先週(7月27日)、ドイツの指揮者でN響名誉指揮者であるホルスト・シュタインさんがスイスの自宅で逝去されました。享年81だそうです。シュタインは、ドイツの各地の歌劇場で修業をして音楽監督に就任した、いわばカペルマイスターからのたたき上げの指揮者と言えます。こんなタイプの指揮者は少なくなったんでしょうね。この人を最初に聴いたのは、1973年前後。バイロイト音楽祭で「指環」を振ったときです。そのときには、ほとんど印象らしきものはなかったのです。その後、グルダとのベートーヴェンの協奏曲全集などで知られることになるのですが、いまいち派手さのない活躍ぶりですよね。レコードやCDにしても、それほどの枚数があるわけでないです。特に、ベートーヴェンやシューベルト・ブラームスはもとより、ブルックナーやワーグナーについて、録音を残しておいてくれたらと思います。特に、オペラの全曲があったらと思います。
そんな数少ないシュタインの遺産の中で、ブラームスの交響曲全集が素晴らしい演奏です。1997年7月、バンベルクのヨーゼフ・カイルベルトザールでのライヴ録音です。1996年にバンベルク交響楽団音楽監督を病気のために辞任し、1999年のプラハの春音楽祭客演中に倒れ、以降活動はできなくなりました。ですので、この録音は彼のもっとも晩年のものといえるでしょう。今回は、その全集の中から、交響曲第3番ヘ長調作品92であります。4曲の中で、第3番が最もいいなあを思ったのです。このバンベルク交響楽団、実にまろやかな音色です。 それでいて、シュタインの演奏はたいそうしっかりとして、一本筋がとおっているものです。第1楽章でも決して激しさを表に出そうとはしません。しかし、穏やかさがを感じる演奏でもあるんですが、それでいて一縷の漏れもない、余分な音が聞こえないです。このことは第2楽章以降にもっと顕著になります。ブラームスの優しい旋律をしっとり歌い上げます。特に、クラリネットやオーボエが渋いですね。甘美な演奏ですが、そこには厳しさも同居しているのです。第3楽章はその頂点でしょうか。この有名なメロディを感情こめて歌い上げていますが、それほどくどくなってはいません。いい演奏ですよ。そして、第4楽章。ある意味、もっとも充実した演奏でしょうか。激しさも加わって、盛り上がりを形作っていきます。いい演奏ですね。おらくは、ドイツの正統的な演奏の継承者として、その演奏は実に貴重なものだったと思います。そんな点で、シュタインの存在に大きかったんでしょう。ご冥福をお祈りいたします。
(KOCH 3-1640-2 輸入盤)
そんな数少ないシュタインの遺産の中で、ブラームスの交響曲全集が素晴らしい演奏です。1997年7月、バンベルクのヨーゼフ・カイルベルトザールでのライヴ録音です。1996年にバンベルク交響楽団音楽監督を病気のために辞任し、1999年のプラハの春音楽祭客演中に倒れ、以降活動はできなくなりました。ですので、この録音は彼のもっとも晩年のものといえるでしょう。今回は、その全集の中から、交響曲第3番ヘ長調作品92であります。4曲の中で、第3番が最もいいなあを思ったのです。このバンベルク交響楽団、実にまろやかな音色です。 それでいて、シュタインの演奏はたいそうしっかりとして、一本筋がとおっているものです。第1楽章でも決して激しさを表に出そうとはしません。しかし、穏やかさがを感じる演奏でもあるんですが、それでいて一縷の漏れもない、余分な音が聞こえないです。このことは第2楽章以降にもっと顕著になります。ブラームスの優しい旋律をしっとり歌い上げます。特に、クラリネットやオーボエが渋いですね。甘美な演奏ですが、そこには厳しさも同居しているのです。第3楽章はその頂点でしょうか。この有名なメロディを感情こめて歌い上げていますが、それほどくどくなってはいません。いい演奏ですよ。そして、第4楽章。ある意味、もっとも充実した演奏でしょうか。激しさも加わって、盛り上がりを形作っていきます。いい演奏ですね。おらくは、ドイツの正統的な演奏の継承者として、その演奏は実に貴重なものだったと思います。そんな点で、シュタインの存在に大きかったんでしょう。ご冥福をお祈りいたします。
(KOCH 3-1640-2 輸入盤)
ディスクとしての最良の遺産は、バンベルク響とのブラームス全集とシューベルト全集、そしてグルダと組んだベートーヴェンのピアノ協奏曲全集・・・・・・でしょうか。今も愛聴しているセットであります。
コメントとトラックバックともにありがとうございます。
やっと、岡山から帰ってきました。ホルスト・シュタインのCDは入手しにくいですねえ。やはり、中古やさんで捜すしかないのでしょうかね。私も東京に行く機会を見つけたいのですが、残念ながら、これまで、2~3回しか行ったことのない田舎者であります。とほほ。