係から出演し、チェンゴン役の洪性中も「破戒」や黄楓監督作品に出演しています。(武術指導の陳全もチラっと出演)

また、興味深いのはこの作品の製作時期が73年3月である事で、これは何を示すのでしょうか?
それは、サモハンがブルース・リーと共演した「燃えよドラゴン」も撮影終盤で丁度この時期に当たると思いますが、リーは相手役を計画しており、私はサモハンが「黒夜怪客」撮影中に韓国から呼ばれ、記念すべき「燃えよドラゴン」のファーストシーンに出演したということになるのでは?と考えています。
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壊小子

2007-09-08 17:24:10 | 嘉禾電影

【嘉禾】製作の「壊小子」(邦題:「復讐の彼方」)は韋白の主演映画です。
いわゆる民初功夫片ですが主役の韋白以外は人気のある有名俳優が出演していないという地味な作品です。殆どが【邵氏】のスターで固められ、私が以前CS局で観たときには(字幕は中文英文和文の3段!)かなりマイナー作品のイメージがありました。また、日本での知名度の面では著しく低い存在である李榮章が監督をしています。彼は【邵氏】で助監督として「洪拳與詠春」などに参加していましたのでその頃から韋白を知っていたかも知れません。この映画の武術指導にはこちらも【邵氏】で活躍した黄志強(カーク・ウォンではない方の人)が当たっています。

韋白は【邵氏】から【嘉禾】へ移籍して「豪侠」や「林世榮」に出演するなど【嘉禾】でも活躍することになります。当時【嘉禾】で売り出し中だった彼は「豪侠」「壊小子」を経て「師弟出馬」に出演、一気に名を広めたと思います。洪拳や空手もお得意の彼。”韋拳”なる独自の拳法も編み出す程の武術家、功夫使いでした。

風来坊の馬山雁(韋白)は佛山の壊小子と呼ばれていた。持ち前の腕と度胸で歐行武(韋弘)と老人・高岳帥(楊澤霖)とのいざこざもあっという間に解決。しかし、他人の婚礼の縁起物の焼き豚をつまみ食いするなど騒動を起こす。放浪生活から1年ぶりに実家に戻ったが騒動の被害者に怒鳴り込まれ母親(文秀)に勘当される。(家の息子が追い出される光景はよく目にします。)ある日、泥棒2人組(廖偉雄、朱剛)が男から財布を盗んだ。ところが馬はその金を奪ってしまう。再び歐が登場し弟子にしてくれと頼むが馬は一蹴する。馬が川で魚を獲っていると、大金の入った財布は2人組に持っていかれた。
翌朝、金鳳(文雪兒)の家の外で寝ていた馬。金鳳が気付くと父親(鮑洛夫)を呼び出した。父親は財布を取られた男だったのだ。家から追い出される馬。そこに借金取りの沙福(馬宗)が現われた。馬が助けに入ると沙福たちは退散した。しかし父親は病気にかかってしまう。ここで馬は金鳳に結婚を強要した。すぐに追っ手が来ると強引に家に火をつけた。金鳳は馬に従うしかなかった。父親を宿に運び、馬が医者の包史仁(葉夏利)を連れてくる前に父親は息を引き取っていた。悲しむ金鳳と平然とする壊小子。そこに中ボスの沙金陀(王青)が登場する・・・。

と、終始強引な壊小子と金鳳とのやり取りや各登場人物の絡みには趣向を凝らしてありますので展開が読めず引き込まれてしまいます。(この後、大ボスの沙千甲(陳耀林)も控えていますが・・。)ラストにはちょっぴり感動しました。また”壊小子”は滅法強く、アクロバティックなカンフーアクションもストレス無く安心して見ていられましたので疲れないと思います。尚、韋白が演じた”馬山雁”は英語名が"Wild Goose"といいましたが、イギリス映画「ワイルド・ギース」(78)のBGMが劇中に流れるのも一興でした。



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綽頭状元(最終回)

2007-09-01 22:15:59 | 嘉禾電影
辛極貴(李昆)は寶玲を追って劉の家まで来た。訪ねてみると劉は既に居なかった。大家に聞くと引っ越したと言う。寶玲と2人で出て行ったらしい。やはりそうだったかと辛は失望する。死んだことになっているから家には戻れない。まずは住処を探しに行くことにした。友達だから何でも力になるよと伍は言った。仲良し詐欺師コンビの結成である。

