すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【リーグ・アン 23/24 第1節】今季は南野のシーズンだ ~モナコ4-2クレルモン

2023-08-18 05:00:02 | その他の欧州サッカー
旧知の新監督を得て躍動する

 今季は南野拓実にとって「ラッキー・シーズン」になりそうだ。

 フランス1部のリーグ・アンは現地時間13日に第1節を行ない、モナコとクレルモンが対戦した。南野が2得点に絡む活躍をし、4-2でモナコが勝利した。

 モナコには今夏、新しい指揮官としてアディ・ヒュッター監督が就任している。ヒュッター監督は2014-15シーズンのザルツブルク時代に南野を指導している。指揮官からの南野への信認は厚い。彼にとってはベストな環境でプレイできそうだ。日本代表への復帰にも期待がかかる。

 南野はフォーメーション3-4-2-1のシャドーで先発した。クレルモンのフォーメーションも3-4-2-1。ミラーゲームだ。

 7分にホームのクレルモンに先制されたモナコは26分、同点弾を上げる。

 ロングボールを受けたヴァンデルソンが胸に当ててボールを落とす。これを受けた南野はひとつ触ってから、股抜きのパスをヴァンデルソンに返す。ヴァンデルソンはワンタッチでしっかり決めた。

 活気づくモナコは43分、左サイドでのスルーパスを受けたフォファナのシュートがポストを叩く。そのこぼれ球をベン・イェデルがワンタッチでゴールへ押し込んだ。逆転だ。

1アシストし決勝点にも関与する

 ところが後半に入り、53分にクレルモンがカウンターで同点に追いつく。

 これに対しモナコが突き放したのが70分だった。

 ボールを受けた南野が鋭いターンで前を向き、左からパス。ファーでこれをヴァンデルソンが折り返し、呼応したベン・イェデルがワンタッチで押し込んだ。モナコがふたたびリードした。

 その後、後半アディショナルタイムにもモナコが1点を追加してゲームセット。南野は85分までプレーした。彼は1アシストを上げ決勝点にも絡む活躍だった。

 今季の南野は2ライン間で間受けし、ボックス周辺でフィニッシュに関わるプレイが冴えている。そんな彼のツボを心得ている監督が就任してよかった。

 リバプールから加入した1年目の昨季は、リーグ18試合1ゴールと「音なしの構え」で終わった南野。厚い信頼の新監督を得て、今シーズンは期待できそうだ。

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【リーグ・アン 23/24 第1節】伊東が今季初ゴール、中村敬斗もデビューする 〜マルセイユ 2-1 Sランス

2023-08-16 05:10:08 | その他の欧州サッカー
速いテンポのプレッシングサッカー

 フランス1部リーグ・アンの開幕節が現地時間12日に行われ、スタッド・ランスはオリンピック・マルセイユと対戦した。試合は2-1でマルセイユが勝利した。ランスの日本人コンビ、伊藤純也が前半10分に先制点をあげ、後半15分からは新加入の中村敬斗がリーグデビューした。

 ものすごく速いテンポのプレッシングサッカーだ。たがいに激しくプレスをかけ合う。そのため2タッチ以内でプレーしないとたちまちボールロストしてしまう。当然、パスは強くて速くないと通らない。技術とフィジカルがモノを言うサッカーだ。

 スタッド・ランスのフォーメーションは4-2-3-1。彼らは両SBを高くあげ、2CBでビルドアップする。右SBを上げ、残りの3バックが右にスライドしてのビルドアップもある。またCBがボールを持ち運んで上がるプレイも見せる。

 彼らは前半、60%以上ポゼッションしてよく攻めた。何度かカウンターを食らったのものの、しっかり守り切った。そして前半10分、味方がヘディングした左からの山なりのボールを受け、伊東が右足ワンタッチでゴールに叩き込んだ。先制点だ。

堅守速攻のマルセイユがカウンターを狙う

 一方、マルセイユのフォーメーションは4-4-2だ。堅牢な守備重視で、相手にボールを持たせて抜け目なくカウンターを狙っている。マイボールにすると最終ラインを高くあげて一気に敵陣へ雪崩れ込むが、ボールを失うと素早くディフェンンディングサードまで帰陣する。トランジション(攻守の切り替え)が速い。

 SBからの長い対角のボールや、縦へのロングボールでダイレクトなビルドアップを志向する。あとは相手ボールを奪い、素早いポジティブトランジションからの速攻が売り物だ。

