すちゃらかな日常 松岡美樹

積極財政などの政治経済をすちゃらかな視点で見ます。ワクチン後遺症など社会問題やメディア論、サッカー、音楽ネタも。

【アフリカ選手権・決勝】ロングボールが飛び交う大乱戦 ~アルジェリア1-0セネガル

2019-07-21 08:51:28 | その他の欧州サッカー
人が血を流しバタバタ倒れる

 アフリカ大陸の選手権であるアフリカ・ネーションズカップ2019の決勝が行われ、アルジェリアとセネガルが対戦した。アルジェリアのフォーメーションは4-4-2、セネガルは4-2-3-1だ。

 なんと決勝弾は試合開始1分20秒だった。

 アルジェリアのバグダード・ブーンジャーが左サイドからドリブルでカットイン。彼が打ったシュートがセネガルDFの足に当たり、空高く舞い上がったボールはGKの頭上を計ったようにゴールへ吸い込まれた。この1点を守り切ってアルジェリアがみごと優勝した。

 先制点が早い時間帯だったせいか、波乱の幕開けになった。その後の試合は荒れに荒れる大乱戦である。

 準決勝のナイジェリア戦では組織的だったアルジェリアは、決勝で気がはやるのか中盤を省略してロングボールを放り込む。それに対抗するかのように、セネガルもロングボールを敵陣に突き刺す。もはやシステムもへちまもない「戦争」だ。

 当然、オープンな撃ち合いになり、中盤はこぼれ球を競り合いデュエルの応酬だ。たまたまいいところにボールが転がってきたほうが勝つサッカーである。カラダとカラダがぶつかり合い、人が血を流してバタバタ倒れる。個と個が競う激闘だ。

 組織的なはずのアルジェリアの豹変ぶりを見ればわかる通り、ふだんはロジカルに戦うよう訓練されてはいても、決勝とあってアフリカの「戦士」の血が騒ぐのだろう。槍をボールに変えての、個と個によるまさに戦争が展開された。

 日本人から見れば考えられないが、こういうサッカーも世界にはあるのだ。

 もはや秩序や組織などないカオスである。ボックス内で競り合いになったFWは、必ずオーバーにぶっ倒れてPKをもらおうとする。

 それだけじゃない。ハーフタイムに入ったかと思うと、引き上げてきた敵味方同士が入り乱れてピッチの上で小競り合いになる。もう血が騒いでアウト・オブ・コントロールなのだろう。こういうメンタリティもあるんだなぁ、と、ある意味、感心した。世界は広いのだ。

 てなわけで準決勝の記事で予想した通り、アルジェリアが優勝してめでたし、めでたし。いやはや、いいもん見せてもらいました。

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【アフリカ選手権・準決勝】アルジェリアの鋭い縦パスが敵を引き裂く ~アルジェリア2-1ナイジェリア

2019-07-16 09:27:05 | その他の欧州サッカー
マレズが劇的な「サヨナラ弾」

 アフリカ大陸の選手権大会である、アフリカ・ネーションズカップ2019の準決勝が14日に行われた。

 アルジェリアは準々決勝のコートジボワール戦ではやや守備的だったが、今日は積極的だ。フォーメーションは2センターの4-4-2。グラウンダーの長くて鋭い縦パスを突き刺してビルドアップしている。彼らは緩いショートパスをつなぐナイジェリアからボールを刈り取り、前半35分までに3度のシュートチャンスを作った。

 アルジェリアの選手は日本人のような献身性があり、走ることを厭わない。メンタルにアフリカ的なムラっ気がない。彼らはナイジェリア人とくらべ腰回りが太く、重心が低くて安定感がある。フィジカルに優れ球際も強い。そして組織的だ。

ビルドアップを封じ込められたナイジェリア

 一方のナイジェリアは4-3-3だ。彼らは局所で鋭さも見せるがボールスピードが致命的に遅く、アルジェリアの緻密なプレッシングにひっかかりビルドアップに四苦八苦している。

 特に前半40分にアルジェリアのMFマレズ(マンチェスター・シティ)が右から入れたクロスがオウンゴールを誘って1点を先行されてからは、ナイジェリアは最終ラインでボールを回すか縦にロングボールを放り込むかの二択になった。だが、それでもナイジェリアは後半27分、アルジェリアのハンドによるPKでなんとか1-1と同点に追いつく。

 そして大団円は後半アディショナルタイムに訪れた。アルジェリアのマレズがゴールやや右寄りからのFKを左のサイドネットに叩き込み、ほぼ同時にタイムアップになった。突然試合が終わったので、一瞬、何が起こったかわからなくなるほど劇的な「サヨナラ弾」だった。

 アルジェリアの労を惜しまないプレッシングがナイジェリアのビルドアップを封じ込め、相手に絵を描かせなかった試合である。ヨーロッパの最前線では、敵のビルドアップをどう制限するか? が一大テーマになっている。忍耐強い日本人なら、アルジェリアのような豆なプレッシングはマスターできる。日本代表にとっても参考になるゲームだった。