賃貸でいい部屋があるということで早速下見をすることに。そこの管理人(王莱)と使用人(石天)がコンビ2人と話している。伍は辛を社長だと紹介するがどうみても社長とは呼べない身なりで管理人は納得のいかない表情。「ご商売は?」と質問してきた。伍は工場がつぶれたと困っている事を言ってその場を切り抜けた。奥の部屋へ入ってみると此処で医者をしている男は患者が来たのかと勘違いした。隅にある2階の上の部屋が空いていた。家賃は月100ドルだったが住むことに決めた。

翌朝、寶玲は高級なホテルの一室で目覚めた。しかし隣に劉の姿はない。部屋を探してみるが劉はどこにもいなかった。これはおかしい。逃げられたのだろうか?。すると机に置き手紙があった。「お金をありがとう。」彼女も騙されたのだ。手紙を破り捨て泣き崩れる寶玲だった。

辛のアパートでは麻雀が始まった。メンツは管理人、医者と中年男(田豊)に頼りない辛だ。辛はクセで額に麻雀牌を擦りつけている。あと一ピンでアガリだ。しかし誰も一ピンをツモっても振り込まない。おでこにハッキリと一ピンの跡がついていたのだ。辛は皆に大笑いされる。今度は管理人が北を切った。それを辛がすかさずポン。既に3枚場に見せてあったので中年男に睨まれた。またまた笑い者にされる辛。こんなのやってられるかと卓をひっくり返した。

場面は骨董品店に変わる。外国から来た一行が店内を見回している。伍はウィリアムズいう夫婦を“特別”に古い家まで車で案内した。辛が老人、章老千に変装して絵を書いている。骨董品を見る夫婦。夫人が小さな美女像をみつけ、値段はいくらかと聞くと4000ドルと言われた。それは高かった。伍は内緒で2500ドルにするからと言いうまく買わせることに成功した。元手の20ドルが2500になったと大喜びする辛。伍はマカオの2万を返さないといけないと例の一件を気にしているようだった。

コンビ2人は帰りにクラブの前を通る。辛は高い店だと心配になるが伍は引っ張り込んだ。中は沢山の客で賑わっている。席につくと伍が気づいた。そこにはホステスとして働く寶玲の姿があった。気まずくなった寶玲はその場を去った。その後、南施(丁珮)が伍についた。伍は銀行員だと名乗る。ダンスを踊るふたり。するとノってきた伍は歌も歌えると言い出した。いい男だと伍を眺める南施。テレサ・テンの“一水隔天涯”やトム・ジョーンズの“よくあることさ”を熱唱する。場は盛り上がる。さらにヒートアップした伍は上着を脱いでノリノリでバンドのギターを奪い、狂ったように歌い出した。伍は周りの女性達を虜にしてしまった。歌い終わると当然の如く囲まれる伍だった。

南施が部屋に伍を連れてきた。「暑くない?」とそれとなく誘惑して服を脱がせる。しかし南施の客が次々とやってくる。まずは騎手の王大泡(午馬)が現れた。トイレに隠れる伍。南施は王から競馬の予想を聞いていた。そこにパトロンの“パパ”(羅維)も現れた。嘘をついて来たからと慌てている。王もトイレへ。今月の小遣いをもらう南施。トイレの中で伍たち2人は事情を納得している様子。静かだなと王はドア越しに耳を立てていた。しかしあっという間にパパは帰って行った。トイレで意気投合するふたりを見た南施は気絶してその場に倒れた。

伍が家に戻ると仲間がにぎやかに飲んでいた。儲け話があると伍が切り出す。が、辛の姿がない。なぜかスネている辛。伍がいなくなったあとクラブで散々な目に遭ったのだ。でもいいニュースがあると辛を呼んだ。伍が有名なジョッキーの王と知り合いになったと言うと予想を聞いて大儲け出来ると皆、大騒ぎに。しかし辛は金を払わされたおかげでスッカラカンと不機嫌のまま。何とかするからと伍は宥めた。

とある屋台の果物屋。いつもの調子で隣の工場の事務長だから工場長に会いに来たと言ってフルーツを騙し取る伍。偶然にもこの工場には彼女の燕(苗可秀)が働いていた。数ヶ月ぶりに再会するふたり。お互いに近況を話し合う。どこに住んでいるのかも聞いた。するとさっきの果物屋が来た。嘘がバレて騒いでいる。いつものように金を払う彼女だった。

