「真のリーダーは、フォロワーを創らない」 ってどういうことだろう?
「真のリーダーは、フォロワーを創らない。
もっと多くのリーダーを創る」という言葉がありますが、デューク大学ビジネススクールの
学長Bill Boulding氏は、「リーダーシップ」のあり方が変わりつつあることについて、
ワシントン・ポスト紙でのインタビューで次のように話しています。
「伝統的なリーダーシップ・モデルは、『その部屋で、一番頭のいい人間を見つけること』、
そして『その人に、みんなに対して、何をすべきかを言ってもらうこと』でした。
けれど、それはもはや、世界が求める『イノベーションを生み出す類のリーダーシップ』ではありません。
今日、成功するタイプのリーダーとは、人々を集め、結びつけ、連携を通じて、
素晴らしいことを起こせる人、です。
そして、『連携』の鍵は、『違う種類の人々や、違う考え方を集めて結びつける』
能力があるかどうかにかかっています」と。
オックスフォード・エコノミクスが実施した調査では、タレント人材に必要なトップ・スキルとして
挙げられたのは、「共同で創造する」ことと「ブレインストーミング」の能力でした。
一方で、企業の職場の実態について、スタンフォード大学ビジネススクールの Pfeffer 教授は、
新著『Leadership BS』の中で気になる調査結果を紹介しています。
・ライトマネジメント社が、2012年にカナダとアメリカで実施した「仕事への満足度」調査では、
「自分の仕事に満足している」と回答したのは19%にすぎず、3分の2が「職場に満足していない」と答えた。
・マーサーが、世界中の3万人の会社員にサーベイを実施したところ、28~56%の会社員が「会社を辞めたい」と
考えていることがわかった。
・2012年のギャラップの調査報告書では、「会社に愛着心があり、刺激を受けている」という
アメリカの会社員は、たったの30%だった。しかも、20%は、「積極的に関わらないように」
しており「会社の廊下で自分の不満を触れ回り、会社をひそかに傷つけようとしている」と回答していたという。
・ギャラップが142ヶ国で実施した調査では、「会社に愛着心がある」のは13%のみで、24%は、
「積極的に関わらないように」していた。
これらのデータを見る限り、企業組織に人々が集まり、結びつき、連携し合うことが、現実には、
あまりうまくいっているわけではないことが伺えます。
世界中で起こっているさまざまな不祥事は、エグゼクティブ同士の不仲が要因であることも少なくありません。
英エコノミスト誌は、Gillian Tett氏の新著『サイロ効果』の書評で、
「なぜ、組織は失敗するのか?」について次のように書いています。
「大抵の場合、会社は成長するにしたがい、元々その会社の成功をつくってきた『イノベーティブな性質』
を失ってしまうことが原因だ。『個人』と同じように、『組織』も、『自分らしさ』に『いきづまる』ことがある」
「人間には、『カテゴライズ』したり、『細分化』したりする傾向がある。
それは、たしかに『効率性』を高める。しかし、皆、次のことを忘れがちだ。
自分たちが創り出した『区切り/境界』は、『人工のもの』であることを。
そして、それゆえに、それを「取り壊す」ことが、難しくなることもある」と。
つまり、自分が創り出した境界に閉じ込められるのです。
ミシガン大学ビジネススクールが、21世紀のリーダーシップの前提として、次のことを挙げていました。
「リーダーが、人々『に対して』何かをすること、ではなく、むしろ、人々『の間で』働くこと」そして、
「『リーダーシップ』の基本的な状態とは、私たちの誰もが、いつでもリーダーであることを『選び』、
リーダーとして『行動する』ことができること」だと。1人でも多くのリーダーを創ること、
そして、それらのリーダーとの「共創」によってイノベーションを起こしていくことなのかもしれません。
病院も同じようだと思いました。成長するにしたがって段々行き詰って来たのをまのあたりにしました。病棟の不満、上司への不満、勤務表への不満、他職種への不満が廊下に渦巻いていました。でも退職しないでいる人たちは「積極的に関わらない」で過ごしているからかも知れません。そして、何割かの人たちはイノベーションをおこしたくて頑張っているのかも知れません。
また病棟の責任者になりたいと思う人をひとりも見かけたことがありません。誰もがいつでもリーダーになりたくないのです。それはなぜか?ということを分析したら面白そうです。入れ替わりが激しい看護界の謎がとけるかも。しかしながら、絶対看護部長になる!という人もいます。
川奈行きたいな。