だがここに来て、ひとつ気づくことがある。
あの社会現象と、今回の衆院選で玉木雄一郎代表の国民民主党に投票した人たち、また兵庫県知事選で斎藤知事を勝たせる立役者になったN党党首・立花孝志氏の支持層のキャラクターという「3つの支持層」は、ぴったり重なる。
まあ同じとまでは行かずとも、かなり近しい属性といえるだろう。
それらの支持層は世代的にも思想的にも、かなり似ている。年齢的には、おそらく「Z世代」と呼ばれる人々が主体だ。
これは1990年代半ば〜2010年代序盤に生まれた世代であり、2025年現在ではおよそ14歳~30歳相当に当たる。
彼らは生まれたときから当たり前のようにインターネット(=SNS)があった、初めての世代だ。
彼らは生まれたときから当たり前のようにインターネット(=SNS)があった、初めての世代だ。
また同時に生まれたときから当時の日本は、とっくの昔に右傾化していた。というより逆に、ほぼ右派しか存在していなかった。
だからそんな右しかない真っ只中で世に出た彼らは、自分が必然的に「右であること」すら意識することがない。それほど右でいることが自然でいる。
だからそんな右しかない真っ只中で世に出た彼らは、自分が必然的に「右であること」すら意識することがない。それほど右でいることが自然でいる。
「生まれつきの右」、あるいは「右に生まれついた」と言ってもいい。
一方、彼らは赤ちゃんがおもちゃを使いこなすかのように、SNSを自在に操る存在でもある。
そんな彼らとガッチリ噛み合うように「石丸・玉木・立花」の3政治家もまた、YouTubeやX(旧ツイッター)をフルに使った「ネット選挙」を展開する点でも共通している。
しかもみんな右派である。
分類すれば「右派ポピュリズム」を信奉する人々だ
分類すれば「右派ポピュリズム」を信奉する人々だ
この右派ポピュリストとは、右寄りの政治とポピュリストを結びつける政治上のイデオロギーを指す。
例えば同志社大学・政策学部(政治学者)の吉田徹教授によれば、この後者に当たる思想の「ポピュリズム」は、まず既成の政治や経済、文化エリートに対し異議申し立てをする。
例えば同志社大学・政策学部(政治学者)の吉田徹教授によれば、この後者に当たる思想の「ポピュリズム」は、まず既成の政治や経済、文化エリートに対し異議申し立てをする。
第二に、社会から無視されている農民や労働者階級、自営業者、手工業者らの名誉を広め、その地位を高めようと盛んに動く。
第三にポピュリズムは、カリスマ的な指導者が扇動することが最大の特徴だ。すなわちそれらのリーダーが、石丸、玉木、立花の3者に当たる。
第三にポピュリズムは、カリスマ的な指導者が扇動することが最大の特徴だ。すなわちそれらのリーダーが、石丸、玉木、立花の3者に当たる。
定義にドンピシャで当てはまる。
もっとも彼らは典型的な右派ポピュリストであるトランプ次期米大統領や、フランスのルペン前「国民連合」党首みたいに「そこまで破壊的」じゃない。
もっとも彼らは典型的な右派ポピュリストであるトランプ次期米大統領や、フランスのルペン前「国民連合」党首みたいに「そこまで破壊的」じゃない。
だが確かに典型的なネトウヨ層もまた、彼らの中には相当数、含まれているだろうと思われる。
支持者は学生や派遣、非正規などワープア層が中心だ
次に社会的な属性でみれば、彼らは学生さんから派遣社員、非正規雇用などのワーキングプアが中心だ。あまり裕福じゃない人々がコア層になる。
だから彼らは将来を悲観している。
支持者は学生や派遣、非正規などワープア層が中心だ
次に社会的な属性でみれば、彼らは学生さんから派遣社員、非正規雇用などのワーキングプアが中心だ。あまり裕福じゃない人々がコア層になる。
