p35〜36
彼は高校のときから「きもい」という幻聴や、人の視線が気になり始めた…家庭内での爆発がおさまらず、壁に穴があき、家族への暴言も繰り返され、そのたびに薬が増えるという悪循環…主治医とも相談の上、必死な思いで爆発予防の手段をとった。それが「話をしない」という対処法…
「いま、やりたいことはなんですか?」
「親と話がしたいです」
私は、この言葉が今も忘れられない。彼は爆発からの脱却と家族とのコミュニケーションの回復を、家族のなかでもっとも切望していたのである。
私が彼に伝えたのは、同じ苦労をしている仲間の経験からして「打つ手はある」ということだった。