寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

密室にて…〓

2011年02月21日 09時30分56秒 | 日記
高辻役員は何度目かのタバコを灰皿にねじ込みました。チェーンスモーカーとは正にこの事をいうのでしょうか。大きなガラスの灰皿には鬼塚専務と合わせて既に山のようになっていました。
『…』高辻役員は時計をチラッと見ました。時刻はもう十時になります。二人はどこから手を付けてよいのか迷っていました。 昨晩あれだけ飲んだ酒が残っていても例年ならこんなに苦戦するはずはありません。
理由は黒田社長にありました。
…と言いましても元の起因はこちらにあります、まして抗議が通用する相手ではありません。
『この辺りからやるか…』
鬼塚専務が指を叩きながらおっしゃいます。
見れば総務部です。
のぞき込んで高辻役員は苦笑しました。
こんな毒にも薬にもならない部署は… 後でもいいじゃあないですか…そう思いました(笑)
『肩慣らしだよ…』高辻役員の横顔に言い訳するように鬼塚専務は言います…
(まっいいか!)高辻役員も結論をできるだけ先に送りたい心境でした。
『じゃあやるか!』『はい!』総務は簡単に終わりました(笑)
次は…そんな風に辺りをながめる高辻役員を励ますように『次営業だね』
『営業をやりますか!』
『うん…』 『じゃあ手始めに…』
言いかけて高辻役員の手が止まりました。
問題の第三部の資料がまず手にふれていたからです。
営業第三部…
例のお得意の事業撤退に揺れている担当部署です。現在亀田部長以下久保課長を含めて五名が在籍していました。
『亀田はかわいそうだな…』
『はい』
『あいつここは何年になっているかなぁ…』
亀田部長は鬼塚専務、高辻役員の子飼いです。特に高辻役員がまだ部長だった時代に部下として一人前に育て上げた人材でした。
それで鬼塚専務は気を回したのです。
『う~ん三年ですねぇ』
資料にはここの在籍年数まで記載されていました。

『久保課長が五年ですね』
『う~ん』再び高辻役員はうなりました。課長より在籍年数が浅くて先に替えられるのかなぁ~
営業第三部は元々お得意が少ない部署でした。 主となるお得意先は件(くだん)の事業撤退であります。 来期の売り上げが激変するのは火を見るより明らかです。今まで好調に出世してきた亀田部長には大きなマイナスポイントになります。
なんとしてもそれだけは避けなくてはなりません。
これは亀田一人の問題ではなく鬼塚専務や高辻役員の沽券にもかかって来ます。
『いい奴いないかなぁ』
つぶやく鬼塚専務はなんとしても亀田部長に泥をかぶらせたくない気持ちがあふれていました。
長年付き合ってきた高辻役員にはその気持ちがすぐに判りました。
『高城はどうでしょうか』
資料からチラッと見えた名前がたまたま高城課長でした。
『高城か…』つぶやくと鬼塚専務は天を仰ぎました。 口に出した高辻役員も思わず息を飲みました。
えらいこと言ったよな…
高城課長は押しが弱く営業のタイプとは言えません。唯一気配りが優れているのが長所でしょうか。。
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密室にて…〓

2011年02月18日 11時27分13秒 | 日記
新年の役員さんのお仕事は主に挨拶回りと相場が決まっています。
それのケリが付けば次は人事異動であります。
これは事業部が上手く回っていようがいまいが毎年必ず行います。
人を入れ替えることで組織の硬直化を防ぐためでしょう。もっと前向きに考えれば活性化を計るためです。
たちまち不都合な事態があればその都度異動はありますが、やはり四月一日付より…
これが定番であります。
組織表と首っ引きであーでもないこーでもない(笑)と一日缶詰でやっていますと最後は『どうでもよいぜ…』…そんな投げやりな人事配置も多かったのです(笑)
各自の査定を数値化されていてある面、役員さんは助かっている事でしょうね(笑)
数字の順番に並べていけばよいからです。(笑)………それでは専務室をのぞいてみましょう(笑)
老人は朝が早い(失礼)
八時から始まったお二人…鬼塚専務と高辻役員の人事査定は十時近くになっても一向に進みません。