 23分にはそのマルセイユが同点弾を上げる。縦パスを受けた選手がワンタッチで右にボールをはたく。それを受けたフリーのアゼディン・ウナヒが、ワンタッチしてからゴール右スミに決めた。

 続く26分には、マルセイユがボールを奪って速いカウンターをかける。3人の選手が敵陣に入り込みパスを繋いだが、残念ながら結実しなかった。

 そして38分、スタッド・ランスの右SBフォケが長い縦パスを通す。サイドでボールを受けたアミル・リチャードソンは敵DFと正対し、フェイントを入れてからマイナスのパスを出す。伊東がワンタッチでゴールに突き刺した。だがこれはVARの介入で取り消された。リチャードソンに出たパスがタッチラインを割っていたのだ。

マルセイユがカウンタープレスを放つ

 1-1のまま後半に入ると、マルセイユが戦術を変えた。システムを4-3-3に変え、攻守ともに攻撃的に衣替えしたのだ。まずショートパスを繋ぎ、時折バックパスも絡めながらポゼッションするようになった。相手ボールに対しては前からプレスをかけてラインを高く保つ。

 そして敵陣でボールを失っても前半のようにはリトリートせず、その場でプレスをかけて即時奪回をめざすカウンタープレスを仕掛け始めた。奪えなければミドルプレスに転換する。彼らは引き分けでは満足しない。勝ち越し弾を狙っている。

 60分になるとスタッド・ランスの中村が途中出場した。リーグ・デビューだ。中村は左サイドに入り、伊東と両翼を構成した。彼は攻撃的に振る舞い、サイドチェンジして伊東にパス出しした。再三、敵陣に入り込み、78分には敵ゴールエリアに侵入して「あわや」のプレイも見せた。

 その後は攻撃的になったマルセイユがしっかり押し込む。かくて73分。敵陣右サイドからのスローインをペナルティエリア内で受けた途中出場のイスマイラ・サールがマイナスのパスを出し、敵の前に割って入ったヴィティーニャが右足でフィニッシュ。逆転に成功する。

 試合はこのまま2-1でマルセイユが押し切った。伊東が今季初ゴールをあげ、中村がデビューしたものの、スタッド・ランスは痛い黒星スタートになった。

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【移籍】浦和GK鈴木彩艶、「行くも地獄、残るも地獄」

2023-07-08 12:36:19 | その他の欧州サッカー
英マンUがオファーか

 浦和レッズでGK西川周作(37歳)の控えに甘んじる未来の大器、GK鈴木彩艶(20歳)に「輝ける未来」が見えてきたか? 鈴木の獲得に、英プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドが動いているという。

 マンUは長年レギュラーGKを務めてきたダビド・デ・ヘアとの契約が満了。退団が濃厚なため、インテルの元カメルーン代表GKアンドレ・オナナ(27歳)の獲得に近づいているといわれている。つまり鈴木彩艶はオナナの控えだ。

 鈴木は現状、浦和で西川の牙城を崩せてない。第2GKだ。さりとてマンUの誘いに乗っても、同じくオナナに次ぐナンバー2の地位しか手に入れられない。

 世の中は甘くないのだ。

 西川周作(37歳)の控えがいいか、それともアンドレ・オナナ(27歳)のバックアップか? という「行くも地獄、残るも地獄」状態に差しかかっている。

 27歳の控えよりは、37歳の控えのほうがまだマシか? という笑えない状態だ。

マンUは6年かけて鈴木を追っている

 実はマンUは鈴木獲得に向け、500万ポンド(約9億1700万円)を積んだ正式オファーを提示したともされる。

 しかも彼らは6年かけて鈴木を追っている。つまり2017年U-17ワールドカップを手始めに、先月に行われたU-22日本代表の欧州遠征にもスカウトを派遣している。

 なんと英紙「ザ・サン」によれば、鈴木との契約は「完了し発表間近だ」という。

 もしそれが事実だとすれば、日本の未来を担う大器・鈴木彩艶は「行くも地獄」を選んだことになる。

 確かにトータルで考えればGKの寿命は長いし、西川周作(37歳)の次を待っていてもラチが開かない。万一、レギュラーを獲れたとしても、それは「J1リーグの浦和」にすぎない。

 かたや若いアンドレ・オナナ(27歳)との競争になったとしても、もし勝てばあのプレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッドの正GKの座が転がり込んで来る。となれば、「行くも地獄」を選択するほうがポジティヴに見える。

 たぶん、鈴木彩艶はオナナとの対決に「自信がある」のだろう。

 男だねぇ、鈴木は。

 それでこそ未来の日本代表GKだ。

【追記】

 と、流れで楽天的に記事を結んだが……プレミアリーグでプレーするには、「外国人労働許可証」なるものが必要だ。

 こやつを申請し発行を受けるには(ここで記事・丸2本分くらいの説明が必要な)煩雑な条件がある。鈴木彩艶はこれをクリアする必要があるので要注意だ。

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【移籍】複雑な心境になる古橋のセルティック残留

2023-07-06 10:06:23 | その他の欧州サッカー
井の中の蛙で終わるのか?

