すちゃらかな日常 松岡美樹

積極財政などの政治経済をすちゃらかな視点で見ます。ワクチン後遺症など社会問題やメディア論、サッカー、音楽ネタも。

サッカーメディアは三笘と久保の「ベタ褒め」をやめろ

2023-02-25 05:00:00 | その他の欧州サッカー
歯が浮くようなお世辞ばかり

 さすがにもう、うんざりしてきた。

 何がって、ネット上で連日くり返されている、サッカーメディアの三笘や久保への絶賛ぶりが、だ。

 だいたいパターンは同じ。

 客観性などない、ベタベタな褒め方が多い。

 たとえば海外の地元紙をそっくり引用し「イングランドのあの名将も三笘をこう礼賛している」みたいなパターンばかりだ。

 読むと褒め方がどれも抽象的で、どーでもいいお世辞みたいな内容がズラリ。突っ込んだ具体的なプレイの分析があるわけじゃなし。「ジャーナリズム」などとはまるでかけ離れている。「これは広告じゃないのか?」と思うような書き方が八割方である。

 まったくうんざりする。

 ひょっとしてメディアが選手についてるスポンサーと結託し、絶賛報道することで三笘や久保の「株価」を釣り上げようとしてるんじゃないか? などと思わず疑ってしまうほどだ。

 まあ、アクセスが取れるからやってるんだろうけど……。

 おかげでタイトルに「三笘」または「久保」と入ってる記事は、サッサと読み飛ばすようになってしまった。

 やれやれ。

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【ブンデスリーガ 22/23 第20節】トランジションがすべてを決める ~ケルン 3-0 フランクフルト

2023-02-24 03:35:02 | その他の欧州サッカー
息もつかせぬ切り替えの速さ

 少し時間がたつが、とんでもなくおもしろい試合だったので取り上げよう。ドイツ・ブンデスリーガのケルンが、カウンターとセットプレーで強豪フランクフルトを3-0で下した第20節のゲームである。

 この試合、何がおもしろいってトランジション(攻守の切り替え)とボールスピード、そしてプレイスピードがハンパなく速くて息もつかせぬ展開だった。試合が終われば思わずぐったり。心地よい疲れ、ってこういうのを言うのだろう。

 さてケルンのフォーメーションは4-2-3-1だ。スタメンはGKがマルビン・シュバーベ。4バックは右からベンノ・シュミッツ、ティモ・ヒューバース、ユリアン・シャボ、ヨナス・ヘクター。

 CMFはエリス・スキリとエリック・マルテル。2列目は右からリントン・マイナ、デニス・フセインバシッチ、フロリアン・カインツ。ワントップはシュテフェン・ティゲスだ。

 一方、フランクフルトのフォーメーションは3-4-2-1。GKはケビン・トラップ。3バックは右からトゥタ、長谷部誠、エバン・ヌディカ。

 CMFは鎌田大地とジブリル・ソウ。右WBはアウレリオ・ブタ、左WBはフィリップ・マックス。2シャドーはイェスパー・リンドストロームとマリオ・ゲッツェ。ワントップはランダル・コロ・ムアニである。

敵CKからロングカウンターを決める

 まずケルンの1点目は後半4分、左CKから。ショートコーナーでキッカーのカインツはマイナとワンツーし、ゴールに向かう強くて速いプラスのクロスを送る。これをヒューバースがヘッドで沈めた。

 続く2点目は後半26分だ。フランクフルトの左CKを弾き返したケルンが、ボールを収めてロングカウンターをかける。マイナが横パスし、途中出場のサルギス・アダミヤンがシュート。これはフランクフルトのGKトラップに防がれたが、こぼれ球をスキリがヘッドで押し込んだ。

 このカウンターは、まるでロシアW杯で日本がベルギーに食らった素早いロングカウンターそっくりでおもしろかった。

 さて最後の3点目は後半41分。左サイドから入れたアーリークロスがクリアされたが、ペナルティエリア内にいたスキリがワンタッチで右足でのシュートを決めた。これでスキリは「ドッペルパック」(ドイツのサッカー用語で「2得点すること」)だ。

 この試合、今シーズン好調のフランクフルトが前半に2度の大きなチャンスを得たが、決めらなかった。すると絵に描いたように流れがケルンに傾き、速いカウンターと2度のCKがらみで3点を取り見事に勝利した。

 ケルンはリズムが非常に歯切れよく、スピーディでクイック。運動量が多くハードワークする。テンションが高くて血管ブチ切れそうだった。特に相手の力を利用したロングカウンターには目を見張った。とても12位にいるチームには見えない。いっぺんでファンになりました。ハイ。

