柏木と金崎のインパクトは事件だった
【金崎夢生】
FWの金崎はシンガポール戦、しっかりした胸トラから振り抜いたシュートがインパクト満点だった。彼はボールの収まりがよくポストにもなれ身長もある。最前線のデュエルで戦えるフィジカルもある。動きもシャープで鋭かった。もちろん1試合だけで判断するわけにはいかないが、新戦力がなかなか出てこない現代表にあって、最大の衝撃をもたらしたことだけはまちがいない。
【柏木陽介】
11月シリーズで最も売り出した選手はボランチの柏木だ。ただしW杯アジア2次予選では対戦相手がリトリートして低く構えるため、柏木にはほとんどプレスがかからずフリーでプレーできている。ゆえに手放しで賞賛するわけにはいかない。例えばドイツやブラジルが激しくプレスをかけてきたとき柏木がどこまでやれるか? それが問題だ。
【長谷部誠】
あまり声高にいわれなかったが、シンガポール戦での長谷部の守備とパス出し、攻め上がり、運動量は特筆モノだった。陰のMVPといってもいい。むろんシンガポール戦に限らず、平均的にハイレベルな結果を残すタイプである。派手さはなく目立たないが、代表チームへの貢献度は果てしなく高い。「この選手のあとを誰が継ぐのか?」と考えると気が重くなる。アンカー的なキャラの遠藤航には早く海外へ行き、良い経験を積んでほしい。
【山口蛍】
カンボジア戦、ボランチの山口は低い位置から、サイドに開いたSHにダイアゴナルの大きな展開をするなど機能していた。シンガポール戦での柏木のプレイを意識したかのような、フィールドを横切る斜めのパスを何度もきれいに決めていた。ガッツのあるプレスと運動量も大きな武器だ。あとはプレイの精度を高めたい。
【遠藤航】
カンボジア戦、スタメンに抜擢されたが、預けるだけのパスや逃げのパスが目立ち、大きく展開する「作るパス」が出せなかった。ミスも目立ち、パスカットされカウンターを食らいそうになるシーンもあった。ただし同時スタメン出場した山口と守備的なキャラがかぶり、バランスの取り方に苦心した結果でもある。その意味では起用した監督の責任も大きい。未来の大器だけに、1回の失敗でヘコむわけにはいかない。がんばれ、航。
【武藤嘉紀】
武藤はファイトする選手で思い切りがよく、スピードとフィジカルの強さで敵を圧倒する。ゴールの匂いのする男である。その破壊力はシンガポール戦でもいかんなく発揮されていた。技術レベルも一定水準をクリアしている。ただ持ち前の強い気持ちがはやる分、プレイ精度にブレが出るケースも見られる。8分の気持ちでミスをなくし、冷静に決めるところは決めたい。
【原口元気】
原口は「戦う素質」があり、スケールの大きな選手である。競り合いで粘る姿勢と強いメンタル、インテンシティが頼もしい。だが11月シリーズでは、最後にボールを離すとき(ラストパスやシュート)の精度が課題として残った。もうひと声、ボールコントロールに磨きをかければ一段高い選手になれる。今後に期待だ。
【宇佐美貴史】
宇佐美はシュートのうまさでは代表チームで文句なく1、2だ。それだけでなくドリブルからの突破やワンツーなど、他の選手にない飛び道具を持っている。能力の高いスペシャルな選手だ。だが運動量が少なくデュエルが苦手。また本田のように調子が悪いときは悪いなりに、それでも一定水準の仕事をすることができない。いかにも天才らしく120点の試合と50点のデキの試合が同居してしまう。課題は香川と同様、アベレージでの活躍率だ。
【香川真司】
香川はおそらく本質的に「闘うこと」が苦手で、メンタルの強さがない。だが持って生まれたアジリティと後天的な努力で技術レベルを極限まで高め、通用している選手だろう。最大の課題はデキ不出来の差をなくし、アベレージで活躍できるようになること。シーズンを通してもそうだし、1試合を通じてもそうだ。このまま消える試合が多くなれば代表チームでは厳しくなるかもしれない。
【本田圭佑】
本田はフィジカルとメンタルが強く、プロ意識も高い。たとえ調子が悪くても、悪いなりに身を投げ出してでも一定の結果を出す。ここは香川や宇佐美に強く見習ってほしい点だ。スピードはなく11月シリーズではキレもよくなかったが、自分の勝負ポイントをわかっており、うまく自分の土俵に持ち込み必ず勝負に勝ち残る。今後も年齢なり、自分なりのプレイ像を自分で描いて行けるだろう。
【岡崎慎司】
岡崎は11月シリーズでは疲労の蓄積とバイオリズムが底にきている感じだった。本田と同様、惜しみなくファイトする熱い選手で泥臭くチームに貢献する。彼の八方破れなゴールがチームを鼓舞し、全員の士気を高める。意識も高く心配ないが、来年は彼らしく元気なところを見せてほしい。
【吉田麻也 & 槙野智章】
