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電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

モンキーフィスト猿拳

2011-02-07 23:45:59 | 七十年代作品【1979】

     ザー ジア シャオ ズ
原題   雜家小子     Knockabout

公開日 1979/4/12(土)        嘉禾電影有限公司 作品
                  2,830,519HK$ 1979年度第11位
スタッフ&キャスト

監督  洪金寶(サモ・ハン)

出演  元彪(ユン・ピョウ)
    洪金寶(サモ・ハン)
    梁家仁(レオン・カーヤン)
    劉家榮(ラウ・カーウィン)

解説
兄弟分をなくした若者が、死に物狂いで修行して乞食の師匠に伝授された最高拳“猿拳"を使って仇討ちする姿を描くカンフー映画。ユン・ピョウの初主演作品で、香港映画界の重鎮サモ・ハン・キンポーが監督・共演した。1980年、日本においても劇場公開されている(東宝東和配給)。80年代後半には英語プリントのVHSが発売され収録時間は92分となっており、劇場の上映時間と同じ長さとなっている。2007年発売の国内盤DVDは104分のロングバージョン。

ストーリー
ペテン師稼業の小寶(元彪)と大寶(梁家仁)の2人は今日もカモを探す。そして換金屋の阿偉(陳龍)から銀貨を巻き上げる事に成功する。しかし、金を肥乞丐(洪金寶)に横取りされてしまった。カジノではニセ金を使い、カジノの用心棒たちに袋叩きに遭ってしまう。次のカモを見つけるが、そのよそ者の男は一枚上手であり警察隊長(麥嘉)も現れ失敗に終わる。小寶たちの手口が通じなかった男・賈武刀(劉家榮)はカンフーの達人でもあり彼に弟子入りすることに。実は賈は老狐狸と呼ばれた指名手配中の悪党だった。賈の弟子となった2人はカンフーが上達するとカジノに仕返しに行った。2人で茶を飲んでいると役人が悪人グループの聞き込みをしていた。ビラを見た小寶は師匠の居場所を教えてしまう。賈を捕まえに来た役人・老虎狗(火星)はついに老狐狸を見つけた。その後、小寶は師匠がその役人を殺すところを目撃してしまい口封じに殺されかかるが、戻ってきた大寶が賈を押さえ付け小寶の身代わりとなって殺されてしまう。逃げ出した小寶は、そばに肥乞丐がいる事に気付く。肥乞丐は猿拳の大家だった。大寶の仇討ちの為、最高拳である”猿拳”を必死の思いで身に付けた小寶は、乞食に扮した警察官・肥乞丐と協力して賈を倒すのだった。

 

サモ・ハンが「燃えよデブゴン」シリーズで人気絶頂だった80年代当時、ゴールデン洋画劇場で「燃えよデブゴン5」として放送された。初放送は85年2月16日(土)と若干出遅れ、香港電影百科にも放送の記録が載らなかった。この吹替版が秀逸で、当時、香港映画の日本語吹替で活躍されていた目黒裕一氏がユン・ピョウの声優を演じ、まだ21才と若かったユン・ピョウにピッタリで個人的にはとても気に入っている。(目黒氏は「ヤングマスター」に続きユンピョウ声優は2度目。)

乞食のサモ・ハンがユン・ピョウの師匠をつとめたのは「酔拳」の影響であったと思われるが、サモ・ハンのインタビューによれば当初乞食の役は無く、サモ・ハンが主役だったものをユン・ピョウ主役に変更したとの事。78年11月撮影開始し、サモ・ハンが武術指導を担当。ラム・チェンイン、ビリー・チャンも助手で参加することになり『醒目仔蠱惑招』で洪家班が誕生する直前の作品となる。
この映画の脚本はラウ・ティンチーが完成させた。(冒頭でチャン・ルンの父親としても登場している)ジョン・ウーも在籍する香港電影編劇家協会のメンバーでもあったティンチーはゴールデン・ハーベストで「Mr.BOO!ギャンブル大将」や「ヤングマスター」等多数の脚本を担当した。

国内でも数種類のDVDが発売されたが、英国盤DVD(HKL製)には唯一、赤バックフッテージ"Back-to-Red"が収録されている。
なお、香港公開前の79年4月3日(火)、『雑家小子』記者招待会に駆けつけたのがジャッキー・チェン。サモ・ハン、ユン・ピョウら出演者一同に混じって記念撮影している様子が記録されている。

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痳瘋怪拳

2010-12-31 00:00:01 | 七十年代作品【1979】

  マー フォン グアイ チェン
原題 痳瘋怪拳   The Tigress of Shaolin

公開日 1979/9/15(土)         邵氏兄弟有限公司 作品
                  650,318HK$ 1979年度第76位

スタッフ&キャスト

監督/脚本 羅棋 (ロー・ケイ)

出演  劉家勇(リュー・チャーユン)
    惠英紅(ベティ・ウェイ)
    陳狄克(チェン・ディーコー)
    黄哈(ウォン・ハー)

解説
「ドラゴンズ・クロウ 五爪十八翻」や功夫喜劇『無招勝有招』で知られるリュー・チャーユン主演のショウブラザース製作のカンフー映画。共演に「インファナル・アフェア無間序曲」「ベルベット・レイン」のベティ・ウェイ。監督のロー・ケイは近年ホラー作品やユン・ピョウ出演のドラマ『少年陳真』(2004)などのベテラン監督で「ジェット・リーの軌跡」では脚本をつとめた。本作品で”ハンセン病拳”という異色のカンフー映画を作った。ベティ・ウェイは70年代ショウブラザースに在籍し、以降現在まで活躍する息の長い女優である。

