まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

異文化交流プレゼン振り返りディスカッション

2012-12-15 17:46:20 | 教育のエチカ
一昨日の 「文化創造論」 では、「異文化交流プレゼン振り返りディスカッション」 を行いました。
それがどんなものかということは以前に書いたことがあるので、そちらをご覧ください。
何を話し合ったらいいか事細かに指定してある 「実施要領」 を配布し、
それにしたがってディスカッションをしてもらいます。


「異文化交流プレゼン振り返りディスカッション実施要領 

異文化交流プレゼンを振り返って以下の要領でディスカッションを行ってください。

①自己紹介 (大きな声でゆっくりと自分の氏名とチーム名、プレゼンの時の役割) …約2分
・全員が紹介を終えたら、タイムキーパー役を決める。

②グループ内のメンバー (5~6名) のチームのプレゼンを振り返って話し合い …約40分
・プレゼンを見た人たちから、プレゼンの感想(特によかったところなど)
・プレゼンをした人から、自分たちの狙いや補足説明など
・疑問に思ったことやもっと聞きたかったことについて追加の質疑応答
   ※各チームにつき7~8分ずつで全チーム (5~6チーム) について行う。

③グループのメンバー以外のチームから、内容面と形式面それぞれ1位を決定 …約15分
・できるだけ全部のチームのプレゼンを思い出しながら、それぞれのよかったところを話し合うようにし、たんなる多数決で決めたりしないこと。
・レポートに書いた1-②や③を参考にしてもよいが、新たにグループとして選出するつもりで、グループ全員が納得いくものを決めること。

④レポートの 「3.最後に」 を使ってフレーリーゲーム …約15分
・レポートを閉じたまま、時計回りに隣の人に渡す (順番が来るまで開いてはいけない)。
・トップバッターを決め、その人は手にしたレポートの 「3.最後に」 のところを開き、みんなに聞こえるように大きな声でゆっくりと読みあげる。
・読み終わったらすぐに、その自分が読んだ 「3.」 に対して、2分間コメントを述べる。
・その場で頭をフル回転させ、とにかく2分間は話し続けること。
・次の人も同じことをしていき、一巡したら異文化交流プレゼンというワーク全体を振り返っての感想や改善点などについて、最後のまとめの話し合いをする。」


ここまで細かく決めてあると学生たちも安心して話せるのでしょうか。
お互いにあまり親しくない、スポーツ、音楽、美術の混成グループでしたが、
どのグループも授業終了時間を忘れて話し合ってくれていました。
ディスカッション終了後、ワークシートに次のテーマで記入してもらいました。
「異文化交流プレゼン振り返りディスカッションを行って、それぞれのテーマ (②~④) に関して一番印象に残ったことや、このような話し合いをすることによって感じたことなどを詳しく書いてください。」
いくつか紹介しましょう。


「自分のプレゼンに関して感想をもらうことで、自分たちが伝えたいことがうまく伝わっていたのかということを確かめることができた。プレゼンをして終わりではなく、こうして話し合いを行うことは、プレゼンをしていた人間からはわからないことを聞くことができ、自己評価することができるので積極的に行いたいと感じた。1番良いと思うチームを話し合う場では、自分が見つけることのできなかった良さというものが多く知れた。なにげなく聞いていたところでも、そういうふうに聞けるような工夫が細かくあったのかと思うと、私ももっと意識して話したかったなーと感じた。自分の考えだけで終わってしまうことよりも、こうやって多くの人で伝え合う場を作ることで、考えを共有したり発見でき、学びがもっと深まるし、考え方が広がるのだと知ることができた。枠にとらわれず広い視点で物事をみれるように様々なことに触れていきたい。」

