”tomorrow is another day”

     ただなんとなく・・・

映画『野火』

2020年08月22日 | 映画とか
監督/脚本:塚本晋也/原作:大岡昇平『野火』

1959年に市川崑により映画化された
大岡昇平の同名小説を
塚本晋也の監督、脚本、製作、主演により再び映画化。
第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島を舞台に、
野戦病院を追い出されて
あてもなくさまよう日本軍兵士の姿を追う。


どの角度から戦争を描くのか、
どの目線から時代を映し出すのか…

どのような兵士も
戦争というものの前では呆気なく
一発一弾の前では無力で無残だ。

その時人は人として生きていけるのか。
生きていく為に人を捨てるのか。
どんな懸命も意味がないのか…

目を背けたくなる場面こそが
戦場の悲惨さであり
惨さ非道さであり
真の現実なのだと思った
戦後75年目の夏。

映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』

2020年08月14日 | 映画とか
監督:アグニエシュカ・ホランド/脚本:アンドレア・ハウパ
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』

世界恐慌下の1930年代、
スターリン体制のソ連という大国に
ひとり立ち向かったジャーナリストの実話をもとにした作品。


独裁政治下のソ連。
その実情は絶望に覆われている。
情報の隠蔽とジャーナリズムの腐敗、
生きる為だけに生きている国民たち。
鮮やかさのない冬がモノクロにさえ感じる。

特にウクライナの惨状に体が凍るようだった。
その状況を合唱する子供たちの歌が
美しいだけに哀しく残酷で
ゾクっと身震いするほど怖かった。

彼の勇気と
ジャーナリストのプライドに感服するばかりだ。


映画『カセットテープ・ダイヤリーズ』

2020年07月20日 | 映画とか
監督:グリンダ・チャーダ/原作:サルフラズ・マンズール
『カセットテープ・ダイヤリーズ』

1980年代のイギリスを舞台に、
パキスタン移民の少年が
ブルース・スプリングスティーンの音楽に影響を受けながら成長していく姿を描いた作品。


残念ながらブルース・スプリングスティーンにあまり詳しくないので
ガッツリと刺さる事がなかったが
時折流れるその当時の音楽は
懐かしくてちょっと嬉しかった。

紛争が絶えないパキスタンから
イギリスに移住してきた家族。
傲慢ともいえる父親との確執。
馴染めない文化と迫害に
目立たないよう我慢を強いられる日々。
そんな中
一歩踏み出すきっかけとなった
ブルース・スプリングスティーンの曲。

暗い部分はサラッと描き、
前向きに突き進んでいく青年の成長が
王道的な流れで描かれている。
そして彼らは実在する。

なかなか良いお話だと思います!





映画『MOTHER』

2020年07月19日 | 映画とか
監督:大森立嗣/脚本:大森立嗣・港岳彦
『MOTHER』

2014年に起きた祖父母殺害事件をベースに
社会の底辺で生きる母親と息子を取り巻く
過酷で悲惨な現実を描いた作品。


いわゆる毒母である。
俗に言う親子の共依存である。
侍従関係にも似た母子である。

閉ざされた環境の中
少年の世界(全て)が母だった。
生きていく意味が母でしかなかった。
今を、今日を母と妹を守る為だけに費やす。
先の事を考えたり
罪を犯す事が如何なる事になるのか…などと
少年には考える術さえ与えられなかった。

少年は大罪を犯してしまったが
そうさせた母親の罪の重さを問いたい。

映画『コンテイジョン』

2020年05月04日 | 映画とか
監督: スティーブ・ソダーバーグ/脚本:スコット・Z・バーンズ
『コンテイジョン』

地球規模で新種のウイルスが感染拡大していく恐怖を描いた作品。
接触感染により数日で命を落とすという強力な新種ウイルスが香港で発生。
瞬く間に世界中に拡大し
見えないウイルスの脅威に人々はパニックに。
その恐怖の中で生き残るための道を探っていく。


2011年アメリカ製作の話である。
巷の噂には聞いていたが…
怖いくらいに今の状況と相まっている。
今観るからこその底深い恐ろしさだ。
予言にも似たこの作品、
あまりにもリアルすぎて…。