ストーリー
カンフーを愛する鉄橋三こと小三(劉家勇)は病気の父親(沈勞)から自分が死んだら誰も世話をしてもらえなくなると言われる。町で医院を開いている孟平(湯錦棠)を探すように言うと、父親は息を引き取ってしまった。ある日、小三は町で怪しげなを薬を売るインチキ気功師たちをみつけ懲らしめる。元締めの王吉(林輝煌)が現れると小三は気功師たちをうまく言い包めて逃げ出した。その後、酔っ払って絡んで来た采嬌(惠英紅)の祖父・酔鬼(黄哈)に強引に酒を飲まされた小三は酔猿拳で応戦する。しかし、采嬌が割って入って来たので退散した。孟平の医院を見つけた小三だが、王吉のいる医院と分かり顔を隠す。王吉は隠れる小三を叩きのめすが、孟平に乱暴に扱わないように忠告された。盲目を装う男・李舒(陳狄克)と王吉に無茶な修行をさせられる小三。一方、州の長官・林と共謀して麻薬密売を企てる孟平ら一味。こっそり様子を覗いて孟平たちの悪事に感づいた小三は外へ逃げるが海辺で王吉たちに捕まって殴られ瀕死の状態に。そこへ小船で通りかかった采嬌に運良く助けられる。彼を家に運ぶと酔鬼が来て横たわる小三に驚く。しかし二人は、”過ぎたことは水に流そう”と小三を助ける。元気になって広生隆雑貨店で働く小三。茶屋の店員・小老鼠(岑潛波)は小三と騒動でドタバタするが店を台無しにしてクビになったも同然。結局、逃げ出して一緒に雑貨店で働こうと仲間に入れる小三だった。小三が生きていることを知った孟平は小三を捕まえようとワナを仕組んだ。米を運搬中の小三は麻薬密売の罪で役人に取り押さえられるが代わりに店主が打ち首の刑となってしまう。店を失った二人は路上パフォーマンスで稼ぐがそこに李舒が邪魔に入った。が、海幢大師(江國強)が現れ、小三たちを救う。大師は五郎八卦棍を伝授するのだった。王吉が寺に押しかけ小三を探し出そうと懸命になるが、いつの間にかそこに住み着いていた痳瘋拳の達人・痳瘋婆(劉瑞意)が出てきて大暴れするのだが・・。


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引き続き羅棋監督の映画。
悪役に同じ湯錦棠を使っているのは偶然だろうか?



ベティ・ウェイの映画も最近はあまり見なくなってしまいましたが、
80年前後のベティ・ウェイがとても美しくこの時期が個人的には一番好き。
具体的には「少林皇帝拳」(『爛頭何』)から「レディークンフー 激闘拳」(『長輩』)あたりまで。彼女をはじめて見たハーベストの「レディ・スクワッド/淑女は拳銃がお好き」を劇場で見たときはこんなにも強い女優さんがいたんだねと衝撃的でしたが邵氏時代の方が断然いい。
彼女のファンがまだいるのか不明ながら、古い作品は主要なものが殆ど国内でリリースされてしまったので新作(まだまだ出る!)に期待するしかなくてちょっと残念な気もする。
旧作の方の『鬼叫春』や『風流断剣小小刀』『情侠追風剣』などまだきれいだった時期の邵氏作品も見てないのでそれをチェックしようとは思っています。

『少林搭棚大師』より
劉家勇の父・何寶星(右)

「少林寺拳道」で一瞬凄みを利かせていたこのオッサン(失礼!)が劉家勇のおとうさまだったんですね~。(この映画を見てはじめて知りました)
怪演する母親までいる劉家勇は両親が出演してやりずらくなかったのかなと思うのですが彼の洪拳アクションはいつみても素晴らしいの一言です。
劉家勇と寺の和尚の見せる棍術(五郎八卦棍)は見せ場ですね!
セレステDVDの解説を読むと面白い。劉家勇のプロフィールには陳狄克が紹介してこの世界に入ったようなことが書いてある。(武術指導はその陳狄克と黄哈だ。)
ブラックユーモア満載で国内ソフト化はちょっと無理かな??
コメント (2)
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截拳鷹爪功

2010-11-12 02:22:48 | 七十年代作品【1979】


      ジエ チュエン イン ジュア ゴン
原題    截拳鷹爪功  Jeet kune the claws and the supreme kung fu
                  香港欣欣電影公司作品
公開日 1979/5/4(金)    327,543HK$ 1979年度第95位

スタッフ&キャスト
監督 杜魯波 (ドゥ・ルーボー)

出演
      何宗道(ホー・チョンドー)
      唐炎燦(トン・インチャン)
      谷峰(グー・フェン)
      米雪(ミシェル・イム)

解説
ブルース・リーそっくりさんで有名な何宗道はブルース・ライ名義で数々の模倣作品に出演した。日本では劇場未公開が殆どだが、「新死亡遊戯」(75)「ブルース・リーを探せ!」(76)が劇場公開、ウー・スーユエン監督の「ブルース・リー物語」がテレビでオンエアされている(ビデオ、DVD化済み)。 その彼が本名の何宗道に再び戻った後、79年に出演した作品になる。ストーリーは「ドラゴン怒りの鉄拳」の後日談となっており何宗道はブルース・リーが演じた陳眞の弟役に扮した。 共演はショウブラザーズで活躍した俳優グー・フェン、同じく「ヤングマスター」では見せ場の獅子舞い合戦でジャッキー・チェンの相棒を演じ、その後も成家班の中心人物として活躍したトン・インチャンほか。

