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クナ、1955年ザルツブルグ音楽祭でのブラームス

2009年12月28日 22時56分28秒 | ブラームス
年末恒例のバイロイト音楽祭の放送が、24日からNHKFMで始まりました。ここ二~三年は、いろいろ年末は多忙だったので、満足に聴けなかったんですが、今年は久々にHDDにWAVEファイルで保存しながら聴いています。ワーグナーを聴くのは、けっこう久しぶりかな、って思うのですが、なかなかいいですねえ。このバイロイト音楽祭を聴くと、ワーグナー熱が高まってくるのが実感できます。ワーグナーの響きから、今年も大詰めやなあ、と思うことしきりであります。今年は、ティーレマンのリングもはもとより、昨年に引き続き「パルシファル」の藤村実穂子さんによるクンドリが最大の聴きどころでしょうか。いやはや、楽しみであります。

さて、それで今回はワーグナーかと思いきや、実はブラームスです。交響曲第3番。1955年7月26日、ザルツブルク音楽祭のライブ録音によるもの。この日の演目は悲劇的序曲、ピアノ協奏曲第2番、交響曲第3番、というオール・ブラームス・プログラム。演奏は、ハンス・クナッパーツブッシュ指揮VPO。ピアノは、サー・クリフォード・カーゾン。まあ、今から思っても夢のような組合せと内容です。そして、このCDは二枚組で、この日の演目がすべて収められています。クナッパーツブッシュは、この交響曲第3番を得意としていたようで、現在6種類の演奏が残っています。そのうちBPOとのものが4つ。VPOとシュトゥットガルト放響とのものがそれぞれ1つずつ残っています。その中でも最も名高いのは、1950年のBPOとのライブ録音と言われています。今回の演奏は、VPOとの唯一のものとして、貴重なものと言えるでしょう。

しかし、この日の演奏は、なかなかなのであります。まず、ピアノ協奏曲第2番。カーゾンのピアノがミスの連続なんですね。まあミスが多いことがその演奏の価値を決めることでもないでしょう。しかし、普段のカーゾンからしても考えられないようなミスなんです。それで、それに続いて、交響曲第3番。この出だしから音が外れているんですよ。この曲もか!、って思ったのですが、それ以降の演奏は、なかなかクナッパーツブッシュの本領発揮とも言えるものです。全体を通して、テンポはゆったりめです。しかし、それほど遅いとは感じないところが、クナのスケールの大きな演奏によるんでしょうか。金管の威勢のよい咆哮、愛らしい木管、伸びやかな弦。それぞれがクナのゆったりとして、強固な意志を示す指揮のもと、調和の取れた演奏を展開しています。第1楽章、ところどころたいそうゆったりとした演奏。そして旋律を噛みしめるような確信に満ちた演奏が繰り広げられる。旋律が体に染み込んでくるようだが、それはゆったりとした演奏だからではなく、オケの技量とそれを統率しるクナの力量でしょう。演奏の間合いがたいそういいです。第2楽章、VPOのよさが前面に出た演奏。木管と弦との絡みがいい。双方ともうねるような美しさを聴かせてくれます。そして、その美が最上になるのが、第3楽章。この楽章はVPOの極上の艶っぽさを感じます。チェロからヴァイオリン 、フルートそしてホルンへと受け継がれていく甘美な旋律をクナが精一杯歌わせています。そして、第4楽章、この楽章が1番聴かせてくれました。テンポを落としたあとに爆発。これは凄まじい。ゆったりとした中にスケールの大きさ・力強さを実感します。いやー、大見得を切るような迫力満点の大合奏。この楽章がこれほどの曲であることを再確認させてくれました。よかったです。大満足であります。

この演奏、モノラルです。1955年のライブですが、音はそれほど悪くはないですが、それほどよくもないです。また、ピアノ協奏曲もなかなかおもしろい演奏ですよ。
(ORFEO C329 062B 2006年 輸入盤)

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