去年は昼過ぎに終わって銀座に繰り込むには早いし(笑)と時間を持て余していらっしいました(笑)
今年停滞しているのは原因がありました。年明け早々に新社長…黒田社長から言われた事が原因でした。
あれは…一月四日でした。会社は五日からの仕事始めでしたが役員さんは一日前に本社に集合が恒例です。
役員幹部連中を前に黒田社長は会社方針を発表します。およそ三十分程度ですが、そのあと個別面談がありました。 三十人あまりの役員全員と話す訳にはいきませんから各事業部の責任者を捕まえます。
そして各事業部の中で鬼塚専務の事業部が一番話が長かったのですよ。
これにはわけがありました。
主力得意先の事業撤退が昨年暮れに発表されたからです。 先週お話をしました例の高城課長の件です。
お得意先の撤退で営業部門の廃止も考えられる事態ですが仮に営業の一部門が無くなるくらいでは社長が首を突っ込む話ではありません。 社長が口を出すのは工場でした。
この工場とはお得意先の依頼でわざわざ立てた工場だからです。一つの営業部門と新工場建設では人員の数も桁違いに違いますし設備投資に莫大なお金がかかっています。
噂では新工場の建設費には数百億の投資がかかっているようでした。そして 去年の夏場オープンした新工場はわずか半年で操業が激減しました。採算ラインははるかに下回ったままで十年間で償却する予定はスタートから狂いました。
そこへ撤退の発表がありましたから正に踏んだり蹴ったりです、この新工場で使った数百億は紙屑になるやも知れません。
超一流企業と言えども数百億は痛いでしょう。
もちろんこの新工場の建設にあたっては役員会に計っておりますし当時の社長や副社長にも承諾を取り付けています。
手順は踏んでいる訳ではありますがいかんせん流れが悪すぎます。
出来上がってわずか半年で閉鎖なんて前代未聞でしょう。
社内では当然責任問題が浮上してきました。
黒田副社長は就任していきなり大きな問題をかかえることになりました。
新工場の懸案と責任問題です。 巷では数百億の損失をどう補うか又かつての上司だった鬼塚専務や高辻役員の処遇をどう捌くか早くも見物(みもの)だ揶揄されていました。
鬼塚専務と高辻役員は休日返上でかけずり回りました。そしてようやく事業撤退は全てではなく一部分残していく。この話でまとめ上げたのでした。
実はこれには裏がありまして事業撤退には海外への生産拠点移行がありました。事業撤退は国内生産の縮小と海外生産への移行がお得意先の考えでした。
そこで妥協案として海外生産につきあうから新工場は何とか存続して操業を続けることを提案してなんとかその線で話をまとめたのでした。
お得意にしても当社の技術なしでは海外生産はできません。
それに海外生産には国内と違ってリスクが伴ってきますから国内生産を全廃するわけにはいかないのでした。お得意は゛エコパブル″以降の大きな売上げの落ち込みが読めなかったのでしょうか… 新工場はお得意の生産拠点の敷地内にありましたから 被害はうち(自社)の比ではありません。
最先端を走る商品を扱う難しさを改めて痛感させられた事件です。
…黒田副社長と鬼塚専務の話し合いはそんな感じで進んでいきました。 黒田副社長はこの懸案は進行中として処分は先送りとしました。
つまりお得意との経緯を熟知しているお二人を処分したあとの対応できる人材が思い当たらなかったのでしょう。
一方お二人…鬼塚専務と高辻役員はほっと胸をなで下ろす事ができましたが、この先新工場の操業や海外生産については相変わらず難題が控えていました。
黒田副社長は今回の懸案で一応はお二人を留任させたことでかつての上司と部下の関係は水泡に帰したことを感じました。
『もう二人は怖くないぞ』十年以上前のことですが、上司と部下の負い目はきれいに消えてしまいました。 それは話し合って最後に立ち上がった黒田副社長の態度に表れていました。
以前なら鬼塚専務に声を掛けてから席を立ったものですが、これを境に気をかけることなく振る舞われた態度…あれは前の社長ね立ち振る舞いと同じに見えた。 とのちに鬼塚専務は高辻役員に語っていらっしゃいました。
…今回は話どうりに聞いておきますが結果が出なかった時はご覚悟を…
席を立つ前の黒田副社長の顔はそう語っていました。
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密室にて…〓