ストーリー
20世紀初頭の澳門。兄・陳眞の遺骨を携えて陳善(何宗道)は実家へ里帰りすると目の不自由な母親(王莱)と弟・小三(韓國材)が待っていた。小さな雑貨店を営んでいた一家は陳善が戻ってきたことで平穏な生活になったかに見えた。ところが組織を壊滅させた陳善を追って上海から来た日本人・佐々木(方野)が部下の山本(山怪)、藤田(米奇)らを引き連れこの地にやって来ていたのだ。日本人と手を組んで町を牛耳っている狡賢い中国人翻訳官・周通(魏平澳)は佐々木ら日本人の秘書となりカジノを経営しようと領事から開設の許可を得る。ある日、陳善は叔父のいる南精武門道場を訪ね萬坤(劉鶴年)が出迎えた。師範代の左宗棠(唐炎燦)が門下生に功夫を教えているところに師範の娘・茜如(蔡瓊輝)は訪ねてきた陳善を紹介するが彼を受け入れようとはしないのだった。道端で周通が横暴を振るっていると小三が食ってかかり町は物騒となる一方。周通と佐々木は何とかして陳家を破滅させようと考える。すると周通は、萬師範が娘を宗棠に嫁がるつもりが実のところ娘は陳善に気がある事を利用しようと計画を企てる。まずは片思いの宗棠にワナを仕掛けるべく行動を開始する。宗棠は茜如との口喧嘩でふられて酒に酔い町で大道芸人の親娘に絡むが陳善が割って入り退けた。娘の于小倩(米雪)と父親(周小來)は陳家を訪れ一家に歓迎される。日頃、陳善に思いを寄せていた茜如は新しい衣服をプレゼントするが宗棠に目撃されてしまう。自棄酒している宗棠のところに周通が現れて善からぬ事を吹き込む。深夜、茜如に襲いかかった宗棠は師範に見つかり破門されてしまった。その宗棠をうまく仲間に引き入れた周通と佐々木は領事の娘を宗棠に殺害させ、萬師範もその手に…。現場にいた茜如は顔こそ見えなかったが犯人が着ていた服を見て驚く。それはまさしく陳善に贈った服だった。茜如は警察に犯人が陳善であると証言し陳善は逮捕される。そんな頃、日本人道場主・如虎太郎(谷峰)が港に到着し佐々木、宗棠らが出迎えていた。その場にいた于親娘は萬殺害が宗棠の犯行だと知り茜如に真実を話すが宗棠も現れ困惑した茜如は自ら命を絶ってしまう。翌日。稲妻が鳴り響く晩、于親娘に助け出された陳善は母の姿を一目見ようと家に戻る…。しかし、家には周通に殺害され哀れな姿の母と小三が倒れていたのだった。怒りが最高潮に達した陳善は、すぐさまカジノへ向かい怒りの鉄拳を振るってその場にいた手下どもを次々となぎ倒してゆく。佐々木も陳善の拳にはかなわなかった。逃げ出した周通はボスのいる道場へ行き、助けを求めるがミスを冒した周通を殺してしまう。雷雨の中、周通を追って道場の外までやって来ていた陳善は中へ入ると見知らぬ男の前に横たわる周通の死体が目に入った。陳善は驚きもせずその場を去ろうとした。憎き周通が死んでしまったとあってはこれも仕方がない。だが男が陳善を呼び止めた。男はボスの虎太郎だった。陳善を侮辱し二人は対決することに。そこへ窓を突き破って入り込んできた宗棠は陳善の代わりとなってボスに挑む。しかし宗棠は日本刀を突き刺され無惨な姿に。何もかも無くした宗棠は「すまない。全てヤツの仕業だ…。」とだけ言い残してその場に倒れた。今までの悪事はすべて虎太郎が仕組んだ謀略だったのだ。陳善は復讐に燃え鉄拳を炸裂させる。虎太郎はついに観念しその場で腹を切って最期を遂げるのだった…。

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読書の秋だなんて言われたりもしますけど最近読んだ小説では「女剣三国志・貂蝉」。これは久々におもしろい小説だったなぁ。『三国志演義』をベースとして連環の計により猛将呂布が覇者董卓を倒していく過程をメインに細かい部分を脚色した小説ですが、読みやすいですし登場人物の内面的な描写もとっても分かり易くて(人物や情景が自然に脳裏に浮かんで来るような感じです)董卓打倒後の展開も秀逸な読み物で三国志ファンでなくともきっと引き込まれてしまう内容ではないかと思います。この小説は以前東スポに連載されていたものですが(爆、満州で生まれた著者が貂蝉という女性に焦点を当てて一冊の本に仕上げています。(昨年、徳間から文庫本が出ました)皆さんは何か面白い本などありましたか?

さて今回の『截拳鷹爪功』について。オリジナル『精武門』から7年後の79年。この映画の公開当時香港ではどのような評判だったのでしょうか。この手の映画なら人気も高かったはずなのですが詳細は不明です。ちなみに英語版では“Fist of FuryⅢ”のタイトルとなっていて続きものであることが強調されていました。(確かに内容的にはそうなりますね)オリジナル版ではFist of Furyの名前は使われず全く別のタイトルが付けられています。はじめに何宗道と”鷹爪功”唐炎燦によるカンフー演舞があって、この二人がどんな展開をみせてくれるのか期待させられます。
感想は「怒りの鉄拳」のような大立ち回りは残念ながら無くて小規模になってはいましたが、何宗道の顔の表情から仕草、セリフ、一つ一つの蹴りや突きなどの細かいアクションに至るまでブルースを丁寧に真似ているのでまるで魂が乗り移ったかのようでした。まぁこの映画の場合は銀幕でのブルース再来を望む制作者を含めた人たちの執念によるものだったりして。唐炎燦が鷹爪功を使ったのに対して何宗道の拳はまさにジークンドーでありました。
(随分と久々に見ました!)

今回は陳眞の弟になった設定ということでフィクションをさらに発展させた展開になっていますが、主人公が陳眞のように変装したりする少々奇抜な演出はありませんでしたけど、徹底的に陳眞=ブルース・リーという出来上がった当時の図式をまるまるコピーしたシリアス功夫劇はほぼ『精武門』と同じであると言えます。ストーリーはどうあれ観客はブルースのアクションが見たいだけと何宗道は最後の意地を見せたのだと思います。
私の好きなユアン・ウーピンの82年版『霍元甲』が数年後に製作されますが、同時期の“精武門モノ”であるのでシリアスではあるけれどやっぱりこうなるのかと妙に納得し、また雰囲気的には近いものがありましたね。(BGMも同じものが使われています。)しかし、香港での結果は惨敗。確かに終盤、暗い雨の夜の場面で物語が進行するという設定でした。これに関してはこれはこれで異論はないです。しかし、ちょっと全体が暗すぎたのではないでしょうか。ジメジメとしてしまい、スカっとする爽快感が無かったんですね。。。

あと、70年代当時のいわゆる精武門のストーリーは中国人の視点で描かれていますよね。日本での今後の動向に期待しても仕方がないけれどもメディアは問わないので日本人の視点で霍元甲をテーマにして映画or劇画化とかしてもらいたいものです。(ヒーロー不在の今の世の中、例えばあっちのヒーローを描いた漫画があってもいいと思うのですが。)
ところで何宗道って私の好きな俳優と言えるかも知れない。なぜかと言えばニセモノにはとても魅力を感じてしまうからなのですね。(但し、ブルース・レの方は大の苦手なんですけども。。。) 機会があれば彼の主演作品なども鑑賞していきたいと思います。

最後にこの映画で登場している武具に関してですが、日本刀vsサイを見ることが出来ます。ジャッキーの『新精武門』では日本人役の陳星がサイを使っていましたが、この作品では逆に中国人の唐炎燦が使っていましたね。サイという武器も日本人と中国人が対決するような映画には効果的なアイテムなのかも知れません。しかし、ヌンチャクも出てこなくて何かの小道具がストーリーに何ら絡んでこなかったのが大変残念でありました。ヌンチャクを登場させて何か意味を持たせていると案外良かったのかも知れません。(『新精武門』でもヌンチャクはちゃんと意味のあるものでしたね。)終 