 昨シーズン、スコットランドリーグのセルティックでリーグ得点王とMVPを取ったFW古橋亨梧(28)が、セルティックと新たに2027年6月までの4年契約を結んだ。

 トッテナムやバーンリーなどへの移籍のウワサが報じられていたが、どうやら成立しなかったようだ。いや噂に過ぎなかったのかもしれない。

 あるいはセルティックが設定した2500万ポンド(約46億円)もの移籍金がネックになったとも言われている。

 無責任な第三者としては、どうにも複雑な心境になる契約締結である。なぜならこの契約はいわば、古橋による「セルティックの星になります宣言」といえるからだ。

 28才の古橋とすれば、今回がステップアップのラストチャンスといえた。もし4年契約を満了すれば、彼は32才だ。もう遅い感じがする。

レンジャーズに勝つことだけが人生の目標になる

 古橋はリーグ得点王でMVPといっても、セルティックとレンジャーズFCの2強体制でしかないスコットランドリーグのなかでの結果だ。全体のリーグレベルは2強を除き、客観的に言って低い。

 そんななかで実質的にレンジャーズに勝つことだけが目的のセルティックのファンやOBとすれば、今回の古橋の契約締結は天にも昇る心境だろう。その環境で古橋が勝てば、スコットランドの人々にとって英雄にはなれる。

 だが遠くから見守る同じ日本人とすれば、やはり「どうにかならなかったのか」という思いがつのる。並外れた才能と能力がある選手だけに、大舞台で勝負してほしかった。ひとことで言って、「もったいない」という感じがする。

 おまけにセルティックは監督が変わったので、戦術も変わる可能性がある。それが必ずしも古橋に合うとは限らない。もちろんチームも新監督のもと、いままでと変わらず「勝てる」保証などどこにもない。

 一方、古橋は日本代表での地位も固めたとはいえず、中途半端な存在だ。同じく所属チームでもスコットランドリーグという中途半端な(失礼)場所で、お山の大将で天下を取って選手生命を終えるのだろうか。

 もちろん自分の人生をどう生きるかは、本人しだいだ。

 この選択が彼にとって最良のものになることを祈りたい。

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論争【移籍と年齢】伊藤涼太郎、25歳の海外移籍は遅いか?

2023-06-10 06:19:33 | その他の欧州サッカー
アルビレックス新潟のエース、移籍は成功するか

 私は6月4日付の記事『新潟MF伊藤涼太郎、シント=トロイデン移籍へ』のなかで、伊藤の海外移籍について触れた。

 そして「難しいのは『25歳』という伊藤の年齢である。シント=トロイデンを経由して5大リーグへ行くには年を取りすぎている。例えばシント=トロイデンから1~2年後に早くも5大リーグへ移籍、などというコースでなければステップアップも考えにくい」と書いた。

 つまりシント=トロイデンを経て更なるステップアップをするには、25歳では遅いのではないか? というわけである。

 ちなみにちょっと舌足らずだったが、私が5大リーグと書いたのはマンCやバルセロナ、バイエルンなどのことを指している。それらをイメージして「ステップアップ」と書いた。つまり厳密に言えば5大リーグの有名クラブのことだ。

 ところがその後、私のこの論旨と真逆の内容の記事が相次いでアップされたので、ちょっと反論してみることにした。

ネットと映像があるから25歳は遅くない?

