シスカンパニー公演「近松心中物語」 新国立劇場中劇場 2018.02.01 18:30~
新感線のいのうえさんが演出で、
出演は堤真一、宮沢りえ、池田成志、小池栄子、市川猿弥、立石涼子、小野武彦、銀粉蝶という豪華キャスト
ということで、行ってまいりました。
あらすじは、
「--時は元禄。大坂新町と言えば、一夜の悦楽を追い求める男たちが集まる廓郭--
そこに、小道具商傘屋の婿養子・与兵衛(池田成志)が、折り合いの悪い姑お今(銀粉蝶)に追い出され、ある廓に身を沈めていた。もともと気弱で、うだつのあがらない亭主だが、女房のお亀(小池栄子)にとっては、所帯をもってもなお、恋い焦がれる相手。行方知らずのダメ亭主を案じ悲しむ娘をみかねて、姑お今が自ら与兵衛を連れ戻しに新町にやってくる。
「二度とこの男を廓に近づけないでくれ」と周囲に念押ししながら、連れ戻される与兵衛。そんな与兵衛とは対照的に、廓に縁のなかった飛脚屋亀屋の養子忠兵衛(堤真一)は、店の丁稚が拾った封書に一分の金が入っていたため、親切心から、その差出人の槌屋平三郎(小野武彦)を訪ねて新町に足を踏み入れてしまう。そこで偶然出会った飛脚仲間の八右衛門(市川猿弥) の強い誘いも振り切り、店を立ち去ろうとする忠兵衛。だがその時、店には、出先から戻って来た遊女・梅川(宮沢りえ)が……。
何かに打たれたように、立ちすくみ無言で見つめ合う二人。
その瞬間から、忠兵衛は憑りつかれたように梅川を追い求め、店の中へと消えて行く。
<忠兵衛・梅川><与兵衛・お亀>男女二組の運命は?
あてのない逃避行へと向かう二組の男女の情念の行く末は?」
内容として、上記あらすじのあとに、
梅川の身請け話が持ち上がり、忠兵衛には持ち合わせがなく、梅川を失ってしまうと焦った忠兵衛は、幼馴染の与兵衛にお金を借りることとする。与兵衛は店の金庫を開けて手付の50両を貸してしまうが、さらに300両のお金が必要となり、忠兵衛は御用金に手をつけてしまう。
公金横領がばれてお尋ね者となった、忠兵衛。共に逃げる梅川。
忠兵衛に貸したお金のことで与兵衛にも捜査が及び追い詰められる。与兵衛を愛するお亀は心中しようといい、曽根崎心中の場所に与兵衛とともに来る。お亀は自ら命を絶つが、与兵衛は死にきれずに生き残ってしまう。
一方、追っ手を逃れて梅川の故郷にやってきた忠兵衛と梅川は、雪が降り積もる中、心中しこの世を去る。
芸達者な役者さんたちで、締まった芝居になっていたと思います。
二組の男女でも、忠兵衛と梅川はシリアスで悲恋
でも、与兵衛とお亀はコミカルに描かれており、とても対照的でした。
とはいえ、正直、与兵衛とお亀のコミカルパートが思ったより長いかなという印象で、
見終わって、主演の堤さん、りえさんより、成志さんと小池栄子さんの印象の方が強いという・・・
主役のカップルを食ってしまった感がありました。
舞台はすごくきれいで、色が対照的。
遊郭の場は赤。格子戸に囲まれている。またそれが動いてお店になったりと
場面転換もスムーズ。
蜆川の心中場面は青・・・
そして最後の忠兵衛と梅川の心中場面は雪の白。雪が降り静寂な舞台がまた素敵でした。
この場は、この劇場の奥行きを見事に使っていて、ほんとにかっこよかったです
忠兵衛と梅川が心中後、生き残った与兵衛が坊主となって登場し、遠い彼方に消えていくのですが、
奥行きがある劇場だからこそ、だな~って思いました。
キャストの中ではやっぱり、成志さんと小池栄子さんかな~
お亀を演じた小池栄子さんがかわいかった。
うだつが上がらない旦那のことが、好きで好きでたまらないという感じがよかったです。
「心中」にあこがれていて、死ぬってことに関しての恐怖がないっていうんですよね。
ある意味潔い。
そういうお亀を生き生きと演じてました
与兵衛を演じた成志さんも、
優柔不断でうだつがあがらない、パッとしない養子の旦那が似合ってました(笑い)
鳥髑髏とのふり幅が・・・(汗)
忠兵衛の堤さん
実直で不器用なこういう男を演じさせたら、日本一だなって思う。
梅川のりえさん
めちゃくちゃ綺麗。そして儚げ。
やっぱりうまいよね。
この二人がばったり出会って、見つめ合った瞬間がすごく印象的でした。
さらに、最後の雪のシーンで、梅川が忠兵衛と過ごした何日間かが幸せだったと言ったのが
哀しいけどきれいだった。これが二人の運命だったんだなって・・・
それと、物語のキーマンともなる
八右衛門を演じた市川猿弥さんもよかった。
舞台を締めてくれましたね。歌舞伎役者さんだけあってさすがでした。
きれいで趣のある舞台ではありましたが、
ちょっとコメディ要素の方が勝ってしまった感が強くて、
そこだけちょっと残念だったかなと思ったのでした。
しかし、いのうえさんって。。。髑髏城の合間に、こういう芝居の演出もやってるって
どれだけパワフルなんだろう~