いろいろと試してみた、毎日。

趣味のクルマ・バイク中心ですが、他にもなんだかんだやってます。

スズキ RG50(空冷・初期型) 燃料タンクのFRP樹脂補修 素材・用具・注意点編

2024年04月14日 | 日記
下処理が終わったので、FRP樹脂(ポリエステル樹脂)で穴開きを補修します。
使うのは以下のそれぞれ。



〇赤丸のブリキ缶 ~ 耐ガソリン ポリエステル樹脂
〇緑丸の袋入り  ~ ガラスクロス(#200)
〇青丸のポリ容器 ~ パラフィンワックス(空乾剤)
〇黄丸のポリ容器 ~ 硬化剤
〇他の用具    ~ マスカー(巻物状のマスキング)、計量使い捨てカップ、マスキングテープ、マドラー、ピペット、カッター、刷毛

ざっとこんなものですが、ここで注意。

絶対に硬化剤を添加した樹脂、付着した用具をすぐにゴミ箱に捨てないで下さい!!

というのはハンドレイアップ(手積み用)FRP樹脂は硬化時に化学反応で発熱する場合があります。
これを反応熱といいますが、特に硬化剤の分量を間違えて多く添加した場合、カップ容器に入れた状態などでは急速な反応で発煙と共に高熱を発し危険です。

作業環境の換気を良くするのは当たり前ですが、硬化剤添加後の余った樹脂や付着した用具は作業後すみやかにまとめ、火事にならない場所に1日以上置いてから廃棄して下さいね。

硬化剤を使用する塗料・樹脂などは取り扱い注意、反応熱を知らずにゴミ箱に捨ててボヤ騒ぎなんてザラにあるんですよ。

ハナシを素材に戻しまーす。
赤丸、ガソリンタンクの補修ですので耐ガソリン樹脂を使用、ホームセンターで販売されている手積み用樹脂などは不向きです。

黄丸の硬化剤はノンパラフィン向け、硬化しても表面に若干のべたつきが残りますので、樹脂の塗り重ね、またはマットを積層する場合に使用。

青丸のパラフィンワックス(空乾剤)はFRP樹脂(ポリエステル樹脂)が空気に触れると硬化する添加(硬化)剤、表面も硬化してツルツルした感じに仕上がり、いわゆるインパラフィン樹脂になるんですが、これはノンパラフィン樹脂の上から塗布もしくはタンクの内側に流し込みコーティング用として使用します。

他の用具ですが、樹脂量は計量カップで、硬化剤は画像にあるピペットで計量する為に用意します。
硬化剤・パラフィンワックスは樹脂に比べ量が非常に少ない為、ピペットの方が正確に計量できます。

ちなみに、用具でピペット(20mL・2.5mL)・マドラー・刷毛(樹脂毛)・マスキングテープは100均、計量カップ・マスカーはホームセンターで販売しています。

今回はここまで。
では、また。
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スズキ RG50(空冷・初期型) 燃料タンクのFRP樹脂補修 下処理編。

2024年04月13日 | 日記
ガンマじゃないですよ(笑)
以前の記事で同じタンクを全FRP化しようとしたんですが、材料費が見合わず中止。

私自身、工業FRP(CFRP・GFRP)製造経験者なんですが、FRP素材は保存期間が長すぎると硬化したり変質したりでいいことがありません。
素材自体も高価ですし、色々考えて同じ素材で方法を変えリーズナブルに補修する方向に切り替えちゃいました(笑)

補修を行う為にはタンクを下処理します。
下処理が甘いと、補修作業自体が無駄になりますので念入りに。

まず、タンクの塗装を軽く剥離、剥離剤を使わずサンダーなどで手が入る部分のみ剥ぎます。
こんな感じまで。



タンクをひっくり返すと裏側は穴だらけ(笑)
この時点で金属部分のサビは軽めに除去、タンク上面の一部をグラインダで切り取っていますが、理由は後ほど。









ここまでやったら、一般的に購入できるモノで化学的に処理します。
酸性液体とアルカリ性液体を使用するので取り扱い注意、混ぜるな危険、換気の良い野外で作業。

タンクがすっぽり入る衣装ケースを用意、最初はサンポールの希釈液で塗装とサビを出来るだけ除去します
どこでも売ってるサンポール、主な成分は塩酸9.5%と界面活性剤、酸性の液体です。



水道水で希釈液を衣装ケースの中に満たし、タンクを漬け、1週間ほど放置します。
タンク全体が漬かる液量、タンクを傾けたりして空気を全て追い出すのがコツ。



1週間後、タンクを希釈液中でステンレスたわしや樹脂ブラシなどを使い、浮きサビ・塗膜を擦り落とします。
タンクの上面を一部開口したのは、タンク内のサビをすみずみ擦り落とす作業を行う為もあります。
サビの落ちが弱い場合は再度浸漬、同じ作業の繰り返し。

酸漬け後の作業は段取り良い手早さが重要、でないとタンクが空気に触れた状態では数分で赤サビだらけに戻ります(笑)
ある程度サビが落ち切ったら、希釈液からタンクを取り出して水道水で十分に水洗、サンポール希釈液を廃棄します。

