今週、名古屋の宇宙ベンチャー企業のPDエアロスペース社が燃焼切替実験に成功したことが記事になっていたので紹介したい。同社の技術が確立されれば飛行機で宇宙旅行が40万円程で行けるようになる可能性あり。社員5名で出発した小さな会社をHISとANAが出資をして応援している。
成功に期待したい。
記事1:
宇宙旅行目指す開発拠点を公開 名古屋のPDエアロスペース 日経新聞 2017/9/20
宇宙船開発ベンチャーのPDエアロスペース(名古屋市)は20日、愛知県碧南市の研究開発拠点を公開した。2月に新設、試作品加工やエンジン燃焼試験などを1カ所で手掛けられる。
この日は大気中の空気を使うジェット燃焼と、酸化剤で燃焼させるロケット燃焼を1台のエンジンで切り替える実験を披露した。今夏に世界で初めて成功した実験だ。
同社は2023年の宇宙旅行サービスの開始を目指している。緒川修治社長(47)は「まだ小さな一歩を踏み出したにすぎない。宇宙旅行の実現に向け、開発を加速させたい」と話した。
記事2:
PDエアロスペース、燃焼切り替え成功
9/18(月) 7:15配信 フジサンケイ
宇宙ベンチャーで宇宙輸送事業を目指すPDエアロスペース(名古屋市緑区)は、大気中で作動させるジェット燃焼と宇宙空間で作動させるロケット燃焼を1つのエンジンで行う、燃焼モード切り替え実験に世界で初めて成功した。実験成功により、宇宙航空機(スペースプレーン)にこのエンジンを搭載すれば、宇宙への旅行や貨物輸送が飛行場からできるようになる。
従来のロケットエンジンは宇宙空間では酸化剤を使って燃料を燃焼させるが、大気中を通過する際も酸化剤を使う必要があり、軽量化への障害となっている。また、空気中の酸素を利用している従来のジェットエンジンは宇宙空間では使用できなかった。
記事3:
40万円で宇宙の旅 独自技術で挑戦(毎日新聞 2017年5月6日)
宇宙旅行のイメージ
名古屋市の宇宙開発ベンチャー「PDエアロスペース」が、庶民にも身近な宇宙旅行の実現に挑戦している。2023年末に事業化し、将来は海外旅行並みの料金にする計画だ。社長の緒川修治さん(46)以下、社員5人という同社の武器は独自発想のエンジンと持ち前の行動力。壮大な夢は実を結ぶのか。
「『下町ロケット』みたい。社員と開発に没頭する姿に感動した」。昨年10月、旅行大手「エイチ・アイ・エス(HIS)」とともにPD社に出資したANAホールディングス(HD)。片野坂真哉社長は池井戸潤さんの人気小説を引き合いに出して、緒川さんの情熱をたたえた。
07年に設立されたPD社は「有松絞」で有名な名古屋市・有松地区にある。緒川さんの実家の離れが本社となっており、広さはわずか約16平方メートル。試作機の模型や資料、パソコンなどが所狭しと並ぶ。エンジンの燃焼実験に使う装置のスイッチなどは100円ショップで購入した材料も活用。「中核部品以外は徹底して節約し、コストを抑えている」と緒川さん。
次世代エンジンの開発に励むPDエアロスペースの緒川修治社長=名古屋市内で2017年1月5日、竹地広憲撮影
空への憧れは子供時代にさかのぼる。名古屋空港に足しげく通い、パイロットを夢見た。だが、航空学校への進学はかなわず、航空機などの設計会社に入社。夢が宇宙へと飛躍したのは、04年に米国のベンチャーが有人宇宙飛行に成功したことがきっかけだ。「民間が宇宙開発をやる時代が来た」と起業を決意した。
開発するエンジンの最大の特徴は、燃焼モードの切り替えが可能なことだ。離陸時は燃焼に必要な酸素を大気中から取り入れる「ジェットエンジン」モードで飛び、酸素が薄くなると内蔵の酸化剤を使う「ロケットエンジン」モードに変更。モード切り替えで12年に特許を取得した。子供時代からエンジン技術者だった父の実験に立ち会い、機器の構造図にも親しんできた緒川さん独自の技術だ。
