ほころびかけた蕾/紫雲

　　　紫雲のさいごの蕾が固まったままになりそうだった。
　　　せっかく蕾をつけたのに……。

　　　花を咲かせてくれることを願って、花瓶に挿して食卓に飾った。
　　　だいぶ前のことだ。

　　　「夜寒いときは袋をかけたらどうだろう」夫も一緒になって心配してくれた。
　　　夜は袋をかけてあげた。
　　　食卓の上は日がささないので、日中は窓辺に置いた。

　　　古民家で、外壁に断熱材など使っていない。
　　　外壁がすくなくほとんどガラス戸と窓。
　　　もちろん断熱ガラスなどではない。
　　　そこえきて盆地なので冬の寒さは厳しい。
　　　部屋にあるからといってそれほど暖かなわけではない。

　　　その甲斐があって蕾がごらんのように、ほころびかけている。
　　　がんばったね。紫雲。
　　　とねぎらいの言葉をかけた。
　　　今日は暖かだった。

　　　　　　　やっとほころびかけた蕾
　　　　　　　　　

　　　　　　　　　

　　　　　　　秋の紫雲
　　　　　　　　　

　　　　　　　　　

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