こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

カラヤンのブラームスを聴く

2023年08月15日 23時38分19秒 | ブラームス
NHKで、『街角イヤホン~いま、何を聴いていますか?』という番組がありました。4回放送で東京、沖縄、富士山、京都でそれぞれ街行く、イヤホンをしている人にインタビューする番組でした。まあこの手の番組はいろいろありますね。そこからその人の人生が垣間見えるのですねえ。でも音楽を聴いている人が多、曲も様々。それも私らには知らない曲ばかり。昭和の時代なら、ほとんどみなさん同じような曲を聴いていたような気がする。多様性の時代なんですねえ。

まあ、それはそれとして、今回はカラヤン。カラヤンが歳晩年にBPOと録音したブラームスの交響曲第2番です。1986年6月の録音。このCDは、おそらく発売されてすぐに購入したように思います。まだCDはそれほど持っておらず、ブラームスの交響曲といっても、大学生のころには梅田の紀伊国屋書店で買ったLP二枚(モントゥーの2番とセルの3番、ともに、1500円くらいだったが、かなり気に入っていてよく聴いたものでした)などくらいしか持っていなかった。CDでも、ベームVPOの1番に続いて、このCDを買ったように思います。

今回このCDを取り上げることになったのは,初期のころのCDには、よくわからないけど、化学変化が起こって、再生できなくなるものがある、ということを聞いたからなんです。このカラヤンのCDは、レーベル面がなんだか黄色っぽく変色しているのです。こんなんになってるんや、と言うくらいで、ほったらかしにしていました。それで変色は置いといて、このCD、再生はできるんだろうか、と思って、久々に再生してみたんです。すると無事でありました。めでたし。

カラヤンのこの曲の録音は、スタジオ録音が5種類(1949VPO,1955PO、1963BPO,1977BPO、1986BPO)あります。その他、ライブ録音が6種類(海賊盤?)が残されています。これらの中から、名高いのはBPOとの三度の全集となったスタジオ録音ですね。そして、1977年の演奏は、カラヤンとBPOの絶頂期のものとして、最も評価されているように思います。そして、この1986年のものは、最晩年の録音ということもあってか、それほど話題になることもない昨今であります。かく言う私も、この最後のブラームス交響曲は、この2番しかもっていません。カラヤンも、没後35年にならんとしており、もうはや過去の巨匠となってしまい、その演奏も忘れ去られているといえば、大袈裟ですかねえ。

この演奏、77年の演奏に比べると、全曲では1~2分遅くなっています。まず、第1楽章を聴いても。少しゆっくりかな、という印象ですねえ。それはそれとしても、この演奏は、実に見事で素晴らしいと思いました。うーん、このCDを買ったときの感想はそれほどよくなかったように憶えているんですがねえ。とりまく環境の変化か私自身の進化でしょうか。若い時の演奏のようなカラヤンの厳しい統率力などは、それほど感じず、BPOはゆったりとした余裕を持ってブラームスを高らかに歌い上げているのです。以前には凝縮された力がないとか散漫と思ったのはこのことと関連するんでしょうね。BPOはやはり素晴らしい。これだけしっかりとした演奏をこれほどの美音で、また、ドイツらいい音色で聴かせてくれる演奏はそれほどない。それもカラヤンの凄さでしょう。そして、2番特有の少しゆったりとした雰囲気も醸しだしながら、各楽章の美しい旋律がとてもいい表情で歌われるのは、他の演奏では聴けません。その美に感動です。

第1楽章からゆったりとしたテンポで余裕のある演奏。そこにBPOの美音で曲が進む。ところどころでの美しい演奏、そして音色に心が奪われる。第2楽章、非の打ち所がないBPOにより、ブラームスらしい旋律がたいそう心をこめて歌われる。その演奏に心が惹きつけられる。生で聴きたかったなあ。涙が出そう。弦の合奏力はさすがだし、木管もとてもいい。第3楽章、木管と弦の名人芸。BPOは少しも乱れず、少しの弛みもない。そして、終楽章。カラヤンもBPOもギアが上がり、圧巻の演奏。必要以上な高揚感は控えているが、ここに来ても細部まで明確であり、音楽も躍動してます。カラヤン最晩年なれど、その音楽は至って美しく明快、そして緻密でありました。

台風7号も、神戸を通って北に通り抜けました。心配していましたが、雨風も午前中がひどかったです。午後からはそれほどでもなかったので、少しホッとしました。お盆も終わりましたねえ。
(DG 423 142-2 1987年 輸入盤)

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