今の音楽を1000年後に伝えるにはどうすれば良いか。デジタル化が進む書籍や動画も似た様な問題を抱えている。しかし書籍なら中性紙に墨で印刷し酸素を遮断して保管すればその位は持つし、動画は長期間安定して保存出来る媒体がそもそも存在しない。音楽であれば楽譜にすると云う荒業が使えるので、両者の中間的位置付けであると私は考えている。ただ楽器ならともかく、歌手の声は当人固有のものであり、それを紙に転記するのはやって出来なくは無いが止めた方が良いだろう。20世紀に発明された記録媒体は長持ちして精々100年であり、しかも電力が無ければ使い物にならないのが殆どである。口伝で継承していくと云うプリミティブな技も有るが、代を重ねれば変質するのが普通であるから、適切な保存方法とは言い難い様に思える。結局現時点で最新の記憶装置に適宜移し替え、文明の退化や断絶を引き起こす様な真似をしでかさない様に注意するしか無さそうなのである。