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【ラ・リーガ 22/23 第21節】久保建英が1ゴール&敵OG誘発 〜エスパニョール 2-3 レアル・ソシエダ

2023-02-15 09:26:12 | その他の欧州サッカー
ソシエダが3点先取し突き放す

 現地時間13日に開催されたラ・リーガ第21節で、久保建英のレアル・ソシエダがエスパニョールと敵地で対戦した。4-3-3の右WGでプレーした久保は先制ゴールを上げたほか、クロスで敵のオウンゴールを誘発する活躍をした。

 エスパニョールは割り切って後方からロングボールやアーリークロスを入れてくる。それをレアル・ソシエダが拾って攻める、という展開になった。

 ソシエダはグラウンダーのボールで丁寧にビルドアップするほか、サイドへの放射状の浮き球も使って組み立てる。それに対しエスパニョールは4-4-2で守備をしている。

久保が左足で弾丸シュートを放つ

 すると前半23分。左サイドからイジャラメンディが入れたクロスにFWスルロットが頭で触ったボールを、久保がペナルティエリア内右でワントラップ。ワンバウンドさせたボールに左足を一閃。矢のような弾丸シュートがニアサイドに突き刺さった。今シーズン4点目だ。

 続く36分には、久保の中央からのドリブル&パスがペナルティエリア内左にいたオヤルサバルに渡る。オヤルサバルはスルロットにパスしてスルロットがシュートするが惜しくも右に外れる。

 そして後半6分。左サイドのオヤルサバルからのクロスをスルロットが右足でシュートし、ソシエダが2点目を取る。

 一方、後半18分。久保が右サイドから左足でクロスを入れると、これにヘディングで対応しようとしたカブレラのオウンゴールを誘発する。3-0だ。

 このあとエスパニョールがいい展開を見せ、2点をあげて追撃するがそこまで。レアル・ソシエダが貴重な1勝を上げた。

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【ラ・リーガ 22/23】久保建英はソシエダで自分を磨け

2023-02-08 07:47:02 | その他の欧州サッカー
久保がマドリーに行く?

 国王杯準々決勝のバルセロナ戦と、ラ・リーガ第19節のレアル・マドリー戦でレアル・ソシエダの久保建英が健闘し、「マドリーは久保を呼び戻すのでは?」などという憶測記事がさかんに乱れ飛んでいる。

 だが私はまったく反対だ。

 苦しい移籍を繰り返した久保は、やっとソシエダという自分にぴったりの帰るべき故郷を得たのだ。彼は少なくともしばらくは、ソシエダで自分をレベルアップさせるべきだ。

久保が生きるソシエダのスタイル

 ソシエダは2月7日現在、リーガにおいて勝ち点39で堂々の3位。おまけにダビド・シルバという「先生」までいる。久保にとっては自分を磨ける格好の環境だといえる。

 しかも久保はソシエダのスタイルや戦術にぴったりフィットしている。

 ソシエダのフォーメーションは多くは4-4-2、4-3-3だ。ときに彼らは敵のビルドアップに対し、マンツーマンでハイプレスを敢行する。そしてボールを奪えば素早いポジティブ・トランジションから相手ゴールに殺到する。

 とはいえ彼らの最大の持ち味は、最終ラインから丁寧にボールをつなぐビルドアップから生まれる。アンカーが下がってボールを受け、インテリオールと前線の選手がオフ・ザ・ボールの動きでパスコースを作る。

 こうして演出される彼らの小気味よいポゼッションサッカーに、久保は永久(とわ)の棲み家を得たかのような活躍をしている。

欠点が修正された久保

 ソシエダ以前の久保はオフ・ザ・ボールに対する意識が低く、ボールがない所では「我関せず」だった。典型的な「ボールプレーヤー」だった。

 敵の守備を受けるとオーバーに倒れて両手を広げ、プレイをやめてしまいファウルをアピールしてばかりいた。なんとそれがいまや素早いネガティブ・トランジションから、相手ボールへさかんにプレッシングしているのだ。

 チームのパスワークの核は久保であり、もちろんゴールを取る動きもする。彼の欠点だったオフ・ザ・ボールの動きのなさや守備意識の低さはすっかり修正された(インテンシティが高くないのは相変わらずだが)。献身性を身につけた彼は、今やチームが描く絵にぴったりマッチしている。

 そんなせっかくおいしい時期の久保が、レアル・マドリーに移籍してベンチを温めるなど絶対に反対だ。マドリーにいるのはアセンシオやビニシウス、ベンゼマといった「化け物」ばかりであり、久保がポジションを争うには時期尚早だ。

 久保はソシエダという身の丈に合った「天の恵み」を生かし、グンと成長してほしい。

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【ラ・リーガ 22/23】久保建英はオフ・ザ・ボールを磨け

2022-06-10 05:44:19 | その他の欧州サッカー
マドリーが放出を検討か?

