タイが好きなのに、辛い物が食べられない私は、タイに行くと食べる物を探すのが大変である。
観光客の多いところでは not spicy と言えば辛くしないでもらえる、という話はよく聞いていて、はじめはそれを連発していたのだが、そのうち ไม่เผ็ด(カタカナにするとマイペットなので覚えやすいが、発音は随分違う)を覚えて、使うようになった。どうも食べ物の名前のあとにそれをつければいいらしい。しかし、はじめから全然辛くない料理の時に言っても意味がない。
ソムタムという料理は「青パパイヤのサラダ」で、唐辛子を入れてすり鉢みたいなもので突くらしい。注文時にお好みで唐辛子の本数を言ってもいいらしい。私はマイペットで押し通そうとしたのだが、「ノー・チレー?」と聞き返された。「ソムタムに唐辛子入れるなってか?」みたいな、あきれた顔をされた。その後も何度か唐辛子抜きのソムタムを頼んで作るのを見てみたのだが、唐辛子1本も入れないのにすり鉢みたいなもので突く意味があるのかな? そもそも唐辛子抜きのソムタムって想定外なのかも?と思った。
ホテル近くのある店では、グーグルレンズでメニューを翻訳してから注文していた。ウエートレスさんが、ゆっくりな私を待っていてくれる雰囲気だったので、図に乗ってスマホ片手にメニューを研究していた。あるとき「豚肉と××の生姜炒め」なる料理を見つけ、マイペットで注文したのだが、ウエートレスさんが困ったような顔で「あの~、生姜ってちょっと辛いんですけど」みたいに言ってきた。ああ、生姜ね。辛いと言えば辛いけど、生姜には慣れているから大丈夫だと思い「生姜はOK」みたいに答えた。
待っている間、ひょっとしてこれは、生姜で風味づけた炒め物という程度じゃなくて、生姜がメインの炒め物なのでは?と不安になってきた。そして、、、その通りだった。豚肉と××(野菜)に対して負けてなるか位の千切り生姜がごっそり投入されていて、「~の生姜炒め」というより「生姜の炒め物」という感じだったのだ。初めは美味しいと思ったが、半分を超えたくらいから舌がピリピリして下唇が腫れそうになった。そもそも、この料理を「辛くなく」なんて無理な注文だったのだ。
細く千切りになった生姜、見えるかな?
豚肉をめくるともっと出てくる。。。
生姜の話は別として、親切な店では唐辛子🌶🌶🌶のマークで辛さのグレードを外国人が見てもわかるようにしてくれているし、マイペットと言えば本当に全然辛くない料理が出て来る。しかしこれでいいのだろうか。そもそも唐辛子を入れないとその料理として成り立たないものまで、マイペットをごり押ししている、私って嫌な外国人? タイ料理に失礼じゃないの? だって考えてみたら、砂糖が欠かせない日本料理を片言の外国人が「砂糖抜きで」と注文したら店の人は困ってしまうよね。
"not spicy" =マイペット と言えば何でも大丈夫なわけじゃない。もっと、タイ料理の名前を研究して、タイ料理に対して失礼にならない、上手な注文の方法を身に着けたいと思った。
この2か月でようやくタイ文字が読めるようになった私の、今年の抱負は『タイ語のメニューが読めるようになる』である。