だから彼らは将来を悲観している。
いまの政治は腐敗の極みにあり、人びとの敵をやっつける強い指導者が必要だと感じてる。それがまさに彼らにとっての玉木氏であり、石丸氏であり、立花氏なのだ。
裏を返せば彼らの政治的関心をイチから呼び起こすトリガーになったのが、そもそも玉木・石丸・立花の3キャラクターだったのである。
一方、いま社会構造の対立軸を政策の結果として見れば、完全に「1% vs 99%」の関係になっている。
裏を返せば彼らの政治的関心をイチから呼び起こすトリガーになったのが、そもそも玉木・石丸・立花の3キャラクターだったのである。
一方、いま社会構造の対立軸を政策の結果として見れば、完全に「1% vs 99%」の関係になっている。
それぞれ具体的に「1%」と「99%」に例を当てはめれば、「オールドメディアと富裕層など社会の支配者階級、および既得権益層」(1%) vs 「SNSになじんだ単なる平民の被支配者層と被抑圧者層」(99%)という関係だ。
そんな構図のなか、石丸・玉木・立花各氏の支持層は、99%の側に立つ。
だから彼らは当然、後者に当たる99%(ふつうの人たち)の声を政治的に重んじるべきだと考える。
また彼らはどちらかといえば今まで支持する政治家がおらず(無意識的な無党派層だ)、ゆえに選挙へ行かなかった「棄権者」の層もかなり含まれている。
だから彼らは当然、後者に当たる99%(ふつうの人たち)の声を政治的に重んじるべきだと考える。
また彼らはどちらかといえば今まで支持する政治家がおらず(無意識的な無党派層だ)、ゆえに選挙へ行かなかった「棄権者」の層もかなり含まれている。
最近になって政治参加したばかりの新世代の有権者も、多く含まれるはずだ。
最初に「政治的成果」を挙げたのは国民民主の支持層だった
経済的、社会的に満たされない彼らは、直近では衆議院選挙で国民民主党が掲げた「手取りを増やす」というキャッチーなコピーに飛びついた。
最初に「政治的成果」を挙げたのは国民民主の支持層だった
経済的、社会的に満たされない彼らは、直近では衆議院選挙で国民民主党が掲げた「手取りを増やす」というキャッチーなコピーに飛びついた。
それだけ彼らは新しい(特に経済的な)政治欲求が強い。
で、その経済政策に対し、支持者は強く反応した。(ただし、その国民民主党の政策は以下の通り、実際には「うわべの見せかけにすぎない」ものではあるのだが。詳しくは以下、3本の記事をご参照下さい)
【国民民主党】やっぱり騙された? 公約の「消費減税5%」を反故に【衆院選2024】
【国政の七不思議】なぜいまだに国民民主党の政党支持率が高いのか?
【社会保険】「106万円の壁」が撤廃されて大増税に【国民・玉木代表と裏取引きか?】
衆院選で勝った国民民主がキャスティングボートを握った
こんなふうに3グループに分類される新世代の政治参加者のうち、まず最初に目に見える実績をあげたのが国民民主党の支持層だった。
かくて国民民主は衆院選で議席を飛躍的に伸ばし、キャスティングボートを握ることになる。
彼ら新世代の支持者による政治への新規参入が、あんなふうに衆院選での国民民主の大躍進を生んだのだ。
残る2派の実質的な躍動はまだこれからだが、注目すべきは今後、「右で99%を占めるSNSネット世代」のこれら3層の共同戦線があるのかどうか? だ。
玉木勢と石丸勢はマッチしそうだが立花勢は?
個別に見れば、おそらく玉木勢と石丸勢は比較的、組むことにも柔軟に見える。
残る2派の実質的な躍動はまだこれからだが、注目すべきは今後、「右で99%を占めるSNSネット世代」のこれら3層の共同戦線があるのかどうか? だ。
玉木勢と石丸勢はマッチしそうだが立花勢は?
