格下相手に危なげなく貴重な1勝
このチームはいい意味で予想を裏切ってくれる。
前回のオランダ戦のレビュー記事で「フィールドを斜めに横切る大きい展開がない」と書いたら、さっそく今回のアイスランド戦では、散発的に最終ラインからロングボールを入れて敵陣をタテに引き伸ばし敵のバイタルにスペースを作ったり。中央から左右サイドに振り分けるダイアゴナルな大きいパスを出したり。
極めつけは前半15分に右SBの清水が放ったアーリークロスに反応し、中央で前タテに飛び込んだFW菅澤が見事に決めた1点目だ。あんなヨーロッパのチームみたいなダイナミックなフィニッシュをなでしこジャパンが見せるのはいつ以来だろうか?
かと思えば6失点したオランダ戦のレビューで「淡白にあっさり失点しすぎる。1対1ではカラダを当てて粘りがほしい」と書いたが、本節では試合の随所でオランダ戦ではなかった粘り強い競り合いを展開する。
こんなふうに1試合ごとにまるで猫の目のようにスタイルが変わり、前節での修正点を次々に克服して行く。「打てば響く」とはこのことだ。高倉監督もさぞ、やりがいを感じているんじゃないだろうか?
「得点はセットプレイから」の格言通りコーナーキックから失点し同点に追いつかれたが、タイムアップが迫った後半40分には宇津木が2点目を取り突き放す。「サッカーの試合運びはこうやれ」という見本のようなゲームだった。
超攻撃的SBの若い清水にはシビレた
初戦オランダ戦とくらべアイスランドはフィジカルがそう強くなかったので、選手はやりやすかったのではないだろうか。明らかに格下の相手だった。
なでしこは一方的にボールを握って相手にチャンスを作らせず、アイスランドはほぼ「ノーチャンス」。オランダのように浮いた鋭いミドルパスでライン裏を狙ってくるような危険な攻撃もなかったし、組みやすい相手だったことは割り引いて考えるべきだ。
とはいえ、ていねいにパスをつないで最終ラインからビルドアップし、中盤ではボールを動かし揺さぶりをかけ、ポゼッション率を高めるなかで敵の開けた「穴」を狙って行く試合運びは見事だった。
選手別では、右サイドを激しく上下動する超攻撃的SBの若い清水にはシビレた。タテに走ってボールをもらい、いったん横にはたいたかと思ったらもうゴール前にいる。あのアグレッシブさには口をあんぐりだ(ああいうSBが男子にもほしい)。いっぺんでファンになってしまった。
また「強さ」がないので評価は保留にしていたMF長谷川にもシャッポを脱いだ。彼女のパスセンスには脱帽した。いままで名前を挙げなくてスミマセン。
「ゴメン」といえば、オランダ戦のレビューで期待のFW陣として列挙しなかった菅澤にも参った。あんな難しい浮き球のアーリークロスをカンタンに決めるなんて。彼女はなでしこジャパンでは珍しく強さがあり非常に積極的だ。同じくスタメン出場した岩渕も随所でドリブルを仕掛け「らしさ」を見せた。FWのスタメン争いは、これでますますおもしろくなったきた。
一方、ボランチとして待望のスタメン出場を果たした猶本は、1対1の競り合いで地味にカラダを入れて粘り強くデュエルしていた。目立たないが、ああいう粘っこいハードワークの集積こそがチームの「勝負強さ」の元になる。ぜひ今後も続けてほしい。
この試合で出た修正点といえば、自分を過信し敵にプレスをかけられているのにボールを持ちすぎこね回す点だ。特に最終ラインでそのテのリスキーなプレイは絶対に避けてほしい。
また1点目が取れポゼッション率で圧倒するなか相手との力の差を楽観したのか、やや試合が間延びした。メンタルの緩みは禁物だ。ラッキーな追加点がなければ引き分けに終わっていたことを厳しく自覚してほしい。
さて次戦はEURO 2017準優勝のデンマークだ。さらに課題を克服しながら前に進んでほしい。
このチームはいい意味で予想を裏切ってくれる。
前回のオランダ戦のレビュー記事で「フィールドを斜めに横切る大きい展開がない」と書いたら、さっそく今回のアイスランド戦では、散発的に最終ラインからロングボールを入れて敵陣をタテに引き伸ばし敵のバイタルにスペースを作ったり。中央から左右サイドに振り分けるダイアゴナルな大きいパスを出したり。
極めつけは前半15分に右SBの清水が放ったアーリークロスに反応し、中央で前タテに飛び込んだFW菅澤が見事に決めた1点目だ。あんなヨーロッパのチームみたいなダイナミックなフィニッシュをなでしこジャパンが見せるのはいつ以来だろうか?