決勝はアルジェリア対セネガルに

 一方の準決勝もう1試合は、セネガルが延長戦の末に1-0でチュニジアを下した。これで19日の決勝はアルジェリアとセネガルの対戦になった。

 ただセネガルは悪い意味でアフリカ的で規律がユルく、チュニジア戦では走るのをやめたり3~4人が攻め残ったりしていてあまりいい印象はない。彼らはロシアW杯ですばらしく速いショートカウンターを見せていたのに、すっかりルーズなチームに変わっていて驚いた。

 セネガルにはリバプールのマネがいるので楽しみだが、心情的には献身的なアルジェリアの肩を持ちたい。

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【セリエA 18/19 第8節】ナポリ、ミスの多い試合を制す 〜ナポリ2-0サッスオーロ

2018-10-10 06:38:40 | その他の欧州サッカー
サッスオーロがご乱調

 両チームともミスが目立つ凡戦だったが、自力に勝るナポリが制した。ナポリのほうは攻めのミスだが、サッスオーロは失点につながるミスなので致命的。「どっちのミスがマシか?」で勝敗が決まったような試合だった。

 ナポリのフォーメーションは4-4-2。スタメンはまずGKがオスピナ。4バックは右からマルキュイ、アルビオル、クリバリ、ヒサイ。中盤はセントラルMFがログとディアワラ。右SHはジエリンスキ、左SHはベルディ。2トップはメルテンスとウナスだ。

 試合はいきなり開始3分で動く。サッスオーロのバックパスがパスミスになったところを、ナポリのFWウナスが胸トラップから左足でゴールに叩き込んだ。1-0だ。

インシーニェが切れまくり

 ナポリは2タッチ以内でリズミカルにパスをつなぐ。要所でダイレクトパスが利いている。かたやサッスオーロは短い縦パスを出し入れしながらリズムを作ろうとするが、なかなかフィニッシュに行けない。ことに失点に直結する致命的なパスミスが多く、ボールをナポリにかっさらわれては何度もピンチを迎えた。

 とはいえナポリも試合開始直後に得点したものの、攻撃にミスが出てなかなか追加点を奪えない。そこで後半6分には温存していたインシーニェを途中投入し、追い上げを図る。

 ナポリはチャンピオンリーグとのターンオーバーでこの日のスタメンは戦力ダウンしており、そのため点が取れず途中からインシーニェだけでなくアランやカジェホンなどレギュラークラスを出場させる作戦に出た。

 その策が見事にあたり、後半27分にはインシーニェがゴラッソを決める。左サイドを突破した左SBのヒサイがマイナスのパスを出し、ボックスのすぐ外でそれを受けたインシーニェがゴール左上スミに山なりの美しいコントロールショットを見舞った。

 先日、チャンピオンリーグのリバプール戦でもゴールしたインシーニェはワンタッチコントロールがすばらしく、意のままにボールをあやつるアーティストだ。そのエースが途中から出てきてトドメを刺した形。ただし同時にナポリの選手層の薄さが露わになったゲームでもあった。

 これで首位ユベントスを追う2位のナポリは勝ち点18。だが一方のユベントスも危なげなく同節に勝ち点3を上積みし24としており、両者の勝ち点6差は埋まらず。

 ユーベのあまりの強さに、なんでもイタリアのメディアは「年内にも決着がつくのでは?」などとも報じているらしいが……ナポリにはなんとかがんばってセリエAの火を消さないでほしいものだ。

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【ラ・リーガ 18/19】乾は「一発屋」で終わるのか?

2018-10-03 10:00:14 | その他の欧州サッカー
ロシアW杯での「あのシュート」を再び

 例えば日本人に「乾というサッカー選手を知っているか?」と聞けば、だれもが「ああ、ロシアW杯で『あのシュート』を決めた選手だね」と言うだろう。

 これは何も日本人だけではなく、レアル・ベティスのチームメイトやキケ・セティエン監督にしても同じはずだ。

 いや、正確に言えば「同じだった」と過去形でいうべきだろうか。あれから4ヶ月がたち、「あのシュートは実はフロックだったんじゃないか?」という疑心暗鬼が広がりつつあることも事実だろうからだ。

 その意味でも乾は第4節バレンシア戦で、裏抜けして完璧なタイミングでパスを受けたが決められなかったあのシュートを絶対に決めておきたかった。

はっきりインパクトのあるプレーがほしい

 ひょっとしたら乾は、いまサッカーが楽しくないんじゃないだろうか。

 裏抜けを狙って何度、ダイアゴナルランしてもパスがこない。ライン間で間受けできるポジショニングをしてもボールが出てこないーー。

 そのせいか第6節ジローナ戦での乾はダイアゴナルランもほとんどなかったし、間受けを狙う位置取りもしなかった。たまにボールをもらっても、単に味方へ預けるだけのパスしか出さない。明らかに消極的になっている。ひとことでいえばプレーにインパクトが乏しいのだ。

 同じパスを出すにしても、もっとハッキリ局面を打開するようなパスがほしい。また多少強引でもドリブルで1人かわしてシュートを打つようなプレーも求められる。

 仮に仲間からパスがもらえなくても、何度でもボールを受けるためのプレーを繰り返すべきだ。

 そして実はこれは何も乾だけの問題ではなく、いまのベティスはチーム全体に連携がうまく行っていない。カナーレスのかわりに柴崎岳が入ればおもしろいのにな、などとも思うがそれはともかく。ぶっちゃけ、ベティスの試合は見ていておもしろくない。

