~山茶花~
2015-10-22 | 詩

いつだったか
風が木々を揺らして
微かに光が漏れる湖面を
山茶花の花びらが落ちていく
ひらひらクルクル舞いながら
木洩れ日に隠れたように咲いて
小さな花は碧風と戯れる
手を伸ばすと弾けて散って
薄紅色の花びらは 艶やかな緑葉を纏い
微かな淡い香りを放ってみせる
蕾は寒さに背くかのように
硬く閉じたまま息をひそめて
誰かを待っているのか
それとも
春の息吹を感じているのだろうか
鮮やかで素朴に咲いたら
風に吹かれ
雨に打たれ
雪が吹雪いて
浮かんで 廻って また落ちて
湖底に沈む
いつか
ざわめく風を追いかけてみたら
山茶花が好きだった あなたに
逢えるかも知れない
(この詩は、某新聞に投稿し掲載されました)