2011年02月18日 09時50分46秒 | 日記
新年の役員さんのお仕事は主に挨拶回りと相場が決まっています。
それのケリが付けば次は人事異動であります。
これは事業部が上手く回っていようがいまいが毎年必ず行います。
人を入れ替えることで組織の硬直化を防ぐためでしょう。もっと前向きに考えれば活性化を計るためです。
たちまち不都合な事態があればその都度異動はありますが、やはり四月一日付より…
これが定番であります。
組織表と首っ引きであーでもないこーでもない(笑)と一日缶詰でやっていますと最後は『どうでもよいぜ…』…そんな投げやりな人事配置も多かったのです(笑)
各自の査定を数値化されていてある面、役員さんは助かっている事でしょうね(笑)
数字の順番に並べていけばよいからです。(笑)………それでは専務室をのぞいてみましょう(笑)
老人は朝が早い(失礼)
八時から始まったお二人…鬼塚専務と高辻役員の人事査定は十時近くになっても一向に進みません。
去年は昼過ぎに終わって銀座に繰り込むには早いし(笑)と時間を持て余していらっしいました(笑)
今年停滞しているのは原因がありました。年明け早々に新社長…黒田社長から言われた事が原因でした。
あれは…一月四日でした。会社は五日からの仕事始めでしたが役員さんは一日前に本社に集合が恒例です。
役員幹部連中を前に黒田社長は会社方針を発表します。およそ三十分程度ですが、そのあと個別面談がありました。 三十人あまりの役員全員と話す訳にはいきませんから各事業部の責任者を捕まえます。
そして各事業部の中で鬼塚専務の事業部が一番話が長かったのですよ。
これにはわけがありました。
主力得意先の事業撤退が昨年暮れに発表されたからです。 先週お話をしました例の高城課長の件です。
お得意先の撤退で営業部門の廃止も考えられる事態ですが仮に営業の一部門が無くなるくらいでは社長が首を突っ込む話ではありません。 社長が口を出すのは工場でした。
この工場とはお得意先の依頼でわざわざ立てた工場だからです。一つの営業部門と新工場建設では人員の数も桁違いに違いますし設備投資に莫大なお金がかかっています。
噂では新工場の建設費には数百億の投資がかかっているようでした。そして 去年の夏場オープンした新工場はわずか半年で操業が激減しました。採算ラインははるかに下回ったままで十年間で償却する予定はスタートから狂いました。
そこへ撤退の発表がありましたから正に踏んだり蹴ったりです、この新工場で使った数百億は紙屑になるやも知れません。
超一流企業と言えども数百億は痛いでしょう。
もちろんこの新工場の建設にあたっては役員会に計っておりますし当時の社長や副社長にも承諾を取り付けています。
手順は踏んでいる訳ではありますがいかんせん流れが悪すぎます。
出来上がってわずか半年で閉鎖なんて前代未聞でしょう。
社内では当然責任問題が浮上してきました。
黒田副社長は就任していきなり大きな問題をかかえることになりました。
新工場の懸案と責任問題です。 巷では数百億の損失をどう補うか又かつての上司だった鬼塚専務や高辻役員の処遇をどう捌くか早くも見物(みもの)だ揶揄されていました。
鬼塚専務と高辻役員は休日返上でかけずり回りました。そしてようやく事業撤退は全てではなく一部分残していく。この話でまとめ上げたのでした。
実はこれには裏がありまして事業撤退には海外への生産拠点移行がありました。事業撤退は国内生産の縮小と海外生産への移行がお得意先の考えでした。
そこで妥協案として海外生産につきあうから新工場は何とか存続して操業を続けることを提案してなんとかその線で話をまとめたのでした。
お得意にしても当社の技術なしでは海外生産はできません。
それに海外生産には国内と違ってリスクが伴ってきますから国内生産を全廃するわけにはいかないのでした。お得意は゛エコパブル″以降の大きな売上げの落ち込みが読めなかったのでしょうか… 新工場はお得意の生産拠点の敷地内にありましたから 被害はうち(自社)の比ではありません。
最先端を走る商品を扱う難しさを改めて痛感させられた事件です。
…黒田副社長と鬼塚専務の話し合いはそんな感じで進んでいきました。 黒田副社長はこの懸案は進行中として処分は先送りとしました。
