いろいろと試してみた、毎日。

趣味のクルマ・バイク中心ですが、他にもなんだかんだやってます。

不動のヤマハGR50を再生してみる 【その7】

2010年03月29日 | 日記
前回が電装系でしたので、今回は軽くエンジン本体など。

ご存知の通り、GR50のエンジンは2ストロークですので単純な構造です。

不動車の場合、シリンダー内壁の油膜が切れ最悪サビが発生している事があります。
圧縮を確認する前に、プラグを外してLEDライトなどで内部を先に確認する事をお薦めします。

過去の記事(コレダ編)でも記事に挙げましたが、2ストローク空冷エンジン(シリンダー)の場合、気候の影響をモロに受けますので、油膜があっても結露してサビが浮く場合があります。

圧縮の確認はお約束のオイルをシリンダー内に垂らし込んでから行いますが、コンプレッションゲージなどは手持ちにございませんので、プラグホールを親指で押さえ込んでの超アナログ確認です(笑)。

 

このバイクは特に噛み付き、スカッフィング(引っかき傷)なども無く、シリンダー・ピストンの状態は良好でした。

分解後は各部分に付着したカーボンを真鍮ブラシと灯油を併用して取り除き、シリンダーとシリンダヘッドの合わせ面の平面度を確認します。

平面度の確認は本来「定盤」と「シックネスゲージ」を使用しますが、普通の家庭では置いてはありません(笑)。
精度は若干劣りますが、板ガラスを定盤代わりに使用したり、暗所(夜間)でライトを利用して歪みを観察しています。

修正はオイルストーンを使用しますが、研磨面を対角・十字方向にJIS規格のスケール(金属製定規)を利用して均一に研磨出来ているかを仮確認し、最終的には前述の方法で判断しています。

このシリンダヘッドも一般的なスキッシュ付半球形燃焼室ですが、スキッシュとガスケット合わせ面までの厚さは約1mm以下でしたので、大幅に削り込むと熱膨張時にピストンと干渉してしまう恐れがありますので、修正は慎重に行います。

私の場合ですが、シリンダーはボーリングなど切削加工までに及ばない場合、油膜の確保をさせる為にクロスハッチの加工は行っています。

とはいっても中古の当たりのついたシリンダーですので、紙ヤスリの1000番前後を使って内壁に傷を軽く付けるだけです。
エンジンにもよりますが、この年代のクロスハッチの加工深さは約10μ位ですので、紙ヤスリ1000番前後の研磨粒子(工業用ダイヤモンド)で傷を付けるので十分かと。

傷の付け方に若干手間とコツがいりますが、特に焼き付きを修正したシリンダーはこれが非常に重要な加工だったりします。

これはあくまで鋳鉄スリーブのエンジンに個人レベルで行っている事ですので、鵜呑みにされないで下さい。

続きはまた後日。では、また。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不動のヤマハGR50を再生してみる 【その6】

2010年03月15日 | 日記
前回に続いて電装系です。

フレーム周囲の電装系の他に、エンジンのマグネトー点火機構付近も点検します。



この部分の分解はフライホイルプーラー等のSST(専用工具)が必要になります。
ローター(上図No.2)を抜いた後はシャフト部分のキーの紛失に注意します。

ポイント(上図No.7)、コンデンサー(上図No.9)は点火系の要とも言えるパーツですので、可能であれば新品に交換したいところです。
ただ、この部分のパーツは納入業者(電気メーカー)によって形状が異なりますので、購入の際はメーカー・形状の確認が必要です。

ポイント採用の古いバイクは、その損耗でスムーズに走らなくなったあたりで放置される事が多いらしく、今までに修理したバイクは大抵が磨滅限度付近でした。
このバイクは磨滅は中ほどでしたが、湿気の為かポイント当たり面に錆(変質)があった為にダイヤモンドヤスリで研磨修正しました。

ポイントは当たり面の確認の他に、ヒール部分の高さが十分に残っているかも確認します。
また、その損耗を防ぐ為にも、フェルトにグリスを塗ってカム部分に油膜を作れる様にしておきます。

コンデンサー(キャパシタ)は交換の際は容量(uF、ファラドは容量の単位)にも注意します。

ローター組付けの際の注意ですが、なるべくポイントのヒールを上げた状態にしてスクリューで仮固定し、ローターを完全に組付けてからポイント調整をする事です。
ポイントの位置が悪いと、ローターのカム部分がヒールに当たり欠けてしまう場合があります。