重い期待を背負った乾

 話を戻して、乾個人についていえば……ひょっとしたらロシアW杯という大舞台で決めてしまったあのゴールは、乾が一生かけて背負って行くべき宿痾ともいえるのかもしれない。

 だれもが乾に「あのときのシュート」級の活躍を求める。

 だれもが乾にあのレベルのプレーを要求する。

 本人にとってはキツイ話だが、その要求に答えてこそプロなのだ。

 いや乾は近いうちにきっと、「あのときのシュート」を吹き飛ばす活躍をするはずだ。そう信じて、私は今日もベティスの試合を応援している。

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【ラ・リーガ 18/19 第4節】乾、絶好のシュートチャンスを逃す 〜バレンシア 0-0 ベティス

2018-09-17 09:47:33 | その他の欧州サッカー
チームとの連携は過去最高

 前半22分。ダイアゴナルランで裏抜けを狙った乾にスルーパスが出る。完璧なタイミングでパスを受け、乾はライン裏へフリーで抜け出したが……ボールがインフロントに当たり損ねてシュートが弱く、敵DFにクリアされた。絶対に決めておきたい決定機だった。

 もしあのシュートを叩き込んでいれば乾に対する評価は確定し、頼れるアタッカーとして強い信頼を得ていただろう。それくらい、どフリーで、しかも重要なシュートだった。おそらく決めていれば後半18分に途中交代されることもなかっただろう。だがそれでも明日からまた前を向いてプレーし続けなければならない。がんばってほしいものだ。

 とはいえこの試合、チームメイトとの連携プレーという意味では過去4試合でいちばんよかった。例えば乾は過去の試合で何度も冒頭に書いたような裏抜け狙いのダイアゴナルランを繰り返していたが、肝心のボールが一度もこなかった。

 また前半30分頃に乾はライン間でボールを受け、狭いスペースのなかワンタッチで前を向いたが、あんな間受けのシーンもいままでなかった。いや乾は過去、何度も間受けを狙えるポジショニングをしているのだが味方がその意図を理解できず、パスがこなかったのだ。

 そういう意味では、徐々に仲間との意思の疎通やコンビネーションは進んでいる。確実にいい方向に向いている。それだけにあの決定的なシュートは決めておきたかった。

バレンシアのハイプレスに苦しむ

 ベティスのフォーメーションは3-4-2-1。ボールを失うと自陣で5-4-1のブロック守備をする。日本代表の森保監督が広島時代から慣れ親しんだやり方とまったく同じだ。

 スタメンはGKがロペス。3バックは右からマンディ、バルトラ、シドネイ。カナーレスとグアルダードの2人をセントラルMFに置き、右WBはフランシス。左WBはジュニオール。前線は1トップ2シャドーで、右のシャドーがブデブス、左のシャドーが乾。1トップはサナブリアだ。

 この日対戦したバレンシアは、前半の立ち上がりにハイプレスで入った。25分くらいまでベティスがボールを保持していたが徐々にバレンシアのパスワークが冴え始め、彼らが次第にペースを握る。

 バレンシアは後半の立ち上がりにも、ベティスのビルドアップに対し猛烈なハイプレスをかけてきた。そのためベティスは3バック間で単にパスを回しているだけになり、ボールを前に引き出せない。

 おそらくベティスが攻撃的なチームであり、最終ラインからていねいにビルドアップしてくることをバレンシアは研究しているのだ。そのビルドアップを破壊するためのハイプレスなのだろう。とすればベティスは相手がビルドアップを制限しにきた場合のプランBを持っておく必要がある。

 とはいえバレンシアが押し込み、ラインを上げて前がかりで来ているときには、バレンシア陣内には広大な無人のスペースが広がっている。つまりそのときベティスが自陣でボールを奪った瞬間は、カウンターの絶好のチャンスだ。だがベティスはせっかくマイボールにしても縦パスを受けた選手がなかなかライン裏へ抜け出せず、チャンスをものにすることができなかった。

どんなサッカーをやろうとしているのか?

 選手別では、右シャドーのブデブスは中盤まで下りてきてゲームメイクもし、ボールによくからんでいた。

 対照的に1トップのサナブリアはボールに触る回数が極端に低く、物足りない。もっと大迫のようにクサビのボールをポストプレーで収められるCFがいれば、攻めにバリエーションができるのだが。またこの日はセントラルMFのカナーレスも不安定でデキがよくなかった。

 総評としては、どうもキケ・セティエン監督がどんなサッカーをやろうとしているのかが見えにくい。ウイングバックを置いているのだからサイドを使おうという意図なのだろうが、その割に中央経由のビルドアップが多くサイドからクロスを入れる回数もそう多くない。

 また乾が裏抜け狙いのダイアゴナルランを繰り返してもボールがこないし、間受けを狙ってもチームメイトが意図を理解できずパスがもらえない。ひとことでいえばチーム内での共通理解が少なく、まだチームとしてひとつになってない印象だ。この状態で昨季は6位。今季もリーグで上位にいるのだからなんだか不思議なチームである。