つまりお得意との経緯を熟知しているお二人を処分したあとの対応できる人材が思い当たらなかったのでしょう。
一方お二人…鬼塚専務と高辻役員はほっと胸をなで下ろす事ができましたが、この先新工場の操業や海外生産については相変わらず難題が控えていました。
黒田副社長は今回の懸案で一応はお二人を留任させたことでかつての上司と部下の関係は水泡に帰したことを感じました。
『もう二人は怖くないぞ』十年以上前のことですが、上司と部下の負い目はきれいに消えてしまいました。 それは話し合って最後に立ち上がった黒田副社長の態度に表れていました。
以前なら鬼塚専務に声を掛けてから席を立ったものですが、これを境に気をかけることなく振る舞われた態度…あれは前の社長ね立ち振る舞いと同じに見えた。 とのちに鬼塚専務は高辻役員に語っていらっしゃいました。
…今回は話どうりに聞いておきますが結果が出なかった時はご覚悟を…
席を立つ前の黒田副社長の顔はそう語っていました。
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密室にて…〓

2011年02月17日 08時59分34秒 | 日記
時代は絶えず移りゆくものであります。
プロ野球の年棒交渉でも既に成績を数値化した査定で球団は契約更改していることを皆さんご存じでしょう。
今ではあれとまったく同じように会社も査定しています。
従いまして昨日紹介した話は前近代的な査定で少なくとも数年前には消滅しました(笑)
『よかった!これで俺も正当に評価してもらえるぞ』 不当な評価や身びいきに苦しめられていた有能な社員はさぞ喜ばれたことでしょう。
実際個人の査定を数値化するについては、今も議論があります。
どう言う事かと申しますと、仮に生産に携わっていて、生産の数値目標があります。それの達成率を細分化して十段階に評価するわけですが、生産部門は独立しているようでそうではありません。発注数量があり成果率がありまた人員の加減が加味されてきます。 他にも不可抗力が存在します。
つまり表面に現れて来る数字には必ず数値化不可能な部分を考慮しなくてはなりません。
ややこしい話ですがこの部分を精密に数字に置き換える事は不可能であります。
そこで上司の出番となるのです。
数字に表れた絶対評価が仮に8として…あと数値化しずらい部分を人が評価するわけです。
するとその人の評価が6とすると 合わせた総合評価は7になりますし、4ならぐんと下がって6か5になります。
つまりやっぱり鉛筆舐め舐めの世界は継続するのですね(笑)
考えて見れば人の評価が入らないと組織は目茶苦茶になるかも知れませんよ(笑)
だって上司の言う事を聞かなくても数字さえ上げていればいいのですから…
営業ならもっと複雑な部分があります。
先週ご紹介しました高城課長の場合です。
課長から部長は確かに昇進ですが、異動先の部門が得意先の事業撤退と明白になっていました。 まるで部門の閉鎖幕引のための部長職です…
数字は前年を基準にしていますから部長になるなりいきなり大幅なダウン評価は目に見えています。
数値化された査定なら恐らくゼロに近い査定になるでしょうね。
それを承知で部長を受けた高城課長は
数値化しづらい部分での人の評価を期待しているのでしょうか…
そこのところは高辻役員とどんな話し合いがなされたか想像するしかありませんが…

話を専務室に戻します(笑)
コーヒーを啜りながら鬼塚専務は査定書類に目を通しています。
高辻役員も専務が見終わった書類をながめていらっしゃいますが、目はどこか空ろな感じでした。
まず鬼塚専務がタバコに火を点けました。専務は超愛煙家であります。 高辻役員も所在無げにタバコを咥えていました。 広い専務室は見る見るうちにスモッグ化していきます(笑)
『う~ん』鬼塚専務が腕組みしながら唸ります。
『今年はどうも調子が出ないなぁ~』査定書類に一通り目を通したあとが続きません。
こんな場合は相棒の高辻役員がきっかけを作っていくのですが、今日に限って高辻役員も同じような雰囲気です。
お二人を倦怠感が覆っているみたいでした。
実はこれには訳がありました。。。
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密室にて…〓