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豪侠

2010-10-13 23:11:06 | 七十年代作品【1979】

    ハオ シャ
原題 豪侠 Last hurrah for chivalry
『勇者たる者/剣豪一代』(CS)
公開日 1979/11/22(木)
嘉禾電影公司作品
1,007,404HK$ 1979年度第51位

スタッフ&キャスト
監督 呉宇森 (ジョン・ウー)

出演
韋白(ウェイ・ペイ)
劉松仁(ダミアン・ラウ)
劉江(ラウ・コン)
李海生(リー・ホイサン)

解説
大ヒットした「レッドクリフ」のジョン・ウーが79年に監督・脚本した武侠映画。ゴールデンハーベスト製作(日本劇場未公開)。主演は「ヤングマスター」で一躍有名となったウェイ・ペイ。共演に「妖刀・斬首剣」のダミアン・ラウ。ジョン・ウー監督「カラテ愚連隊」から劉江、馮克安、鄭雷らが数年ぶりに再会、顔を揃えている。(劉江とダミアン・ラウの二人はジョニー・トーのデビュー作『碧水寒山奪命金』(80)で再び剣を交えることとなる。)
主演のウェイ・ペイは70年代ショウブラザースで活躍し、ゴールデンハーベストへ移籍したが、数本の映画に出演したのち80年代後半には映画界を去りアルゼンチンへ移住したとされる。

ストーリー
土地の領主・高朋(劉江)は婚礼パーティ会場に現れた宿敵・白忠堂(李海生)一味に襲撃されて重傷を負いその土地は奪われた。三年前、先代に土地を奪われたことで高朋に復讐したのだった。運良く部下(張鴻昌、王光裕)に助け出された高朋は師匠の陳冠武(鄭雷)の家で療養することに。何としても仇を討ちたい高朋だったが師匠に自分の腕では無理だと言われてしまう。仕方なく師匠に懇願すると、人々から”神刀”と呼ばれ倒せば隠居出来ると言われた刀の使い手・張三(韋白)の話を聞かされた。しかし張三はここ七年、刀を封じており今も封印したままだった。陳師匠は空中を舞う力を持つ”月影剣”を持つが高朋を信じられずその剣を授けようとはしなかった。高朋が幾日も張三を付いて回ると張三に挨拶をして酒杯を交わした。二人は友好関係を築いていく。仕事の為には酒を手放せない剣の達人・青衣(劉松仁)は金で動く殺しのプロ。酒を浴びる毎日だ。萬香楼の芸妓・秀秀(魏秋華)はそんな青衣にいつしか惚れ込んでしまう。張三と青衣は妓楼に出入りし彼女の琴音に酔いしれていた。白扇を持つ安天命(馮克安)は神刀を狙って名を高めようとする剣士。その剣に触れようとする者は容赦なく斬り捨てる。高朋はその安天命に何やら儲け話があると吹き込む。野心の強い高朋は悪業な計画を密かに進めていた。安天命は陳の屋敷を襲い高朋の手下を殺し、そして陳師匠を斬った。ついに刀を手にした張三は傷つきながらも安天命を倒す。一方、仇を討てず自害しようとする高朋の姿を見た張三は白忠堂打倒を決心する。しかし倒す自信を持てない張三は噂好きな青衣から様々な情報を聞く。そんな二人は酒を交わし友情を深めるのだった。陳師匠は高朋の悪巧みに感づくが傷を負い臥せていた。そこに現れた高朋は月影剣を奪い師匠の命も奪った。その晩、敵の根城へ攻め込んだ張三と青衣の二人はカンフー使い(徐忠信)、睡仏狂刀(錢月笙)を倒し白忠堂に迫る。二人は力を合わせ弱点の喉を切り込み、白忠堂を倒した。が、青衣の剣は張三に向い突き刺した。青衣が裏切ったのだ。青衣は報酬金500両を受け取りに高朋のもとへ向かう。しかし青衣はワナに掛って敵に囲まれ高朋の一撃を浴び、命を落とす寸前の所まで追いやられる。丁度その時、死んだはずの張三が草陰から飛び込んで来るのだった…。



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一昔前になりますが98年頃、この映画を最初に観た当時は日本の時代劇みたいなものかとさらっと流していました。その後、DVDの発売を待っていたりしましたが結局スパイクからはDVDが発売されていなかったように思います。
さて、キネ旬のジョン・ウーの特集などでも全く無視されていた「豪侠」。
今回はこの映画を振り返ってみたいと思います。この映画には間違いなく次のようなストーリーが根底に流れています。前半部分は司馬遷の『史記』の刺客列伝から引用していると思えます。つまり張徹の『大刺客』でも描かれたように、王羽演じる聶政が喧嘩で人を殺してしまい、母親と姉と共に身を隠していたが、聶政のような義士を探していた厳仲子が大金を贈ったり、その後母親が亡くなり姉も嫁いで一人身となった聶政が自分を見込んでくれた厳仲子の為に尽くすことを決め、厳仲子を失脚させた韓傀を討つ…という展開が非常によく似ているのです。
ここの聶政を張三、厳仲子を高朋に、そして韓傀を白忠堂に置き換えれば何となくそれらしく感じなくもありません。
また、そう考えればなぜ韋白がはじめに刀を使わなかったのかという事も見えてくると思うのです。(劇中、韋白が剣を封印した理由は説明されなかった)
本当にそんなストーリーがジョン・ウーの頭にあったのかどうか分かりませんが、この映画のシナリオを書き、構想18年なんて言われていた『レッドクリフ』の遥か以前にこんな映画を完成させていたんですね。簡単に言えばのちの英雄片「男たちの挽歌」や「狼」の武侠片版になるのでしょうが、スローモーションや蝋燭を使った演出など自らのテイストを映画に盛り込みつつ上手く作っちゃいましたね。(『摩登天師』のような印象もやや受けましたけどね・・(笑。
新作『剣雨江湖』も武侠片になりますが、またいつか「男たちの挽歌」のようにわくわくするような映画を低予算でもいいので製作して欲しいですね。