かと思えば6失点したオランダ戦のレビューで「淡白にあっさり失点しすぎる。1対1ではカラダを当てて粘りがほしい」と書いたが、本節では試合の随所でオランダ戦ではなかった粘り強い競り合いを展開する。
こんなふうに1試合ごとにまるで猫の目のようにスタイルが変わり、前節での修正点を次々に克服して行く。「打てば響く」とはこのことだ。高倉監督もさぞ、やりがいを感じているんじゃないだろうか?
「得点はセットプレイから」の格言通りコーナーキックから失点し同点に追いつかれたが、タイムアップが迫った後半40分には宇津木が2点目を取り突き放す。「サッカーの試合運びはこうやれ」という見本のようなゲームだった。
超攻撃的SBの若い清水にはシビレた
初戦オランダ戦とくらべアイスランドはフィジカルがそう強くなかったので、選手はやりやすかったのではないだろうか。明らかに格下の相手だった。
なでしこは一方的にボールを握って相手にチャンスを作らせず、アイスランドはほぼ「ノーチャンス」。オランダのように浮いた鋭いミドルパスでライン裏を狙ってくるような危険な攻撃もなかったし、組みやすい相手だったことは割り引いて考えるべきだ。
とはいえ、ていねいにパスをつないで最終ラインからビルドアップし、中盤ではボールを動かし揺さぶりをかけ、ポゼッション率を高めるなかで敵の開けた「穴」を狙って行く試合運びは見事だった。
選手別では、右サイドを激しく上下動する超攻撃的SBの若い清水にはシビレた。タテに走ってボールをもらい、いったん横にはたいたかと思ったらもうゴール前にいる。あのアグレッシブさには口をあんぐりだ(ああいうSBが男子にもほしい)。いっぺんでファンになってしまった。
また「強さ」がないので評価は保留にしていたMF長谷川にもシャッポを脱いだ。彼女のパスセンスには脱帽した。いままで名前を挙げなくてスミマセン。
「ゴメン」といえば、オランダ戦のレビューで期待のFW陣として列挙しなかった菅澤にも参った。あんな難しい浮き球のアーリークロスをカンタンに決めるなんて。彼女はなでしこジャパンでは珍しく強さがあり非常に積極的だ。同じくスタメン出場した岩渕も随所でドリブルを仕掛け「らしさ」を見せた。FWのスタメン争いは、これでますますおもしろくなったきた。
一方、ボランチとして待望のスタメン出場を果たした猶本は、1対1の競り合いで地味にカラダを入れて粘り強くデュエルしていた。目立たないが、ああいう粘っこいハードワークの集積こそがチームの「勝負強さ」の元になる。ぜひ今後も続けてほしい。
この試合で出た修正点といえば、自分を過信し敵にプレスをかけられているのにボールを持ちすぎこね回す点だ。特に最終ラインでそのテのリスキーなプレイは絶対に避けてほしい。
また1点目が取れポゼッション率で圧倒するなか相手との力の差を楽観したのか、やや試合が間延びした。メンタルの緩みは禁物だ。ラッキーな追加点がなければ引き分けに終わっていたことを厳しく自覚してほしい。
さて次戦はEURO 2017準優勝のデンマークだ。さらに課題を克服しながら前に進んでほしい。