 一本目は6月6日付の、西部謙司氏による記事『“今季前半のMVP級”伊藤涼太郎、わずかブレイク半年で欧州移籍の意味 5大リーグへのステップアップも近いか』(FOOTBALL ZONE)だ。

 西部氏はこの記事のなかで、ネットと映像を使ってスカウティングすることによって移籍が早期に成立するケース「だけ」をもってして、「25歳でもステップアップは遅くない」という意味のことをお書きになっている。

 だが移籍は映像だけでなく、縁もあればクラブの財政状態や、受け入れるクラブの成績、タイミング等、無数の要素によって左右されるケースも当然ある。

 つまり「映像を見た」だけで、必ずしも移籍が成り立つわけじゃない。

 ならば折悪しく縁がなく、時間がかかる移籍も当然あるだろう。つまり5大リーグの有名クラブへ更なるステップアップをするには、25歳での移籍で必ずしも間に合うとは限らないのだ。

スタッド・ランスは双六の「上がり」じゃない

 そして二本目は6月8日付の、元川悦子氏による記事『【伊藤涼太郎の海外移籍(2)】遠藤航、伊東純也に続く25歳での欧州挑戦。早期ステップアップの指標の一つとなるのは、ベルギーから躍進した三笘薫』(サッカー批評Web)である。

 元川氏はこの記事のなかで、「20代半ばで渡欧したのは、シュミット、遠藤航、伊東純也(スタッド・ランス)、古橋亨梧(セルティック)など限られた面々しかいない」と記述された上で、だが彼らは成功しているのだから25歳は遅くない、という意味のことをお書きになっている。

 けれどもシュミットは未だに「シント=トロイデン止まり」だし、遠藤は「シュツットガルト止まり」、古橋は「セルティック止まり」である。また日本であれほど大絶賛されている伊東ですら「スタッド・ランス止まり」なのだ。PSGじゃない。

 彼らは20代半ばで移籍して「トップに立った」とは言えない。

 つまり彼らは道半ばであり、25歳での移籍が遅いかどうか? は彼らの今後次第ということになる。まだ結論は出ていない。

 以上のように、海外移籍において25歳という年齢はやはり微妙なところなのだ。

主観的には成功を願っているが、客観的には……

 いや私が、「伊藤はシント=トロイデンを経由して5大リーグへ行くには年を取りすぎている」と書いたのは、もちろんそう願ってのことではない。

 むしろ主観的には「成功してほしい」と強く思っているし、だがしかし客観的に見れば「う-ん、微妙だなぁ」というお話なのだ。

 そもそも私は今季のJ1リーグの第1節を全試合観て、伊藤涼太郎のプレーを初めて目の当たりにした。そして今季を展望する『【J1リーグ・2023】優勝争いは横浜FM-川崎Fの変わらぬ構図だーー横浜FMの開幕戦以外、おもしろい試合がない』という記事を書いた。

 その記事のなかで、「唯一、『おもしろい』と思ったのはアルビレックス新潟のサッカーだった」と書いたのはほかならぬ私なのだから、伊藤の成功を願っていないわけはないのだ。

 がんばってほしい。

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【移籍】メッシだけは金満サウジを拒否した ~米インテル・マイアミへ

2023-06-08 09:10:53 | その他の欧州サッカー
バロンドーラーが続々サウジ行き

 オイルマネーをしたたらせるサウジアラビアが、資金力でバロンドーラ―を呼び寄せている。

 先陣を切ったクリスティアーノ・ロナウドは年俸290億2800万円でアル・ナスルへ、カリム・ベンゼマが年俸150億円でアル・イテハド、加えてルカ・モドリッチはアル・アハリと目下、合意間近だ。

 こんなふうにバロンドーラ―が続々サウジに集結している。

 なんでもサウジアラビアのスポーツ省は、オイルマネーを背景にスター選手を呼び寄せ、サウジリーグを世界トップ10にする計画だという。(実質は「年金リーグ」だが)

メッシは米インテル・マイアミへ

 しかしカネの誘惑を最終的に振り切り、サウジのそんな路線に背を向けた男がいた。同国アル・ヒラルと合意寸前まで行ったリオネル・メッシだ。

 メッシはサウジの誘いを断り、最終的にMLSのインテル・マイアミへの移籍を決めたのだ。

 彼はヨーロッパを離れてスポットライトを避け、住みやすいマイアミで家族を大切にしたかったようだ。またサウジの「リーグのレベル」も拒否した一因のようである。

 もっともメッシの移籍話にはアップルとアディダスが背後にいるので、メッシにとっても「実入り」は悪くないようだが……。

カネを取るか? ライフスタイルを取るか?