2011年02月16日 09時01分39秒 | 日記
『お~いコ―ヒー頼むよ!』
受話器にがなりつけて鬼塚専務は振り返りました。
『高辻さんコーヒーでいいでしょ』
『ええ…』机いっぱいに広がった資料をながめて高辻役員は苦笑いです。 昨晩鬼塚専務と飲み過ぎたせいか青汁あたりが欲しいところでした。
『さあ!やるか…』ドラ声に慣れている高辻役員も今朝だけは鬼塚専務のエネルギッシュさに呆れ果てていました。
それにしても10階の専務室からの景色はいつ見ても飽きないものです。
この景色を眺めていれば少々のことはどうって事ないよ!と思えるほど清楚で透明感がありました。
特に澄み渡った年明けの朝は一段と見晴らしが雄大です。遠く新宿の高層ビル群が霞みにたなびく風情は正に絶景でした。
『富士山見えるでしょう…』
鬼塚専務がそばまできました。
年末に銀座で誂えたカシミアのスーツは新調でした。『ほ~う』なるほど近頃老眼鏡持参の高辻役員は遠くに見える富士山を目にして思わず声を上げていました。
『きれいでしょう』
『ほんときれいですなぁ…』
二人はそろって富士山に見とれていましたが心中は穏やかではありませんでした。そんな不安を解消するために昨夜はお互い痛飲したわけですが…
しかしお二人は酒で紛らすには荷が重い大きな課題を背負っていたのです。
しばらく見やっていた絶景の富士山もあきた訳でもありませんが、それで問題の解決をできるほど二人は楽天家ではなかったのですね。
お二人が机に差し向かって座った頃ノックがありました。
『はい!』ようやくやる気になった鬼塚専務は邪魔が入ったなぁ…そんな不機嫌さをもろに出して返事をしました。
『コーヒーをお持ちしましたが…』『あぁ…そうか!』
秘書の加賀見さんが入ってきました。 『失礼します』加賀見さんは国生さゆりに似た中々の美人ですよ…『あぁこっちへ頼むよ』
広い打ち合わせ用の机は書類の山でした…
『専務この辺りに置きましょうか(微笑)』
書類を前ににらめっこしている二人を眺めて加賀見さんはニッコリ微笑んでいました。
(ほんと仕方ないんだから…)
いたずらっ子におやつを届けに来た母親みたいなそんな感じです(笑)
置かれたコーヒーをチラッと見た鬼塚専務は『もういいよ…』すげなく言い放つとすぐに種類に目を落としました。書類は人事考査でした。
新年早々…ボーナスも済んだし、一体なにを?
実は来期の人事異動について検討をする日だったのです。
会社は事業部制ですから事業本部長の鬼塚専務が言わばこの事業部の社長であります。 そして事業部の副本部長の高辻役員が副社長か専務といった具合です。
今ここにナンバーワンとナンバーツーが雁首揃えたのは来年度の昇格と配置でした。
昔は鉛筆舐め舐めのご都合主義で計っていましたが、昨今はすべての勤務実績が数値化されていますので根拠の裏付けのない昇格や人事異動は難しくなりました。
以前は組織表二枚と社員名簿一枚あればそれで足りました。
組織表二枚です(笑)… 皆さん判りますか(笑)
…一枚は名前の切り取り用ですね。もう一枚は張り付け用です。
まず専務と役員がそれぞれに異動したい社員に赤鉛筆で×をつけます。
これは懲罰の印です。
次に赤鉛筆で○をつけます。
これは昇格ですね(笑)
係長→課長→部長→本部長と進めば一段落です。
秘書を呼び付けてコーヒーを飲みながら談笑です。
その間に秘書は印のついた名前を切り取るのです。
…つまり人事異動は発表のある前に既に秘書から丸分かりでした(笑)
コーヒーを飲み終われば今度は張り付ける作業です。 『あいつは生意気だ』とか『あれはいい奴だ…』などそれぞれがひいき筋を出して上げたり下げたりして貼り付けます。
『これはそろそろ上げてやらんとなぁ』
『じゃあこいつを止めましょう…』
『悪いなぁ借りだねぇ』
『ええ…じゃあこいつなんとかしていただけませんか』
『仕方ないなぁ…じゅあこれはやっぱりよすか…』
『すみませんね(笑)』
この話し合いには根拠となる数字のことは一切出ません。
全てはお二人の゛記憶力″と゛嗜好″によるものです。
これでよく組織が成り立つものだなぁ…と飽きれたり感心したりです(笑)。。。
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