すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【2026年北中米W杯】アジア3次予選の初戦で日本が大勝、中国はシュートすら打てず 〜日本7-0中国

2024-09-05 23:08:29 | サッカー日本代表
コンパクトな3バックと素速い攻守の切り替え

 2026年北中米W杯アジア3次予選(日本にとってはたぶん「最終」予選)が9月5日に行われた。とうとう日本は初戦を迎えた。相手は中国だ。

 厳しい展開も予想されたが、日本は締まった試合展開でゲームを進めた。中国はFIFAランキング87位と、18位の日本よりかなり劣る。だがクセ者の中国は現・イヴァンコビッチ監督が、前回のアジア最終予選で日本から勝ち星を上げている、

 そんな手練れの敵将は4-4-2で試合に臨んだ。だが彼らは何か仕掛けてくるかと思ったが……そうでもなかった。

 中国は途中から引き気味になり、そのまま日本に打撃を与えることなく試合が終わった。敵は基本的には引いて遠くからロングボールを入れてくるスタイルだった。

 だがあのやり方では、自分たち(中国)は安全でも、日本に与える「脅威」が少ない。

 こちらとしては、とにかく飛んでくるロングボールさえいったんうまく処理すればいい形だった。

 敵がボールをくれて、また日本の攻撃が始まる。そんな感じだ。

 ゆえに腰のひけた相手のロングボール攻撃は、点差ほど圧倒的な印象はなかった。それに対し日本は、全体にシンプルなボール捌きで危なげなかった。

 遠藤航が口火を切るゴールを挙げたほか、南野拓実が驚きの2ゴール、久保建英や三苫薫らのスター選手も順当に点を取る。

 また途中出場で待望の伊東純也(スタッド・ランス/フランス)、次に前田大然(セルティック/スコットランド)もゴールを奪った。圧巻だ。

 やや久保に元気がないのは気になるが……チーム全体としては万全に近いデキだろう。

日本はワントップ・2シャドーの3-4-2-1で臨む

 日本は3バックだ。フォーメーションはワントップ2シャドーの3-4-2-1。2DMFである。

 スタメンはGKが鈴木彩艶(パルマ・カルチョ/イタリア)、最終ラインは右から板倉滉(ボルシアMG/ドイツ)、谷口彰悟(シント・トロイデン/ベルギー)、町田浩樹(ユニオン・サン・ジロワーズ/ベルギー)。

 中盤はディフェンシヴMFに右から遠藤航(リヴァプール/イングランド)、守田英正(スポルティング/ポルトガル)を配し、右サイドには堂安律(フライブルク/ドイツ)、左サイドに三笘薫(ブライトン/イングランド)を置く。

 2シャドーは右に久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)、左に南野拓実(モナコ/フランス)だ。ワントップは上田綺世(フェイエノールト/オランダ)である。

 南野は苦手なサイドではなく、中央寄りのシャドーに入れてもらっている。いや、この差は大きいのだ。彼が生きるかどうか? が全然違ってくる。

 その南野は、プレスバックからの守備も非常によかった。で、ピンチをチャンスに変えていた。

 前半9分までに三笘薫はすでに3回、(結実しなかったが)決定的なチャンスを作っている。日本は誰がキーなのか? が明確だ。一方、右サイドにいる堂安もよく効いている。

遠藤が久保の左CKから初得点を取る

 先制ゴールは遠藤だった。前半12分だ。左のCKを久保が蹴り、それを中央にいた遠藤がヘッドできれいにゴール右スミに決めた。形通りだ。(こういうセットプレイコーチとかは誰かいるのだろうか? 最近はサッカーをあまり掘ってないのでよくわかってない)

 日本は2DMFが遠藤と守田だと、実に安心して見られる。その後ろにいるCBの谷口とともに、センターの逆三角形が鉄壁のゾーンを誇っている。

 中国はさほど日本の脅威になるような動きは見られない。レベルはそう低くはないが、逆に高くもない。彼らは前半の早々にイバンコビッチ監督の指示で引き気味になった。全員が自陣に引くケースも頻出した。

