密やかに 梢を濡らす雨がいい
何かを叫んでみたいけど 黙って佇む街中がいい
山並みの向こう 何があるのか分からないからいい
いつから降っているのか 冬の雨は寂しいけどいい
賑やかでいたいのに ラインが繋がらないからいい
薄めた珈琲がちっとも苦味がないから 嫌いになりそうでいい
テレビをつけて ラジオ音楽かけて ブログを書くのがいい
明日は晴れるだろうか 曇天に微かな期待を込めて 見上げるのもいい
古びたラジカセから流れる 若い頃に流行った映画音楽がいい
ドロドロした韓国のドラマ ドキドキさせて 最後は爽やかな恋模様がいい
ユーチューブからのカラオケ 何でも歌えて お気に入りがあるからいい
窓辺には絵画のような 小さな世界が広がっているからいい
いつまで続くのか 冷たい雨が止みそうにないから 愚痴っているのがいい
「何処へ行こうか」「何処へ行きたい」誰かとこんな会話をするのがいい
今朝の雨 いつまでも届かぬ思い 思い出せるからいい
「いつまで続けるの」誰かに言われそうで 早めに切り上げるのがいい
「そうだろうか 今の雨を語りたい」 桜の頃に想いを寄せるのがいい
もう止めるから もう少し山茶花の紅色を眺めているのがいい
風が吹かない 小枝の珠のような雫がいっぱい並んで こちらを見てるのがいい
雨が好きだけど 寂し過ぎて冷たく凍るなら 覗くだけでいい
いっぱい いっぱい 好き放題でお喋りして 振り返らないのがいい
飾らない ありのまま 拘らない 自然体 笑顔がこぼれるならいい
やっぱり いつもの珈琲メーカーで淹れた苦味と甘みのある ブラックがいい
小雨で優しくて 少しだけ温めてくれる いま降る雨ならいい~