未知のウイルスと人類との戦い。
人の英知はそれに勝てるのか。
その時まで人は
人として保っていけるのか。
我々は何に何を試されているのか。





映画『パラサイト 半地下の家族』

2020年02月21日 | 映画とか
監督/脚本:ポン・ジュノ
『パラサイト 半地下の家族』

パルムドールやアカデミー等、数々の賞を受賞した韓国映画。
裕福な家族と貧しい家族の出会いから
始まる
パラサイト(寄生する)な物語を描く。


色んな現代の問題を様々な角度から映し出しながら
時にリアリティ高く、時に非現実性を感じつつ
どう展開していくのか興味深く見入る。

ダークな韓国映画は
少々不快を感じながらも
心の奥の部分を針で突かれたように感じ、
見応えがあって結構好き。

ここまでとは知らなかった韓国の格差社会。
皆なんとしてでも生きていかねばならない。
切羽詰まった現状を皮肉を詰め込んで描く。
…こういうのホント上手いと思う。

ドーーーン堕ちて、
クスっと笑とて、
オヨヨ⁈と思いながら
ささやかな希望を抱きたくなる作品でした。




映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

2020年01月29日 | 映画とか
監督・脚本:J・J・エイブラムス
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

「スター・ウォーズ」の新たな3部作としてスタートした3作目。
1977年のシリーズ1作目から計9作品を通して語られてきたスカイウォーカー家の物語が完結する。


とにかくおわったぁーーーー!!
って感じでした。

色々とツッコミどころは満載でしたが
そんな細かい事はどうでも良いのが
スター・ウォーズなんだ、と。
毎度お馴染み感が胸を熱くするのが
スター・ウォーズなんだ、と。

そう強く思った次第です。


映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』

2019年11月12日 | 映画とか
監督:ジュリアン・シュナーベル
『永遠の門 ゴッホの見た未来』

孤独に覆われた人生を送り後世に長く愛される作品を生み出した芸術家
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの魂の記録を綴った作品。


ゴッホの見ている世界を観客も同時に見る事ができ
美しさ、眩しさ、哀しさ、切なさ、儚さ、苦しさ…が
スクリーンに映し出され
重厚で壮大な絵巻を見ているようだった。

エキセントリックな行動が取り上げられやすい彼だが
この作品では彼の違う面が丁寧に描かれているように思えた。

劇中シンプルに響くピアノの音が
各場面の心情を効果的に聴覚にも訴える。

にしても、ウィレム・デフォーがゴッホにしか見えないのが凄い!さすが!!

映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』

2019年09月17日 | 映画とか
監督:蜷川実花/脚本:早船歌江子
『人間失格 太宰治と3人の女たち』

作家・太宰治の「人間失格」誕生に迫るドラマ。写真家でもある蜷川実花がメガホンを取り、
酒と女に溺れながらも
圧倒的な魅力を持つ男の生涯と、
太宰をめぐる正妻と2人の愛人との恋模様を描く。


書く事以外は最低のダメな男。
何かに特別秀でた者はバランスが悪い。
でも、そんな男に惹かれる女は
意外と多かったりする。
しかも、いい女だったりもする。
そして、彼女たちは美しく強い。

才能を愛でて引き出そうとする待つ女。
才能と名声を自分の為に利用する女。
全てを手に入れる為才能さえも壊す女。

いやあ〜、怖い怖い。

映画『エリカ38』

2019年06月18日 | 映画とか
監督・脚本:日比遊一/製作総指揮:奥山和由
『エリカ 38』

樹木希林が企画した人間ドラマ。
実際の事件をモチーフに、色香と話術で他人を惑わし金を不当に得てきた女の姿を描く。


一時期ワイドショーなどで騒がれていた
実際の事件をモチーフにしている、事と
あの樹木希林の企画という事で
非常に興味があった。

ほー、そこは忠実になぞっているのね。
…な部分と
んー、そこはもうちょい掘り下げて欲しい!
…な感じを受けた。

ええ、マスコミに取り上げられていない部分を
フィクションでもいいから垣間見たい、
という野次馬根性です。
接触した男性たちが
否が応でも虜になってしまう女の
作られ方や性みたいなものを知りたいわけです。

