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片付けられないハンガー

2012年06月09日 | 雑記
亡くなった患者さんのお宅に2件伺いました。
最初は、ご自宅で過ごした方です。

 「先生も看護婦さんも、いつでも来てくれると思うと
  それだけで頑張れました。お父さんは入院はイヤだって
  言ってたから、うちでよかったと思います。」

ご主人の思うとおりに過ごさせることができて、奥様も良かったと
話しておられました。
遺影の横には、ソフトボールのボールと、ベルトが添えられていました。

私がお線香に火をつけて、チーンと叩いた瞬間に別のところにあった
写真立てが、パタンと倒れました。
奥様と顔を見合わせました。びっくり。

いろんなことを思い出して、一緒に涙がでました。

そして次は、緩和ケア病棟に緊急入院した患者さんのお宅へ。
往診をしていましたが、急に具合が悪くなったので、患者さんや奥様の希望もあり
急遽入院しました。
病棟の師長さんも、医療連携室の方とも連携をとっているので
入院もスムースでした。

また在宅へと思っていた矢先に、急死されました。
だからこそ、家でなくて良かったと奥様は話されていました。
50代で、まだまだやりたいことがたくさんありました。
今度はスカイツリーを見ようと話していたそうです。
今は、それよりさらに高いところで見ているでしょうか。



 「看護婦さんが教えてくれたように、点滴を下げるハンガーなんですけど
  はずせなくて・・・・・・」

涙が止まりませんでした。
奥様とふたりで泣きました。
いつも往診の時にいらしたベッドは片付けられて祭壇になっていました。

 「今回は病院で本当に助かりました。あまりに突然だったのでこれが家だったら
  私は大変だったと思います。良かったです。」

家であっても、病院であっても、その人らしく過ごすことができるのならどこでも
構わないと常々思っています。
終わりよければ、全てよし。