感想ですが、青衣を演じたダミアン・ラウも豪雨の中で名前を名乗り合う名シーンがあってとても良かったですが、たまたま着ていた服が青いからっておまえは椿三十郎かいな(笑。
あと『老鼠拉龜』でも活躍した徐忠信と錢月笙も出演し、武侠片に敢えて徐忠信らカンフー使いを登場させるといった離れワザもよく言えば香港ぽくてとても嬉しかったと思う。ちなみにこの映画のフォン・ハクオンのインタビューでは、錢月笙が武術指導の助手を務めていたと語っていて(黄哈と徐忠信はクレジットされていたが錢月笙はノンクレジットである)眠りながら相手を切りつける秘技・睡剣は酔拳の影響だったというから新しいものは取り入れようとする傾向が見られました。ジョンウーだって酔拳の影響を受けていたのです。

また、この映画には本編には使われていない白バックでウェイペイが演舞する映像もあるようですね。ここでウェイペイに目を向けてみると、彼は張家班六小将の一人とまでいわれた人物でしたが、邵氏で『五毒』『金臂童』などに出演。その後、ハーベストへ移籍。なぜ突然移籍したのでしょうか。
監督のジョン・ウーは当初主役にはTVで活躍していた劉松仁が最も相応しいと思っており、もう一人の主役を誰にするか悩んでいた。一説によると、そのもう一人をハーベストのプロデューサー蔡永昌が邵氏から連れて来たという。 それがウェイ・ペイだったのです。彼は移籍後すぐさま主役になる待遇やフォン・ハクオンにきっちり武術指導をしてもらえる条件に満足して78年秋、ハーベストと正式に契約した。この契約は彼にとって凶と出たか吉と出たのか、ハーベストとは3年契約をし、その間に『豪侠』『壞小子』『師弟出馬』『林世榮』『粉髑髏』『敗家仔』の6本に出演した。これが当時の経緯になると思います。
今回はジョン・ウー作品を取り上げてみました。そういえば予告編などではロマン・タム(羅文)が歌う主題歌「豪侠」が流れますが、本編でも随所に流れるインスト・バージョンもなかなか良かったのではと思います。(終)

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醒目仔蠱惑招

2010-09-14 00:31:25 | 七十年代作品【1979】


   シン ムー ズー グー フオ ジャオ
原題 醒目仔蠱惑招              The Kung Fu Master
                       『プロジェクトD(デブゴン)』(ビデオ)
公開日 1979/1/26(金)         2,072,922HK$ 1979年度第17位
                     第一影業機構/威權影業公司作品
スタッフ&キャスト

監督/脚本 張同祖 (ジョセフ・チェン)

出演   董瑋(トン・ワイ)
     洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
     黄杏秀(セシリア・ウォン)
     李海生(リー・ホイサン)

解説
日本で放送されたTVドラマ「香港カンフー・ドラゴン少林寺」で方世玉役をつとめたトン・ワイ主演のカンフー映画(共演はサモ・ハン・キンポーほか)。TVでは当時人気のあったサモ・ハン・キンポーのシリーズ映画として扱われ「燃えよデブゴン9」のタイトルで放送された。(ビデオのタイトルは「サモ・ハン・キンポーのプロジェクトD(デブゴン)」。)製作はファースト・フィルムズと威權影業の両プロダクション合同で行われた。サモ・ハン・キンポーがファースト・フィルムズ社に直接関わることは珍しく出演作は殆どない。この映画では詠春拳と五形拳という2つの流派をそれぞれ2つの道場で主人公に教える設定となっているが、その武術指導を洪家班が行った。洪家班という名前の武術指導グループはこの映画で初めて登場している(一員のラム・チェンインはカメオ出演)。

ストーリー
兄・李振飛(黄哈)と弟・李振鵬(陳龍)の兄弟の前に、村の暴れ者・通称”赤鬼”の楊威(李海生)が現れた。この村には大きな2つの流派があり、兄は詠春拳、弟は五形拳の流派だった。李兄弟は赤鬼を懲らしめ村長から礼を言われるが、2つの流派のどちらを支持するのかと回りの連中がケンカをし始め、ついには兄弟は縁を切ってしまった。兄の道場・振飛武館には娘の青青(黄杏秀)、弟の道場・振鵬武館には息子・小海(孟海)がおり、門下生を指導していた。ある日、大富豪の田峯(高飛)という人物からそれぞれの道場に手紙が届く。小狗(鍾發)と大狗(大細眼)の2人を道場に2年間入門させてほしいという。道場に送り込まれたこの2人。実は流派の秘術を盗むスパイだった。米屋で働く”功夫精”ことチェン(トン・ワイ)は、何よりもカンフーが大好きで能天気な青年。いつも米屋の店主に叱られていた。酒屋の肥仔(洪金寶)は叔父を探していたが、偶然知り合ったチェンと賭け事などして遊ぶようになった。米屋のチェンは道場にも顔を出す。しかし小狗たちとドタバタしているうちに大事な店の米を無くしてクビに。そこでカンフーを習うことにするが、どちらの流派に入門するか悩み肥仔に相談する。すると、肥仔は食べ物と一緒だという。「肉が好きなものもいるし、魚が好きな者もいる。食べられるものは何でも食べる。好き嫌いはしない。」と。酒屋で働きながらチェンは詠春拳と五形拳の両方に入門することに。但しそれは禁じ手だった。1年後、チェンは師匠に呼ばれ手合わせすると相手の流派の技を使ってボロを出してしまう。弁解しても受け入れてもらえず結局両方の道場を破門され落ち込むチェン。肥仔に話すと、カンフーを教えてくれると言う。こうして特訓がはじまった。肥仔の厳しい修行で上達したチェンはケンカ相手の小狗たちを難なく蹴散らした。仕返しに酒屋に来た無敵の槍使い・馬如龍(恵天賜)も歯が立たず、あえなく退散。そこに李兄弟を峠に誘き出し、3年前の恨みを晴らそうとする人物がいた。実は道場にスパイを送り込んだのは”赤鬼”楊の弟の仕業だった・・。



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「燃えよデブゴン9」  1988/5/26(木) 26:55~フジテレビ

久しぶりにオンエア版(英語のマスターと思われる)を見てみると、
既存アイデアを使って例えば木人拳に登場していた油を使うワザとかうまく発展させていましたね。
編集に関しては国内の広東語ビデオではサモハン登場まで15分以上かかっていたので
先にサモハン登場シーンを持ってきて、あとから2人兄弟の道場の場面が出てくる展開・・・という編集がされていた事が判かりました。(”燃えよデブゴン”を謳っていたからでしょうか?)
この編集の方が、サモハン好きな方にはうれしい編集だと思います。

