工作台の休日

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四月、和泉宏隆さんを偲ぶ日々

2022年05月03日 | ときどき音楽
 昨年四月に急逝されたT-SQUAREの元メンバーでピアニスト・作曲家の和泉宏隆さんの一周忌に合わせ、先月はさまざまなイベントが催されました。私も行ける範囲でお邪魔して、大ファンだった和泉さんを偲びました。
 4月16日に「和泉宏隆を偲ぶ会」があり、こちらは昼の部・夜の部とありましたが私は昼の部に参加いたしました。「偲ぶ会」は和泉さんゆかりの各地のライブハウスなどで開催され、関係の深いミュージシャンも参加されています。私が参加した東京での会では、T-SQUARE時代、ソロになってからのユニット「ひろみつ」も含めると共演回数が最も多いベーシストの須藤満さんがゲストでした。ソロライブの映像を始め、配信用に準備されていた映像、「ひろみつ」のお二人で実施された学校の芸術鑑賞会での映像といった普段なかなか見ることが難しいものもありました。須藤さんは和泉さんから形見分けを受けたジャケットで登場され、ピアノの音源に合わせて共演もされていました。これらの演奏を通してあらためて和泉さんの音楽の素晴らしさを認識いたしました。

 また、須藤さんの思い出話も「最多共演」を誇るだけにスクエア時代を含めて多くあり、ステージ上の話だけでなく、ロンドンレコーディングでは自慢の料理の腕をふるい、メンバーのための和食から、現地スタッフも交えて打ち上げのための中華料理まで用意されたということで(この話は当時聞いたことがありますが)、本格的ですね。別の時のものでしたが、和泉さんが作られた料理の画像を見ると、とても美味しそうです。
 「偲ぶ会」についてはちょっとしんみりした空気ではありましたが、和泉さんの思い出をファンが共有し、今後も伝えていこうという感がいたしました。私は楽器ができるわけではないので、演奏して後世に伝えるということはできませんが、楽曲を聴いたり、こうした場で書いていくことで、微力ながら伝えていくお手伝いができたらという思いを新たにしました。
 また、T-SQUAREとしても「和泉宏隆Memorial THE SQUARE Reunion」として、1987~1990年のメンバーによるメモリアルライブが開催され、私は4月24日のステージを観ることができました。キーボードは河野啓三さん、白井アキトさんが担当されました。今回はチケットの確保がいつも以上に大変でしたが、幸運にも「参戦」できました。昨年スクエアを「引退」された安藤正容さんが参加されるということもあってでしょう。会場のブルーノート東京は私には高級なお店で、いつも緊張します。ドレスコードはありませんが、襟のついたシャツとジャケットを着て入店しました。諸々の規制も緩和され、以前のようにたくさんのお客様が集まりました。


(今回も美味しいお酒でした)
 ブルーノート東京のサイトでも配信の期間が過ぎ、当日のセットリストが公開されたようですので、個々の曲も含めたライブの感想を書いてまいります。
 この日は和泉さんが書いた曲しか演奏しない、ということで一曲目の「宝島」から盛り上がりました。この宝島だけでなく「From03to06」や「Travelers」、「Omens of love」などのギターは、やっぱり安藤さんの演奏がいいなあと思いましたし、1stステージでは伊東たけしさんが珍しくフルートで「Dandelion hill」、「Beyond the dawn」を演奏されたのも印象的でした(これらは厳密には管楽器が本田雅人さんの頃の曲です)。そして、何と言ってもピアノを演奏された白井アキトさんが、オリジナルをリスペクトしながらご自身の色を出しており、大役に応える演奏でした。ご本人曰く「手の大きさが違う(和泉さんの方が大きい)ので音も違う」ということでしたが、本当に素晴らしかったです。バラードの「Twilight in upper west」、「Forgotten saga」、「Cape light」も素晴らしく、忘れられないライブとなりました。
 公演ではメンバーが和泉さんの思い出を語る時間もあり、則竹裕之さんはバンドで一番年齢の近い年上の先輩としての思い出話を語っていて、こちらも思わずウルッとなる話でした。1987~1990年のメンバーですと、和泉さんは五人のメンバーの中で真ん中の年齢でしたので、リズムセクションの「若手」二人と、リーダーの安藤さんや伊東たけしさんら年長組をつなぐ役割をされていたのかもしれません。また、河野啓三さんは「高校生当時スクエアのコピーバンドが二つあって・・・」という話をされており、私の母校でもコピーバンドがありましたから、あの時代の高校生の共通の思い出ですね。当日演奏された「Wind song」については「ライブビデオでも和泉さんがどういう演奏をされていたのか分かりづらかった」とのことですが、このビデオは旭川で開催されたフェスの様子を撮影しており、「Wind song」については途中まで北海道の自然を映していますので、分かりづらいのもむべなるかなというところです。
 伊東さんは「Omens of love」の秘話を披露されていて「リハーサルでこの曲をサックスで吹いたら、『リリコン(当時ewiをそのように呼んでいました)で吹くように作曲したのに!』と激怒された」とのことでした。和泉さんが生前語っていたところではサックスで面白おかしく吹いたことが気に入らなかったということで、曲や演奏への強い思いを感じました。また「Travelers」の演奏の後、かつてのサントリーのCMを再現して「のけぞってewiを吹く姿」も見せていただき、あのCMでスクエアというバンドのファンになった私にとってまさに特別な瞬間となりました。
 「偲ぶ会」がややしんみりした内容だったのに比べ、このライブはこれからもスクエアというバンドとして和泉さんの曲を演奏し続けていく、という気持ちも感じられました。今後もこうしたライブがあったらいいなあ、という期待と、この日のステージを1stも含めてぜひ映像作品化してほしいなと思いながら、帰路につくのでありました。

「偲ぶ会」で発売されていたクリアファイルと缶バッジ

缶バッジ(中央)をバッグにつけてブルーノートのライブに参戦しました。アイドルやアニメの缶バッジをつけて歩いている人をどうこう言う
資格は私にはありません。もともとどうこう言ったりしませんが。

私と和泉さんのツーショットはこの一枚だけです。2006年か2007年頃のものです。

 
 
 
 
 


 
 
 

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