先週、淡路島に行きました。知人のおうちのご不幸がありまして、お葬式に参列させていただきました。明石海峡大橋ができて、淡路に行くには本当に便利になりました。あっという間に淡路です。洲本まで行ったのですが、淡路の地理には疎いです。洲本や津名といってもどこになるのかまったくわかっていませんでした。雨の中であまり景色が見えなかったのが残念でした。しかし、橋を渡るのは4度目。すべて、お通夜かお葬式に行くためだったことに、驚いた次第です。
ということで、今回はブルックナーの交響曲第9番ニ短調です。演奏はオイゲン・ヨッフム指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。1983年7月、ミュンヘンのヘラクレスザールでのライブ録音であります。ヨッフムのブルックナーは周知の如く、DGにBPOとバイエルン放響との全集と、EMIにSKDとの全集があります。これは名盤の誉れの高いものですが、他にもいくつかのライブ録音が残されており、これも多くの人々から愛されているものであります。
私は、ヨッフムの演奏は、かなり好きです。好きな指揮者を5人挙げよ、と言われるなら、ベーム、ザンデルリンク、スクロヴァチェフスキ、ヴァント、そしてヨッフムということになりそうです(まあ、その日の気分によって異なる場合がありますー笑)。まあこの人たちを見るなら、どんな音楽を志向しているかは、すぐわかりますねえ。そんなのが好きです。この5人の指揮者によるベートーヴェンやブルックナー、ブラームスなどの交響曲はいいですよねえ。まあ、こんなことを改めて述べることでもないですが…。
ヨッフムのブルックナーですが、やはりいいですねえ。ブルックナーの演奏は、指揮者によって、変わります。人によっては、とんでもなく退屈な曲になったりします。その中で、このヨッフムの演奏は、実にいいです。ヨッフムは何がいいか。私がいいなと思うのは、ヨッフムの演奏では、オケの音色がたいそう好ましい。まず弦の響きがああいいなあと思う。そして管楽器もそれに対してのバランスが巧い。金管が少々出過ぎというところはありますが…。それは、ヨッフムの各楽器の音のバランス感覚が非常に巧妙なんですねえ。当然のことですが、いろんな楽器がいろんな旋律を演奏する、それを指揮者がブレンドして曲は進みますが、そのブレンド感覚が優れているのです。そのために主題などやさまざまな旋律が非常に印象的に心に染み込んでくるのでした。そして、テンポの設定もうまい。かなり動かしてきていますが、この感覚も実に自然で素晴らしいのでありました。加えて、やはりライブ録音。それは熱気や迫力に満ちたというものではないですが、ある種の緊迫感があり、それがたいそう締まった演奏にもなっております。
第1楽章、まずオケは明るい。少々それが気になることもあるが、それぞれの主題などは、実に気持ちよく、素直に、それでいて心に染み込むように歌われる。綺麗でもなく、たいそうな迫力があるわけでもなく、作為的でもなく、いいメロディだなあとか、あくまで自然の流れのままに、大きな盛り上がりも見せながら、曲の展開に心が揺さぶられるのでありました。ブルックナーのメロディの素晴らしさを最も実感させてくれた演奏かもしれません。第2楽章スケルツォ。荒々しいトゥッティですが、ここでもヨッフムのトゥッティは、迫力に満ちてはいるが、それでいて曲自体に心地よさも感じられる演奏。それは先述のように楽器のバランスがいいのでしょうねえ。そしてトリオでは一転しての優しさに満ちた音楽が、これもいいなあと実感させてくれますよねえ。そして第3楽章アダージョ。限りなく広い空間の中に、とてつもない崇高な音楽が展開されるよう。ここでも各楽器のバランスが最上であり、テンポもゆったり過ぎず、速すぎずの最適。そんなことを背景に、いくかの主題が様々な姿で現れては消えながら、その展開はとても人間の業とは思えないような高みにまで登っていくというと、それは大仰すぎるでしょうか。