伍は南施宅を訪ねた。見つめ合う二人。南施はベッドに誘う。今日は競馬で勝てる、右手に鞭を持ったら勝つサインだと言う。文無しの伍は銀行で会議があると言って拒んだ。どうしてこんないい話なのにと不思議がる南施。伍はここに来る前にスリに遭ったが1万もすられて手持ちがないから行けないなんて言えないと話す。金は南施が出すことになりいざ競馬場へ。馬券はすべて大当り。2人は大金を手にして喜ぶ。しかし馬券屋が目を付けていた。その後、騎手の王と高級レストランへ。さっきの馬券屋が何か企んでいる。すると店の奥にいた伍が呼ばれた。社長の馮(馮毅)が取引しようと言ってきた。チャンス到来とOKを出した。席に戻った伍は大勝を祝って3人で乾杯した。

仲良しコンビはプレゼントを沢山持って燕の家に訪問する。その家の女性たちが集まってきた。伍は父親代わりが銀行家でアメリカにいると話す。家にいる女性は皆、失業中で託児所を開きたいそうだ。しかし設立に少なくとも10万が要る。5万はなんとかなりそう。伍は10日以内に5万を用意すると豪語する。アメリカに電報を打つと言うが…。燕は心配そうな顔をした。

伍が馬券屋の馮を訪ねると、早速レースの説明をする。7レース出て勝てるのは4レースで1レース5万。2レースなら7万。高くないかと言われても他人なら10万だからと馮に金を払わせた。本当に怖い物知らずである。大金を用意した伍は燕のもとへ。しかしアメリカにいる親代わりから貰ったと言って彼女にも本当のことを言わない伍だった。もし嘘なら見捨ててくれと燕と約束する。

帰りに馬券屋を騙したからと逃亡計画を辛に話す伍。一方、ラジオで競馬の結果を聴く社長と部下たち。結果は惨敗。見事やられた社長。伍はマカオの人にも金も返したし、託児所も開けたから新天地で頑張ると言った。辛は誰も知らない場所で心配になるがついて来いと自信たっぷりの伍。すると託児所を見に来てと燕から電話がかかってきた。

道を歩いていると馬券屋に見つかってしまった。走って逃げるがに追いつかれてしまう。五人の男に囲まれボコボコにされる伍。それを見ていた一人の女性がバッタバッタと男達(楊威、徐忠信、黄家達、元奎、田俊)を倒していった。伍がよくみると茅瑛(本人)だった。映画では代役かと思ったという伍。「本物の私よ。」本当に強いカンフースターだった。お礼を言って別かれた。

託児所は無事開設されていた。子供もいっぱいで盛況である。燕は名誉の負傷を負った伍を見てどうしたのかと心配する。つい口をすべらせて本当のことを言ってしまう辛。やっぱりと怒ってその場を去る燕。約束を破ったのだ。しかし仕事をしてまともになると反省する。チャンスをくれとだけ言ってどこかへ行ってしまった。

工場では大勢の人々が働いている。今日も一日仕事が終わった。そこにマカオの商売人・鄭が再登場。香港に短期で出張に来たらしい。伍に会いに工場まで来たのだった。伍に会うと金を出すから商売をしないかと持ちかける。香港に1週間いるから考えてくれと連絡先を教えた。工場の外で待っていた燕と女友達。ふたりはずっとその様子を見ていたのだ。彼女は「映画を観ない?」と伍を誘った。道端にピーナッツ売りがいた。伍はデートだからついてくるなと買ったピーナッツを辛に渡し手なづけた。これも計算のうち。残された辛たちも満更でもない感じ。

伍徳全の恋はこれからである…。

ーENDー



長々とストーリーを書きましたがテンポがとても良く洗練されておりコメディ映画としてかなり面白い作品だったと思います。この後、「鬼馬雙星」(Mr.BOO!ギャンブル大将)が大当りするのは御存知の通りですが「綽頭状元」は許冠傑がMr.BOO!シリーズで見せたキャラクターの原点の一つと言えると思います。そういえば西本正氏のインタビュー本「香港への道」の中でなぜか映画の題名が書いてなかったのですが競馬場で撮影したと言っていたのはこの映画の事ではないでしょうか?
そして、羅維監督は続編「綽頭皇上皇」の製作に入ります。前作のようなコメディだったらもちろん誰もが大喜びです。しかし残念ながら公開されなかったのです。なぜ公開されなかったのか?
「綽頭状元」は【嘉禾】と【羅維】の共同製作でしたがこの両会社の関係は悪化、苗可秀も多忙になってしまいます。つまり未完成だったのでは?と思うのです。総ては600万ドルの興収を出した「鬼馬雙星」超ヒットがもたらした思いもよらない結果だったと思うのですが如何なものでしょうか。