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【セリエA 18/19 第3節】ユーべ、圧倒のポゼッションで開幕3連勝 〜パルマ 1-2 ユベントス

2018-09-09 09:00:55 | その他の欧州サッカー
ロナウドは依然ノーゴール

 ユベントスが7割のポゼッション率で追いすがるパルマを振り切った。単独首位に立つ開幕3連勝だ。ユーべは試合開始早々の前半2分にマンジュキッチのゴールで先制。ところが前半33分にパルマのジェルヴィーニョが同点ゴールを叩き込み追撃する。だがユーべは終始ボール支配率を高める戦い方で試合をリードし、後半13分にマテュイディのビューティフルゴールでゲームを締めくくった。

 ユベントスのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがシュチェスニー。最終ラインは右からクアドラード、ボヌッチ、キエッリーニ、アレックス・サンドロ。アンカーにはピャニッチを配し、右インサイドMFがケディラ、左インサイドMFがマテュイディ。3トップはベルナルデスキとクリスティアーノ・ロナウド、マンジュキッチだ。

 試合は冒頭、マンジュキッチのゴールで幕を開けた。前半2分だ。右サイドからクアドラードがゴール前にアーリークロスを入れ、マンジュキッチがなんと3人の守備者を相手に1人で競り勝ちセカンドボールを詰め切った。まさにゴールハンターの名にふさわしい堂々のゴールだ。攻撃的なクアドラードを右SBに起用したアッレグリ監督の采配が早くも当たった。

 ユベントスはラインを押し上げ、常に人数をかけて押し込む。これでゲームを支配するユーべがボールを失えばパルマがカウンターをかける、という試合展開である。

 ユーべはボールを失うとロナウドだけを残してディフェンディングサードまでリトリートし、4-5のブロック守備をする。そしてパルマのボールホルダーが少しでも背中を向けてボールキープするとすかさずラインを押し上げ、プレッシングしてボール奪取を図る。

 ユベントスはトランジェント志向でなく、ボールを奪うと必ずいったんポゼッションを確立しようとする。両SBを上げる台形のビルドアップをし、時おり前の選手が最終ラインに下りる。フィニッシュはサイドからのクロスが多い。

 エースのロナウドは適宜マンジュキッチとポジションチェンジし、時には左SBとCBの間に下りてビルドアップにも参加する。レアル時代と違い、唯我独尊でなくよりチームワークを重視したプレイスタイルだ。

マンジュキッチが攻守に貢献

 前半早々の先制ゴール以降、ユベントスは7割近いポゼッション率で試合を支配したが、前半33分にはパルマのカウンターが実を結ぶ。ジェルヴィーニョが左サイドからのクロスを巧妙に腿で押し込み同点弾。以後はユーべがボールを持ちながらも、チャンスになればパルマがカウンターを見舞う一進一退の攻防が続いた。

 ボールを保持しているのはユーべだが、おそらくどちらかといえばパルマのゲームプラン通りだろう。その膠着状態を打開しようとユーべのアッレグリ監督が先に動く。後半10分、ベルナルデスキに代えてドウグラス・コスタの投入だ。

 その積極策が奏功し、ユベントスは3分後の後半13分。左サイドから入ったグラウンダーのボールをマンジュキッチが後ろ向きのまま足の裏でマテュイディにパス。マテュイディは軽くワントラップしてボールをゴールに叩き込んだ。これでユーべが1点リードだ。

 するとパルマはすかさず後半15分。ルカ・リゴーニをアレッサンドロ・デイオラに、また同時にジェルヴィーニョをアレッシオ・ダ・クルズに交代させる、という2枚替えで追撃体勢に入る。これでパルマはラインを一気に押し上げて活性化し白熱した攻防が続いたが、最後はユーべが押し切った。

 ユベントスはマンジュキッチが先制ゴールに止まらず、前からのプレッシングやリトリートしての守備ブロックにも労を惜しまず参加する献身性を見せて開幕3連勝の首位。これでロナウドにゴールが出始めれば独走か? とも思わせる試合運びで勝ち切った。

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【ラ・リーガ 18/19 第3節】乾、初のフル出場 〜ベティス 1-0 セビージャ

2018-09-04 16:24:42 | その他の欧州サッカー
ポジションは2トップの左

 燃えるアンダルシア・ダービーとなったベティスの第3節セビージャ戦。乾は前節に引き続きスタメンで試合に出て、かつ初のフル出場を果たした。後半30分にそれまでベンチに控えていたエースのホアキンが途中出場したので、すわ乾は替えられるのか? と焦ったが取り越し苦労だった。乾は監督の信任を得ているようだ。

 ベティスのフォーメーションは3-1-4-2。スタメンはGKがロペス。3バックは右からマンディ、バルトラ、フェダル。右WBはテージョ、左WBはジュニオール・フィルポ。アンカーはウィリアム・カルバーリョ、右インサイドMFはカナーレス、左インサイドMFはグアルダード。乾のポジションは2トップの左で、右のFWはロレンだ。

 ベティスは右インサイドMFのカナーレスが右前に出ながらライン間でボールを受けるなど、敵を撹乱する。かたや左インサイドMFのグアルダードはやや後ろ気味にポジショニングし、アンカーのカルバーリョとともに全体のバランスを取る、というサジ加減である。