「②最初はぎこちなかったが、自分の話やグループ内でそれぞれのプレゼンに関して感想を述べるうちに和気あいあいとしてきて良かったなと思った。それで、ほめられると嬉しいし、ほめると嬉しそうな顔をしてくれるのでそこが印象的だった。詳しくきくと、他チームの質問から、自分が本当に伝えるべきこと、伝えたいことをしっかりもってみんな準備してきたのだなと感じることができた。裏話も聞けたり、質問できたりとよい機会だったと思う。
 ③それぞれ自分が1番心に響いているものは違っているなと改めて思った。でもこのチームのここが良かったからというのは共通していて、わりとあっさり決まったように思う。
 ④人の感想を見てみんな 「確かにな~」 と思ったようで、自分に重ね合わせて意見を述べる人がほとんどだった。みんな苦労はしたけど得るものは多く、学び次に生かしたいことも多かったようだ。他人の感想を読む、きくというのは新鮮で、でもおもしろいと思った。こうやって自分がいつもいる人とは違う人の話をきけるというのは今後大いに役立つ経験なのだと思う。」

「このような話し合いを通して、プレゼンでは伝えきれなかった魅力が伝わったのではないかと思う。また、プレゼン中に思った疑問を解決する場にもなり、この最後のディスカッションにより、プレゼンそのものがより深いものになったのではないかと思う。さらに④のフレーリーゲームでは、他人の意見を瞬時に判断する能力やそれをふまえてどのように自分の考えを導くかが求められているのではないかと思った。②~④の全体を通して強く感じたことは、異なる文化に触れることで、自分の考えや知識を深めることができ、より幅広い視野で物事を捉えることができるということである。これを機に、これからも多くの文化に触れいろいろなことを学んでいきたい。」

「各チームについての話し合いでは、それぞれ人によって感じることが違っていて、新しい観点からそれぞれのプレゼンについて見つめ直すことができた。また、チームの人の補足等も聞けて、プレゼンター自身が一番伝えたかったことをちゃんと知ることで、自分が聞いていた内容とそれが一致した時は、プレゼンターのやり方は間違っていなかったということになるなと思った。グループ内の人だけではあるが、改めて質疑応答の時間が確保されていて、プレゼンの時疑問に思ったことを解決できて良かった。私はスポーツを専攻しているが、スポーツではなく芸術などの人たちとコミュニケーションをとる時間は本当に貴重だなと感じた。スポーツとは違った観点から話を聞くことが出来て、新たな世界を知ることが出来た異文化交流になったと思う。
 フレーリーゲームではやはり、その場で自分の考えをまとめて述べることは難しいと思った。しかし、これは社会に出る時には必要不可欠な能力であり、これから慣れて、しっかり自分の考えを相手に伝えられるようにしなければと思った。
 人見知りなので、ちゃんと話せるか不安だったが、このような機会がこれから増えていって、人見知りも直していけたらいいなと思った。」

「自分でレポートを書きながら振り返っただけでもたくさんの発見ができたと感じていたが、他人の意見を聞くことで、よりたくさんの発見があった。自分が全然気にしていなかったポイントに注目していたり、自分とは違う印象を受けているところも多々あり、色々と考えるきっかけになった。
 また、自分のプレゼンに対する意見を聞けたこともとてもよかった。自分が伝えようと思ったことがしっかり伝わっている部分、そうでない部分が見つかり、これからの様々な機会に役立てることができると思う。また、自分がちょっと失敗したかなと思っていたところを逆に好評価してくれていた人もいて、受け取り方はひとそれぞれだと気づいてとてもおもしろかった。
 プレゼンはやりっぱなしでなく、その後の振り返りの仕方によってより収穫あるものにできると実感するきっかけになり、とても実りある時間だった。」 

「話し合いを進めていく中で、話がとぎれることなくディスカッションを行い、「あれはどうなの?」 っていう質問が次々と出てきた。問われた側も自分の専門なので、しっかりとした返答をしてくれた。
 フレーリーゲームでは、読んだあとに感想を述べるが、思ったことをそのまま話せたと思う。コミュニケーション力は、社会に出たときにとても大切になってくる。ここでの話すという作業は今後にも必ず活きてくると思うので、こういう機会を大切にしたいと強く感じた。
 話し方や声のトーンも重要で、相手がききとりやすい声なのかどうかも気にしていかないといけない。先生から前回あったプレゼンのポイント、心得と、今回のコミュニケーション能力を大切にし、今後の学習などに活かしていきたい。そして社会で恥じない力をつけていこうと思う。」