 レアル・マドリードが、MF久保建英の放出を検討しているという。

 久保は2019年夏にマドリーへ移籍し、マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェと、スペイン各クラブへの期限付き移籍を経験した。いわば「修行の身」だ。

 だがマドリーのEU圏外枠はヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ、エデル・ミリトンの3人でガッチリ埋まっており、久保は2022/23シーズンもマドリーでプレイするのは難しい。

 才能のある選手だが、マドリーとしては契約が残り短くなってきたため「尻に火がついた」状態なのだろう。

オフ・ザ・ボールが物足りない

 久保といえば「ボールをもってこその選手」であり、逆にオフ・ザ・ボールが著しく物足りない選手だ。

 例えば、接触プレーになると「ファウルだ!」と両手でアピールしながらすぐピッチに倒れてプレーをやめる。

 ボールを失うと、あっさりプレーを止めてしまう。

 守備の役回りになっても二度追い、三度追いがない。

 観ている監督としては、いちばん「使ってやろう」と意気に感じさせられないタイプの選手といえるだろう。

 ボールさえ持てばあれだけ技術があるのだから、オフ・ザ・ボールとの落差がイヤでも目立ってしまう。監督とすれば「手を抜いているのではないか?」と思えてしまう。

 日本代表チームでも先日のパラグアイ戦で、ボールを失うと途端に足を止めてプレーをやめるクセが散見された。

 もちろん「守備の技術を磨く」などという宿題はあるが、久保はその前にオフ・ザ・ボールに対する意識そのものを変える必要性があるのではないか?

 まだ若いのだからがんばってほしい。

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【カタールW杯】またハリルが代表監督をクビになりそうだ

2022-04-09 13:11:45 | その他の欧州サッカー
倒されても倒されても蘇るゾンビ監督

 日本でもコートジボワールでも、ワールドカップ直前に監督を解任されているハリルがまたクビを切られそうだ。今度はモロッコである。

「自分の考え」に基づき見事チームをワールドカップに導いては、そのたびにサッカー協会とトラブってクビになる名物監督のハリル。

 何度クビを切られようが、彼は絶対にだれをも忖度しない。

 相手がスポンサーであろうが、協会であろうが。

 おもしろいよねぇ。

 ハリルなら、ドイツとスペイン相手にワンチャン嵌めてくれるんだろうな。

 ハリルが日本代表で本田と香川を切ったのは正しかったし、縦に速いショートカウンターを志向したのもまったく理にかなっていた。

 そう考えるとハリルの正しさは、常に終わったあとに「歴史が証明する」のかもしれない。

 大好きだなぁ、このアクの強い嫌われキャラのおっさん。

 戦術の話でもしながら、いっしょに酒を飲みたいなぁ。

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【移籍問題】堂安はPSVに残留、中島翔哉はレンタルでポルティモネンセへ

2021-08-31 12:08:27 | その他の欧州サッカー
また代表で2人の絡みが見たい

 東京五輪で久保とともに日本のエンジンになった日本代表の堂安律が、数クラブとの移籍交渉がまとまらず、結局、PSVに残留することになった模様だ。

 記事によれば、要は堂安は「高すぎ」て話がまとまらなかったということ。

 心配なのは、彼はPSVで試合に出られていないため、今後も飼い殺し状態になるのではないかという点だ。

 レンタルでもいいからとにかく出場機会を得て、ぜひ第一線でプレイし続けてほしい。選手はプレイを絶やさないのがいちばんだ。

 一方、一時期代表でコンビを組んでいたポルトの中島翔哉も、すったもんだの末にポルティモネンセへの期限付き移籍が決まったばかり。

 中島も移籍でモメて一時はどうなるかと思ったが、まずはよかった。

 ぜひまた日本代表で2人のコンビネーションが見たいものだ。

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【ラ・リーガ 20/21】久保建英、アーセナル入り? オフ・ザ・ボールを改善せよ、話はそれからだ

