何処か演歌の題名みたいだけど、これはこれで映画にマッチした邦題タイトルです。
「さらば冬のかもめ」The Last Detail(1973・米)
監督ハル・アシュビー 脚本ロバート・タウン 出演ジャック・ニコルソン、ランディ・クエイド
オーティス・ヤング、クリフトン・ジェームス、キャロル・ケイン、ナンシー・アレン
物語:海軍士官"Badass" バダスキー(J・ニコルソン)と"Mule"マルホール(O・ヤング)に
バージニア州のノーフォーク基地からメイン州のポーツマス海軍刑務所へ窃盗犯を護衛する
命令が下る。その窃盗犯というのが、司令官夫人の慈善団体の募金箱から40ドル窃盗未遂で
8年の刑務所行きと宣告された18才の新米水兵ラリー(R・クエイド)だ。ふたりが、護送中の
自由な時間にラリーへ人生の楽しさを教えながら冬のアメリカ北東部を旅するコメディ。
刑期8年もあれば檻の中で青年期が終わってしまうこの水兵に、ケンカ、料理にイチャモンを
付ける事、飲酒、賭け事、売春宿での筆おろし、母親の家への立ち寄りなど色々と世話を焼く。
刑務所に近づくにつれて無骨だが心優しいバダスキーと生真面目なマルホールはラリーへの
愛情・友情が深まっていく。しかしスパっと断ち切られる悲痛な現実を突きつける結末に。
巧みな人物描写とアメリカ社会が垣間見られる『アメリカン・ニューシネマ』後期の秀作だ。
”南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏”と題目を唱えても女をタダで抱ける世の中じゃない厳しい現実
をドキュメンタリーのように撮るハル・アシュビー監督と「ファック」とか不敵な言葉を
やたら吐きながら巻き起こる出来事の語り口はロバート・タウンの脚本の秀抜さによるもの。
日本ではジャック・ニコルソンのアカデミー賞受賞作『カッコーの巣の上で』の大ヒットを
受けて3年遅れて1976年公開。僕は名古屋のグランド劇場で『タクシードライバー』との
2本立てロードショーで観ました。原題が The Last Detail(最後の雑役役務 ?)なんて
地味な原題を洒落た邦題をつけての本邦初公開だった。お蔵入りを免れブラボー!。
タイパ(タイムパフォーマンス)で映画を観みたりファスト映画で満足し観た気になってる
奴にはスクリーンに映る詩情や哀愁、Detailなんかわからないだろう。クソ寒い冬の公園で
❝かもめの水兵さん❞の最後のお別れバーベキュー・パーティー。ソーセージしかなくたって
寒空の下ガタガタ足を震わせ仲間と食べたあの味はきっと忘れられない。
物語のBGMは American Patrol などの軍用曲なので珍道中との不釣り合い具合が可笑しい。
Bブラボー、Yヤンキー、Bブラボー、Yヤンキー・・・(バイバイ)
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