※Joysalesから「綽頭状元」VCDが発売中
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綽頭状元(5)

2007-08-27 23:58:22 | 嘉禾電影
結局、社長の王は5万ドルの小切手を寶玲に渡した。寶玲は今夜会いに行くからと王を帰らせた。小切手を手に入れて喜ぶ寶玲と伍。怪しまれず何とか成功したのだ。カモを見つけた者の勝利である。面白くない顔の辛(李昆)がボーっとしている。
「何してるのよ」と妻の寶玲が言うと急に辛は泣き出してしまった。
「私達成功したのよ。なぜ泣く必要があるの?」
「女房を失って金が何だっていうんだ」
「ここにいるじゃない、バカね。社長に多く出させるための芝居に決まってるでしょ。私はあなたにゾッコンよ!」
寶玲は頬にキスしてあげた。辛は大喜びして外に走り出そうとした。今日の祝いの酒と料理の調達をするつもりだが伍に死人だからと制止される。金をもらった伍は代わりに出て行った。

すると部屋の奥でどこかへ電話する寶玲。「チャンスよ。今から言う通りにして」どうやら男に電話していたようだ。辛が部屋に入ってきた。顔が緩んでしまう。
「うれしそうな顔してどうしたの?小切手を渡しましょうか?」
「俺はいいダンナだ。女房に任せるよ」
小切手をタンスの宝石箱に仕舞った。そこで不敵な笑みを浮かべる辛。
「今日はうれしいな」「だから何よ」「つまり…、その…、いいでしょ」「昼間から?」いやがる寶玲をベッドに押し倒す辛。そこへ劉(劉永)が訪ねてきた。
どうしてここへ来たんだと辛が聞くと、「兄貴、俺は死にたいよ」いきなり話を切り出した劉。「死ぬ?なぜだ?」と聞き返す辛。さっきまで自分が同じ事を言っていたのにである。劉の父がアメリカからやって来るが結婚すると言ったから金を持ってくるらしい。来たら嘘がバレてしまうというのだ。嘘と分かれば金はもらえない。商売の夢も終わりだと絶望的になる劉。何かいい手はないものかと辛に持ちかける。せっかちだが頼まれると弱い辛は小さな商売なら元手は貸すと言ってしまう。しかしこれには横から寶玲が怒りだした。今の生活はその日の食事も困っているからだ。仕方なく諦めてくれと頼み込む辛。劉も今日を乗り切れば父は帰ると言った。

「それは本当か?」その一言が辛に響いて何かを思わせ心を動かした。「女房を貸そう!」とキッパリ。「バカ。どこに女房を貸すダンナがいるのよ」そうは言っても頼むからお願いと黙って見過ごせない辛。断固お断りと寶玲も引かない。「父と食事だけしてくれればすぐお送りしますので」劉が念を押した。じゃあ食事だけと寶玲はついに承諾する(これも芝居)。支度を済ませて嘘の食事に行く2人を見た辛は、お互いどう呼び合うか気になり、夫婦らしい会話をするようにと指南した。そして部屋に戻る辛。

やっと辛を振り切って2人っきりになれた寶玲と劉は道でイチャつく。そこに酒を買ってきた伍が帰って来た。「お出かけですか?」と寶玲に声を掛けると軽く会釈だけしてすれ違った後、すぐ走り出した。

伍が戻ってみると家には辛が居るだけである。
「奥さんは?」
「貸し出した。。」
「借りられるの?!」と漫才のような会話をする2人。
兄弟分だからいいんだと辛は説明する。「今日は嬉しい日だ。2人で飲もう!」「よし!」と飲み始めた。じきに酔ってきて歌を歌い出す伍。またまた面白くない様子の辛。時計を気にして帰りが遅い寶玲を待っているようだ。これはおかしいと思う伍。
「ところで誰が貸すと決めたんだ?」
「俺が無理に行かせたんだよ」
それを聞いた伍はまずい話だと確信する。頭の回転が早い伍は全てお見通しである。
「あの2人アツアツだったぞ」
「そんなことないさ」
「小切手はどこだ?もう無いかもね」
「まさか…。」
慌てて宝石箱を見に行く辛。やっぱりカラッポだ。おまけに宝石までなくなっている。
伍の言った通りである。全部嘘だったと分かってガッカリ。
そして居場所はわかってるからと寶玲達のあとを追う辛だった。