FIFAランキング183位でグループE最下位のカンボジア相手に、守備の不安を残した吉田&槙野の両CBにはさらなる研鑽が求められる。エアポケットに入ったかのようなポカを今後はなくしてほしい。またスピードに対する対応と敏捷性のなさを補う互いのカバーリング、裏のスペースのケア、ポジション・バランスの取り方を研究したい。W杯本大会でセンターラインの守備があれでは戦えない。
【森重真人】
森重は高いパスセンスを売り物に、最終ラインからのビルドアップで貢献する。彼の特徴は近距離だけでなく、正確なロングボールを生かし遠くの選手にもパスを配給できる点だ。CBのレギュラー取りレースでは吉田のパートナーを槙野と争っており、現状では横一線か。クレバーな守備とあわせ、日本代表の後ろ半分のレベルを競争原理でアップさせていってほしい。
【長友佑都】
シンガポール戦での長友は、同サイドの武藤とのバランスを取り攻撃は抑えめだった。だが右SBに入ったカンボジア戦の特に後半には、積極的なオーバーラップから質のいいクロスを配給した。「やっぱりこんなにすごい選手だったんだ」と、久しぶりに彼の真骨頂を見た思いがした。カンボジア戦の後半は途中出場の本田が前のスペースを空けたことも一因だが、ひょっとしたら右サイドのほうがいいのでは? などと思わされた。
【酒井宏樹】
酒井は逆サイドに開いたウイングに対しダイアゴナルなピンポイントの神サイドチェンジを決めたかと思えば、ゴール前へ入れるクロスがはるか銀河系を探索に行ったりする。フィジカルが強く戦闘能力もあるため、あとはクロスの質さえ上がれば問題ない。ただし出し手の質ばかりでなく、11月シリーズでは受け手の動きのクオリティも問題化した。クロスによる攻めは今後、チーム単位で取り組んでいく必要がある。
【藤春廣輝】
スピードのある左SBの藤春は、カンボジア戦で代表初アシストの結果を残した。また前半の終わりに電光石火の早業で左前へ抜け出し、決定的なシュートも放っている。いままで存在感が薄かったが、「ハリルがなぜ選んでいるか?」をプレイで証明し説得力を持たせた。この調子で今後、一皮も二皮もむけてほしい。
【西川周作】
対戦相手が専守防衛でくるアジア2次予選ではあまり守備機会はないが、ビルドアップの第一歩になるパスを出せる貴重なGKだ。正確なフィードとパス出しのタイミングで勝負する。ライバルの川島がいない11月シリーズでは着実に実績を積み上げたといえるだろう。
【金崎夢生】
FWの金崎はシンガポール戦、しっかりした胸トラから振り抜いたシュートがインパクト満点だった。彼はボールの収まりがよくポストにもなれ身長もある。最前線のデュエルで戦えるフィジカルもある。動きもシャープで鋭かった。もちろん1試合だけで判断するわけにはいかないが、新戦力がなかなか出てこない現代表にあって、最大の衝撃をもたらしたことだけはまちがいない。
【柏木陽介】
11月シリーズで最も売り出した選手はボランチの柏木だ。ただしW杯アジア2次予選では対戦相手がリトリートして低く構えるため、柏木にはほとんどプレスがかからずフリーでプレーできている。ゆえに手放しで賞賛するわけにはいかない。例えばドイツやブラジルが激しくプレスをかけてきたとき柏木がどこまでやれるか? それが問題だ。
【長谷部誠】
あまり声高にいわれなかったが、シンガポール戦での長谷部の守備とパス出し、攻め上がり、運動量は特筆モノだった。陰のMVPといってもいい。むろんシンガポール戦に限らず、平均的にハイレベルな結果を残すタイプである。派手さはなく目立たないが、代表チームへの貢献度は果てしなく高い。「この選手のあとを誰が継ぐのか?」と考えると気が重くなる。アンカー的なキャラの遠藤航には早く海外へ行き、良い経験を積んでほしい。
【山口蛍】
カンボジア戦、ボランチの山口は低い位置から、サイドに開いたSHにダイアゴナルの大きな展開をするなど機能していた。シンガポール戦での柏木のプレイを意識したかのような、フィールドを横切る斜めのパスを何度もきれいに決めていた。ガッツのあるプレスと運動量も大きな武器だ。あとはプレイの精度を高めたい。
【遠藤航】
カンボジア戦、スタメンに抜擢されたが、預けるだけのパスや逃げのパスが目立ち、大きく展開する「作るパス」が出せなかった。ミスも目立ち、パスカットされカウンターを食らいそうになるシーンもあった。ただし同時スタメン出場した山口と守備的なキャラがかぶり、バランスの取り方に苦心した結果でもある。その意味では起用した監督の責任も大きい。未来の大器だけに、1回の失敗でヘコむわけにはいかない。がんばれ、航。
【武藤嘉紀】