 試合が動いたのは後半35分。右からの斜めのクロスを、途中出場のホアキンがヘッドで叩き込んだ。これが今季のチーム初得点だ。

 乾は3本のシュートを放ったがワクを捉えず。ダイアゴナルランを繰り返すが、前節に引き続きボールが出てこない。乾自身、以前に「マーカーを背負うので自分はFWは苦手だ」と語っていたが、その通りの展開になってしまった。だが最終ラインまで戻って守備もやるなど健闘していた。

 試合は両チームともなかなかパスがつながらず、ブツ切りの展開に。とはいえチームは今季初得点をエースのホアキンが決め、乾も初のフル出場、と熱いダービーはいいことづくめで終わった。乾もチームに信頼されているようだ。めでたし、めでたし。

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【セリエA 18/19 第2節】アンチェロッティの魔術 〜ナポリ 3-2 ミラン

2018-08-30 07:13:29 | その他の欧州サッカー
ハイプレスが生んだ奇跡の逆転劇

 アンチェロッティが指揮するナポリは、激しいハイプレスで試合に入った。ミランのビルドアップに対し、ナポリは7人が高い位置でプレスをかけるシーンが頻出する。それでもミランはこの第1プレッシャーラインを突破しながら先制し、リードを保つ展開が続く。だが最後に試合を決めたのは、アンチェロッティの機敏なシステム変更と選手交代だったーー。

 ナポリのフォーメーションは4-3-3。スタメンはGKがオスピナ。最終ラインは右からヒサイ、アルビオル、クリバリ、マリオ・ルイ。中盤はアラン、ハムシク、ジエリンスキ。3トップはカジェホン、ミリク、インシーニェだ。

 試合が動いたのは前半15分。ミランが右からの大きいサイドチェンジのボールをボリーニが落とし、ジャコモ・ボナヴェントゥーラがダイレクトでゴールに沈めた。

 意気上がるミランに対し、ナポリは相変わらずの全域プレッシングだ。彼らはボールを失ってもリトリートせず、その場でプレスをかけてあくまで即時奪回をめざす。リードはされたが、ナポリはハイプレスでボールを保持したミランを自陣に押し込めるシーンが多発している。そしてボールを奪うとショートカウンターを狙う。だがフィニッシュに失敗し、ミランがリードのまま追いつけない。

ミランが2点目を奪う

 ナポリのプレスをかいくぐり、ミランが2点目を取ったのは後半4分だった。ミランは低い位置から右前にいたスソへの長い縦パスが通り、スソが落としたボールをカラブリアがダイレクトで左スミに決めた。これで0-2。

 だがその4分後の後半8分に、ナポリ待望のゴールが生まれる。ナポリがミランのビルドアップの1本目のパスにプレスをかけて高い位置でボールを奪い、中への折り返しをジエリンスキが右スミに叩き込んだ。

 そして続く後半18分には、ナポリはアンカーのハムシクに代わり、ベルギー代表のメルテンスをトップ下に投入。同時にシステムを、アランとジエリンスキがセントラルMFを務める4-2-3-1に変えた。

 これが奏功し、後半22分。ナポリは右CKからのクリアボールをまたもジエリンスキがゴール右スミに突き刺し、2-2の同点とした。

開幕から2連勝、今季もナポリは強い

 追いつかれたミランは自陣に4-4-2のゾーンを敷き、引きっぱなしになる。だがそれをナポリが攻めて押し込み続ける展開が続き、ついに逆転した。決勝点を決めたのは、途中投入したメルテンスだ。

 後半35分。ナポリは途中出場した中盤のディアワラから右サイドに開いたアランに縦パスが通り、そのアランの右からの折り返しをファーサイドにいたメルテンスがゴールに押し込んだ。

 終わってみれば、戦術家サッリからナポリを引き継いだアンチェロッティ監督の選手起用とシステム変更が光った。これで開幕から2連勝。今季のナポリは積極采配がちがう。ユベントスのリーグ8連覇を止める一番手として、アンチェロッティのナポリが雄々しく名乗りを上げた。

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【ラ・リーガ 18/19 第2節】乾はスタメンに定着できるか? 〜アラベス 0-0 ベティス

2018-08-27 08:22:30 | その他の欧州サッカー
スタメン出場も途中交代

 乾は左のシャドーでついにスタメン出場したが、デキはよかったものの後半16分に途中交代させられた。惜しむらくは前半29分にきたチャンスだ。

 右シャドーのカナーレスから乾に斜めのパスが出る。乾はダイアゴナルランしながらダイレクトでグラウンダーのシュートを打ったが、わずかにワクをそれた。もしあれが入ってそれで試合に勝っていれば、おそらく今ごろ乾に対する評価はいい意味で大炎上していただろう。なかなか厳しい世界である。

 ベティスのフォーメーションは3-4-2-1。1トップ2シャドーで、乾は左のシャドーでプレイした。前節とは打って変わって、周りの選手が乾を使っている。対戦したアラベスに攻撃力がないせいか、ベティスの守備は前節より改善しているように見える。