ーつづくー

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綽頭状元(4)

2007-08-25 16:18:22 | 嘉禾電影
場面は変わって香港。街で手相を見てもらう辛極貴(李昆)。占い師から眼鏡をはずすように言われる。しかし辛の顔を見てもなかなか言おうとしない。よっぽど酷いのだろうか。正直に言いますとやはりこれから悪い事を言おうとしている占い師。そして額に危険の相が出ていると占った。せっかちな人ですねと性格まで当てられる辛。更にもっとせっかちな人に会ったら命が危険になると辛を驚かせた。占い師はこの道30年なのだから信じなさい、性格を変えれば災いは去ると助言するのだった。

浮かない表情の辛は気分を変えようとレストランへ入ってみた。早速、排骨麺を注文すると、待ちきれずに早く早くと店員を急かしまくった。まったく落ち着かない辛。やっと店員が運んで来るとブツブツ文句を言う店員。早く食べろとこちらもせっかち。しかし熱くて食べられない。店員はブチ切れて器をひっくり返し、さっさと器を洗うからと持っていってしまった。自分よりせっかちな店員である。辛は気付いた。これで死んでしまうのかと怖くなった辛は店を飛び出した。

急いで家に帰ると妻の寶玲(恬女尼)を怒鳴って呼んでいる。
「どうしたの?」
「俺は死ぬ。自分よりせっかちな人に会ったからもうおしまいだ」と泣き出してしまう。もうこの先絶望的で困りはてる辛。するといきなり寶玲が鞄に荷物を詰め出した。「あなた死ぬんでしょ?私再婚するから」と言って辛にすっかり嫌気がさしている。
「まだ死んでないよ」
「それはないでしょ」
「どういうこと?」
「いいわ、聞かせてあげる。若くてきれいなのに貧乏な暮らし。やっと死ぬまで待ってたのになにがいけないの!」と逆ギレされる。慌てるなと言っても、もう待てないと呆れた表情。今すぐ死んでも遅いぐらいと相当な剣幕である。「何かしたか?」「女房も養えないで私ならとっくに死んでる」と言う妻。そこまで言うなら死んでやると辛は家を飛び出した。

辛は死んでやると港で大きな石を縄で縛りそれを体に括り付けてそのまま海へ飛び込もうとしていた。しかしドジな辛はなかなか死ぬことができない。近くのベンチにいた伍は止めに入る。
「自殺は犯罪だぜ」
「ほっといてくれ。俺は泳げるんだ。石がないと死ねないじやないか」
「何が悩みなんだ?」
「手相で死ぬと言われ、女房からも言われるし生きていられるか」
「占いを信じるな。奥さん美人かい?」
「美人だ」
「なら死んじゃいけないよ」
辛を助けた伍。家まで送ってあげようと辛と友人になった伍は港から連れて帰った。

家に帰って辛は、早速妻の寶玲に伍を紹介した。部屋にかざってある絵の話をする伍。辛は売れない絵書きだったのだ。いい絵じゃないかとほめる伍。いや一銭にもならない、売りにいっても売れなかったと妻。本人が死んで初めて価値が出て売れると言うと「誰が言ったんだい?」と伍が聞いた。どうもどこかの社長が辛が死んだら全部買い取ってくれるらしい。鼻をこすり少し考える伍。すると簡単なことだ、死ねばいいと話す。妻は「ほらね、みんな死んで欲しいのよ」言った。しかし、それは誤解だった。死んだふりをするだけと言ったら辛と妻は驚いて絶叫した。

そして、王社長(梁醒波)が訪ねてきた。泣いて芝居をする妻と死んだフリをする辛。しかし役立たずと言われ辛が怒って起きあがろうとする。動いてはいけないところだが性格上それは無理というもの。伍がうまく誤魔化している。王は辛の妻にまだ若いから心配ない、誰かが面倒みてくれるよと言った。すると絵を買う約束だからと妻が言うと「もちろんだよキミィ。」と王社長。「全部で何枚だねぇチミ?」7、80枚ある絵は全部買ってもらう約束だ。「兄はいい画家でした…。」ってまた誰かの弟になる伍。「分かっとるよ。そうでなきゃ買わん」あとは値段の交渉である。1万、2万とつり上げる妻。もう少しとウインクする。じぁあ3万だ。小切手をきろう。「でも3万って安すすぎないかしら…。」更にふんだくる。「絵だけじゃないわ。ほかにも…。」とはっきり言わない。