2021-05-01 06:28:57 | その他の欧州サッカー
ズレまくるマスコミの論調

「久保建英がアーセナル入りか?」などと一部で報道されているが、まったく頭がどうかしてるとしか思えない。

 なぜならあのプレミアリーグは、フィジカルのない久保にいちばん向かない世界だからだ。

 激しい球際の競り合いで「ポーン」とカンタンに弾き飛ばされ、例によって(トランジションをまったく無視して)芝生にドーンと大の字になり、両手を広げて「今のはファウルだろ?」などと審判にアピールするのが関の山だろう。

 いつもの通りだ。

 久保は競り負けしないフィジカルと球際のデュエル、質の高いオフ・ザ・ボールの動き、機敏なトランジション、献身的な守備を身につける必要がある。

 話はそれからだ。

 オン・ザ・ボールな久保はボールをあやつるテクニックだけは十二分にあるのだから、もしこれらの要素を身につければどこへ行っても通用するだろう。

 ぜひ、ひと皮むけることを期待している。

【関連記事】

【ラ・リーガ】潰し合いで得た勝ち点1 ~2020-21/第21節 ヘタフェ0-0アラベス

【ラ・リーガ】ポゼッション・スタイルへの転換点 2020-21/第19節 〜ヘタフェ1-0ウエスカ

【ラ・リーガ】バルサ化するヘタフェ、久保は伸び伸び自分を出せる

【ラ・リーガ】久保がヘタフェで輝く3つの理由

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【ラ・リーガ 20/21 第21節】潰し合いで得た勝ち点1 ~ヘタフェ0-0アラベス

2021-02-01 09:17:43 | その他の欧州サッカー
久保が生きない展開に

 放り込みと潰し合いの割り切った試合展開で勝ち点1。まあチームとしては悪くない取引だったかもしれない。ただ対戦相手がリーグ18位のアラベスだっただけに、欲を言えば勝ち点3がほしい試合だった。

 ヘタフェのフォーメーションは3-4-2-1。久保建英とアレニャはそれぞれ左右のシャドー、ククレジャは左のWBでの出場だった。

 久保とアレニャを生かすには、最終ラインからのていねいなビルドアップが必要になる。そのビルドアップをするためには、最終ラインから中盤を経由して前線にクリーンなボールを供給できるDFが必要になる。

 この試合ではその役者がおらず、よって久保とアレニャが生きない粗い放り込み合戦になってしまった。

消えないククレジャ

 それにしてもおもしろいのは、同じバルサのカンテラ出身である久保とククレジャとの対比だ。

 運動量が豊富でインテンシティが高くファイトするタイプのククレジャの場合は、試合展開がこのゲームのように雑になっても決して消えない。カラダをぶつけ、激しく競り合い、身を投げ出してチームに貢献する。

 一方、お上品な久保の場合は、まったくゲームから消えてしまう。

 久保にとって最低限必要なのは、クリーンなビルドアップとクリーンなパスワークだ。彼にとってこれらは酸素のようなもので、彼はこれらの酸素がなければ酸欠になり試合からいなくなる。

次節以降の3連戦もこのゲームモデルで臨む?

 さて興味があるのは、セビージャ、レアル・ソシエダ、レアル・ベティスと格上の強敵が続く次節以降の試合に臨むゲームモデルだ。

 果たしてストーミングから方針転換したポゼッション・スタイルで行くのか? それともこの試合のような名より実を取るやり方で臨むのか? 

 強敵との連戦が続くため、ボルダラス監督は割り切って後者を選択する可能性が高い。

 観戦するファンとしては、難行苦行を強いられる3連戦になるかもしれない。

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【ラ・リーガ 20-21】久保はなぜ勝てるのか? ヘタフェとマンUが証明するメンタルの重要性

2021-01-24 08:47:10 | その他の欧州サッカー
この2チームに唯一共通するのは?

 目が覚めたかのように勝ちまくるヘタフェとマンチェスター・ユナイテッド。彼らの間に共通するのは、はち切れんばかりの躍動感だ。それを引き出すモトになるのがメンタルの爆発である。

 つまりこの2チームに一点だけ共通した勝因は、煮えたぎったアグレッシブなメンタルなのだ。

「よっしゃー! ぶちかまそうぜ!」

 サッカー経験のある人にはよくわかるだろうが、メンタルというのはびっくりするほどカラダを動かす要因になる。

 例えば疲れ切ってヘタへたになり「もうダメだ」と思っていても、その瞬間にベンチから「〇〇さん、そこで踏ん張れー!」などと激しい檄が飛ぶと、途端にビックリするほどカラダが動くようになる。