ヨッフムのブルックナーを聴いたのは、今から四半世紀前にBPOとの9番が初めてでした。その時から、けっこう気に入っておりました。ライブも含めてたくさんあります。大切にしていきたいものであります。
(WEITBLICK SSS007-2 2007年 輸入盤)
ということで、今回はブルックナーの交響曲第9番ニ短調です。演奏はオイゲン・ヨッフム指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。1983年7月、ミュンヘンのヘラクレスザールでのライブ録音であります。ヨッフムのブルックナーは周知の如く、DGにBPOとバイエルン放響との全集と、EMIにSKDとの全集があります。これは名盤の誉れの高いものですが、他にもいくつかのライブ録音が残されており、これも多くの人々から愛されているものであります。
私は、ヨッフムの演奏は、かなり好きです。好きな指揮者を5人挙げよ、と言われるなら、ベーム、ザンデルリンク、スクロヴァチェフスキ、ヴァント、そしてヨッフムということになりそうです(まあ、その日の気分によって異なる場合がありますー笑)。まあこの人たちを見るなら、どんな音楽を志向しているかは、すぐわかりますねえ。そんなのが好きです。この5人の指揮者によるベートーヴェンやブルックナー、ブラームスなどの交響曲はいいですよねえ。まあ、こんなことを改めて述べることでもないですが…。
ヨッフムのブルックナーですが、やはりいいですねえ。ブルックナーの演奏は、指揮者によって、変わります。人によっては、とんでもなく退屈な曲になったりします。その中で、このヨッフムの演奏は、実にいいです。ヨッフムは何がいいか。私がいいなと思うのは、ヨッフムの演奏では、オケの音色がたいそう好ましい。まず弦の響きがああいいなあと思う。そして管楽器もそれに対してのバランスが巧い。金管が少々出過ぎというところはありますが…。それは、ヨッフムの各楽器の音のバランス感覚が非常に巧妙なんですねえ。当然のことですが、いろんな楽器がいろんな旋律を演奏する、それを指揮者がブレンドして曲は進みますが、そのブレンド感覚が優れているのです。そのために主題などやさまざまな旋律が非常に印象的に心に染み込んでくるのでした。そして、テンポの設定もうまい。かなり動かしてきていますが、この感覚も実に自然で素晴らしいのでありました。加えて、やはりライブ録音。それは熱気や迫力に満ちたというものではないですが、ある種の緊迫感があり、それがたいそう締まった演奏にもなっております。
第1楽章、まずオケは明るい。少々それが気になることもあるが、それぞれの主題などは、実に気持ちよく、素直に、それでいて心に染み込むように歌われる。綺麗でもなく、たいそうな迫力があるわけでもなく、作為的でもなく、いいメロディだなあとか、あくまで自然の流れのままに、大きな盛り上がりも見せながら、曲の展開に心が揺さぶられるのでありました。ブルックナーのメロディの素晴らしさを最も実感させてくれた演奏かもしれません。第2楽章スケルツォ。荒々しいトゥッティですが、ここでもヨッフムのトゥッティは、迫力に満ちてはいるが、それでいて曲自体に心地よさも感じられる演奏。それは先述のように楽器のバランスがいいのでしょうねえ。そしてトリオでは一転しての優しさに満ちた音楽が、これもいいなあと実感させてくれますよねえ。そして第3楽章アダージョ。限りなく広い空間の中に、とてつもない崇高な音楽が展開されるよう。ここでも各楽器のバランスが最上であり、テンポもゆったり過ぎず、速すぎずの最適。そんなことを背景に、いくかの主題が様々な姿で現れては消えながら、その展開はとても人間の業とは思えないような高みにまで登っていくというと、それは大仰すぎるでしょうか。
ヨッフムのブルックナーを聴いたのは、今から四半世紀前にBPOとの9番が初めてでした。その時から、けっこう気に入っておりました。ライブも含めてたくさんあります。大切にしていきたいものであります。
(WEITBLICK SSS007-2 2007年 輸入盤)
惜しむらくは、生前の彼の生演奏を聴けなかったことです。聴くチャンスはあったのに。