他に気付いた点、調べた事などをメモっておきます。
・北京語と広東語版では似ているが英語版(The incredible kung fu master)とはBGMが一部異なる。
・国内ビデオの終わりは珍しく”FIN”となぜか仏語。。BGMが多少ヨーロピアンな感じ(イタリアなど)なのはそのせいだろうか?
香港上映プリント(?)や英語版では"THE END"となっていた。
・タイトルについて。台湾の書籍によれば、やはり『肥龍功夫精』というのは台湾公開時のもので正しかった。79年の7月公開だった為、香港より半年遅く公開されたことになる。
 
これは香港のタイトル(special thanks to atoc)

この映画でのサモハンの役名は北京語、広東語でそれぞれで異なっていて、広東語での呼び名・肥仔をストーリーに記載しました(北京語では肥寶または大胖子)。要するに、”デブゴン”ということになりますね(笑)。
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點指兵兵

2010-09-13 00:37:32 | 七十年代作品【1979】



   ディエン ジー ビン ビン
原題 點指兵兵              Cops and Robbers
                       『香港極道 警察<サツ>』(ビデオ)
公開日 1979/11/6(火)         3,497,812HK$ 1979年度第6位
                    藝高娯楽公司/珠城製片有限公司作品
スタッフ&キャスト
監督/脚本 章國明(アレックス・チャン)

出演 王鍾(ウォン・チャン)
    張國強(チャン・コクケン)
    金興賢(カム・ヒンイン)
    劉詩棣(ラウ・シーダイ)

解説
新浪潮電影(香港ニューウェーブ作品)と言われる1本で、そのニューウェーブ監督の一人、アレックス・チャンの刑事ドラマ作品。テディ・ロビンが音楽を担当し音楽以外にも脚本、プロデューサーまで務めた。88年には同じアレックス監督とテディで『點指賊賊』も製作した。 国内では「香港極道 警察<サツ>」の他にアレックス作品では「スター・フォース 未知との遭遇」(DVD)がリリースされている。主演のウォン・チャンは、70年代に『憤怒青年』などショウブラザーズ(SB)作品に多数出演、活躍した。73年にSBで撮った『警察』にも主演しており、アレックス監督の『點指兵兵』に出演したのち『金手指』(80)を自ら監督することとなり、以降、刑事ものを同SBで監督するようになった。

ストーリー
鬼警部と呼ばれた陳立基(王鍾)、警部捜査主任の周(金興賢)、新米刑事・ウィン(張國強)ら刑事たちは香港の街で起こる凶悪犯罪に立ち向かう。ある夜、養鶏場の側で事件が起こった。それは拳銃を奪うため警官を待ち伏せして襲撃するという3人組の犯行だった。目つきの悪い主犯の1人、ビリー(許炳森)は銃が好きでたまらない性分で刑事に憧れていたが試験にパスできなかった事で警察を恨むようになっていたのだった。次に3人組は銀行を襲う計画を立てた。ヒゲを生やした仲間の男を車で待機させ現金を強奪、警官も1人射殺した。ヒゲの男は路上で新聞売りに顔を見られてしまう。ヒゲ男を追跡するうちに犯人たちの目星がついた刑事たちは主任の指揮のもと早朝、犯人を捕まえるべく強行捜査に踏み切った。犯人を発見し逮捕したが、1人逃亡してあと1歩のところで捕り逃がした。しかし、陳の上司らは事件はほぼ解決したとみて、テレビで記者会見させてしまう。仕事を終えバーでくつろぐ刑事たち。翌日、公園で陳の一人息子を人質として狙う人物がいた・・・。



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現代アクションということで香港の当時の流行、ファッション、世相などがよく分かる。(刑事ドラマはやっぱりは街を走らなきゃ(笑。)
ウォン・チャンのベテラン刑事の演技は演出かも知れないが聞き込みなんかもお手のものって感じで面白い場面もある。それから刑事が良く似合う元警官フィリップ・チャンもちらっとゲストで登場するのも見どころかも!(ホンモノだとそれっぽくてビシっ!となります)
ニューウェーブ監督アレックス・チャンはこの刑事、犯罪アクションの映画をヒットさせたのだから凄いと思う。
現在ブックオフなどで格安で入手可能だが、日本語音声で視聴できるのはとてもお得である。なぜなら王青の兄・ウォン・チャンは青野武氏による吹替えであり主任の刑事(カム・ヒンイン)もガンダム好きなら聞き覚えのある声であるはず。(パッケージ表記の声優は間違っていましたけどね・・。)
なお、この映画を製作した会社の1つ珠城公司は現在もDVDをリリースしているようでこの映画もDVDを出しています。 
パールシティURL http://www.pearlcity.com.hk/


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老鼠拉龜

2010-09-10 00:47:41 | 七十年代作品【1979】


   ラオ シュー ラー グイ
原題 老鼠拉龜        Kung Fu vs. Yoga

公開日 1979/6/21(木)         張氏兄弟影業公司作品
                    93,315HK$ 1979年度第100位
スタッフ&キャスト
監督 陳全 (チェン・チュエン)

出演 錢月笙(チン・ユーサン)
徐忠信(アラン・シュー)
兜巴星(ドウバー・シン)
米雪(ミシェール・イム)

解説
武術指導家として知られ、83年に「ジャッキー・チェンの醒拳」(龍騰虎躍)を監督した陳全の監督進出第1作。ヨガを取り入れたアクションを売り文句にした79年のカンフー映画の異色作である。(他にもヨガを扱った作品には『Yoga and the Kung Fu Girl』(79)などがある。)原題の”老鼠拉龜”とは中国のことわざ(ひっこめた亀の手足をネズミは引っ張ることが出来ない。)で、どうすることも出来ないの意と思われる。日本劇場未公開。