久保とアレニャが起爆剤になったヘタフェ

 もちろんヘタフェとマンUの勝因は、戦術的に分析しようと思えばいくらでも説明できる(最下段の【関連記事】参照)。だが実は最大の勝因がメンタルなのだ。

 新しく久保建英とアレニャがチームに加わったスペイン、ラ・リーガのヘタフェは、「百人力だ! あいつらがいるから勝てるぞ。頑張ろう!」という意気にチーム全体があふれている。

 いったい、何連勝するのかわからないようなアグレッシブさだ。

 一方、英プレミアリーグで快進撃を続けるマンUも、チームの面々は凶暴な野獣性とでもいえるかのようなアグレッシブさに満ちている。一例として、ポグバのカラダからはほとばしるような熱気が発し湯気が出ている。

 中位のヘタフェはともかく、目下、首位を走るマンUのほうは、このまま活気づくメンタルが続けばそれだけで優勝しそうな勢いである。

 サッカーでは監督があれこれ知恵を絞って戦術を組み立てて勝とうとするが、結局、理屈抜きでチームを勝たせるのがメンタルの力なのだ。これに恵まれたチームは強い。

 いったいヘタフェとマンUは、シーズンが終わればどんな順位にいるのか? 今からワクワクして楽しみでならない。

【関連記事】

【ラ・リーガ】ポゼッション・スタイルへの転換点 2020-21/第19節 〜ヘタフェ1-0ウエスカ

【ラ・リーガ】久保がヘタフェで輝く3つの理由

【プレミアリーグ】幻の首位攻防戦 2020−21/第19節 〜リバプール0−0マンU

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【ラ・リーガ 20/21 第19節】ポゼッション・スタイルへの転換点 〜ヘタフェ1-0ウエスカ

2021-01-21 06:10:11 | その他の欧州サッカー
久保は70点のデキだった

 久保建英のヘタフェ移籍2戦目は、右サイドでの先発になった。前半はウエスカと五分五分の勝負、後半は完全にヘタフェのゲームになり、1-0でヘタフェが堂々シャットアウトした。

 チームとしてはこれまでのストーミングから、ポゼッション・スタイルへの転換点になる記念すべきゲームだった。

 この試合、ヘタフェはフォーメーションを今までの4‐4‐2から4-2-3-1に変えてきた。このへん戦術変更の匂いがする。スタメンはGKがヤニェス。最終ラインは右からスアレス、ジェネ、エチェイタ、ニョムだ。

 セントラルMFはマクシモビッチとアランバッリ。2列目は右から久保、アレニャ、ククレジャ。ワントップはマタである。これで守備時はトップ下のアレニャが前へ出て、4‐4‐2のブロックを作りプレスする。

ビルドアップ&ポゼッションへの挑戦

 前半の立ち上がり。この記事この記事でも事前分析したが、予想通りヘタフェは最終ラインからていねいにビルドアップしようとする。最終ラインがボールを持つと、セントラルMFのアランバッリが2CBの間に下りたり、CBとSBの間に下りたりする。

 これでグラウンダーのボールを前につけ、パスをつなぐのがベースである。唯一、CBのジェネだけはボールをもつと大きく前へ蹴り込むが、それ以外では基本ビルドアップ志向だった。

 これまでヘタフェはボールを握ると前線へ大きく放り込み、前でゲーゲンプレスして攻めるストーミングを志向していた。

 そのチームがバルセロナのカンテラ出身で技巧的な久保、アレニャの加入と同時に、ポゼッション・スタイルに戦術を転換したのだ。おそらく「クライフ主義者」を自称するボルダラス監督としても、本来やりたいサッカーに近づいたのではないだろうか?

70分にアランバッリが決勝点を上げる

 後半、ゲームはややヘタフェが支配した形になり、58分にアランバッリがこぼれ球をシュートしたが惜しくも入らず。ウエスカは5-4-1のブロックを作り懸命に守る。

 続いて70分には、中央のアレニャからのダイアゴナルなパスを右サイドで受けたセントラルMFのアランバッリが豪快にシュート。GKの股を抜いて見事に決めた。

 この虎の子の1点をあげたヘタフェは終盤に久保ほか3人の選手を下げて守備固めし、危なげなくゲームを締めた。ポゼッション・スタイルに転換したヘタフェにとっては、今シーズンを占う大きな1勝になった。

 選手別では、ククレジャは運動量とインテンシティの高さがあるすばらしい選手だ。ワンアシストのアレニャ、久保も及第点のデキだった。

 また得点したセントラルMFのアランバッリも含め、最終ラインの守備は固くウエスカに付け入るスキを与えなかった。

久保はトランジションが甘い

 さて、久保のプレイスタイルだ。彼は中に絞ってライン間でボールを受けたり、サイドで基点になりクロスやスルーパスを入れるなど、明らかに自分のスタイルで伸び伸びプレイしていた。