 思えばスター選手を集めた発足当初のJリーグも、欧州の選手たちから「年金リーグ」と呼ばれたものだ。

 しかし日本ならともかく、個人的には「年金」のためとはいえ、よく住みにくそうなサウジアラビアへ行くよなぁ、というのが率直な感想だ。

 その意味ではメッシの選択は、きわめて人間的な生き方のような感じがする。

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【ラ・リーガ 22/23 第33節】久保が決勝弾、Rマドリーを粉砕する 〜レアル・ソシエダ 2-0 レアル・マドリード

2023-05-03 11:13:22 | その他の欧州サッカー
久保、シーズン日本人最多得点記録を「8」に塗り替え

 レアル・ソシエダがラ・リーガ第33節で日本時間3日、レアル・マドリードをホームに迎えて対戦した。久保建英が試合を決める決勝弾を上げ、2-0でソシエダが圧勝した。

 フォーメーションはともに4-3-3。ソシエダの最前線は右から久保建英、スルロット、オヤルサバル。中盤左にダビド・シルバ。一方、マドリーの3トップはアセンシオ、マリアーノ・ディアス、ロドリゴだ。

 ソシエダは立ち上がり、積極的にハイプレスで入った。ブロック守備は4-2-2で対応する。一方のレアルはミドルプレスだ。この試合に対する両者の姿勢がよく現れている。

 両チームとも最終ラインからていねいにパスをつないでビルドアップし、ボールを保持しポゼッションする。サッカーのスタイルを大きく2つに分ければ、両チームとも似たタイプといえる。スペインのサッカーらしく、ゆったりとボールを繋ぐスタイルだ。

後半2分、久保が先制弾を放つ

 前半は両者無得点に終わり、勝負は後半へ。同2分。右サイドでボールを持ったミリトンがスルロットにハイプレスを受け、GKクルトワにバックパスした。だがミリトンは足を滑らし、このパスがミスになりボールはクルトワの横を素通り。これに久保が鋭く詰め、左足で無人のゴールへ叩き込んだ。

 続く同16分。マドリーのカルバハルがムニョスに危険なタックルをし、この日2枚目のイエローカードを出され退場処分になる。これでソシエダが絶対的有利に立った。

 10人になったマドリーは守備時4-4-1で対応。ソシエダの選手がボールを持つと、なんとハイプレスに行く。だがこれで陣形を広げられ、ますます不利になる。ソシエダが盛んにセカンドボールを拾っている。

 すると後半40分。ダビド・シルバが美しいダイアゴナルな浮き球のパスを出す。これを途中出場していたソシエダのバレネチェアが受け、右足でルーカス・バスケスの股を抜くゴールを決めた。2-0、ソシエダの勝利だ。

 久保は今シーズン8点目になる2試合連続ゴールでシーズン日本人最多得点記録を更新し、二ケタ得点も見えてきた。かたやチームは2連勝となり、チャンピオンズリーグ出場圏内の4位をキープした。

久保「僕は来季もソシエダにいる」と宣言

 これに先立ち、前日の会見でRマドリーのアンチェロッティ監督は「久保を獲得するか?」というメディアの質問に対し、「もちろん観察はしているよ。だが仮に獲得しても久保のポジションはない」という趣旨の発言をしていた。

 この日の久保のゴールはこのアンチェロッティ発言に対する強烈なアンチテーゼともいえ、事実、試合後の記者会見で、久保はハッキリ「僕は来シーズンも100%、ソシエダの選手です」と明言している。

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【ラ・リーガ 22/23 第32節】久保、股抜きのダメ押しゴールでMVP 〜オサスナ 0-2 レアル・ソシエダ

2023-04-29 08:07:43 | その他の欧州サッカー
シーズン日本人最多得点記録を「7」に伸ばす

 レアル・ソシエダは28日、第32節でオサスナと対戦した。試合は久保建英の股抜きシュートでソシエダが2-0の勝利を収めた。

 ソシエダは前節からローテーションを敢行、久保を温存し途中出場させた。スタメンはソシエダの中盤にはダビド・シルバ、スビメンディ、ミケル・メリーノ。前線にはアリ・チョー、カルロス・フェルナンデス、バレネチェアを配した。

 試合はいきなり立ち上がりの6分、シルバのスルーパスに抜け出したFWバレネチェアがクロスを入れると、オサスナGKセルヒオ・エレーラに当たったボールがゴールに吸い込まれ、オウンゴールでソシエダが先制する。

 そしてソシエダは後半の頭からオヤルサバルを起用、久保は1-0でリードした63分にアレクサンダー・セルロートとともに投入され、右サイドに置かれた。

 すると63分、自陣でのスローインを久保がフリックすると、受けたセルロートが右サイドを食い破る。左足のアウトサイドでクロスを入れたが、合わせたオヤルサバルのシュートはGKエレーラに防がれた。