ライバル社で英ヴァージングループの創業者、リチャード・ブランソン氏が主導する米国の「ヴァージンギャラクティック」は、ジェット機で宇宙機を一定の高度まで運んで切り離し、そこから宇宙機搭載のロケットエンジンで大気圏外に飛び立つ「二段式」。宇宙旅行の料金は1人25万ドル(約2800万円)だ。これに対し、PD社は一つの機体だけで宇宙空間へ一気に上昇する計画だ。同じ機体を使い回すことで大幅なコスト削減を実現し、将来は「1人40万円弱」の宇宙旅行を目指す。
PD社のもう一つの武器が緒川さんの行動力。経済産業省が開催を後押しした09年のビジネスコンテストで宇宙旅行事業を応募し、審査員でHIS会長の沢田秀雄氏に協力を直談判。ANAHDの片野坂社長が雑誌で「宇宙を目指す」と語ったのを見つけると、関係者を介して同社に接触、資本提携につなげた。
ヴァージンや米アマゾンの創業者といった著名起業家が支援している海外のライバル社は数百億円規模とされる資金力で、17~18年ごろの事業化を目指す。一方、PD社の資本金は約3500万円にすぎず、出資者をさらに募る必要がある。独自発想のエンジンもアイデアの段階で、実機を使った実証実験や耐久性、安全性の検証など課題は多い。
宇宙業界に詳しい桜美林大の橋本安男特任教授は「米国と比べ、日本は政府による支援や法整備も進んでいない」と指摘する。緒川さんもこうした課題は覚悟の上で「全部背負って進んでいる」と力を込める。
宇宙を見た子供たちが「地球で争ってはいけない」と平和な気持ちになってほしい--。宇宙にかける情熱で、外部の協力をさらに呼び込むことができるのか。夢への挑戦は続く。【竹地広憲】
ことば【PD社の宇宙旅行計画】
乗員・乗客計8人乗りの宇宙機を開発し、2023年12月の運航開始を目指す。高度15キロ付近でロケットエンジンを作動させ、高さ約50キロまで加速。その後は弾道飛行で高度100キロの宇宙空間に約5分間滞在する。料金は当初1人1400万円程度を想定している。
成功に期待したい。
記事1:
宇宙旅行目指す開発拠点を公開 名古屋のPDエアロスペース 日経新聞 2017/9/20
宇宙船開発ベンチャーのPDエアロスペース(名古屋市)は20日、愛知県碧南市の研究開発拠点を公開した。2月に新設、試作品加工やエンジン燃焼試験などを1カ所で手掛けられる。
この日は大気中の空気を使うジェット燃焼と、酸化剤で燃焼させるロケット燃焼を1台のエンジンで切り替える実験を披露した。今夏に世界で初めて成功した実験だ。
同社は2023年の宇宙旅行サービスの開始を目指している。緒川修治社長(47)は「まだ小さな一歩を踏み出したにすぎない。宇宙旅行の実現に向け、開発を加速させたい」と話した。
記事2:
PDエアロスペース、燃焼切り替え成功
9/18(月) 7:15配信 フジサンケイ
宇宙ベンチャーで宇宙輸送事業を目指すPDエアロスペース(名古屋市緑区)は、大気中で作動させるジェット燃焼と宇宙空間で作動させるロケット燃焼を1つのエンジンで行う、燃焼モード切り替え実験に世界で初めて成功した。実験成功により、宇宙航空機(スペースプレーン)にこのエンジンを搭載すれば、宇宙への旅行や貨物輸送が飛行場からできるようになる。
従来のロケットエンジンは宇宙空間では酸化剤を使って燃料を燃焼させるが、大気中を通過する際も酸化剤を使う必要があり、軽量化への障害となっている。また、空気中の酸素を利用している従来のジェットエンジンは宇宙空間では使用できなかった。
記事3:
40万円で宇宙の旅 独自技術で挑戦(毎日新聞 2017年5月6日)
宇宙旅行のイメージ