 キープ力も非常に高く、敵3人に囲まれてもボールをしっかり保持できる。

 また守備になればチェイシングやプレスバックもする。ただ守備時のインテンシティがそう高くないのは今後の課題だろう。

 一方、明らかに修正すべきなのはオフ・ザ・ボールの動き、特にトランジションへの対応だ。この試合ではポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)の甘さが見えた。

 例えば逆サイドにボールが入ると(自分には関係ないなと)途端に足を止めてしまう。また敵ボールを味方が鋭くカットした瞬間、せっかくの速いショートカウンターのチャンスなのに足が完全に止まっていたりする。

 もちろん選手には武器もあれば欠点もある。それは今後、おいおい詰めて行けばいい。むしろこのゲームではそれよりチームとしてビルドアップ&ポゼッションという新しいゲームモデルに挑み、リフォームに成功したことが大きい。

 今季のヘタフェはおもしろくなりそうだ。

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【ラ・リーガ】バルサ化するヘタフェ、久保は伸び伸び自分を出せる


【ラ・リーガ】久保がヘタフェで輝く3つの理由

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【ラ・リーガ 20/21】バルサ化するヘタフェ、久保は伸び伸び自分を出せる

2021-01-19 05:58:26 | その他の欧州サッカー
監督「自分のスタイルでやれ」

 ヘタフェに加入した久保建英が18日にオンラインで入団会見を行った。注目すべきは先日のエルチェ戦前にボルダラス監督から指示された内容だ。

 久保は「監督とはあまり話せませんでしたが、自分の知っていることをやりなさいと言われました」という。

 この記事でも指摘したが、やはり久保は「自分のスタイルでやれ」と言われていたのだ。続けて久保は言う。「ククレジャともアレニャともプレーしたことはなかったが、彼らとは最初から理解し合えた」

 明らかに監督はチームの戦術を変えようとしている。ククレジャとアレニャ、久保というバルセロナのカンテラ(下部組織)育ちの選手が生きるように、だ。

 ヘタフェは過去、ストーミングをゲームモデルにしていた。前線にとにかくロングボールを放り込み、そのボールに群がってマイボールにし高い位置から攻撃するスタイルだ。

 となれば必然的に、敵にボールを持たせてカウンターを狙うコンセプトだった。

 それがいま180度転換しようとしている。自陣からていねいにビルドアップし、バルサ仕様のボールをつないでポゼッションするスタイルにおそらく転換するのだろう。

 つまり久保が伸び伸び自分を出せるチームに変わろうとしている。もともと「クライフ主義者」のボルダラス監督としても、自分の本来やりたいサッカーに回帰しようとしているのだろう。

 とすればヘタフェは、実際にはどんなサッカーを見せてくれるのか? そして久保はそのなかで持ち味を出し切ってプレイできるのか?

 今季のヘタフェは見物である。

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【ラ・リーガ 20/21】久保がヘタフェで輝く3つの理由

2021-01-15 07:48:55 | その他の欧州サッカー
ボルダラス監督は意外に柔軟だ

 スペイン1部のヘタフェへ移籍したばかりの久保建英が11日、エルチェ戦に途中出場して2得点に絡み、3-1の勝利をもたらした。そんな久保は果たして、ヘタフェで輝けるのだろうか?

 ヘタフェはアグレッシブな守備が特徴のチームだ。敵の選手を体ごと根こそぎ持っていくような激しい(ファウルまがいの)デュエルが特徴である。いわば「肉体労働者」のチームといえる。

 で、移籍前から「ヘタフェは久保に合わないのでは?」との見方が一般的だった。だがデビュー戦でその憶測は見事に覆された。これには理由がある。監督のタイプだ。

セレクター型の監督は選手の特徴を生かす

 サッカーの監督には2種類いる。フィロソフィ型とセレクター型だ。

 前者のフィロソフィ型は自分の哲学(フィロソフィ)をもっており、それを頑なに実現しようとする。つまり自分の理想とする戦術やシステムがまず先にあり、集めた選手をその鋳型にハメ込むようにしてチームを作る。「俺の言うことを聞け」というわけだ。

 一方のセレクター型は、まず優秀な選手たちを選び、集めた選手それぞれの特徴やスタイルに合うポジションを考え、その結果として「うちのチームはこういう戦術とシステムで戦うのがベストだ」と結論を出すタイプの監督だ。

