クレーメルのブラームス

まだ、風邪が治りません。私の場合、風邪の諸症状の中で、最後までひつこく残るのが咳であります。特に、夜中に咳で目が覚めることがなんとも嫌ですねえ。そんな中、週のはじめに代休をもらって、浄水器の修理に三宮まで出かけました。シーガルフォーという高価な浄水器をもうかれこれ十年前から愛用しているのですが、夏に劣化したノズルが折れてしまい、使用不可の状態だ続いていました。その修理に持参しました。三宮では先日から恒例のルミナリエが始まっていますが、私はほとんどまともに見たことがなく、今回もお昼時でしたから、当然見れなかった次第です。多くの人出で賑わうといいですね。でも、娘は元町中華街でバイトしてますが、ルミナリエの影響でたいへんだそうです。卒論の提出目前だというのにね。
そんなわけで、今回はブラームス。今年後半のマイブームだったんですかねえ。そのヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77。ギドン・クレーメルのヴァイオリンとレナード・バーンスタイン指揮のＶＰＯの演奏。1982年９月、ウィーン・コンツェルトハウスでのライブ録音です。クレーメルの同曲の録音は三回。これはカラヤンとの組み合わせに続く二度目。後にはアーノンクールとも録音しますので、ちょうど真ん中にあたります。バーンスタインもこのころブラームスの交響曲全集やら、ピアノ協奏曲・二重協奏曲などを録音している時期にあたります。そんな一連のブラームスの録音の一環だったんですね。
しかし、このライブということもあるんでしょうか。バーンスタインの熱い演奏がなんとも凄みを感じますねえ。でもそれほどねっちこくはなく、濃厚でもないか。曲自体がそんな味わいのあるものなので、それを考えるとそれほどでもない。でも時折、ここまでか、という印象は強く受ける。クレーメルのヴァイオリンは、みなさんの指摘どおり、切れ味抜群。上手い。ほんとにうまいです。バーンスタインの熱さを受けて、次第に燃えていく。青白い炎とでもいうでしょうか。第１楽章、クレーメルは、難曲でもいともたやすくこなしていきます。その頂点は、カデンツァ。マックス・レーガーの前奏曲とフーガニ短調を用いるところ。この演奏の最大の特徴。ヨアヒムでもクライスラーでもなく、さすがのクレーメル。一筋縄ではいきません。第２楽章、出だしの木管のが美しい。ＶＰＯの真骨頂。実にこの楽章はしみじみ聴かせてくれます。それに引き続きクレーメルのヴァイオリン。ここでは少々押さえ気味でも、音色は綺麗なことこの上ない。いいなあ、とおもいつつ、そして第３楽章。クレーメルとバーンスタインのぶつかり合い。両者、一歩も譲らず。ライブならではの高揚感ですかねえ。そんな中にも、燃えるバーンスタインの統率はさすが。ＶＰＯの巧さも爆発であります。クレーメルも頑張ります。最後は熱い熱い。
このＣＤ，録音も鮮明です。以前に取り上げたセルとオイストラフ盤に比べると、録音はほんとにいいです。良好な音で聴きたいのは、当たり前ですね。ほんと。
（DG POCG50055 1997 SUPER BEST 101）