すちゃらかな日常 松岡美樹

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デフレ下で生産性を上げようとするトンチンカンな菅「逆噴射」内閣を止めろ

2020-10-06 08:45:58 | 政治経済
混乱するベーシックインカムの議論

 いま世の中では、ベーシックインカム(以下、BI)の是非を問う議論が高まっている。火付け役は「月7万円支給し、そのかわり生活保護や年金は廃止」するBIを提案した竹中平蔵氏だ。

 だが議論は混迷を極めている。BIの定義が明確でなく、その状態でBI支持者と否定論者が意味のない罵り合いをしているためだ。まるで生産的じゃない。

ベーシックインカムは2種類ある

 では議論を整理しよう。

 まず押さえておくべきことは、ベーシックインカムにはザックリ2種類あることだ。

 それは(1)竹中氏が提唱したような社会保障を削減するための「ネオリベ型BI」と、(2)生活保護や年金など従来の社会保障は維持したまま、その上にBIを支給する「福祉型BI」ーーの2種類である。

「ネオリベ型BI」はアドバルーンだ

 まず竹中氏が主張する「ネオリベ型BI」はわかりやすい。狙いは社会保障の削減だ。しかも竹中氏は菅首相の片腕ともいうべき存在であり、この「ネオリベ型BI」の提言はいわゆるアドバルーン(観測気球)の機能を果たしている。

 つまり竹中氏が厳しいほうのBIを提言し、これに社会がどう反応するか? 「いいじゃないか?」という支持の声が多ければ政府として導入を検討するし、逆に反対が目立てばペンディングにする、てな意図である。

 しかも竹中氏の「ネオリベ型BI」は、菅政権が今後推し進めようとしている弱肉強食の新自由主義政策と密接に関係している。というより、その一環だ。

「生産性の向上」は最優先課題か?

 たとえば菅政権はコロナ禍で経営が持たない中小企業を救わず、逆にコロナ禍を奇貨として中小企業をこの機に再編しようとしている。

 具体的には中小企業基本法を改悪して「中小企業」の定義を狭め、これにより助成をカットして自由競争に晒す。

 同時に企業買収時の法人税などを軽減し、自由競争で持たなくなった中小企業を外資や大企業に買収させる。また最低賃金を上げ、上げられない企業も潰す。

 つまり生命力の弱い中小零細企業をこのさい葬り、競争力のある強い企業だけで経済活動を行い社会全体の生産性を上げようとしているのだ。

 だが「生産性を上げる」といえばなんだかポジティブに聞こえるが、果たしていま行うべき経済政策なのだろうか?

 日本はもう20年以上続くデフレ~低インフレであり、深刻なデフレ不況に見舞われている。そして需要不足にあえいでいる。とすればまずやるべきは需要を拡大させてデフレを解消することであり、生産性の向上などはその次の話だ。

トンチンカンな自公政権の経済政策

 自公政権では長らく、深刻なデフレ下で「消費税を何度も上げる=消費を抑制する」という正解とは真逆の政策が取られてきた。逆に消費税を下げて消費を喚起し、需要を伸ばす必要があるにもかかわらず、だ。

 かくて彼らが作ったのは、悪夢のようなデフレ地獄だった。

 にもかかわらずまた今回も菅政権は、中小企業をつぶして「生産性を上げる」というトンチンカンな新自由主義政策を取ろうとしている。

 おそらく竹中氏が提案した「ネオリベ型BI」も、菅政権がやろうとしている中小企業政策と同じ穴のムジナだ。「月7万円のBI以外に収入や貯蓄がなく、老後の生活ができない弱い人間はとっとと死ね。そうすれば強者ばかりが生き残り、社会全体の生産性が上がるぞ」という狙いなのだろう。

 デフレ下で真逆のネオリベ政策を取ろうとする菅「逆噴射」内閣。彼らの見当はずれな策謀を、なんとしてでも阻止しなければならない。

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