ボルダラス監督は臨機応変な理想主義者だ

 ではヘタフェのボルダラス監督はどちらのタイプか? 事前情報ではガチガチに守備的でフィジカル勝負のスタイルだとされていたので、てっきり頑迷なフィロソフィ型だと思っていた。

 ところが実際に久保のデビュー戦を見て、予想は覆された。ボルダラス監督はフィジカルがなく線が細い久保に、「敵の選手を体ごと持っていくような激しいデュエル」などは求めてない。つまり柔軟なセレクター型の監督だ。

 その証拠にボルダラス監督は、本職がサイドバックのマルク・ククレジャを、運動量やアグレッシブさを買ってMFで使っている。また同じくサイドバックのアラン・ニョムを、そのスピードとフィジカルを見込んでウィンガーとして起用している。

 おまけにボルダラス監督は、実はクライフ主義者である。つまり理想(フィロソフィ)はそこだ。だが一方、ヘタフェの戦力や順位、選手のタイプを考え合わせ、勝つために理想とはまったく別の「デュエルで勝負するカウンターサッカー」という現実路線を取っているわけだ。非常に臨機応変な監督である。

久保は個性に合うプレイを求められるはず

 ところがそこに、バルサのカンテラ(下部組織)出身の技巧的な選手が2人も降ってわいた(移籍してきたアレニャと久保)。しかも、もとからいるバルサ・カンテラ出身のククレジャを合わせて3人だ。

 とすれば、戦力に合わせた戦術を考えるクライフ主義者のボルダラス監督としては、ある程度の軌道修正を行うのではないか? もちろん優美で華やかなサッカーに切り替えるなどということはないだろうが、選手の個性に合わせた微調整はするはずだ。

 例えば現有戦力を8割の「肉体労働者」と2割の「貴族」に分け、点を取る仕事をする貴族の久保には他の選手にさせているようなファウルまがいのデュエルまでは求めない可能性がある。

 とすれば久保は、自分の持ち味に合ったスタイルでプレイできるのではないか?

 アグレッシブなデュエルとカウンターサッカーという泥臭い花壇の上に、久保が鮮やかな大輪の花を咲かせるかどうか? 見物である。

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【レアル久保建英】大暴走する日本の「スターシステム」

2019-08-04 09:30:10 | その他の欧州サッカー
レアルは大手術が必要か?

 レアル・マドリードがピンチである。

 プレシーズンのインターナショナル・チャンピオンズカップ(ICC)はアトレチコ・マドリーに3-7と大敗するなど、いいところなし。

 その後参加したアウディカップでも、なんと3位決定戦で格下のフェネルバフチェと5-3とザル同士の打ち合いになる始末だ。そのため危機感を抱いたスペイン紙は盛んに「久保が必要だ」などと煽るが、はてさて。

 実際、レアルが深刻なのはスタメン組にモチベーションがない点だ。メンタルに問題がある。まるで消化ゲームのような雰囲気で致命的にインテンシティが低い。球際も激しく競るでなし、緩慢なパスミスも目立つ。

 守備の崩壊も目が当てられない。レアルは前でボールを失うと自ゴールまで敵が直通になる。攻撃陣はボールロストするととたんに足を止め、ネガトラもへちまもない。

 チーム全体に強くプレスをかけるわけでもなく、両サイドは絞りながら引いてこないわ、バイタルはスカスカだわ、もうさんざん。

 選手別ではオーバーウェイトのエデン・アザールはゲームから完全に消えている。あのダイエットが必要な胴回りは致命的だ。クロスを入れる際にカラダをひねるのにもひと苦労している。

 かたやベンゼマはフェネルバフチェとの3位決定戦では、相手がユルかったせいでたまたまハットトリックしたが、やる気がないのはミエミエで動きが重くインテンシティが低い。

 この2人が象徴的だが、ほかにもミスだらけのマルセロや、アンカーなんて無理なのに押し付けられてひと苦労のクロース。また準レギュラーのイスコは自己中サッカーでバランス感覚に欠ける。チーム全体にスタメン組は決定的に覇気がない。まるで今のレアルは死人の群れのようである。

売り上げ倍増を狙う商売人たち

 てなわけで危機感を抱いたスペイン紙は、「久保をトップチームに」などと蜂の巣を突ついたような騒ぎになる。とはいえ彼らスペイン人の反応は久保うんぬんがというより、むしろだらしのないスタメン組に対するアンチテーゼである。同国人を応援したい日本人とはちがう。

 だがそれを利用して日本のメディアが煽るわ、煽るわ。「スペイン紙が久保絶賛!」「スペイン紙の人気投票で久保が1位に」などと、スペイン現地紙の紙面を引用する形で、いかにも「客観報道」を装いながら恣意的な情報コントロールが行われている。洗脳だ。

