
風も吹かないのに
揺れている コスモス
雑草にまみれて 名もない花と
競い合うように
散らばって咲いた 野道に
ゆらゆら ゆらゆら ゆらり
可愛い仕種で 風を呼んでいる
何処まで行っても 野原は続き
誰かを誘うように
誰かに会いたくて
広がり ススキも
もう お目見えで
居場所を分捕ったような 勢い
やがて
草木も 梢も 野花も
陣取りして
色づき 香らせ 蔓延って
魅せるのか
もうすぐ
もうすぐ そこまで
秋模様で染まるのを 風に吹かれながら
待っている

いつも
ひとりになれる
朝のひととき
まだ 明けきらぬ真っ黒な空を
出窓から 眺めている
これから
どのように明けるのか
パソコンを開きながら その時を待つ
少しの時間
朝刊を取って来て テーブルに置いたら
モーニングコーヒーの準備
テレビはつけないで
お気に入りの ブログに目を通しながら
今日の一日を考える
さて どうしょうか
窓開けると 薄雲が這うように広がって
雲間から碧空が見えている ような
もう、風はすっかり肌寒くなり
秋の様相に変わったようだ
どうやら晴れるのかな
なんて
庭の欅に声をかけてみる
さあ、珈琲のいい香り
明るくなってしまう前に
あれもこれも何てから 始る
ほら 明るくなってきた~

”爽やか”って言葉に
イッパイ詰まっている 想いを
ひとつづつ ひも解いて
わかるものを さがしている
人柄 笑顔 行動 憧れ 季節 ひらめき
風波 香り 色彩 雨音 印象 ひめごと
それとも なに?
もっと もっとあって 毀れるから
そう、気持ちだけを
ここに置いといてと 言葉に託す
爽やかで
あなたに....

どうしたの
雨が降っているけど いつの間に?
聴こえないような それでいて
何かがざわめいているような 雨音に
ふと窓辺で 木斛が濡れて
乾いた風に泣いていたのが
もう すっかり涼しげで
緑葉がイキイキ映る
そう言えば 花壇のコスモス
ピンクの花びらが 鮮やか色に
変身しただろうか
突然の雨だから
何だか ホッとした贈り物
何をしょうか 何て
ついつい あれこれと考えてしまう
粘土細工で花を作る
久しぶりに小説を読んでみる
絵を描くのもいい それとも....
パソコンでなら やりたい事がいっぱい
そうだ 雨を語る 雨を感じる 雨の想い
表現してみたい 雨のポエム
まだ 外は雨
しばらく降りそうだから 少しだけ
このまま このまま

”いつか風になりたい”って
言ったら 皆に笑われて
ススキ野の住人は まだ早いとばかり
知らん顔
そっと秋風に乗って 涼風と一緒に
野原を飛び回り どこへ行こうか
どこかへ行ってみたい
もっともっと吹かれたら
見たことのない 夢処に
行けるのか それとも
何かが 待っているのか
どこでもいい
どこかで 羽を伸ばして
知らない世界を見てみたい
山里の花園 波音が騒ぐ海岸通り 賑やかな街並み
そんなものより 誰も見たことのない
天空模様かな
だけど 何でもいい
声かけて 触れて 聴いて 出逢える
何かを感じたら それだけで
戻れる 戻りたい
風に乗っても
風に吹かれて
我が儘でここにいたい.... から

いつ頃だっただろうか
想い出せないほど 遠い昔の出来事なのに
線路を見るたび蘇えるのは 何故だろう
あれは確か
地元での 夏祭り
茹だるような暑さに 煩いほど
蝉が鳴いて
祭囃子の太鼓や笛の音が 子供たちの歓声と
入り混じって 聴こえてくる
境内では露店が 軒を連ね
大勢の参拝客で賑やかで
すぐ近くに 線路があっても
誰も気にしておらず
線路脇の 黄色の野花も見てはいない
仕事帰りで 家路を急いでいた父
自転車を押しながら 線路を渡ろうとして
きっと
溢れるほどの汗をぬぐいながら
祭りの雰囲気にのまれたのだろう
一瞬 何も見えなくなって
振り返るでもなく
吸い込まれるように去って 逝った
もしも 誰かが気づいてくれたら
もしも 信号機があって音が鳴っていたら
もしも 帰りを待つ 幼子の顔を
思い浮かべることがあったなら
望みも叶わず
祭りに一緒に行く約束は 守られなかった
いつしか 数十年の時が流れ
街並みも人も大きく変貌を遂げて
車の往来も激しくなった道路に 念願の
信号機が設置され 多くの人が行き交う
ただ 線路だけは
何事もなかったように続き 変わらないまま
今日も街へと 電車は走っていく
ひとつの ひとこまの 想いだけが
残ってしまって....

どこから 吹いてきたのか
流れる風が やっと涼やかになって
散歩道を歩いて行くと
秋祭りのお囃子が 聴こえて来る
若者が練習しているようで 本番まで
あと もう少し
土手には 散らばって咲いた
真っ赤なヒガンバナ
誰かを待っているようで すっと伸びた
花芯を揺らしながら 行き交う人を
迎えてくれる
「今年も見事に咲いたね」
繊細なのに尖って 鮮やかなのに地味で
不思議な怪しさと雰囲気で 存在感を
示していたような 気がするけど
野辺を周って
山道のてっぺんで 空を仰ぐ
階段を下りると そこは
また いつもの通り道
野草がいっぱい 雑草に紛れて
密やかに咲いたら 風を呼んでいて
だから もう すっかり
季節が変わったようだ
どこまで歩いて行こうか?