「このプレゼンを振り返るという作業によって、自分が発表した○○のプレゼンについての感想を聞くことができた。自分が伝えたかった○○の裏側を理解することができたという声があり、みんなの○○に対する考え方を少しは変えることができ、とても良かった。自分が伝えたいことが伝わるととても気持ち良いし、うれしかった。
 今日のグループで内容面と形式面の1位を決める時に、1つ1つのチームについて振り返り、自分がそのチームに思った印象だけでなく、みんなの考えを聞き、さまざまな見方ができるなと改めて思った。
 最後のフレーリーゲームでは、2分間話すことの大変さを感じた。感想を読んですぐにそれについての考えを言うのは、とても大変だが今後の自分にすごくためになるトレーニングだと思った。
 全体的に、この文化創造論の授業で多くのことを学べた。パワーポイントの作り方、人への物の伝え方など形式的なことも学べたし、この授業のおかげで専門だけになっていた視野を広げられた。大変な授業だったが、とても学ぶものが多くためになるものだった。」

「各チームの伝えたいことというのが、他の人の感想と一致しているものが多く、良いプレゼンだったと思う。その中でも疑問をもたせているところや新たな疑問がうかんだところも多くあった。そのような他者からの評価を聞くことで、説明不足だった点等が分かり、さらによいプレゼンにしていく上でとても重要な機会となった。
 ③を決める際に、それぞれ選んだチームが異なっていた。受け取り方や感じ方、視点などはやはり人それぞれであり、だからこそこのような文化の交流が意味をなすものになり、世界を広げるきっかけになるものになるんだなと思った。決定時にもみりょくを分かり合ったり、相手の意見を尊重しつつ話し合うことで、全員が納得する2つのチームを選出することができた。違う考えをもった人たちが話し合いの中で1つの答えを出すというように、意見の伝え方、聞き方も上達したと思う。
 最後に、スポーツと芸術は真逆なものだと思っていたが、本当は似ており、これらは 「人」 に感動など多くの影響を与えることのできるものだという締めで終わった。本当に色々なことを考え、学ぶことができた活動であったと改めて思った。」

「一番印象に残ったのは、小野原先生がとても慈愛にあふれた笑みで学生を見つめていたことですかね。
 さて、本題に入ると、一番印象に残ったことは、②で発表の感想を生で聞けたことである。発表して、レポート作って終わり。ではなく実際に見た人がどんな風に聞いて、伝えたいことがちゃんと伝わっていたか、確認できて本当によかった。又、上手くできていたのになぁ、と思っていたチームの人が実は準備不足があったなど、その不足を感じさせないフォロー力はすごいなぁ、と感じた、
 自分のプレゼンの良い所、ダメだった所を客観的に見れてよかった。ありがとうございました。」


プレゼンを準備したり実施したりというのはこの授業のなかでもメインイベント的な位置づけですが、
しかし、教育効果という点からすると、このディスカッションのほうが重要だろうと思っています。
この日は最初の20分ぐらいを使って、グループ分けをし、
ディスカッション実施要領を配ってやり方を説明したら、あとは全部学生任せです。
私は残りの70分間まったくやることはないので、最後の学生さんが書いてくれていたように、
あとはただ 「慈愛にあふれた笑みで学生を見つめていた」 だけでした。
そうやってボーッとしていただけだったにもかかわらず、
学生たちはこれだけたくさんのことを学んでくれているのですから、
教師としてはしてやったりですが、でもそれ以上に学生たちがすでにもっている底力に脱帽です。
さて、受講生の皆さん、授業の山場は越えましたがまだ授業は続きます。
最後はこれまでの学びを踏まえて、新しい文化を創造するミッションに取り組んでもらいます。
プレゼンとレポートが終わったからといって気を抜いたりせず、
最後まで出席するようにしましょう!