ストーリー
カンフー使いの青年タイガー(錢月笙)とその相棒のウーシン(徐忠信)は仲のいいズッコケ・コンビ。カンフーの練習もいつも2人で練習して日々を過ごしていた。ある日、2人は町へ出かけ、叔父の経営する陶器店へ。陶器を使ってパフォーマンスを見せるとたちまち人だかりで店は繁盛した。気をよくしたタイガーは、町の悪人退治をする事にした。ブラインド・スネークは薬の悪徳商売をしていた。タイガーは深夜、彼のアジトへ忍び込み、彼等を壊滅させるのだった。
次の日、町で武術大会が開かれた。主催者は優勝者には娘のティン(米雪)と結婚させるつもりでいたがタイガーは難なく相手を倒し、コンテストに優勝する。しかしティンはタイガーを好きにはなれない。そこでティンは結婚の条件として、かぐや姫のように無理難題を押し付けるのだった。それは”カンフー秘伝書”、”売春婦のジェード”、”印度神油商人のルビー”の3つの宝物を手に入れたら結婚するというものだった。ウーシンと協力しながら次々と宝を手に入れるタイガー。ついに最後のルビーを手にするためインドのヨガ・マスターのもとへ。頭に付いたルビーが最終目的だ。これさえ手に入れればティンと結婚出来る。しかし相手は滅法強く、ヨガ拳法の前に2度敗れてしまう。果たして3度目の挑戦で彼等が取った作戦とは・・・!?



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老鼠拉龜 又名:瑜珈功夫

ヨガのカンフー映画ってことで、以前から興味があった作品でした。
私の中では永遠の格ゲー「ストII」(1991capcom)からヨガ・マスター”ダルシム”の事をどうしても思い出してしまっていましたけど、香港映画ともマッチしますね。 でもゲームと映画は違いますけどね。

チン・ユーサンの主演映画なんて初めて見ましたが、今まで散々やられる場面しか見てこなかっただけに主役とはまったく似合わないなぁ。(誰かに「たまにはやってみろよ!」なんて言われてたら面白いですね(笑。)
それにしてもアラン・シューのアクションはパーフェクトっす。
(この人本人がアクションやったらキレがあって本当にしびれますね)
とにかく前半からスピーディに進行していきます。終始飽きさせない作りは陳全によるところが大きいと思いますが、キョンシー的アクションも取り入れた目の見えない陳全戦とか見事でしたし、続く見せ場の山怪やフォン・ハックオンのオカマ拳法など、間にはジャッキーの元カノ米雪ちゃんも入れてポイント高かったですぞ(『三十六迷形拳』と同時期だと思いますけど、彼女とてもきれいでしたね)。そしてヨガマスター戦へと続いていく構成配置はうまいとしか言いようがなかったですね。

ヨガマスターの手足がのび〜る、のび〜る(笑)。
(そういえば手が伸びる映画なら、こんなのもありますね。そもそも何からヒントを得たのだろう??実際に観てみなくては!)


ちなみに、この映画を作ったのはポール・チャンの会社でフー・チンさんが出品人!!
(このお2人、70年代に結婚し当時はまだ夫婦だったのです)ポール・チャンはしっかり米雪ちゃんの父親役で出演しております。(張氏兄弟ってあと誰だっけ?)

英語のタイトル通りヨガ拳法が売りの『老鼠拉龜』ですが、このおもしろさで79年度最下位のワースト記録とはとても信じられないのですが、まるで格闘ゲームのような展開で十分面白かったので興味のある方は是非このダルシム・ファイトをご堪能ください。

【参考】
米雪ミシェル・イム公式フィルモグラフィー(フォトギャラリーも必見!)
http://www.michelleclan.com/movies.html
(彼女はなんでイムかと思ったら本名がイム姓なのでした)
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絶代雙驕

2010-09-06 01:41:41 | 七十年代作品【1979】



ジュエ ダイ シュアン ジャオ
原題 絕代雙驕 The proud twins
公開日 1979/7/19(木) 邵氏兄弟影業公司作品
4,009,486HK$ 1979年度第4位

スタッフ&キャスト
監督   楚原 (チョー・ヤン)

原作 古龍(グー・ロン)

出演 傅聲(アレクサンダー・フー・シェン)
   伍衛國(ウー・ウェイグオ)
   文雪兒(キャンディー・ウェン)
   歐陽珮珊 (オーヤン・プイシャン)

解説
江湖で別々の環境で育てられ生き別れとなってしまった双子の兄弟の運命を描く
アレクサンダー・フー・シェンが主演した79年の武侠映画。
楚原(チョー・ヤン)の99本目の監督作品に当たる。(100本目は『魔劍侠情』)
92年のアンディ・ラウ版など過去、数多く映画化、テレビドラマ化されており
古龍原作の「絶代雙驕」の人気が高いことが証明されている。
日本では2008年「マーベラス・ツインズ」として翻訳、小説化され
コミックなども発売された。(小説発売元の『信長の野望』『三國志』シリーズで有名な
KOEIからは声優を使ったCDドラマなども制作されている。)

ストーリー
繍玉谷にある聖地・移花宮は男子禁制だが武術の名門である。天下一の美男子・江楓(石崗)と宮女の花月奴は恋に落ち、逃亡を決心するが冷酷な宮主・邀月(孟秋)によって死に追いやられてしまう。江楓と月奴の間には双子が生まれていたが、残された双子の赤子は生き別れとなってしまう。その後、江楓と義兄弟で剣術の達人・燕南天(王戎)は赤子の一人を抱えて、江楓の復讐のため十大惡人たちの住む惡人谷へと向かった。
燕は惡人谷で白開心(林輝煌)ら十大惡人に斬られてしまう。そこに長老・万春流(井)が現れ赤子は燕の代わりに惡人谷で育てられた。十数年後、成長した小魚兒こと江小魚(傅声)は江琴(唐菁)を探す旅に出る。村で鉄心蘭(文雪兒)と知り合ったり、敵か味方か分からない慕容菁(歐陽珮珊)と接触し、ついに移花宮で邀月に育てられ武術の達人に成長していた花無缺(伍衛國)と対決することになった。江琴と息子の江玉郎(顧冠忠)も現れ、いつしか敵対することも無くなっていく双子の兄弟。小魚と無缺の二人は共に戦い、両親の仇を討つと誓った・・。

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今回の『絶代雙驕』。邵氏では実は79年版以前にも同じ題材が作られています。(71年の『玉面侠』がそれ。)こちらは厳俊監督版ということになりますが、脚本をあの黄楓が担当していたのす。こちらは未見ですが、この厳俊版『絶代雙驕』と楚原版『絶代雙驕』を見比べてみると面白いのではないかと思います。

