すちゃらかな日常 松岡美樹

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【国政の七不思議】なぜいまだに国民民主党の政党支持率が高いのか?

2024-12-19 07:55:09 | 政治経済
有権者は玉木氏が仕掛けた「出来レース」に付き合わされた

 結論から先にいえば、国民はズル賢いあの国民民主党・玉木雄一郎代表が策を弄した「103万円の壁」戦略に、すっかり洗脳されている。詳しくは後述するが、なんとも「やれやれ」な結果である。

 それが判明したのは、以下の調査結果で、だ。

 YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」とJX通信社(米重克洋・代表)が毎月行っている政党・内閣支持率調査の結果が、17日に出たのだ。これは電話とネット・両構えによる調査である。

【最新!政党・内閣支持率調査】国民民主党の勢い止まらず!無党派層の支持傾向にも変化(選挙ドットコム)
https://news.yahoo.co.jp/articles/82d4a5cbdf116271ba87a12e531ec24d5ebfff1a

 それによれば玉木氏が代表を務める国民民主党は、「12月の支持率」でまた大きく支持率を上げた。

 今やこれは、日本における七不思議のひとつだ。明らかに国民は、玉木氏が仕組んだキャッチーな「103万円の壁」なるキーワードに洗脳されている。

 さてこの調査によれば、国民民主の12月の支持率は電話調査では「5.7%上昇」、ネット調査では「8.0%」も上がった。すごい数字だ。

 それにしてもなぜ、いまだに国民は騙されていることに気づかないのか?

 結果から見れば玉木代表は、最初から上辺だけの「出来レース」を仕掛けた。で、うまく得点稼ぎをしただけだ。だが玉木氏のワナに、国民はいまだ気づいていない。

選挙が終わったら途端に玉木氏は「103万の壁」しか言わなくなった

 怪しい兆候は、すでにあの衆院選直後にすぐ起こった。

 選挙で勝利し、まんまと狙い通りキャスティングボートを握った国民・玉木代表は、衆院選で勝ったあと「スーッ」と魔法をかけるかのように「103万の壁」しか言わなくなったのだ。

 だが同党はあの衆院選で、以下の通り、最大の目玉公約のはずだった「消費税5%減税」のほか、市民側に「おトク」なおいしい公約を「無数に」掲げていた。

【国民民主党・政策各論】
https://election2024.new-kokumin.jp/policies/specifics/specifics1/

 なのに玉木代表は選挙に勝って終われば、急に「自民側のダメージ」がいちばん少ない「103万円の壁」しか主張しなくなった。

 つまり(市民側にではなく)自民側に配慮し、おもねって「腰を使った」わけだ。

 ズル賢い(が上手い)玉木代表の情報戦である。

 すなわち「テーブルの上では右手で自民と殴り合うふり」をした。だが、かたや玉木氏の左手は「テーブルの下で自民と握手していた」のである。

 かくて国民民主党は、政府サイドが103万円の壁の引き上げを飲む代わりに、先方から当然の交換条件であるかのようにゾロゾロ出されてきた(市民側が損をする)「106万円の壁」やら「130万円の壁」という不利な条件を持ち出された。

 もともとシナリオ通り、完全に仕組まれていた自民の「逆転勝ち」なのだ。むろん助演賞は、盟友・国民民主党である。

それぞれの「壁」の意味を改めてわかりやすく確認してみよう

 ちなみにそもそも103万円の壁とは、給与収入が年103万円を超えたら自分のバイト代・パート代等に、所得税が課税され始める年収の額を指す。

 つまり学生やフリーターなど家族の扶養に入っている人は、年収103万円を超えると扶養を外れ、親など扶養者の所得税と住民税が増えるのだ。

 また「106万円の壁」とは、社会保険に加入する必要がある年収の目安である。

 現状、従業員数51人以上の企業で週20時間以上、パートなどで働く人は、年収106万円を超えると配偶者の扶養から外れる。

 そして自分で厚生年金保険や健康保険の保険料を負担することになってしまう。この壁が、なんと2026年10月に撤廃されるのだ。

 するとどうなるか?

 賃金の額に関係なく、週に20時間以上働くと厚生年金に加入し、保険料を支払う必要が出てくる。

 また、それまで対象じゃなかった個人事業所に関しても5人以上の従業員がいる場合には、2029年10月から加入の対象になる。

 まあ逆にいえば労働者が「社会保険に加入し、年金や健康保険などの安心な社会保障を受けることができるようになる」ともいえるわけだが……。

 ただし差し引きすれば、当然、国民側の負担は増える。

 一方、このほか130万円の壁とは、従業員が50人以下の企業等で働く人でも、年収が130万円を超えると配偶者の扶養を外れる。

 そして国民年金や国民健康保険の保険料を、自分が負担することになる。もちろん、こちらも国民側の負担が大きくなる。

 どう考えたって、103万円の壁を引き上げて有利になる代わりに、そのぶんこれら後者2つの交換条件を飲むのはデカすぎる。

 そんなことになれば、デメリットがメリットを上回ってしまう。

 簡単に言えば「103万の壁のみ」が改善される代わりに、多くの改悪が押し寄せ国民が返って損をするのだ。

 しかもそれだけじゃない。これを機に、いまや政府・与党は(これも103万円の壁と引き換えであるかのように)防衛財源を確保するための増税を言い始めた。

 内容は法人税が2026年4月から、所得税は2027年1月から増税される案が検討されているのだ。

 ちなみに検討案では法人と個人に関し、それぞれ「防衛特別法人税」、「防衛特別所得税」という名称がついている。

 もしこれが計画通り行われたら、いうまでもなく大変だ。逆に国民にとっては大幅な負担増になる。もう地獄だ。

「103万の壁」の提案で返って政府側の増税意欲に火がついた皮肉

 まったく皮肉な話だが、国民・玉木代表が下手に103万の壁を持ち出したばかりに、まるで「寝た子を起こしたように」それに刺激された増税勢力の政府側が、国民負担を増やす意欲にメラメラと火を燃やしているのだ。

 まさに「3倍返し」である。

 自民・政府側は、もういっそこの機を逃さず畳み掛けて全部「やっちまえ」って感じだ。

 さて、この時点ではもはや、すでに「103万円の壁」のメリットなんてとっくに吹っ飛んでいる。こやつがいくらに引き上げられようが、市民の側は「さらに余計に損をする」ことが確定した。

 まったく国民・玉木氏は、余計なことをしてくれたもんだ。

 なのに国民民主党の12月の政党支持率が上がるなんて……なぜ国民はこんなカンタンな理屈がわからないのか? まさかマゾなのか?

 すべては形だけ繕って「市民側にトクさせますよ」という、国民・玉木氏による「形づくり」のポーズに過ぎないのに……。

 それに引っかかって我々、国民はバカを見たよね、って話だ。

 そもそも今回発表された調査結果からは、あの衆院選挙時にX(旧ツイッター)上で「#国民民主党に騙されるな」というハッシュタグが踊った意味に、いまだにまるで気づかない人が山のようにいることがわかった。

 まったく「やれやれ」である。

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