10連休が始まりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
毎年この時期には、有楽町の朝日ホールでイタリア映画がまとめて上映される「イタリア映画祭」というイベントがあり、この10年ほどは何本かイタリア映画を観るのが恒例となっています。
私自身、もともとイタリアの歴史、文化に興味を持ち、イタリアを何度か訪れるうちに、イタリア社会に対しても興味を持つようになりました。一時期はイタリア語の学校にも通っていたのですが、映画は語学の学習にもうってつけで、社会背景なども知ることができるので、今も楽しみなイベントとなっています。
やや難しいテーマや重いテーマのものから、理屈なしで楽しめるコメディまで、イタリア本国で話題になった作品が上映されており、反響の高さから後に劇場公開されるものもあります。
今日、私が観たのは「帰ってきたムッソリーニ」という作品でした。これは以前日本でも公開された「帰ってきたヒトラー」のイタリア版リメイクという位置づけです。「帰ってきたヒトラー」について、私は原作の日本語訳を読んだだけですが、現代に蘇ったムッソリーニがネットの動画を経由してテレビの人気者になり・・・というあらすじも「ヒトラー」と同じです。
ちょうど今日、4月28日というのは1945年にムッソリーニがミラノで処刑された日でもあり、それを選んで本日の上映となったのでしょう。余談になりますが、終戦直後日本の映画館で最初に上映されたニュース映画のうちの一本が、このムッソリーニの処刑の場面だった、と亡父が話していました。
この作品はコメディータッチではありますが、途中途中で一般市民へのインタビュー映像も挿入され、半分ドキュメンタリーのような形で進んでいきます。映画祭に合わせて来日した、この作品のルカ・ミニエーロ監督が上映後に観衆の質問に答える形でこの作品について語っていたところでは、イタリア人のファシズムに対する評価がドイツのナチズムに対する否定の仕方とは違う(イタリアの方がやや寛容という意味で)、といった趣旨の発言もありました。車に乗って行進するムッソリーニ(もちろん実際には役者さんが演じている訳ですが)に対して、ファシズム式の敬礼をした一般市民もいたということで、ドイツと同様、本来禁止されている行為ですので、イタリア本国での公開時にはショックを受けた人もいたそうです。今日のイタリアでは、移民や難民の問題、少子化や貧困層の存在、経済の低迷など、重い問題をいくつも抱えています。そういった社会に「救世主」として映りかねない人物を主人公として映画化したわけですが、ちょうど彼の地の総選挙に合わせて公開されたこともあり、大変な反響だったそうです。ムッソリーニの演説や大真面目なセリフが時には笑いを誘うわけですが、ここで笑われているのはむしろ我々観衆なのでは、と思わされる場面もありました。
テーマがテーマなので連休早々、少々重い話になってしまいました。この作品は映画祭での上映は今日一回限りでしたが、秋にはロードショー公開されます。もし、秋になったら見に行きたい、という方は、彼の伝記なり、あの時代のことが分かる書籍なりを読んでから見ると、一層理解が深まるかと思います。
5月4日まで映画祭は開催されます。最近の作品が中心ですが、過去に評価の高かった作品も上映されるということで、私もあと何回か足を運ぶことになりそうです。作品によってはイタリア社会のことをある程度知らないと入っていけないものや、結末がきちんと示されず、観衆に答えを任せるものもあるかもしれませんが、ハリウッドや日本映画とも違うテイストの映画を味わいたい方にはお勧めします。イタリアってこれまで知らなかったけど、いい役者さんが本当に多いです。
毎年この時期には、有楽町の朝日ホールでイタリア映画がまとめて上映される「イタリア映画祭」というイベントがあり、この10年ほどは何本かイタリア映画を観るのが恒例となっています。
私自身、もともとイタリアの歴史、文化に興味を持ち、イタリアを何度か訪れるうちに、イタリア社会に対しても興味を持つようになりました。一時期はイタリア語の学校にも通っていたのですが、映画は語学の学習にもうってつけで、社会背景なども知ることができるので、今も楽しみなイベントとなっています。
やや難しいテーマや重いテーマのものから、理屈なしで楽しめるコメディまで、イタリア本国で話題になった作品が上映されており、反響の高さから後に劇場公開されるものもあります。
今日、私が観たのは「帰ってきたムッソリーニ」という作品でした。これは以前日本でも公開された「帰ってきたヒトラー」のイタリア版リメイクという位置づけです。「帰ってきたヒトラー」について、私は原作の日本語訳を読んだだけですが、現代に蘇ったムッソリーニがネットの動画を経由してテレビの人気者になり・・・というあらすじも「ヒトラー」と同じです。
ちょうど今日、4月28日というのは1945年にムッソリーニがミラノで処刑された日でもあり、それを選んで本日の上映となったのでしょう。余談になりますが、終戦直後日本の映画館で最初に上映されたニュース映画のうちの一本が、このムッソリーニの処刑の場面だった、と亡父が話していました。
この作品はコメディータッチではありますが、途中途中で一般市民へのインタビュー映像も挿入され、半分ドキュメンタリーのような形で進んでいきます。映画祭に合わせて来日した、この作品のルカ・ミニエーロ監督が上映後に観衆の質問に答える形でこの作品について語っていたところでは、イタリア人のファシズムに対する評価がドイツのナチズムに対する否定の仕方とは違う(イタリアの方がやや寛容という意味で)、といった趣旨の発言もありました。車に乗って行進するムッソリーニ(もちろん実際には役者さんが演じている訳ですが)に対して、ファシズム式の敬礼をした一般市民もいたということで、ドイツと同様、本来禁止されている行為ですので、イタリア本国での公開時にはショックを受けた人もいたそうです。今日のイタリアでは、移民や難民の問題、少子化や貧困層の存在、経済の低迷など、重い問題をいくつも抱えています。そういった社会に「救世主」として映りかねない人物を主人公として映画化したわけですが、ちょうど彼の地の総選挙に合わせて公開されたこともあり、大変な反響だったそうです。ムッソリーニの演説や大真面目なセリフが時には笑いを誘うわけですが、ここで笑われているのはむしろ我々観衆なのでは、と思わされる場面もありました。
テーマがテーマなので連休早々、少々重い話になってしまいました。この作品は映画祭での上映は今日一回限りでしたが、秋にはロードショー公開されます。もし、秋になったら見に行きたい、という方は、彼の伝記なり、あの時代のことが分かる書籍なりを読んでから見ると、一層理解が深まるかと思います。
5月4日まで映画祭は開催されます。最近の作品が中心ですが、過去に評価の高かった作品も上映されるということで、私もあと何回か足を運ぶことになりそうです。作品によってはイタリア社会のことをある程度知らないと入っていけないものや、結末がきちんと示されず、観衆に答えを任せるものもあるかもしれませんが、ハリウッドや日本映画とも違うテイストの映画を味わいたい方にはお勧めします。イタリアってこれまで知らなかったけど、いい役者さんが本当に多いです。