「何かね?」
「私には価値がないかしら?」
「じゃあいくらかね?」
「5万でどう?」
「2万は手付けだね」
「わかってるわ。言わないで」
葬式が終わったら自分の家に来させるつもりの王社長。
「あなたのものよ。」
「君は利口だよ。あの男よりわしの方がいいにきまっとる。」
それを聞いて黙っていられない辛は、後ろを向いているすきに起きあがって王の頭をポカンと叩く。またすぐ死んだふり。
「なぜ頭をぶつの?」と聞く王。
「愛情表現よ。好きなの。早く書いてよ」と何とかして小切手を書かせようとする寶玲だったのだが…。

ーつづくー

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綽頭状元(3)

2007-08-21 23:58:08 | 嘉禾電影
マカオで一番大きなカジノ。しかし伍はあっという間に大金を使い果たしてしまった。ついてない。また一文無しに逆戻りである。

一方、すっかりホテルのオーナー気分になっている鄭は業者に改装の指示を出していた。
企画書まで用意して、ホテル業というものは時代の流れに追いつかなければいけないと熱心なご様子。入り口は豪華にして、むき出しのパイプを隠したり見栄えを良くするためにここの壁はイタリアの大理石にしようとか窓も安っぽいから交換するようにといった具合だ。何も知らない魏は不思議そうな顔をしていたが黙って様子を見ている。鄭はさらに客室は全室冷房完備にして絨毯も高級なものに交換しよう、金はいくらでも出すからと言い出した。

「何の話かね?」魏がついに口を開いた。「改装するんですよ。じゃないと客が来ないですよ。」「あなたには無関係でしょう。」と返す魏。「私のホテルだ。私の勝手じゃないか」まだ伍に騙された事に気付いていない。「このホテルを私に売ったね?」まさかの表情の魏。「先祖代々続いたホテルを手放すものか。頭がおかしいのか。」それなら証拠もあると言う鄭に「あぁ、出してもらおうか」と魏。「昨日2万渡して数えたじゃないか。」確かにそうだった。「ほら見なさい!」と鄭は勝ち誇った顔をした。しかし「あれは伍に返した金だろう?」と反論する魏だが、ホテルの印鑑を押した証書を突きつけられ唖然とする。鄭は紙に触らせないように見せると「これを誰にもらった?」
「伍だよ。あんたの弟だろ。」と鄭が言うと「やめてくれ!私の苗字は魏だ。そんな弟はいない。もう帰ってくれ!」
ホテルから鄭を無理矢理追い出そうとするが、ソファーの代金ももらっていないしそう簡単に引き下がらない。外で口喧嘩がはじまった。

そこに伍がちょうど戻ってきた。どうもホテルの様子がおかしい。この騒ぎに警官も駆けつけたのが見えた。見つからないようにさっと陰に隠れた。すると彼女の苗が伍は悪い人じゃないと鄭に謝っている。お金は返すから今度だけは許してと言ったところで許してもらえるはずがない。それより弁償しないと告訴すると魏に突っかかる鄭。「私を知らないのか。」「出るとこ出るぞ!」「こっちのセリフだ!」「おととい来やがれ。」と凄い押し問答だ。さらにエスカレートする2人は、つかみ合いの喧嘩に。暴力はダメと警官が制止してようやく治まった。

ここで伍はマカオを脱出するしかないと考えた。だが問題はその手段である。伍はすでに香港行きフェリー乗り場の入口に立っていた。何かいいアイデアはないかとひとり悩む伍。そこへ有名人の黄楓(本人)がタクシーから降りてきた。ちょっと頭をひねると何か閃いたようだ。「黄楓監督!」と声を掛けると慣れ慣れしく、お久し振りと言いながら握手する伍。「どちらへ?」「これからロケなんだよ」と黄楓。伍はまたいつもの手で自分が払うからと黄楓に切符を2枚買わせてしまう。どうしても払おうしている様子が滲み出てとてもいい演技だ。無事フェリーに乗った2人。「映画っていい商売ですよね」「いや大変ですよ」と黄楓。「遊ぶだけで金が転がり込むでしょ」「ご冗談を」とジョークで笑わす伍。
しかし、顔に見覚えがなく名前も思い出せない黄楓が「誰でしたか?」と尋ねると「忘れたの?伍徳全です。」と名乗った。「どこで会いました?」「ひどいなぁ。3、4年前に会いましたよ。」と言ったところで腹痛におそわれたフリをしてその場を退散する伍。変だな。向こうは知ってるのにとパイプを銜えながら不思議がっている黄楓は「あなたの顔は有名だから騙されたのさ!」と乗客に教えられるのだった。