 続く71分にはメリーノがスルーパスを出し、反応したオヤルサバルが左からアーリークロスを入れ、セルロートがシュートしたが惜しくも外れた。

 そして試合終盤の90分。大団円だ。セルロートがうまいポストプレーでボールを右へ。メリーノがペナルティエリア右へボールを送ると、ここで久保が左足をひと振り。敵守備者の股を抜くシュートをニアに叩き込む。ソシエダにとっては大きな追加点。試合は2-0で終了した。

 これで久保は今季ラ・リーガ で7ゴール目としMVPを受け、シーズン日本人最多得点記録をひとつ伸ばした。

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【FA杯準決勝 コラム】サッカーの歴史を見る思いがした 〜ブライトン0(PK6-7)0マンU

2023-04-24 08:51:17 | その他の欧州サッカー
古色蒼然としていたマンU

 FA杯の準決勝が23日に行われ、ブライトンとマンチェスター・ユナイテッドが対戦した。試合は0-0のまま延長戦でも決着がつかず、PK戦でマンUが勝った。

 なんだかサッカーの歴史を見るような思いがした。

 ブライトンは相変わらず敵をからかって誘い込むようなビルドアップをし、相手を食いつかせてから組み立てているのには笑った。

 そんな個性的なビルドアップや精緻なサイドチェンジ、鋭い縦パス、カウンターなど、ボールの動かし方やハメ方はブライトンの方に見るべきものがあった。ブライトンはサイドに開いてパスをよく呼び込んでいた。

 それに対しマンUは個がバラバラに戦っている感じで統制が取れてない。個々の局面での「個の戦い」はあっても、流れの中での展開がない。「たぶんカウンターのチームなんだろうな」と感じさせる程度で、チームのゲームモデルが見えてこない。ただプレイしているだけの感じだった。

 マンUは個の強さなどに見るべきものはあったが、「どんなサッカーをやりたいのか?」が感じられない。チームとしてはコンセプトも含め、戦術的にブライトンの方がよく出来上がっていた。

 マンUはまるで100年前のチームがタイムマシンに乗って現れて、「個」で戦っているようなクラシックな感じ。古色蒼然としていた。「サッカー歴史博物館」を見る、という意味では、確かに見るべきものはあった試合だといえるだろう。

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【ラ・リーガ 22/23】久保のシーズン日本人最多得点記録はどこまで伸ばせるか?

2023-04-14 05:10:55 | その他の欧州サッカー
8日のヘタフェ戦で「6ゴール」の記録を作る

 レアル・ソシエダのMF久保建英は、8日のヘタフェ戦で今季6ゴール目を上げた。

 これにより2017-18シーズンにMF乾貴士(当時エイバル)が記録した5得点を上回り、日本人のシーズン最多記録を作った。

 だが、この記録は久保にとっては単なる「通過点」でしかない。

 では久保による記録はどこまで伸びるのだろうか?

 おそらく自身のプレイスタイルに合ったソシエダにいる限り、記録は更新される可能性がある。

 もちろん今後、他のビッグクラブへ移籍した場合でもスタメン争いに勝ち、そのときまた新たに記録を伸ばす可能性は大いにある。

 そう考えれば今回の「6ゴール」という記録は、本当に単なる通過点でしかない。

 いったい久保はこの記録をどこまで伸ばすのだろうか?

 久保の今後に期待したい。

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【ラ・リーガ 22/23 第28節】久保が1Gで日本人シーズン最多得点を飾る 〜レアル・ソシエダ 2-0 ヘタフェ

2023-04-10 08:56:40 | その他の欧州サッカー
ソシエダが圧倒的に試合を支配する

 ラ・リーガ第28節、レアル・ソシエダ対ヘタフェが現地時間8日にエスタディオ・アエノタで行われ、ホームのソシエダが2-0で勝利した。60分に久保建英が今季リーグ戦6ゴール目を決めている。これにより日本人シーズン最多得点記録を作った。

 ソシエダのフォーメーションは4-3-1-2。2トップに久保とミケル・オヤルサバル、トップ下にダビド・シルバを置くシステムだ。

 ソシエダは圧倒的に試合を支配し、ポゼッションした。40分にブライス・メンデスがシュートするが果たせず。また44分にはPKを獲得。ミケル・オヤルサバルが打ったシュートはGKに止められてしまう。

