一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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住宅の鉄筋とコンクリートは理想のカップルの巻…

2006年11月28日 09時16分36秒 | 住宅ノウハウ・実例
おはようございます。清水です。


コンクリートと鉄筋について、皆さんが意外に思われる正しい知識をお話しいたしましょう。

鉄筋ですが、少し錆びている鉄筋と工場から出荷されたばかりの鉄筋、どちらがコンクリートを流すのに良い状態だと思いますか?勘の良い方は、前者が正解だと思うでしょうが、理由はわかりませんよね?もし正しくわかるなら素人ではないでしょう。プロでも知らない人は沢山いますから…。(^^;)


鉄筋コンクリートは、鉄筋とコンクリートが一体となっていることが大切です。そのため、通常の鉄筋は異径鉄筋といって、ボコボコしているのです。力が加わったときにズボッと抜けないようにです。かなり昔は、丸鋼といって、丸くツルツルの鉄筋が使われていましたが、最近見かけることが無いのは、異径鉄筋の方が一体となってくれるからです。

鉄筋とコンクリートは相性の良いことに、温度変化による膨張率や収縮率もほとんど同じなのです。これが大きく異なると、暑い時や寒い時には鉄筋の膨張や収縮でコンクリートが壊れてしまいますね。楽しいときも苦しいときも手を取り合って?いつも一心同体で動くのです。


さて、ここからが答えです。実は、鉄筋は表面が錆びている方がコンクリートのとの一体感が増すのです。付着応力といいますが、新しい鉄筋と少し錆びた鉄筋とでは錆を介してコンクリートとの付着応力が増し強くなりますから、鉄筋コンクリートとしては実は強くなるのです。力が加わっても一体で抵抗してくれ分離しにくくなるからです。もちろん、錆が浮いた状態でボロボロ落ちるのはダメですよ。

さらには、コンクリートは弱アルカリ性ですから、コンクリートの中に鉄筋が入っていれば、それ以上錆びが進行しないのです。

このため、住宅の基礎だけでなく、マンションやビルなどの鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリートは、工事中に雨が降って鉄類が多少錆びても心配がないのです。平気でむき出しにしているのはこのためです。この性質が無ければ、おそらく鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造は世界中でここまで普及しなかったでしょう。

コンクリートと鉄筋は、かばい合いながらお互いの弱点をカバーし、長所を引き出し合っている理想のカップルなのです…。\(^o^)/

ですから、間違っても自分の家の基礎の鉄筋だけは錆びないように、『こっそり油を塗っておいて錆びないようにしよう…』などと思わないで下さいね。(^^;)


心配している施主に対して、こういう理由を正しく説明できる住宅メーカーの現場監督には、残念ながら今まで出会ったことはありません。




神奈川県横浜市  ミタス 一級建築士事務所のホームページ 
http://www.mitasu.com/


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