ーつづくー
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綽頭状元(2)

2007-08-20 23:52:42 | 嘉禾電影
ホテルから何とか逃げ出して外へ出た伍は、今日も一日何とかして金を稼ごうと街を歩き始めた。近くの家具屋で何やら楽しそうな会話が聞こえてきた。「これだ!」パチンと指をならす伍。店主の弟、鄭(鄭君綿)が20年ぶりにマカオに戻ってきたところだった。東南アジアでかなり成功したらしく豪快に葉巻をスパスパと吸っている。伍は店主(房勉)に家具を買いたいと話す。何が買いたいのか店主が尋ねるとソファーが欲しいという。しかも100セット!。いきなり信じられない数量の注文で店主も驚きを隠せない。伍はホテルの内装を変えたいからと言って店主を納得させた。すっかりオーナー気取りである。
この話を聞いていた鄭は興味深々、透かさず割って入る。「ホテルをお持ちなんですって!」伍は名前を聞かれ「マカオじゃちょいと知られた伍だ。」と答える。これから何か商売をはじめるつもりの鄭は、この儲け話を逃す手はないとかなり乗り気だ。「是非話を聞かせてくれ」とせがむ鄭。伍は食事をおごるからと気軽に誘ってみた。

レストランで乾杯する2人。商売が成功したら御礼は必ずするからと鄭は約束するが「明日11時、ホテルの下見が先だ。」と伍は話を自分の方向へ引っ張る。作戦はこのまま伍のリードでテンポ良く進行していく。豪勢な食事に満足すると、伍は「お勘定!」と店員を呼んだ。金など払うつもりもないのにである。鄭は「ここは私が…。」と喜んで金を払うのだった。

伍がホテルに帰ってみると上機嫌の魏が待っていた。ロビーには新品のソファーのセットが早速届いていたのだ。大喜びの魏に「贈り物だよ。」と伍。このホテルには勿体ないくらいの何千ドルもするソファーである。「3000ドルだ。」「凄いな。どうしてこのソファーを?」と魏は聞き返した。伍は「人間、大切なのは友達さ。」と話し、部屋代溜めても良くしてくれた恩返しであることを魏にアピールした。ソファーに腰を下ろして話を続ける伍。「父が助けた男が成功して金を返してくれるんだ。」今時珍しい善人である。しかし伍は好意を無に出来ないと訴える。そこで頼みがあると伍は切り出す。「何でも言ってくれ。」魏はすっかり信用して気分を良くしたようだ。「金の勘定がヘタだから明日代わりに2万ドル受け取ってくれ。」さらにクリーニングの伝票をなくしたと魏を騙し、事務所のハンコを白紙に押した。あとで契約書を偽造するためである。

翌朝、約束通り鄭がホテルへやって来た。すぐさま魏に紹介し、彼女(苗可秀)も一緒に下見をさせる。伍は気に入ってもらえる様にと口八丁手八丁でホテル内を案内した。そして伍が自分で借りている部屋をあたかもショールームのように説明した。伍は彼女をいつものところで待つようにと言って退席させてから、一気に話し始めた。いつか一緒に香港へ進出しようと将来の夢を語り始めて鄭をその気にさせてしまう。契約も難なく承諾させると鄭に手付金として2万ドルを払わせた。ホテルの事務所で予定通り2万を伍の代わりに勘定する魏。全て上手くいった伍はまたまた食事をおごると言い出した。鄭は折角なので魏も誘ってみるが行きたくてもホテルを離れられない魏は渋々断った。

彼女は待ち合わせ場所の喫茶店へやってきた。すると大金を手にした伍も現れた。「人をカモに出来た奴が成功するんだ!」と誇らしげに話す伍。実はホテルを売ったと打ち明ける。彼女は捕まったら大変と目くじらを立てるがギャンブルが得意な友達に教えてもらえば必ず勝てるからそれで金を返せばいいと切り返す。彼女は「博打で儲ける人はいないわ。」と納得しない表情。「ツキが来た予感がする。」と言い切る伍。そして伍はカジノへ向かうのだが・・。