 ベティスのビルドアップは、特に左ウイングバックのジュニオル・フィルポから乾のラインを使う。またセントラルMF経由のパターンもあり2ルートだ。

 それに対しアラベスは、前後半の立ち上がりに関しては、前の3枚が高い位置からベティスの3バックにプレスをかけてビルドアップを制限していた。

 それ以外の時間帯では、アラベスは相手ボールになれば自陣までリトリートし、4-4-2のブロック守備をする。で、ボールを奪うと少ない人数でカウンター攻撃を仕掛ける。つまり守備的なチームだ。このやり方で前節はバルセロナを前半0点に抑え、てこずらせていた。

 かたやベティスは、守備に関してはアラベスのような凝った仕掛けはない。相手ボールの時に求められるタスクが少ない。

 例えばアラベスのビルドアップに対し、前から組織的にプレスをかけるわけでもない。かといってリトリートして自陣に5-4のブロックを作るわけでもなし。なんだか中途半端で、自分たちがボールを持ってない時のオーガナイズができてない感じだ。

 まあ攻撃的なチームなわけだが、それならもっと組織的なフィニッシュがほしい。現にこの日もベティスが攻撃にちょっと時間を使うと、すぐアラベスに4-4-2の自陣ブロックを作られてしまい、手を焼いていた。「なんとなく攻めている」というチームなのだ。せめて敵のビルドアップを制限する前からのプレッシングと、フィニッシュをもっと整備したい。

 そんなわけで乾のスタメン定着は「いつ点を取るか?」にかかっているかもしれない。彼はロシアW杯でクリーンシュートを決めた印象が強いのでハードルは高いが、がんばってほしい。

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【ラ・リーガ 18/19 第1節】バルサ、メッシの2発で余裕の完勝 〜バルセロナ 3-0 アラベス

2018-08-22 07:31:50 | その他の欧州サッカー
遅攻から速攻まで多彩な攻め

 圧倒的にボールを支配したバルセロナが、メッシのFKを含む2ゴール、途中出場したコウチーニョの1ゴールでアラベスを一蹴した。戦力の違いを見せつける完全なワンサイドゲームだった。

 バルセロナのフォーメーションは4-3-3。スタメンはGKがテア・シュテーゲン。4バックは右からネルソン・セメド、ジェラール・ピケ、サムエル・ウムティティ、ジョルディ・アルバ。中盤はセルジ・ロベルト、ブスケッツ、ラキティッチ。3トップは右からメッシ、スアレス、デンベレだ。

 バルセロナのビルドアップは両SBを高く上げ、2-1-4-3の形を取る。特に左SBのジョルディ・アルバは非常に攻撃的で、SBというよりもはやWGだ。時おりアンカーのブスケッツが両CBの間に下り、3バックを形成するが、アラベスは前からプレスをかけてこないのでビルドアップ時の3バック対応はほぼ不要だった。

 バルサはお家芸であるグラウンダーのショートパスだけでなく、ロングパスでサイドチェンジしたり、敵DFの頭上を越す浮き球のパスなど、多彩なボールさばきをする。だがやはり中央でのワンツーからダイレクトプレーを混ぜてフィニッシュに行くなど、真ん中からの攻めになったときのほうが「らしい」感じはする。

 バルサのボールになるとアラベスは自陣に引き、ブロック守備をするため完全なハーフコートマッチになる。そのためバルサは必然的に遅攻になるが、それが有効な局面ではタテに速い攻めもしている。ポゼッション一辺倒でなく、速攻も決して否定してはいない。

途中出場の選手も活躍する万全の勝利

 4-3-3のアラベスは、バルサボールになればリトリートして自陣に4-5-1のブロックを作る。逆にボールを奪えば速いショートカウンターをかけ、前の2〜3人だけで攻め切ろうとする。ゆえに基本的には自陣が彼らの住処だ。

 この守備的な戦い方で、バルサという巨人を前にとにかく失点を避けることが彼らの狙いだ。試合はそんなアラベスのゲームプラン通り、前半を0-0で折り返した。

 メッシは右サイドをのんびり歩いているが、無論チャンスになれば鋭い動きをする。前半38分にはデンベレに決定的なスルーパスを出すなど、立派に仕事はしている。また彼は時おりCB付近まで下りてビルドアップにも参加する。

 試合を動かしたのは、そのメッシだった。後半19分、ペナルティエリア外からのFKを、なんと彼はグラウンダーのボールできっちり決めた。もちろんメッシの前に壁はいたが、彼らがジャンプしたその足の下をメッシのすばらしい抑えたシュートがゴールに突き刺さった。バルサ先制、1-0だ。

 続いて後半38分にはコウチーニョが、これまた途中出場のアルトゥールからのダイアゴナルなパスを受け、中央を軽くドリブルしてから右足でシュート。最初はプラス方向にドリブルし、途中からマイナス方向に軌道を変えた頭脳的なドリブルだった。これで2-0である。

 そして3点目は後半47分。メッシがスアレスから斜めの浮き球のパスを受け、DFを背負いながら胸トラップし振り向いてゴール左スミに決めて見せた。決定的な3点目だった。

 バルサは途中出場のコウチーニョとアルトゥール、ビダルもそれぞれ活躍し、これ以上はない万全の完勝。昨季に続くリーグ2連覇へと静かに走り出した。

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【ラ・リーガ 18/19 第1節】乾はイメージのギャップをどう埋めるのか? 〜ベティス 0-3 レバンテ