名古屋市の宇宙開発ベンチャー「PDエアロスペース」が、庶民にも身近な宇宙旅行の実現に挑戦している。2023年末に事業化し、将来は海外旅行並みの料金にする計画だ。社長の緒川修治さん(46)以下、社員5人という同社の武器は独自発想のエンジンと持ち前の行動力。壮大な夢は実を結ぶのか。
「『下町ロケット』みたい。社員と開発に没頭する姿に感動した」。昨年10月、旅行大手「エイチ・アイ・エス(HIS)」とともにPD社に出資したANAホールディングス(HD)。片野坂真哉社長は池井戸潤さんの人気小説を引き合いに出して、緒川さんの情熱をたたえた。
07年に設立されたPD社は「有松絞」で有名な名古屋市・有松地区にある。緒川さんの実家の離れが本社となっており、広さはわずか約16平方メートル。試作機の模型や資料、パソコンなどが所狭しと並ぶ。エンジンの燃焼実験に使う装置のスイッチなどは100円ショップで購入した材料も活用。「中核部品以外は徹底して節約し、コストを抑えている」と緒川さん。
次世代エンジンの開発に励むPDエアロスペースの緒川修治社長=名古屋市内で2017年1月5日、竹地広憲撮影
空への憧れは子供時代にさかのぼる。名古屋空港に足しげく通い、パイロットを夢見た。だが、航空学校への進学はかなわず、航空機などの設計会社に入社。夢が宇宙へと飛躍したのは、04年に米国のベンチャーが有人宇宙飛行に成功したことがきっかけだ。「民間が宇宙開発をやる時代が来た」と起業を決意した。
開発するエンジンの最大の特徴は、燃焼モードの切り替えが可能なことだ。離陸時は燃焼に必要な酸素を大気中から取り入れる「ジェットエンジン」モードで飛び、酸素が薄くなると内蔵の酸化剤を使う「ロケットエンジン」モードに変更。モード切り替えで12年に特許を取得した。子供時代からエンジン技術者だった父の実験に立ち会い、機器の構造図にも親しんできた緒川さん独自の技術だ。
ライバル社で英ヴァージングループの創業者、リチャード・ブランソン氏が主導する米国の「ヴァージンギャラクティック」は、ジェット機で宇宙機を一定の高度まで運んで切り離し、そこから宇宙機搭載のロケットエンジンで大気圏外に飛び立つ「二段式」。宇宙旅行の料金は1人25万ドル(約2800万円)だ。これに対し、PD社は一つの機体だけで宇宙空間へ一気に上昇する計画だ。同じ機体を使い回すことで大幅なコスト削減を実現し、将来は「1人40万円弱」の宇宙旅行を目指す。
PD社のもう一つの武器が緒川さんの行動力。経済産業省が開催を後押しした09年のビジネスコンテストで宇宙旅行事業を応募し、審査員でHIS会長の沢田秀雄氏に協力を直談判。ANAHDの片野坂社長が雑誌で「宇宙を目指す」と語ったのを見つけると、関係者を介して同社に接触、資本提携につなげた。
ヴァージンや米アマゾンの創業者といった著名起業家が支援している海外のライバル社は数百億円規模とされる資金力で、17~18年ごろの事業化を目指す。一方、PD社の資本金は約3500万円にすぎず、出資者をさらに募る必要がある。独自発想のエンジンもアイデアの段階で、実機を使った実証実験や耐久性、安全性の検証など課題は多い。
宇宙業界に詳しい桜美林大の橋本安男特任教授は「米国と比べ、日本は政府による支援や法整備も進んでいない」と指摘する。緒川さんもこうした課題は覚悟の上で「全部背負って進んでいる」と力を込める。
宇宙を見た子供たちが「地球で争ってはいけない」と平和な気持ちになってほしい--。宇宙にかける情熱で、外部の協力をさらに呼び込むことができるのか。夢への挑戦は続く。【竹地広憲】
ことば【PD社の宇宙旅行計画】
乗員・乗客計8人乗りの宇宙機を開発し、2023年12月の運航開始を目指す。高度15キロ付近でロケットエンジンを作動させ、高さ約50キロまで加速。その後は弾道飛行で高度100キロの宇宙空間に約5分間滞在する。料金は当初1人1400万円程度を想定している。