ーつづくー
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綽頭状元(1)

2007-08-19 23:06:05 | 嘉禾電影
74年の羅維監督、許冠傑主演映画の「綽頭状元」(Naughty! Naughty!)です。
コメディ作品ということでストーリーを詳しく追ってみたいと思います。
(ネタバレします。)


詐欺師の伍(許冠傑)はマカオのホテルに滞在している。今日も外出して朝になってしまった。
ホテルへ戻ってみるとオーナーの魏(魏平澳)が従業員に何か言っている。伍の部屋代が何ヶ月も未払いであることに文句をつけているようだ。魏は「金を払うまで部屋にいれるな!」とカンカンでその従業員を怒鳴りつけていた。

そんなところに伍は顔を出せるはずもなくさっと外へ出て裏へ回った。部屋へ忍び込むため、壁をよじ登りはじめる。ちょうど隣が改装中で足場が組んであったので登り易くなっていた。

女(苗可秀)のいる部屋にたどり着くと彼女は起きていて部屋の片付けをしていた。「おはよう」と挨拶してみたが、小言を言ってきた。「窓からご帰還!?」朝から一悶着である。

真面目に働くなんて無駄な事と不平を洩らす伍。でも真面目に生きなきゃダメと彼女。しかし、部屋代を払わないと追い出されてしまう。伍は「部屋代ぐらい軽いから」と言ってのけるが、眠いから今は寝させてくれと頼んだ。策は一眠りしてから考えるつもりだ。

彼女が外へ出ていこうとすると、部屋の外では魏がお待ちかね。手を出して部屋代を請求してきた。それを見た伍は「9時までに払うと言ったじゃないか。」と怒る。彼女に格好がつかない伍は知り合いに金をすぐに届けさせるからついて来いと魏を連れ出した。

滞っていた半年分の部屋代も、その倍額を払うと豪語する伍。金額を計算してみてくれと頼む。電話で知人を呼び出すフリをした伍は、魏が事務室で計算している隙に見えないように隠れてホテルを逃げ出した。

逃げた伍に感づいた魏は「バッカ野郎。文無しで戻ってくるなよ!」と言った。彼女は笑って伍を送り出したのだった。

-つづく-
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龍虎金剛

2007-07-28 14:49:09 | 嘉禾電影
73年の羅維監督作品です。
過去には、ジミー王羽版「唐山大兄」とか許冠傑、張艾嘉のふたりが出演ということで「悪漢探偵」のサムとホー刑事の若かりし頃の作品等々、いろいろな見方を言われていましたので確かにこの辺りも見所であると思います。
ここで特筆すべきなのは田俊がライトな悪役を務めている点ではないでしょうか。この頃から大きい悪役も少し演じるようになって幅が出始めてきた頃だと思います。
(この後、彼が主演した「福建少林拳」なんてのもありますが。)

この「龍虎金剛」は、羅維監督だったとは言え同時期にヒットした「冷面虎」や「馬路小英雄」に比べ、まして「唐山大兄」には到底及ばなかったのが残念なところだと思います。(徐二牛が武術指導でもあまり言及することもないですし・・。)
しかし「馬路小英雄」や「冷面虎」でさえ未公開だったものが、なぜかこの映画が日本に入って来たのです。

日本における過去の動向を少し整理してみますと、まず74年に「いれずみドラゴン・嵐の血斗」のタイトルで劇場公開されました(東映配給)。
但し、スプラッシュ公開だった為か日野康一氏の”ドラゴン大全集”にもこの作品の紹介記事が無かったのです。(その割にはしっかりチラシが残っていたりしますが。⇒画像参照)
その後、TV放映でお茶の間にも登場していました(79年末)。劇場では日本語版だったので、もしかしたらオンエア時は劇場版のものを使用していた可能性もあるでしょう。

ところで「龍虎金剛」の原名は「一條龍」であったのですが、この王羽の役名でもあった”一條龍”どうも行列とかっていう意味のようです。
例えば”行列のできる法律相談所”って”一條龍法律相談所”になるのでしょうか??
また、実はリー・ヴァン・クリーフの西片(=西部劇)「エル・コンドル」も香港では「龍虎金剛」という題名でした。これも面白いと思います。特に羅維作品との関連はないようですが70年に公開され総合27位でした。
(ストーリーはこちら
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