整備が進んでゆくと、大なり小なり障害はあるものです。

フラッシャー(ウインカー)の整備時にレンズが外れません。

レンズ本体の固着ではなく、それを止めている2本のビス(下図No.5)が固着、頭も錆で丸坊主でした。
レンズはコンパウンドで表面の曇りを取れば使用できる範囲だったので、4mmのドリルでビスの頭を飛ばしレンズを取ってから残ったビスを潤滑剤とプライヤの併用で取り除きました。



このようなフクロになる場所には湿気が溜まりやすいので、防錆潤滑剤をサッと吹いてウエスで拭き取り、錆を予防しておきます。

では、また。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不動のヤマハGR50を再生してみる 【その5】

2010年03月14日 | 日記
前回はキャブの清掃分解でしたので、今回は電装系の整備をおおまかに。

不動車の電装は死んでいる場合が多いのでテスターは必需品です。
テスターでは導通(抵抗値)の可否で判断しますが、経年劣化しているもの、装着状態で調子をみなければ解らないパーツもありますのでその結果を鵜呑みには出来ません。

要は死んでいるパーツを見つけて分解・交換、不良個所の調査に伴うリスクを少なくする役目をテスターが行うのです。

また、エレクトリックパーツの場合、中古・新品にかかわらず以前装着していたパーツとの抵抗(Ω)の差で正常に動作しない場合がありますので、表示の電圧(V)・電流(A)と共に抵抗にも配慮が必要です。

ちなみにこのGR50は年式が古いので6V電装、配線の結線は殆どギボシ端子です。



原付バイクと言えど配線は複雑ですので、後ほど復元できるように離線の際は結線の状態を確認しておきます。

サービスマニュアルなどで結線図を見ても復元は出来るとは思いますが、以外に古いバイクの配線は退色していて識別困難な場合がほとんどです。

私は若干面倒ですが、メインハーネス(上図No.26)の離線の際に雄雌のギボシ端子の首にマスキングテープを少し巻き付けてタグを作り、通し番号(記号)を記入して結線し易いようにしています。

離線時は端子をラジオペンチなどで保持して分離し、サンドペーパーなどで錆・汚れを除去します。
この時、端子に接続されている配線(銅線)の状態を確認、ささくれ状に一部が断線している様であれば、ハンダで補修をするか、切断して新しい端子に交換します。
(ギボシ端子にはサイズがありますのでホームセンターなどでの購入時に確認が必要です)

基本的な事ですが、配線は引っ張ったり、揉んだりは断線の原因ですのでご法度です。

このバイクは案の定、ウインカーリレー(上図No.25)とホーン(上図No.22)が死んでいました。
取り外しが面倒な部分ではなかったので今回はリレー・ホーン共に半完成車に取付けして動作確認しましたが、ホーンはバッテリーに直接接続しても動作確認できます。
ホーンは裏側に小さなスクリューがあり、調整する事が出来る(締め込むと壊れますので、現状から緩める方向で調整)ようになっていますので、接続のみでは判断が出来ない場合があります。

リレーは内部に接点がある関係上テスターでは判断しにくいので、保安上もなるべく実車に取り付けての動作確認が好ましいと思います。

リレーとホーンは6V車であれば他社のバイクのものでも互換性がありますので、端子の形状と向きなどに注意すれば大抵は流用できます。

ちなみに、ストップランプスイッチ(上図No.19)も同様に流用が利くパーツですが、フレームに直接ブラケットを介して取り付けている車体がほとんどですので、フットブレーキペダルからの位置やブラケットの形状、スイッチのストロークに注意が必要です。

レクチファイヤ(上図No.6、整流器)は内部にダイオードがありますので、2つの端子間で抵抗値を2回確認(テスターの検知棒の+-を入れ替えて1回づつ)して片側のみ導通があれば正常です。

イグニションコイルも同様にテスターで導通を確認(下図参照)しますが、これで正常でも使用できない場合がありますのでご注意を。
これは実車に取付してエンジンを始動した後の確認ですが、夜間の暗い場所でコード部分が光る現象があったらコードの被覆部分の劣化による絶縁不良です。



と、少し長いので次回に続きます(笑)。
では、また。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする