6月25日に発売された、村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコードたち』(文芸春秋)を買いました。私は、村上さんの熱狂的な読者ではないですが、ほとんどの作品を読んだ数少ない作家のひとりです。加えて、現代の小説家の中では、もっともいいな、と思っているのであります。ですので、村上さんの小説も好きです。もっと言うなら、エッセイなどの小説以外の文章も、いやむしろそちらの方が好きなのかも知れません。
村上さんは、ジャズやクラシックに精通されていることは周知のとおりで、それに関連する著書もいくつかあります。またアナログ・レコードの収集家でもあり、それについては自ら「宿痾」のようなものと言われています。この本は、村上さんが自ら選んだ100曲について、ご自分のライブラリーから数枚のレコードを紹介し、その演奏に言及する、といった内容です。ほとんどの演奏は、1950~70年代のもので、CD化されていないものも多く、懐かしいなと思いながら読み進めました。
最初は、おもしろいなあ、と思って読んでました。やはり村上さんの文章の魅力と音楽についてのセンスは、さすがですね、という感じです。レコードの魅力も存分に感じ取りましたし、これからレコードを中古やさんで物色したいな、と思いました。私も、1980年代後半、CDが主流になるころですが、中古やさんで盛んにレコードを買っていた時期がありました。その理由は、まだまだCDですべてが買えるわけでもなかったことと、値段的に安かった(当時CDは3500円ほどした)でした。特に、値段については、500円くらいで買えました。大坂ミナミの中古やさんに、土曜日の仕事帰りによく行って、物色したものでした。そのときに目当てだったのは、フルトヴェングラーもの、ウェストミンスターを中心とした室内楽、DENONのPCM録音もの、などでしたかね。一度に10枚近く買って帰りました加ねえ。そして、村上さんと同じように、ジャケットを眺めて幸せな気持ちになりました(笑)。
そして、もうひとつは、古い演奏が多く、もう忘れていたような名前が出て来て、あー、こんな人いたなあ、とか、これは聴いてみたいなと強く思いました。例えば、トーマス・ビーチャム。あまりCDは持ってないのですが、ハイドンのロンドンセットを聞き直しました。また、ピーター・マーク。過日中古やさんでベートーヴェンの交響曲全集を購入しました。実際に多くの演奏は、名盤としてはあまり取り上げられないものであり、そんな演奏をもう一度聴こうと強く思いました。また、こんな演奏もあったのか、聴きたいなあ、とも思いました。
とはいえ、読み進めていくうちに、この本の価値について思うようになりました。というのも、選択が実に偏っていること。村上さん所有のものであり、いくら世評の高い演奏でも、村上さんが持っていなければ、取り上げられないのですね。これは、読み進めていく中で、これよりこれの方がいいぞ、なぜこれがないの、などと思うのでした。でも、それはこの本の守備範囲ではないから、と納得するのですが、それならこの本の意味は?と思ったのでした…。でも、これってそもそも私の発想がおかしいですよね。この本は、この曲の名演奏を紹介するものはないし、演奏のランキング云々ではないのです。いい演奏を紹介する本となると、レコ芸的な名曲名盤特集を意識する。そうではなく、村上さん所有のレコード紹介であり、これがこの演奏の決定盤だ、とかの視点のものではない、という当たり前のことを再認識しました。加えて、あの名曲名盤ランキング(これはこれで価値があると思うし、これからも続けて欲しいものです)などに洗脳されて、演奏の優劣を意識していた自分の愚かさを恥じた次第でありました。
村上さんは、「物書き」で、さすがに演奏についても巧く紹介されています。たとえば、シューベルトのピアノ・ソナタ第21番のホロヴィッツの演奏のところで、「僕が考えるシューベルトのピアノ音楽のありかたとは少しばかり輪郭が異なっているような気がするとあります。こんな表現は、村上さんの他著でも見た気がするのですが、この表現って、妙に納得しますよね。村上さんの考える、シューベルトの…ありかたとはどんなものか、他所にそれが書いていないか、ついつい捜してしまうのでありました。