兎にも角にも…
沢山の富を手に入れても
人の欲にキリはないし
幸せはまた別のところにあるのですねー。

いい顔をして笑っていられる
歳のとり方をしたいものです。




映画『女王陛下のお気に入り』

2019年03月04日 | 映画とか
監督:ヨルゴス・ランティモス『女王陛下のお気に入り』

18世紀イングランドの王室を舞台に、女王と彼女に仕える2人の女性の入り乱れる愛憎を描いた人間ドラマ。
2018年ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員グランプリ、女優賞を受賞。
第91回アカデミー賞でも作品賞を含む9部門10ノミネート、主演女優賞受賞作品。


絢爛な衣装、美しい城、
豪華な美術、古典な音楽…。
18世紀イギリス宮廷の雰囲気が
ひしひしと伝わる。

が、内容はなかなかのドロドロ具合。
ちょっとした王奥状態。

立場の違う3人の女。
優位な位置での権力を求めたがる。
他の誰よりも上に立ちたいのだ。
日に日に変わってゆく
彼女たちの表情や態度が
その位置と心境を物語っているようで
なかなか面白くもある。

時代も国も男女も問わず
権力を持つ者は
美しく自分に尽くす者を側に置きたがり
美しく賢い者は
どんな手段を使っても権力を手に入れたくなるものらしい。

怖い怖い。

映画『アリー スター誕生 』

2019年02月08日 | 映画とか
監督:ブラッドリー・クーパー『アリー スター誕生』

歌の才能を見いだされた主人公が
スターダムを駆け上がっていく姿を描き、
1937年の「スタア誕生」を皮切りに、
これまでも何度か映画化されてきた物語を
新たにブラッドリー・クーパー監督&レディー・ガガ主演で描いた作品。


ザ・アメリカン、な話だった。
なぜそうなった?的な事を省くわけたが
まあ、音楽を聴く為の
(ガガ様の歌を拝聴する為の)
作品だから、そこはいいのだろう。

にしても、
ガガ様とクーパーの歌がとても良かった。
素のガガ様のキュートさ、
ダメ感漂うクーパーの色っぽさ
も目を引いた。

うん、いい曲がたくさんあったな♪
こういう映像を見ると
ライブ聴きに行きたい衝動と
ライブをやりたくなる衝動にかられる…かな(笑)

映画『ボヘミアン・ラプソディー』

2019年01月07日 | 映画とか
監督:ブライアン・シンガー/脚本:アンソニー・マクカーテン
『ボヘミアン・ラプソディー』

伝説のロックバンド、クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーの伝記ドラマ。
華々しい軌跡の裏の知られざる真実を映し出した作品。


え?この人がフレディ?
…な違和感から始まったのだが
いつの間にかフレディに見えてくるのが凄い、
というか、偉い!

ストーリーは
出会い→バンド始→試行錯誤→デビュー→
スターダム→傲慢→バラバラ→裏切り→
改心→仲直り
…な、よくある流れだが
そんな事はどうだって良いくらい
とにかく音楽が素晴らしかった。
耳に美味しすぎた。
瞳孔開きまくった。

この映画はクイーンの非常に出来の良い壮大なPVだ!
と思った♪

映画『カメラを止めるな』

2018年09月05日 | 映画とか
監督/脚本:上田慎一郎『カメラを止めるな』

映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作された作品。
「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った人々の姿を描く。


ほほ〜っ、なるほどね。
…な展開。
こういうテイストの作品は
なかなか一般ウケしないところだが…
さすがマスコミの影響は絶大だ。

確かに前半の完全なるB級ゾンビ時間を越すと
ワクワクするような
何段階もある謎解きを楽しめる。

映画を作るのって面白いんだろうなぁ〜
と、感じさせる
意外とハートウォーミングな作品。

映画『ラストワルツ』

2018年08月17日 | 映画とか
監督:マーティン・スコセッシ『ラストワルツ』

アメリカのロックバンド「ザ・バンド」のラストコンサートを
マーティン・スコセッシが監督したライブドキュメンタリー。


率直に音楽を楽しめた。
ゲストミュージシャンの豪華さには驚くが
それはザ・バンドの偉大さゆえの事だろう。

時代の空気感もスクリーンから伝わってきて
色んな意味で良い作品だった。