7月になりました。梅雨も大詰めとなり、豪雨などなければと思う毎日であります。しかし、集団的自衛権の問題が世間を賑わしていましたが、この問題は、自民党が圧倒多数を占め、野党が弱小勢力である以上、反対しようが、まあ詮無いことでありました。内閣支持率が下がったようですが、ほぼ一党独裁体制ですもんねえ。一方で、議会でのヤジる議員さんや、何やら突然号泣してしまう、変わった議員さんとか、まあ、いろんな思惑もあり、なかなか大変であります。
さてさて、前回ピエール・モントゥーの演奏を取り上げましたが、今回も引き続き、モントゥーの演奏であります。前回、大学生のころに梅田の紀伊国屋書店で買ったLP。ブラームスの交響曲第2番ニ長調作品73であります。モントゥー指揮のロンドン交響楽団の演奏。1962年11月29日から12月1日1月の録音です。このCDは、去年の2月に元町の中古やさんで見つけました。たしか480円くらいではなかったかと思います。ああ、これは昔LPで買ったよなあ、と懐かしく思って買ったのでありました。ちょうど、そのときには、アンセルメやバルビローリのベートーヴェンの交響曲などのCDも合わせて一枚480円くらいで買ったことを思い出します。古いCDで、録音も古く、値段も安いということで、けっこうな枚数を買ったように思います。
モントゥーは、前回も触れましたが、フランス出身ですがドイツものも得意とし、特にブラームスについては、思い入れがあったそうです。生前のブラームスと合ったことがあるとか、死の床では、『ドイツ・レクイエム』の楽譜を抱いていたとか、またまた「ブラームスの音楽が自分の心にはいちばんぴったりくる」云々であります。ブラームスの交響曲についても、ライブでの全曲はありますが、セッション録音では、この第2番しかないようです。だたし、2番は他にも1959年のVPOとの録音もあります。このロンドン響との演奏は、モントゥーは、1964年に89才で逝去されますので、その2年前の録音となります。1963年には来日しており、その時大阪でこの曲は演奏されたそうです。モントゥーのお気に入りだった曲なんですねえ。
そんなこの曲の演奏ですが、まずこの曲がモントゥーの気質に非常にマッチしているように思います。もともと牧歌的で明朗であり、幸福感にあふれ、深刻や苦悩などとは無縁であり、そんな曲をモントゥーは自家薬籠の物のように、存分に演奏を展開しています。モントゥーはこの曲の演奏には自信に満ちており、ここはこう表現すべきであるし、こうあらねばないないという一音一音に確たる意志と確信を感じることができます。それゆえに演奏から受ける印象は、このモントゥーの気持ちに圧倒されますし、自ずとそれが圧倒的な感銘へと導いてくれるのでありました。実にいい演奏だなあと思うし、同じようにオケも信じて疑わないのでありましょう。
第1楽章、冒頭から非常におおらかで、伸び伸びとした旋律が歌われる。それには、曲に対する愛着を感じさせるような、表情にあふれております。そして、オケの音色も非常に柔らかく、優しさがあります。パートごとのバランスもよく、細部に至るまでの表現が鮮明であります。第2楽章、ここが私的には好きです。各楽器がたいそう雄弁に奏して、こころに染み込むような優しさと明朗さがいいです。冒頭からのいくつかの楽器による対位法的な絡みから、明快であり、細細部にまでしっかりと歌われています。憂欝な雰囲気というよりも、大自然の雄大さを感じるような演奏。聴き慣れた旋律も新鮮であり、また劇的な表情や盛り上がりもあり、いいですねえ。第3楽章、チェロのピチカートとオーボエによるテーマが軽快で、前楽章の雰囲気を一新する。といっても、曲が進む中で、本来の重厚さも表現され、終楽章へ。モントゥーのオケが全精力をつぎ込んでの終楽章、重厚なオケの演奏に、生気に満ち満ちた表情、そして全体を覆う熱気が合わさって、実に素晴らしい終楽章であります。最近の演奏ではなかなか聴けない充実感やある種の達成感にあふれております。ほんとにいい演奏であります。
モントゥーのお写真、最近では見ることがなかなかできないお髭が立派であります。19世紀からの伝統を体現した音楽家の矜持でありましょうか。
(Philips 442 547-2 1994 輸入盤)