ちなみに小説に『マーベラス・ツインズ』シリーズがありますが、このシリーズは日本で初めて翻訳された”絶代雙驕”なのであります。併せて分かりづらい用語なども丁寧に解説されていて翻訳した川合章子氏に拍手を送りたいですね。とても読みやすくなっているので興味がある方にはこちらをおすすめしたいと思います。

79年版の感想としては、文雪兒はまたしても相手には男だと思われている男勝りの女性の役を演じていたのが印象的(最初のところ)。全体的にはフー・シェンのコミカルな演技が好感触でした。フーシェンが秘孔を突くシーンなんかも登場します(笑)。この映画はフー・シェン一人で成り立ってますが、これが79年第4位と高順位だったのも何となく分かるような気がしました。
尚、歐陽珮珊が演じた登場人物”慕容菁”は原作では慕容九妹と張菁の2人に分かれていてそれを1人に合体させたと思われます。登場人物が多いのも考えものなのかも知れません。

コメント (2)
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ザ・ポップマン

2010-08-18 01:24:44 | 七十年代作品【1979】
シェン トウ ミャオ タン ショウ ドゥオ ドゥオ
神偷妙探手多多  
Itchy Fingers 
                   ザ・ポップマン
公開日 1979/1/26(金)
ゴールデン・ハーベスト作品
                   4,086,632HK$ 1979年度第3位

スタッフ&キャスト
監督 梁普智 (レオン・ポーチ)

出演 呉耀漢 (リチャード・ウン)
   喬宏  (ロイ・チャオ)
   繆騫人 (コラ・ミャオ)
   馮潤泉 (フェン・ヨーチュエン)

解説
幼なじみの2人が泥棒と警官になって敵対するが、結局は協力して盗まれた宝石を取り戻す姿を描くコメディ。製作はレイモンド・チョウ。監督はレオン・ポーチ。脚本をリチャード・ウン、レオン・ポーチとバリー・ウォン(王晶)が担当。1980年、東宝東和配給で日本でも劇場公開している。

ストーリー
トンマ(喬宏)とチンケ(呉耀漢)は幼なじみ。彼らはいつもケンカばかり。成長してトンマは警官になり、チンケは泥棒となった。チンケはデパートの金庫を狙うが失敗して刑務所に。釈放されるとマフィアのボス・ルン(馮潤泉)から有名なダイヤモンド、”南海の星”を盗む計画を依頼される。しかし、これはルンのワナだった。宝石商の娘・ティナ(繆騫人)の魅力に取り付かれて仕事を引き受けてしまうが、ボスのルンはをチンケの犯行に見せかけて保険会社から保険金を騙し取る作戦だった。チンケは店に行き宝石を見ているとワナにかかってしまった。そしてチンケはトンマに逮捕されてしまう。しかし、警察署長から盗んだのは別人と言われてしまったトンマはミスして捜査から外された。トンマは止む無くチンケと協力して”南海の星”奪回作戦を開始する。社交界パーティにアラブ人に変装して侵入する2人。やがて厳重な警備で部屋の奥に隠された“南海の星”を発見。そこでチンケとトンマの2人は警備を潜り抜けまんまとダイヤを盗み出す事に成功する。晴れて、チンケは保険金3500万ドルを手に入れてティナを連れてパリへ高飛びするのだった。

主題曲 知己同心 (作詞:鄭國江 作曲:馮添枝)關菊英 主唱

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『ザ・ポップマン』1984/5/4(金)フジ深夜26:00~

何度か取り上げてはいますが、また忘れているのでもう一度思い出しながらいくつかの気になる点、今後の課題に迫ってみたい。
リチャード・ウンの役名はオリジナルではリチャード(または錢細)だが、オンエア版では”チンケ”なのであった。(これが「五福星」など福星シリーズにつながっているのは自然の成り行きでしょう)
本作を見ていると、不思議な事にリチャード・ウンの演技はごく自然で、既に完成された演技のスタイル、キャラクターであって、のちの福星シリーズの1シーンを見ているかの様なのである。
勿論、この作品が日本で最初に紹介されたリチャード・ウンの映画で、これ以前にも彼の作品は存在しているが、今見てもとても面白い映画なのでありますね。
ロイ・チャオの警官姿も実によく似合っていたなぁ(笑)
これが初主演ではないが、この『ザ・ポップマン』は香港コメディ映画史には欠かせない作品になっていると思う。

巨匠ジョン・ウーがゲスト出演したのもポイント。終始笑っているだけなのだが、きっと単なる俳優としての参加ではないはずである。思い出してみると、そんな事実があったことに再度驚かされる。
64年のコメディ映画『トプカピ』の香港公開時のタイトルは何であったか?これは以前からの研究課題であった。

今回パンフを読んでみて分かったのが、製作プロがゴールデン・ハーベストと、もう一つ、アドバンス・フィルムズが共同で製作した・・という点。(そんな情報は他では見られない。)これも今後の研究課題としていきたい。
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三十六迷形拳

2010-01-05 23:52:11 | 七十年代作品【1979】
延々と続きそうな予感のする(苦笑、思遠影業をお休みして忘れないうちに70年代後半の作品をご紹介のコーナー。
これは『三十六迷形拳』のとてもキレイなプリントの画像です。


これがファン待望のオリジナル中文マスターVerでワイドスクリーン仕様になっています。


特筆すべきは英語版では何種類かあったジャッキーの武術指導のクレジット。


ここだけあとから改変しているような英語版の映像もあったのだが、オリジナル中文Verでは驚くなかれ”成龍 武術團”の表示であったのだ。成家班という言い回しが定着する前ということになるのだろうか。

この『三十六迷形拳』は「ヤングマスター」の撮影が始まった二ヶ月ほど後に製作を開始、ヤンマスの合間に『小老虎』のビデオの冒頭にあるような成家班、陳誌華らが指導しているシーンで分かるように彼らが作り上げた作品である。
陳誌華&武術指導中のジャッキー

不明なことも多い製作公司を探し出す、或いは見つけ出すことも割合楽しい作業である。一度調べたぐらいではそう簡単には分からないというパズルのような要素こそが大人には魅力なのですー。
この作品の公司名も既に判明はしていましたがこの合衆公司のロゴを見るのは初めてでした。


オリジナル海報も一度だけだが見たことがあった。正規のDVDなどがリリースされてるのならこのオリジナル海報も是非収録していて欲しいんですよね。
まだまだ素晴らしい素材が潜んでいるかと思うとワクワクしてしまいますね。
















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