2018-08-20 07:58:48 | その他の欧州サッカー
乾を生かすウラへのスルーパスを

 今季から古巣エイバルと同じスペインのベティスへ移籍した乾にとって、左インサイドMFで途中出場した開幕戦は苦いものになった。ダイアゴナルランを繰り返し、裏抜けを狙うがボールが来ない。かと思えばライン間にポジショニングして間受けを意図しても味方からのプレゼントはなし。乾のプレイ自体は可能性にあふれていたが、同僚とのイメージのギャップをいかに埋めるかが今後のテーマだろう。

 ベティスは2トップで、左右のインサイドMFの下にアンカーを置く攻撃的な3-1-4-2だ。両ワイドを有効に使い、遠目からでも積極的にシュートを放つ。ただしポゼッション率は高いものの、ボックス外から何本もシュートを打つだけでクリアーなフィニッシュがない。彼らのミドルは抑えが利いておりきっちりワクへ行くのだが、惜しいかなGKの正面ばかりを突く。

 もちろん遠目から意欲的にシュートを打つのはいいことである。だが「どうボックス内に入っていくか?」という発想に乏しい感じだ。日本人のようにバイタルエリアからペナルティエリアにかけての崩しこそが「本題」だ、みたいな感覚がない。その手前でボカーンと遠くからシュートを放ってしまう。

 そもそも乾のようにドリブルで守備者をはがすタイプのプレイヤーがいないし、また乾が狙っているような間受けをしたり、ライン裏へのスルーパスを出すような選手もいない。だから「ここ」というタイミングで乾にボールが来ない。また逆に乾がドリブルからラストパスを出しても味方が動かない。

 乾は間受けできる態勢にあるし、パスが来れば十分に処理できる。だが乾がライン間にポジショニングしても、おそらく周囲の味方は「乾は狭い場所にいる。フリーじゃない。だから彼にパスは出せない」という感覚なのだろう。現に乾にボールが回ってくるのはスペースがたっぷりあり、だれが見てもどフリーな局面ばかりだ。

 つまり問題は「どうすればイメージを共有できるか?」である。

 これは今後トレーニングですり合わせるしかない。遠目からフィニッシュに行くだけでなく、彼らがやらないウラを狙うスルーパスや、バイタルエリアでのワンツー等の細かい崩しをパターン練習する。で、こうした感覚がチーム全体に植え付けられれば、乾を活かせる環境になるはずだ。また同時にそれはフィニッシュがアバウトなこのチームにとってもプラスになるだろう。

乾はインサイドMFで機能するか?

 一方、乾がチームと噛み合わない問題は、左インサイドMFというポジション自体にもありそうだ。おそらく4-2-3-1の「3」のワイドのようなポジションであれば、たっぷりサイドのスペースを持った乾にパスは出てくるのだろう。だが位置取りが中央寄りになるインサイドMF(インテリオール)では乾には狭いスペースしかなく、それを見た味方は「フリーじゃないから」とパスを出さない。

 これも上に書いた繰り返しになるが、チームメイトとの意識のすり合わせをどうするのか? だろう。「乾は狭いスペースでボールを受けても失わずにプレイできる」という味方の暗黙の了解がいる。そういうイメージを共有することだ。

 もう一点、インサイドMFはポジショニングがセンター寄りになるため、ドリブルで大外からカットインし「ハーフスペースをぶち抜いて左45度からシュートを放つ」という乾の得意形になりにくい。あのロシアW杯での彼のゴールを左インサイドMFで再現するためには、いったん外側にふくらんでボールをもらうなどの工夫も必要になるかもしれない。

ネガティブ・トランジションに高い意識を

 最後に、乾ではなくチーム全体の問題点にもふれておこう。ベティスは前にかかって攻撃的なぶん、この日の試合のように引いた格下のチームにカウンター攻撃されるとDFがあっさり置き去りにされて守備に粘りがない。ここも大きな修正点のひとつだ。

 例えば自分たちのコーナーキックのとき、最後尾が前にポジションを取りすぎてそのカバーがおらず、相手ボールになったとたんにカウンターを食らったりする。守備のためのポジショニング自体が甘く、ネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)も悪い。ここも高い意識をもってプレイするしかない。

 このチームが逆に格上で攻撃力のあるレアル・マドリードやバルセロナと試合すると一体どうなるのかわからないが(おそらくある程度守備的にやるのだろうが)、もう一度守備の原点に立ち帰って基本を確認してほしい。

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【セリエA 18/19 第1節】王者ユーべ、薄氷の逃げ切り 〜キエーボ 2-3 ユベントス

2018-08-19 13:44:43 | その他の欧州サッカー
キエーボが攻撃サッカーで立ち向かう

 クリスティアーノ・ロナウドを迎えて8連覇を狙うユベントスが、昨季13位に終わったキエーボの追撃を辛くも振り切った。ユベントスは前半3分にFKから早くも先制。あわやゴールショーか? と思われたが、まさかのシーソーゲームに。最後はアディショナルタイムに途中出場のベルナルデスキがアレックス・サンドロからのセンタリングを右足で合わせ、一時はキエーボにリードされる展開にやっと幕を下ろした。

 ユベントスのフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがシュチェスニー。右からカンセロ、ボヌッチ、キエッリーニ、サンドロの4バックに、セントラルMFはケディラとピャニッチのコンビ。攻撃的な2列目は右からクアドラード、ディバラ、ドウグラス・コスタ。ワントップはクリスティアーノ・ロナウドだ。

 ユベントスは特にスペクタクルなサッカーではないものの、サイドをうまく使いながら押し上げて行く。ビルドアップでは両SBを高く上げ、2CBの間にMFピャニッチが時おり下りる。特に左SBのアレックス・サンドロはかなり攻撃的だ。そして逆に押し込まれるとデイフェンディングサードに丁寧に4-4のブロックを作る。

 ロナウドは前に張りっ放しではなく、左右両サイドの中盤に下りるなど幅広く動く。またアンカー的なピャニッチは非常によく利いており、多くのボールが彼を経由する。ビルドアップからボールの散らしまで、精力的に営業するユベントスの心臓部だ。

 一方、格下のキエーボはずっと引いているわけでも何でもなく、積極的にラインを高くして攻撃的に押し込んで行く。マイボールになればビルドアップしながら前の5人がプッシュアップして敵陣になだれ込み、たいてい3人がボックス内まで侵入する。逆にネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)も速く、なかなかいいチームだ。

ロナウドのシュートはすべて枠へ行くがノーゴール

 試合はいきなり前半3分に動いた。ユベントスだ。右からのFKをファーでキエッリーニが頭で落とし、ケディラがダイレクトで決めて先制した。ところがキエーボが前半38分に、左サイドからのプラスのクロスをステピンスキがきれいに頭で左スミに沈めて同点に追いつく。1-1で折り返しだ。

 後半に入ると、11分に今度はキエーボのジャッケリーニがもらったPKを自分で決めてついに1点リードする。2-1としたキエーボは、ボールを失った局面でリトリートするタイミングを次第に速くする。逃げ切りを見たうまい試合運びだ。これで自陣にきれいな4-4-2のブロックを作り敵を待ち受ける作戦である。

 ところがそんなキエーボの野望は木っ端微塵に打ち砕かれた。後半30分、ユベントスが右CKで発生した中央での混戦からキエーボのオウンゴールで2-2に追いついたのだ。息詰まる攻防である。

 主役のロナウドはといえば、抑えたシュートがことごとくきれいにワクへ行くがキエーボの好守に阻まれる。

 引き分けかと思われた後半48分。貴重なアディショナルタイムにユベントスのサンドロが左サイドでのドリブルから速い折り返しを入れ、中央でベルナルデスキが右足を一閃。すんでのところで王者ユーべが突き放した。どちらが勝っていてもおかしくはない好ゲームだった。

 もつれても勝ち切るユベントスはさすが。8連覇に向け静かにエンジンが動き始めた。一方のキエーボも好守の切り替えが速い攻撃サッカーで今後の健闘を誓う。ロナウドのユーべ移籍で嵐を呼んだ今シーズンのセリエAは熱くなりそうだ。

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【セリエA第25節】本田、魂のランニング ~ミラン2-1ジェノア

2016-02-15 18:26:38 | その他の欧州サッカー
本田にしかできない粘りのプレイ

 前半5分、本田は右サイドでゴールラインを割りそうになるボールにダッシュで追いつき、FWバッカの1点目を生むクロスを入れた。

 あの出そうになるボールに食らいつく魂のランニングを、いったい本田以外の誰ができるだろうか?

 苦しくても泥のように粘る。

 必ず結果を出す。

 あの強いメンタルを日本代表の選手は目に焼き付けてほしい。

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【クラブW杯】ここから先は「個の力」だ。 ~バルセロナ3-0リバープレート

2015-12-20 22:25:33 | その他の欧州サッカー
ラストパスの精度とシュートのうまさが圧巻

 バルセロナが壮絶な決定力で勝ち切った。

 3位になった広島の躍進を見ればわかるように、組織戦術では日本のクラブもそこそこやれるようになった。だがここから先には、圧倒的な個の力の差が立ちはだかっている。

 同じようにリバープレートと対戦し、広島は前半の4度の決定機を1度もモノにできなかった。だが一方のバルセロナは、作ったチャンスをことごとく決めて見せた。

 アタッキング・サードで獲物を完全に狩り取る力ーー。

 ここから先、日本が越えるべきハードルは果てしなく高い。

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本物の武藤はやっぱり本物だった

2015-09-01 08:04:59 | その他の欧州サッカー
 ブンデスリーガへ渡った本物の方の武藤(嘉紀)が、3節でいきなり2本のシュートをぶち抜いた。一報をネットで知り、パソコンの前で思わず2度もガッツポーズしてしまった。

 狙っても狙っても決め切れないーーある意味、そんな日本人像を凝縮したようなあのシンガポール戦だった。

 本来、ああいうどうしようもない泥沼でズバンと一発決めて見せ「日本人」を抜け出すところが希望の光・本田だったが、そんな彼の今世解脱は発動されなかった。

 これからはスコンと時代を突き抜けたような次世代の武藤(本物)あたりが、日本人解脱化計画を切り開くのかもしれない。

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