ジャパニーズ融通無碍スタイルである。最近のバレンタインデーの主流は「推しチョコ」だそうである。自分の推しにちなんだ色や形のチョコを選び、相手が生命体で無い場合には心の中で愛を込めて贈る(祭壇が有る人はそこに供える)のが一般的らしい。最終的にはチョコは自分の口に入るのだが、推しが絡むと理性が飛ぶ人が多い関係上、ご褒美チョコよりも豪華になるらしい。告白アイテムとしての役割はまだ認識されている様だが、いずれ「意中の人に和歌を贈る」のと同列に扱われる時代が来るのかも知れない。恋愛対象はマッチングアプリで見つけるのが当たり前になっている昨今、周囲の人間関係に波風を立てる様な贈り物をする必要性は確かに低いし、ギフト用チョコは自分が食べたいぐらいに美味、と云う事情も係わっているのだろう。伝統を継承しつつ時流に乗ると云うのは行うに難い。それを軽々とやってのける節操の無さは世界に誇っても良いと思うのである。