武藤はファイトする選手で思い切りがよく、スピードとフィジカルの強さで敵を圧倒する。ゴールの匂いのする男である。その破壊力はシンガポール戦でもいかんなく発揮されていた。技術レベルも一定水準をクリアしている。ただ持ち前の強い気持ちがはやる分、プレイ精度にブレが出るケースも見られる。8分の気持ちでミスをなくし、冷静に決めるところは決めたい。
【原口元気】
原口は「戦う素質」があり、スケールの大きな選手である。競り合いで粘る姿勢と強いメンタル、インテンシティが頼もしい。だが11月シリーズでは、最後にボールを離すとき(ラストパスやシュート)の精度が課題として残った。もうひと声、ボールコントロールに磨きをかければ一段高い選手になれる。今後に期待だ。
【宇佐美貴史】
宇佐美はシュートのうまさでは代表チームで文句なく1、2だ。それだけでなくドリブルからの突破やワンツーなど、他の選手にない飛び道具を持っている。能力の高いスペシャルな選手だ。だが運動量が少なくデュエルが苦手。また本田のように調子が悪いときは悪いなりに、それでも一定水準の仕事をすることができない。いかにも天才らしく120点の試合と50点のデキの試合が同居してしまう。課題は香川と同様、アベレージでの活躍率だ。
【香川真司】
香川はおそらく本質的に「闘うこと」が苦手で、メンタルの強さがない。だが持って生まれたアジリティと後天的な努力で技術レベルを極限まで高め、通用している選手だろう。最大の課題はデキ不出来の差をなくし、アベレージで活躍できるようになること。シーズンを通してもそうだし、1試合を通じてもそうだ。このまま消える試合が多くなれば代表チームでは厳しくなるかもしれない。
【本田圭佑】
本田はフィジカルとメンタルが強く、プロ意識も高い。たとえ調子が悪くても、悪いなりに身を投げ出してでも一定の結果を出す。ここは香川や宇佐美に強く見習ってほしい点だ。スピードはなく11月シリーズではキレもよくなかったが、自分の勝負ポイントをわかっており、うまく自分の土俵に持ち込み必ず勝負に勝ち残る。今後も年齢なり、自分なりのプレイ像を自分で描いて行けるだろう。
【岡崎慎司】
岡崎は11月シリーズでは疲労の蓄積とバイオリズムが底にきている感じだった。本田と同様、惜しみなくファイトする熱い選手で泥臭くチームに貢献する。彼の八方破れなゴールがチームを鼓舞し、全員の士気を高める。意識も高く心配ないが、来年は彼らしく元気なところを見せてほしい。
【吉田麻也 & 槙野智章】
FIFAランキング183位でグループE最下位のカンボジア相手に、守備の不安を残した吉田&槙野の両CBにはさらなる研鑽が求められる。エアポケットに入ったかのようなポカを今後はなくしてほしい。またスピードに対する対応と敏捷性のなさを補う互いのカバーリング、裏のスペースのケア、ポジション・バランスの取り方を研究したい。W杯本大会でセンターラインの守備があれでは戦えない。
【森重真人】
森重は高いパスセンスを売り物に、最終ラインからのビルドアップで貢献する。彼の特徴は近距離だけでなく、正確なロングボールを生かし遠くの選手にもパスを配給できる点だ。CBのレギュラー取りレースでは吉田のパートナーを槙野と争っており、現状では横一線か。クレバーな守備とあわせ、日本代表の後ろ半分のレベルを競争原理でアップさせていってほしい。
【長友佑都】
シンガポール戦での長友は、同サイドの武藤とのバランスを取り攻撃は抑えめだった。だが右SBに入ったカンボジア戦の特に後半には、積極的なオーバーラップから質のいいクロスを配給した。「やっぱりこんなにすごい選手だったんだ」と、久しぶりに彼の真骨頂を見た思いがした。カンボジア戦の後半は途中出場の本田が前のスペースを空けたことも一因だが、ひょっとしたら右サイドのほうがいいのでは? などと思わされた。
【酒井宏樹】
酒井は逆サイドに開いたウイングに対しダイアゴナルなピンポイントの神サイドチェンジを決めたかと思えば、ゴール前へ入れるクロスがはるか銀河系を探索に行ったりする。フィジカルが強く戦闘能力もあるため、あとはクロスの質さえ上がれば問題ない。ただし出し手の質ばかりでなく、11月シリーズでは受け手の動きのクオリティも問題化した。クロスによる攻めは今後、チーム単位で取り組んでいく必要がある。
【藤春廣輝】
スピードのある左SBの藤春は、カンボジア戦で代表初アシストの結果を残した。また前半の終わりに電光石火の早業で左前へ抜け出し、決定的なシュートも放っている。いままで存在感が薄かったが、「ハリルがなぜ選んでいるか?」をプレイで証明し説得力を持たせた。この調子で今後、一皮も二皮もむけてほしい。
【西川周作】
対戦相手が専守防衛でくるアジア2次予選ではあまり守備機会はないが、ビルドアップの第一歩になるパスを出せる貴重なGKだ。正確なフィードとパス出しのタイミングで勝負する。ライバルの川島がいない11月シリーズでは着実に実績を積み上げたといえるだろう。