個別に見れば、おそらく玉木勢と石丸勢は比較的、組むことにも柔軟に見える。
だが立花勢は、ひときわユニークな個性とこだわりが強いだけに共闘はしにくいかもしれない。ただし、よく話し合い共通の政策に限定して政策を掲げれば、また話は別だが。
最後に(客観的にではなく)極めて主観的で、個人的な意見を言わせてもらおう。
外野の私からすれば、これら3派のリーダーは(少なくとも政治的には)悪く言えばうわべだけだ。ややもすれば雰囲気のみであり、現実の政策的には空気みたいに無意味な存在に見える。
特に石丸氏には何も具体的な政策がないし、立花氏も(頭はすごくキレるが)政治的には同様だ。
最後に(客観的にではなく)極めて主観的で、個人的な意見を言わせてもらおう。
外野の私からすれば、これら3派のリーダーは(少なくとも政治的には)悪く言えばうわべだけだ。ややもすれば雰囲気のみであり、現実の政策的には空気みたいに無意味な存在に見える。
特に石丸氏には何も具体的な政策がないし、立花氏も(頭はすごくキレるが)政治的には同様だ。
それにくらべ玉木氏の場合は(本当は経済政策としてやるべきことを)確実にわかっているはずだが、それをやれば「自身が破滅しかねない」からおそらく本気でやる気はないだろう。
玉木氏は日本再生には何が必要か? 本当はわかっている。だが、やることをやらずにうわべの勢力(数の力)だけを稼ぐ戦法を取るはずだ。
したがって万一、国民民主党が仮に連立政権に加わった場合でも、政策的には結局中身がカラっぽで真空だろう。世の中はなんにも変わらない。
玉木氏は日本再生には何が必要か? 本当はわかっている。だが、やることをやらずにうわべの勢力(数の力)だけを稼ぐ戦法を取るはずだ。
したがって万一、国民民主党が仮に連立政権に加わった場合でも、政策的には結局中身がカラっぽで真空だろう。世の中はなんにも変わらない。
単に当たり障りがないだけだ。もっとも利権政治で腐敗し切った自民党よりは、まだマシだろうが。
玉木氏が真の意味で「積極財政のカード」を切ることはない
大蔵省(現・財務省)出身の玉木氏がそうとわかっている「本当にやるべき経済政策」をやれば、日本は真の意味で改革を成し遂げて経済成長できる。
玉木氏が真の意味で「積極財政のカード」を切ることはない
大蔵省(現・財務省)出身の玉木氏がそうとわかっている「本当にやるべき経済政策」をやれば、日本は真の意味で改革を成し遂げて経済成長できる。
だが彼はそれが自分の身を滅ぼすことを恐れ、やらないはずだ。
すなわち「それ」とは、大胆な国債発行を絡めた上での大幅な財政支出を伴う「積極財政政策」を指す。
もちろん積極財政をやれば、日本の経済は立ち直り、国民は幸せになる。
すなわち「それ」とは、大胆な国債発行を絡めた上での大幅な財政支出を伴う「積極財政政策」を指す。
もちろん積極財政をやれば、日本の経済は立ち直り、国民は幸せになる。
だがその結果として、政治的なパワーバランスがどんな結果になるか?
直接的には、党はまず財務省と真っ向から対立する。ひいてはやがてアメリカとも、コトを構えるガチンコ勝負になるかもしれない。
もしそうなれば玉木氏は、故・安倍晋三氏や故・中川昭一氏、故・石井紘基のようになりかねない。もちろんそこまで本気じゃない彼は、当然そんなことまでやる気はない。
だから「玉木改革」は見せかけで終わり、何もなし得ない。これは確実だ。
それに引き換え、例えばれいわ新選組の山本太郎代表は、本当に死ぬ気で積極財政をやるつもりでいる。
もしそうなれば玉木氏は、故・安倍晋三氏や故・中川昭一氏、故・石井紘基のようになりかねない。もちろんそこまで本気じゃない彼は、当然そんなことまでやる気はない。
だから「玉木改革」は見せかけで終わり、何もなし得ない。これは確実だ。
それに引き換え、例えばれいわ新選組の山本太郎代表は、本当に死ぬ気で積極財政をやるつもりでいる。
だがいかんせん、れいわは党の見かけが「左」に見えるせいで、このままでは多数の支持を得られない可能性が高い。よって、このままでは政権に参画できないかもしれない。
やれやれ、である。