次に必要なのはこれ。



どこでも売っているマジックリン、成分はほぼ界面活性剤ですが、アルカリ性液体ですので、タンクの脱脂と中和を兼ねて使用。
衣装ケースにマジックリン希釈液を満たし、水洗したタンクを1時間ほど浸けておきます。

サビ取りで最後に使うのはコレ。
モノタロウの浸漬用錆落とし・液体タイプ。



主な成分はリン酸と界面活性剤、原液から100倍希釈まで有効ですが、今回は10%溶液で使用。
マジックリン希釈液からタンクを取り出し水洗、サビ落としの希釈液中に1週間ほど浸けます。

1週間後、タンクを希釈液中でステンレスたわし、樹脂ブラシなどで浮きサビ落とし、赤サビが落ち切っていたらタンクを水洗して終了。
サビ落とし希釈液は再利用可能ですので、ポリ缶で保存しておくと後々発生した同じ処理のコストが抑えられます。

FRP工程の為にこの後、タンクを念入りに乾燥させますが、私は対流式ストーブの上にタンクを置いて強制的に短時間で完全乾燥(笑)

というのは、リン酸系サビ落とし剤の注意書きにも記載されている通り、この処理をしても防錆にはなりません。
水分が残っているとせっかく落としたサビが発生しますし、後工程に悪影響なのです。

で、ここまで処理したタンクがこちら。



リン酸で表面が薄灰色になっていますね。
タンクの裏側はこの通り、青線で囲った部分にはサンダーでサビ取りした時は発見できなかった穴も開き、赤サビは十分に取れています。



これで下処理は終了、ここまでやらないとバイクは振動が大きい事もあり、いずれ脆弱な部分からピンホールが開いてガソリン漏れてきちゃうんですよ(笑)
一般に売られているタンクシーラーも、下処理が甘いと短期間で剥離して用をなさなくなります。

次回はFRP補修作業、とはいっても積層する訳ではないので「FRPモドキ補修」ですね(笑)
では、また。
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ホンダ ベンリイ50 (AA03) かんたんに駆動系修理。

2024年04月06日 | 日記
前回の続き、部品がそろったので駆動系を組んでゆきます。
まあ、他の方が詳しく分解・組立をブログにされているみたいなので、さらっと(笑)

私の場合は修理箇所のパーツリストをコピー、参考にしながら分解・組立しています。
意外に、この部品は分解の時になかったぞとか、似たようなパーツを組違いとかありますので~。

今回、ドリブンフェイスの摺動部及びベアリング給油に使ったのはこれ。



ニチモリのラバー兼用ブレーキグリースですね。
二硫化モリブデン配合でゴム部品にも使用でき、主にブレーキメンテナンスに使用するグリスです。

フェイスは軸にボールベアリング、ニードルベアリングが組み込まれ、片方が摺動します。
ここにグリスを充填、円滑に動くように組み上げます。



このグリスは黒っぽいので、塗布すると汚れの様に見えますね(笑)



スプリング受けのカラー内、軸部にも十分に塗布。



ここには油脂が漏れ出さないように細いオイルシールとOリングがありますので、必ず新品に交換します。
でないと、フェースに油脂が付着、駆動ベルトが滑って痛めるか、最悪走行不能になりますので。

これにクラッチウエイトASSYを組み込み、忘れずにフェース部分をブレーキクリーナーで脱脂します。



クラッチウエイトを固定する39mmスペシャルナットですが、メーカーではトルク値54N・mの指定があります。
スプリングのテンションが掛かっている部分なので、かなり締めずらいナット。

ちなみに、私はバイクや車の整備でほとんどトルクレンチは使いません。
エンジンの組み上げなどでは精度を出すために使いますが、それでも複数のボルト・ナットを使って固定する箇所のみ。

というのは、中古車は大抵、ネジが新車時より傷んでいる場合が多く、指定トルクではトルク不足か過大になってしまっている場合が必ずあります。
経験上、業者さんなどでインパクトを使って修理した車体は締めすぎていてネジが傷んでいる事が多いです。

私は昭和の人なので長年の経験と感覚でやってしまっているんですが、修理対象によりけりなので言葉にするのは難しいですね。
ネジって単純な見た目と違い、原理など奥が深いので、特に可動部に使用するネジの状態と締結する構造部品の作動方向など気を使います。

で、脱線してないでとっとと組み上げ。
ドライブフェイス、ドリブンフェイスを駆動ベルトと共にセット、ホルダーを使いセンターナットで固定します。
ドライブは59N・m、ドリブンは49N・mのトルク指定です。





ここで一旦エンジン始動、ちゃんと変速動作するか確認してOK。
サイドカバーにはガスケットとノックピン2ヶを忘れずに、サクサク組んで終了。



ここで忘れずにギアオイルも点検、ドレンボルトは赤矢印、給油口は青矢印のボルト。
給油量はケースに刻印されていますが、0.12Lです。



このギアオイル、スクーターだと交換されていない場合が多く、開けてみるとカラッカラか真っ黒けの場合が多いですね(笑)
あ、最後に4ストのエンジンオイルはいつもこれを使っています。



エーゼットのバイク用10W-40、MEB-012・100%化学合成油(VHVi・グループ3)、4L缶ですね。
粘度保持性が良く、特に小排気量・高回転型のエンジンでは鉱物油よりオイル消費が少ない上に汚れても調子よく回ってます(笑)

では、また。
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