さてさて、前回ピエール・モントゥーの演奏を取り上げましたが、今回も引き続き、モントゥーの演奏であります。前回、大学生のころに梅田の紀伊国屋書店で買ったLP。ブラームスの交響曲第2番ニ長調作品73であります。モントゥー指揮のロンドン交響楽団の演奏。1962年11月29日から12月1日1月の録音です。このCDは、去年の2月に元町の中古やさんで見つけました。たしか480円くらいではなかったかと思います。ああ、これは昔LPで買ったよなあ、と懐かしく思って買ったのでありました。ちょうど、そのときには、アンセルメやバルビローリのベートーヴェンの交響曲などのCDも合わせて一枚480円くらいで買ったことを思い出します。古いCDで、録音も古く、値段も安いということで、けっこうな枚数を買ったように思います。
モントゥーは、前回も触れましたが、フランス出身ですがドイツものも得意とし、特にブラームスについては、思い入れがあったそうです。生前のブラームスと合ったことがあるとか、死の床では、『ドイツ・レクイエム』の楽譜を抱いていたとか、またまた「ブラームスの音楽が自分の心にはいちばんぴったりくる」云々であります。ブラームスの交響曲についても、ライブでの全曲はありますが、セッション録音では、この第2番しかないようです。だたし、2番は他にも1959年のVPOとの録音もあります。このロンドン響との演奏は、モントゥーは、1964年に89才で逝去されますので、その2年前の録音となります。1963年には来日しており、その時大阪でこの曲は演奏されたそうです。モントゥーのお気に入りだった曲なんですねえ。
そんなこの曲の演奏ですが、まずこの曲がモントゥーの気質に非常にマッチしているように思います。もともと牧歌的で明朗であり、幸福感にあふれ、深刻や苦悩などとは無縁であり、そんな曲をモントゥーは自家薬籠の物のように、存分に演奏を展開しています。モントゥーはこの曲の演奏には自信に満ちており、ここはこう表現すべきであるし、こうあらねばないないという一音一音に確たる意志と確信を感じることができます。それゆえに演奏から受ける印象は、このモントゥーの気持ちに圧倒されますし、自ずとそれが圧倒的な感銘へと導いてくれるのでありました。実にいい演奏だなあと思うし、同じようにオケも信じて疑わないのでありましょう。
第1楽章、冒頭から非常におおらかで、伸び伸びとした旋律が歌われる。それには、曲に対する愛着を感じさせるような、表情にあふれております。そして、オケの音色も非常に柔らかく、優しさがあります。パートごとのバランスもよく、細部に至るまでの表現が鮮明であります。第2楽章、ここが私的には好きです。各楽器がたいそう雄弁に奏して、こころに染み込むような優しさと明朗さがいいです。冒頭からのいくつかの楽器による対位法的な絡みから、明快であり、細細部にまでしっかりと歌われています。憂欝な雰囲気というよりも、大自然の雄大さを感じるような演奏。聴き慣れた旋律も新鮮であり、また劇的な表情や盛り上がりもあり、いいですねえ。第3楽章、チェロのピチカートとオーボエによるテーマが軽快で、前楽章の雰囲気を一新する。といっても、曲が進む中で、本来の重厚さも表現され、終楽章へ。モントゥーのオケが全精力をつぎ込んでの終楽章、重厚なオケの演奏に、生気に満ち満ちた表情、そして全体を覆う熱気が合わさって、実に素晴らしい終楽章であります。最近の演奏ではなかなか聴けない充実感やある種の達成感にあふれております。ほんとにいい演奏であります。
モントゥーのお写真、最近では見ることがなかなかできないお髭が立派であります。19世紀からの伝統を体現した音楽家の矜持でありましょうか。
(Philips 442 547-2 1994 輸入盤)
愛聴しているのは、モントゥ/LSO、バリビローリ/VPO、ベーム/VPOです。昔、テレビで見た、来日公演でのベームの演奏には心から感動しました。終楽章には、思わず涙が出てしまったほどです。その時のCDも出ているようですが、未入手です。
先に挙げた3種のCDの中では、モントゥが一番メリハリのある演奏かと思えます。ブラームスの、作曲当時の穏やかな気持ちと、わくわくした気持ちがよく表されていると思います。録音も問題ありません。これは名盤だと思いますね。
ブログ楽しみにしています。