 だが前半のアディショナルタイムに味方のスルーパスに反応したブライス・メンデスが、ワントラップしてシュート。GKが弾いたところをオヤルサバルが押し込んだ。先制点だ。

60分に久保が待望のゴールをゲット

 52分にはダビド・シルバが中央をドリブルし、右にいたブライス・メンデスにパス。メンデスは右に開いた久保に渡す。久保はマーカーを前にドリブルしながらゴールに向かい、左足でシュートを放つが左にそれた。

 また59分にはダビド・シルバが巧みなドリブルで中央を切り裂き、ロングシュートを放つがGKに止められる。

 そして60分。ソシエダは鮮やかなパスワークで左サイドを蹂躙すると、最後はオヤルサバルからミケル・メリーノにボールが渡る。メリーノは左足でゴール前の久保にパス。久保はこれに左足で合わせ、GKの逆を突いて決めた。

 ピッチには久保のゴールを祝福する歓喜の輪がドッと広がった。

 これによりソシエダは2-0で堂々の勝利を収めた。

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【移籍事情】フランクフルト鎌田大地の移籍はどうなるのか?

2023-04-07 06:54:16 | その他の欧州サッカー
バルセロナかアトレティコ?

 フランクフルトとの契約が6月末で満了するMF鎌田大地の移籍話が、ホットな話題になっている。

 当初、「ドルトムントで決まり」といわれていた鎌田の移籍だが、いまや霧の中をさまよっている。

 今週辺りから「鎌田はドイツ国外を希望しているようだ」ってな話が浮上し、ドルトムントの話はあえなく立ち消え。「本人はスペインが視野にあるよう」との観測で、今度はバルセロナとアトレティコ・マドリードが浮上してきた。

 なんでもアトレティコのほうが、より乗り気らしい。

 いずれにしろ鎌田本人の移籍の意志は固いよう。フランクフルト側は何度も契約延長を鎌田サイドへオファーしてきたが、ついにフランクフルトは契約延長オファーを取り下げた、と複数のドイツメディアが報じている。

 となれば契約が満了する6月末で、鎌田は移籍金が発生しないフリートランスファーでの移籍ができることになる。

 そもそも最新情報でバルセロナとアトレティコの名前が挙がっている理由というのも、財政難で懐事情がある両チームにとって「鎌田はお安く手に入る」というのがキモのようだ。

 うーん、アトレティコかぁ……。

 個人的にはプレミアリーグへ行ってほしいのだが。

 まあ鎌田自身はまだ何も語ってないんだから期待していよう、っと。

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【ラ・リーガ 22/23 第27節】久保のビジャレアル戦、つくづく日本のメディアは当てにならない

2023-04-05 12:51:19 | その他の欧州サッカー
久保建英のプレイを盛んに持ち上げるが……

 ラ・リーガ第27節、ビジャレアルvsレアル・ソシエダ戦。日本のメディアがこの試合でのFW久保建英のプレイをしきりに持ち上げていたので観てみた。

 すると試合はビジャレアルが一方的に押し込む展開で、トランジションの速さなどビジャレアルのよさばかりが目立つ内容だ。確かにソシエダの守備陣は忙しかったが、攻撃の駒である久保がボールに触るシーンなど数えるほど。

 久保の見せ場はバーを叩いたシュートの一撃と、右サイドからクロスを入れたシーンのふたつ程度だった。

 それでも日本のメディアはSNSでの書き込みをそのまま引用し、「久保がキレキレだ!」「体幹がたくましくなった!」などとしきりに持ち上げている。だが正直、観ていてアクビを抑えるのに苦労した。

 かくて久保は、最後は途中交代。試合は「2-0」の敗戦。スペイン現地紙の「久保のデキは並みだった」という評価が妥当だろう。

 確かに久保はハイプレスでのチェイシングではよく走っていたが……それにしてもよく倒れる選手だ。すぐ自分から倒れてプレイをやめてしまう。

 つくづく日本のメディアは当てにならない。スターを作って商売しようという日本の「スターシステム」をまざまざと見せつけられた。

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【FA杯5回戦】三笘がドリブル封印。新スタイルを開拓 ~ストーク 0-1 ブライトン

2023-03-02 05:21:02 | その他の欧州サッカー
「ハーフスペースの魔術師」と化す

 三笘薫といえば、大外を「くねくねドリブル」で突き進むイメージがある。実際、このスタイルでプレミアリーグでも無双してきた。だが各チームの「三笘対策」が進み、消える試合も次第にちらほら。

