すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカ−日本代表】敗因の分析は「言い訳」とは違う

2015-08-25 08:00:33 | サッカー日本代表
感情的になり怒る相手に「客観的な分析」を語っても意味がない

 ハリルホジッチ監督が、アルジェリアの代表監督を務めていた時代の記者会見をYoutubeで見た。彼はスライドを使いながら、記者団にこう説明していた。

「今のアルジェリア代表のボール奪取位置は、ディフェンディング・サードにおいてが全体の42%を占める。そうではなく、もっと前からプレスをかけてボールを奪いたい。そういうスタイルにチームを変えたい」

 明快な分析だ。

 こういう客観的な事実に基づく緻密な分析を聞かせてくれれば、誰もが納得するだろう。

強行日程は客観的事実であり改善すべきだがーー

 ただしシチュエーションがちがえば、状況は一変する。

 ハリルは個が強く、自分の考えをはっきり主張する。結果、(日本人の感覚としては)少し喋りすぎる。

 例えば今回の東アジアカップでも、「強行日程だった」、「選手はJリーグの疲れがたまりフィジカルが十分でなかった」、「35歳の選手を連れてくれば無難だとわかっていたが、今回はあえて若手を試した」などと敗因を語っていた。

 冒頭に挙げた「ディフェンディング・サードでのボール奪取率が全体の42%だ」という件と同様、彼の言うことはすべて客観的事実である。

 だがあくまで敗軍の将は黙して語らず、監督がひとこと「すべて私の責任です」と言うのを潔いと考える日本人から見れば、「ヤツは言い訳ばかりだ」と受け取られてしまう。

 皮肉な言い方をすれば、日本人は「負けた、くやしい」という一時の劇的な感情に引きずられ、冷静で論理的な思考ができなくなる。で、「日程の話なんかクソくらえだ!」と叫び、「もしスケジューリングやフィジカルに不備があるなら努力して改善し、今後に生かそう」という理性的な話にならない。

 では負けた責任を追及する彼らの感情を満足させるには?

 おおげさでなく、血しぶきをあげながらその場で「腹を切る」しかないのだ。負けた要因をいくら客観的に説明されてもその教訓を次に生かそうとせず、「言い訳だ」とネガティヴにしか受け取らないのだから仕方ない。

批判を恐れて長期的な視点を失うな

 かくて日本代表は未来永劫、そういう近視眼的な批判を恐れて目先の1勝に囚われ続け、ベストメンバーという名の「数年後(W杯本番)には金属疲労であちこちガタがくるはずの老馬」に頼り続ける。

 で、過去代表がそうだったように「練習試合」では勝ち続けるが、肝心のワールドカップのド本番ではサッパリ勝てない魔のサイクルにハマる。練習試合でさえ負けを怖がり新しい戦術的トライがなく、常に名ばかりのベストメンバーにこだわるがゆえ次の世代も育たなくなる。

 これでは日本がワールドカップの決勝トーナメント「常連国」になるのに100年かかるだろう。
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