そんなこんなで、我が家のレコードを聴こう、と思ったのですが、私のレコード・プレーヤーは、私が大学生になってときの買った、もう骨董品。最近、回転ムラが目立ってきて、とても聴けない状態だったのです。私を含めて、周りは老朽化が進んでいますねえ(笑)。新しい機器が欲しいところであります。加えて、村上さんがこの本で紹介された486枚、私が所有しているレコ-ドは見事に一枚もありませんでした(CD化されたものはありますが)。
村上さんは、ジャズやクラシックに精通されていることは周知のとおりで、それに関連する著書もいくつかあります。またアナログ・レコードの収集家でもあり、それについては自ら「宿痾」のようなものと言われています。この本は、村上さんが自ら選んだ100曲について、ご自分のライブラリーから数枚のレコードを紹介し、その演奏に言及する、といった内容です。ほとんどの演奏は、1950~70年代のもので、CD化されていないものも多く、懐かしいなと思いながら読み進めました。
最初は、おもしろいなあ、と思って読んでました。やはり村上さんの文章の魅力と音楽についてのセンスは、さすがですね、という感じです。レコードの魅力も存分に感じ取りましたし、これからレコードを中古やさんで物色したいな、と思いました。私も、1980年代後半、CDが主流になるころですが、中古やさんで盛んにレコードを買っていた時期がありました。その理由は、まだまだCDですべてが買えるわけでもなかったことと、値段的に安かった(当時CDは3500円ほどした)でした。特に、値段については、500円くらいで買えました。大坂ミナミの中古やさんに、土曜日の仕事帰りによく行って、物色したものでした。そのときに目当てだったのは、フルトヴェングラーもの、ウェストミンスターを中心とした室内楽、DENONのPCM録音もの、などでしたかね。一度に10枚近く買って帰りました加ねえ。そして、村上さんと同じように、ジャケットを眺めて幸せな気持ちになりました(笑)。
そして、もうひとつは、古い演奏が多く、もう忘れていたような名前が出て来て、あー、こんな人いたなあ、とか、これは聴いてみたいなと強く思いました。例えば、トーマス・ビーチャム。あまりCDは持ってないのですが、ハイドンのロンドンセットを聞き直しました。また、ピーター・マーク。過日中古やさんでベートーヴェンの交響曲全集を購入しました。実際に多くの演奏は、名盤としてはあまり取り上げられないものであり、そんな演奏をもう一度聴こうと強く思いました。また、こんな演奏もあったのか、聴きたいなあ、とも思いました。
とはいえ、読み進めていくうちに、この本の価値について思うようになりました。というのも、選択が実に偏っていること。村上さん所有のものであり、いくら世評の高い演奏でも、村上さんが持っていなければ、取り上げられないのですね。これは、読み進めていく中で、これよりこれの方がいいぞ、なぜこれがないの、などと思うのでした。でも、それはこの本の守備範囲ではないから、と納得するのですが、それならこの本の意味は?と思ったのでした…。でも、これってそもそも私の発想がおかしいですよね。この本は、この曲の名演奏を紹介するものはないし、演奏のランキング云々ではないのです。いい演奏を紹介する本となると、レコ芸的な名曲名盤特集を意識する。そうではなく、村上さん所有のレコード紹介であり、これがこの演奏の決定盤だ、とかの視点のものではない、という当たり前のことを再認識しました。加えて、あの名曲名盤ランキング(これはこれで価値があると思うし、これからも続けて欲しいものです)などに洗脳されて、演奏の優劣を意識していた自分の愚かさを恥じた次第でありました。
村上さんは、「物書き」で、さすがに演奏についても巧く紹介されています。たとえば、シューベルトのピアノ・ソナタ第21番のホロヴィッツの演奏のところで、「僕が考えるシューベルトのピアノ音楽のありかたとは少しばかり輪郭が異なっているような気がするとあります。こんな表現は、村上さんの他著でも見た気がするのですが、この表現って、妙に納得しますよね。村上さんの考える、シューベルトの…ありかたとはどんなものか、他所にそれが書いていないか、ついつい捜してしまうのでありました。
そんなこんなで、我が家のレコードを聴こう、と思ったのですが、私のレコード・プレーヤーは、私が大学生になってときの買った、もう骨董品。最近、回転ムラが目立ってきて、とても聴けない状態だったのです。私を含めて、周りは老朽化が進んでいますねえ(笑)。新しい機器が欲しいところであります。加えて、村上さんがこの本で紹介された486枚、私が所有しているレコ-ドは見事に一枚もありませんでした(CD化されたものはありますが)。
村上さんの作品、私も最近は読むのがいろんなことでしんどくなってきました点。短編は好きです。
マリーンズ、頑張って欲しいですが、バファローズの頑張りも応援したくなります。関西の球団ですからねえ。いやいや浮気はダメですね。
日曜日、頑張ります。またご教示ください。
過日、日経の広告(一面の下)で見かけたときには、購入を即決していました。
私、「LPジャケット美術館」高橋敏郎著、新潮社を愛読しておりまして、判断に迷いはなかったです。
早速、博多の紀伊国屋で手に取りましたが、「何これ?ビニ本?小さい」といった脳内音が響き、実は購入していませんでした。
私は、村上春樹さんの作品については、高校・大学と熱狂的な読者でした。爾来30年、おそらくほとんどの作品を読んだと思います。
最近の作品にがっかりしていたこと、また、このごろは特に眼も弱くなり、ジャケットの絵と文字が小さかったら挫折する等々、こころ千路乱れ、購入に至りませんでした。情けないです。
皆さんのご意見を伺い、考えを改めました。
そうです、村上さんのエッセイは面白です。
本日(7/10)、早朝、那覇から博多に移動しました。南九州上空の雲を迂回し、四国を通り、広島上空付近(多分)で旋回し、福岡空港に向かいました。時間がかかりました。
線状降水帯の雲は、真っ白でたくましく上空に向かっていました。雷光は確認できませんでした。
災害のないことを祈るしかありません。
マリナーズは好調です。我が燕軍の好調です。両軍とも若い選手が多いので、今年かなうことはないですが、いつか日本シリーズの可能性もないではないです。
月曜日の朝、楽しみにしています。音盤以外でも、今回のように本の話題も楽しいです。新型コロナの終息は見えません。私は移動のたびにPCR検査を受けています。
日差しも厳しいです。ご自愛ください。
追記、FM放送「村上ラジオ」は面白いです。
またご教示ください。
村上本、買われましたか。私は全く聴かないのですが、ジャズはクラシック以上に村上さん、お好きなようですね。ジャズの入門本でも書いてくれたら、ありがたいと思っていますが、いかかでしょうかね。また、ご教示ください。
村上春樹の本は、ほぼ、所有しており、クラシックにも、造形が深いことは、知っていました。色々な小説の中にも、クラシック音楽の、エッセンスが感じられますので、いつか、このような本が出ると思っていましたが、主にモノラルのLPを取り上げたのには、びっくりしました。私が、486枚の中で、持っていたのは、数枚でした。とにかく、内容を紹介するのに使う比喩が、素晴らしいですね。さすが、小説家といったところでしょうか。でも、私は、これを見て、これらのレコードを買おうとは、思いません。一冊の読み物として、楽しく、読んでいきたいと思っています。
話は変わりますが、最近、ロッテは快調ですね。リーグ優勝?あるかも?
なるほど選曲にも推薦盤にも偏りは多いけど、村上さんや宮城谷さんのような作家の音楽本は読み応えがありますね。
過去の定評と現在の流行を紹介する名曲名盤シリーズとは違う目的で役に立ちそうです。