 そこで三笘は2月28日に開催されたFA杯5回戦のストーク戦で、「対策への回答」を鮮やかに出して見せた。

 4-2-3-1の左SHに入った三笘は、この試合唯一の得点を演出した。

 前半30分。CBルイス・ダンクが中央やや左のスペースにスルーパス。三笘はそれに呼応して裏抜けし、GKを引きつけてから真ん中に折り返すと、FWエバン・ファーガソンが無人のゴールにボールを流し込んだ。

 この試合、彼は「三笘といえば大外レーン」のイメージを捨て、ハーフスペースを縦横無尽に躍動した。またセンターレーンで裏抜けするというFWみたいな動きまで見せた。

 こうなればマーカーからすると、「次は得意のドリブルか? それとも裏抜け? パスか?」と、三笘の次のプレイを読めなくなる。迷いが出る。そうなったらもう三笘の独壇場だ。

 ついに「ゾーン」に入りつつある三笘。次はいったいどんなプレイを見せてくれるのだろうか?

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【ラ・リーガ 22/23 第23節】なぜ久保は消えたのか? ~バレンシア 1-0 レアル・ソシエダ

2023-02-28 05:00:00 | その他の欧州サッカー
久保にはマーカーが2枚ついた

 久保建英が所属するレアル・ソシエダは現地時間2月25日、ラ・リーガ第23節でバレンシアと敵地で戦い、0-1で敗れた。期待の久保は降格圏の19位に落ちていたバレンシアを相手にほとんど試合から消え、まったく輝けなかった。

 このゲームでソシエダのイマノル・アルグアシル監督は4-3-3のフォーメーションを採用し、久保はその右ウイングに入った。

 一方、この試合、バレンシアはある対策を用意してきた。それは「久保にボールが入ればマーカーを2枚つける」というものだった。

 このため久保はボールを保持しても自由にプレーできなかった。で、彼はマークを嫌がり、逆サイドの左へポジション・チェンジしたり、センターに移動したりした。だが、思うように行かない。

 かくて前半40分、それでもポゼッション率60%だったソシエダは相手のカウンターを浴び、敵のクロスをクリアしようとしたDFイゴール・スベルディアのオウンゴールで失点した。

 この難局を打開しようとソシエダのアルグアシル監督は、後半に入るとフォーメーションを中盤ダイヤモンド型の4-4-2に変え、久保をトップ下にもってきた。

 だが結局これもうまく行かず、久保は消えたまま。彼は後半28分に交代となり、試合も落としてしまった。

オフ・ザ・ボールがダメな久保の欠点が出た

 ではなぜ、久保は輝けなかったのか? それは持ち前の欠点が出てしまったからだ。

 久保はもともとオフ・ザ・ボールの動きがダメで、ボールのないところでは「我関せず」だった。ボールを持ってこそ輝く、典型的なボールプレイヤーなのだ。

 当然、守備の意識にも乏しく、相手ボールになったら歩いているような選手だった。

 また自分にしつこいマークがつくととたんにプレーがイヤになり、ちょっとチャージされるとプレーをやめてしまう。で、大げさに倒れてファウルをアピールしたりしていた。

 レアル・ソシエダに来るまでの久保は、こんなふうだった。

「天才」というものは、気まぐれなものなのだ。

カタールW杯がバネになり生まれ変わった

 ところが久保はあのカタールW杯で思ったように出場できず、くやしい思いをした。それが大きなバネになり、W杯後はまったく別人のように変わった。いい意味でガムシャラにプレーするようになったのだ。

 例えば味方がボールを保持すると、絶えず自分にボールを呼び込むオフ・ザ・ボールの動きをする。止まらず、献身的に走る。また相手ボールになれば懸命に守備もした。

 これにより彼はカタールW杯後、自リーグで生まれ変わったように活躍した。このあたりの変遷は、この記事でも分析した通りだ。

 だがこのバレンシア戦、ボールをもった久保には2枚のしつこいマークがつき、またぞろ彼の病気が出た。要所でプレーをやめてしまったのだ。

 これは最近、対策されて封じられることが多くなったプレミアリーグ・ブライトンの三笘薫にもいえることだが……本当に優れた選手というものは、策を講じられてこそそれを乗り越え活躍するものだ。

 その意味では対策されるようになった久保は、やっと一人前。これからが勝負である。

 久保はどうやってマーカーをかいくぐり、「自分を出す」のか?

 しっかりと見届けさせてもらおう。

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