 まあ格上の日本に対し、常識的だ。

 前半30分くらいまでで日本のボール支配率は69.8%ある。前半32分には日本がゴールに詰めた形になったが、相手GKが捕球しノーゴール。だが明らかにあれはゴールラインを完全に割っているようにも見えたが……。

 続く41分。右サイドで中国の選手がリスキーな形でヤマカンのバックパスをしたところをうまく奪い取った。

 日本はそのもらったボールを逆サイドに振り、サイドから敵のライン裏を狙う絶妙なスルーパスを入れる。だがボールには誰も触れず詰められなかった。

 そして前半アディショナルタイム。右サイドから堂安がダイアゴナルなクロスを入れ、ウラに飛び出した三苫がどフリーでヘッドだ。しっかり決めた。47分だった。やっぱり想像通りだ。彼はおいしいところを次々に持って行く。

 これで日本は遠藤と三苫のゴールで2点を先取し、かくて前半を折り返した。

後半の中国は攻撃的にくるのか?

 中国としても、このまま手をこまねいてむざむざ負けるわけには行かないだろう。前半は守備的に戦っておき、後半にイヴァンコビッチが何か勝負を仕掛けてくるのではないか?

 だがその予想を裏切り、中国は逆に攻撃的な選手を引っ込め、後半は5バックに変えた。5-3-2だ。「予選は長い。ここで無理して致命的なケガをするのは避けよう」というところだろうか。

 ならば逆に日本は積極的な選手交代で、いろんな選手を試したい。

 と、52分に三苫とのパス交換から南野がボールを受け、ドリブルで2タッチしてから中国ゴールの右スミへ鮮やかに決めた。彼はこんなふうに気持ちでプレイするタイプだ。

 だから今回はこれでリズムに乗り、きっとキレキレのいい試合ができるだろう。

 それでなくとも日本はこのあと中3日で、次のバーレーン戦が待っている。そう考えると、日本は選手交代で多くの選手が持ち回りし時間をうまく使いたい。

 すると南野がまたやってくれた。今度は58分だ。上田のボールの落としを受け、南野がドリブルで切り込んでゴール右へシュートを見事に決めた。4-0だ。

 やっぱり、である。南野の気持ちのノリが出た。彼は一時の低迷を抜け出し、すっかり好調だ。

伊東がゴールを挙げ復活宣言する

 日本は今度は三苫と堂安が下がり、伊東純也と前田大然が途中から出てきた。すごい歓声だ。伊東は右サイド、前田は左サイドに入った。

 その次は田中碧(リーズ/イングランド)の出番である。遠藤に代わり出場した。そして高井幸大(川崎フロンターレ/日本)が、右CBで板倉との交代で出場した。A代表、初の試合だ。まだそのゲームは20分近くある。

 日本は全体に2タッチ縛りのリズミカルなプレーテンポや、攻守の速い切り替えの意識が光った。

 特にマイボールを失った直後も、ひと休みせず絶対に足を止めない圧倒的な敵へのプレッシング、チェイシングがすごかった。これができるチームは強い。

 そして伊東がやや右から足を振ると、実にあっさりゴール左スミに5点目が入った。77分だった。

 かくて今度は小川航基(NEC/オランダ)が、上田に代わりトップに入った。

 87分には伊東が右サイドから大きくボールを中に入れると、受けた前田がひとつ弾ませて頭で押し込む。6-0だ。

 このあと伊東からボールを受けた久保が、左足で95分にゴールのど真ん中をブチ抜いた。

 そしてゲームが終わった。

 日本が7-0で大勝だ。

2ゴールの南野はやはりサイドより中央で生きた

 南野も2点を取り、大収穫だった。彼はどちらのゴールもカンタンに2タッチしただけで決め切った。このカンタンにプレーする、というのがサッカーでは大事なポイントだ。しかも彼はそんなプレーがいちばん得意である。

 特に1点目は突っ込んできた敵をボールワンタッチで簡単にかわし、次のタッチでもうあっさりゴールを決めている。これでノリノリのままやれるだろう。彼は気持ちの波に左右されるぶん、いったん乗れば大きな力になる。

 個人的には玄人好みする鎌田大地(クリスタルパレス/イングランド)も見たかったが……まあ日本は役者が多いので仕方ない。

 さて次はバーレーン戦だ。

 カマしてこい!

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