まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

外来語の覚え方 (その2)

2010-05-02 20:12:11 | 教育のエチカ
先日、「レシピエント」 という派生語を覚えるために、
元の 「レシーブ」 に戻りましょうという話をしました。
それと似たような話を思い出したので忘れないうちに。
前回の授業では 「パターナリズム」 という単語もご紹介しました。
倫理学ではけっこう大事な概念です。
親が子どもの面倒をみるように専門家がなんでもしてあげることだと説明しましたね。
paternalism の元は pater というラテン語です。
このラテン語について、かの石原結實氏があの本のなかで説明されていましたので、
引用しておきましょう。

「「pater」 は、ラテン語でもギリシャ語でも、「父」 を意味する。
 「pa-」 には 「守護する」 「庇護する」 など 「守る」 という意味があり、
 その中には 「模範を示す」 という意味も含まれている。
 たとえば、
 patron (後援者、保護者)
 patrol (パトロール)
 patent (特許 = 発明者の技術を守る)
 の 「pa-」 は 「守る」 の意味であり、
 pattern (手本、模範)
 の 「pa-」 は 「模範を示す」 の意味となる。」

石原先生はいろいろなことに詳しい方ですね。
このなかで、patrol はただ (パトロール) と書いてあります。
男の子の大好きな 「パトカー」 の 「パト」 は 「パトロール」 の 「パト」 なわけで、
「パトロール」 だけでもなんとなく意味はわかるかもしれませんが、
ちゃんと日本語に訳すなら、「巡視、巡回」 となります。
つまり、見守りながら見回るのがパトロールなわけです。
やはり、「守る」 という意味が含まれているのですね。
このように考えると 「パターナリズム」 という語は、
「父親のように相手を庇護しようとする考え方」、
すなわち 「温情主義」 を意味するということがわかってくるわけです。
patriotism (愛国主義) との関連も見えてくるでしょう。

今回は、派生語の発生源の単語 (pater) に戻るだけでなく、
さらにそのなかの部品 (pa-) がどういう意味かということまで遡ることによって、
ボキャブラリーを増やしていく方法を紹介しました。
記憶を定着させるためには 「関連づけ」 が大事ですので、
一個ずつ覚えるのではなく、関連するものはいっぺんに覚えるようにいたしましょう。