 そもそも試合の70分すぎからたった20分だけプレイした久保をつかまえ、「美技に圧倒!」みたいな持ち上げ方をするのはどう考えても異常だ。

 もちろん久保が1軍入りすれば、それを追う日本のスポーツ紙やサッカーメディアは売り上げ倍増でウハウハだろう。ラ・リーガを配信しているDAZNも契約者数がハネ上がる。降ってわいた未来の「広告塔」に、さぞかし電通も舌なめずりしているにちがいない。

 かくて「久保特需」を狙う商売人たちによる、あのテこのテの報道合戦が炸裂するわけだ。

 だいたい練習中のユルいミニゲームで久保が見せる小ワザ動画をいちいち公式ツイッターで配信して人気を煽る、レアルの営業サイド自体が異常なのだが。

 で、じゃあ実際どうなんだ? といえば……そりゃあ、いまの生気のないスタメン組で行くくらいなら、ヴィニシウスと久保、ロドリゴを軸にしたほうがはるかにマシ、に見えてしまうのがレアルの致命的なところなわけで。

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【ICC】久保建英の鮮烈デビューと抱える課題 ~バイエルン3-1レアル・マドリー

2019-07-22 09:51:11 | その他の欧州サッカー
彼はキラーパスを狙い続けた

 海外クラブのプレシーズン大会であるインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(ICC)が行われ、レアル・マドリードの久保が鮮烈なデビューを飾った。さて同時に見えた課題とは?

 この試合、レアルは前半にモドリッチやベンゼマ、エデン・アザールらレギュラー組を出場させ、後半には11人を総入れ替え。久保やロドリゴ、メンディ、ルカ・ヨヴィッチなど新戦力をお披露目した。

 前半、レアルのフォーメーションは4-2-3-1で余裕のポゼッションを見せ、孔雀が羽を広げるかのように美しく優雅にふるまった。対するバイエルンは硬質で、スキあらば縦に速いカウンターを見舞う。まるでアーティストと機械工のような対決になった。

 レアルのビルドアップは主にセントラルMF経由、サイド経由の2ルートだが、どこからでも組み上げられる柔軟性がある。一方のバイエルンはややミスが多いが攻めが速く、守備が固い。ボールを保持して押し上げると攻撃に人数をかけ、5~6人がボックス内になだれ込む。

 前半15分にMFコランタン・トリッソの先制点でバイエルンがリードし、かたやレアルはベンゼマが惜しいチャンスを何度も外し決め切れない。試合は1-0で折り返した。後半はレアルの最終ラインが雑で2点取られはしたが、さてこのゲーム最大の見どころがやってきた。

久保はオフ・ザ・ボールに課題か?

 後半になるとお待ちかねの久保が登場した。4-1-2-3の左インテリオールでの出場だ。いきなり最初のタッチでループシュートを繰り出すなど、まったく物怖じする様子がない。

 その後はライン間でボールを受け、前にスペースを見つけると久保は盛んにスルーパスを突き刺し続ける。ハッキリ意識してキラーパスを狙っているようだ。

 ただパスが微妙に長く、なかなか通らない。おそらく久保は受け手が瞬時にスペースへ走り込むイメージでパスを前めに出しているのだろう。このへんのあうんの呼吸は修正する必要がある。

 一方、ボールの受け方や隠し方は精密で、相手ボールになると敵のビルドアップに対し第1プレッシャーラインに加わりプレッシングもした。そのプレイぶりはまるでレアルに10年いる選手のようだった。

 この試合で観る限り、久保はどちらかといえばボールを持ったときに輝く優雅なボール・プレイヤーだ。反面、オフ・ザ・ボールはやや物足りない。

 例えばパスを出したあと、足を止めてパス&ゴーせずワンツーを受けそこねる。守備に回ると中間ポジションを取りながら、あと1メートル左に寄れば敵のパスコースを背中で切りながらカバーシャドーが利く、という局面で足が止まってパスを出され、後追いになるようなシーンが散見された。守備面ではまだまだやることがある。

 一方、オフェンス面でも「自分はパッサーだ」と決め込んでいるかのようなポジショニングで、運動量も物足りない。もちろんそこに「居る」ことに意味がある、というポジショニングはあり得るので判断はむずかしいが。

 個人的には、速い攻撃のチャンスになれば、積極的に前線に飛び出しみずから点の取れるアグレッシブなMFをめざしてほしい。もちろん彼はまだ18歳だ。今後に期待するとしよう。

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