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中傷ツイートに「いいね」で名誉毀損判決の杉田水脈氏 総務政務官続投でも「いいね」なの?

2022年10月24日 | 事件

「東京新聞」2022年10月22日 

 性暴力被害を公表した伊藤詩織さんが、杉田水脈(みお)総務政務官を訴えていた名誉毀損きそん訴訟の控訴審で、逆転勝訴した。争点はツイッターで伊藤さんを誹謗ひぼう中傷する投稿に、杉田氏が「いいね」ボタンを押したことの是非。東京高裁は、「いいね」までの経緯などに着目して「名誉感情を毀損する」と判断した。誹謗中傷が飛び交うツイッターに一石を投じる新判断だが、一方で、こんな判決を受けた杉田氏が総務政務官でいいのか、という点も改めて問われそうだ。(特別報道部・山田祐一郎、岸本拓也)

【関連記事】中傷ツイートに「いいね」 杉田水脈衆院議員に賠償命令 東京高裁 伊藤詩織さん側敗訴の地裁判決を変更【動画あり】

 

◆誹謗中傷の厳罰化の流れをくんだ判決

 「いま、誹謗中傷を問題視する声が上がってきている。その社会の変化がこの判決をもたらしてくれた」。20日の判決後原告の伊藤さんはこう語った。

 提訴は2020年8月。元TBS記者の男性から性暴力を受けたと訴える伊藤さんを中傷する複数のツイッター投稿に対し、「いいね」をした杉田氏を相手取り損害賠償を求めた。今年3月の1審・東京地裁判決は「『いいね』が押されたとしても、どの部分に好意的・肯定的な評価をしているかが明確ではない」「ブックマークなどの目的で使用することもある」などとして違法性を否定した。

 ツイッターの場合、別の利用者の投稿に「いいね」を押すと、自分のプロフィール欄に表示される。「リツイート」は、自分をフォローしている人に同じ投稿を拡散することができる。

 中央大の宮下紘教授(憲法)は「情報を拡散する『リツイート』が積極的な加害意図を認定しやすいのに対し、これまでは『いいね』は抽象的、多義的で意図までは見えないという判断が多かった」と話す。今回の高裁判決を「杉田氏の発言など前後の文脈で意図があったと認定した点が重要。その上で、回数の多さや国会議員としての影響力も評価した」と分析する。

 そして今回の判決をこう位置付ける。「『いいね』について賠償を認める判断は初とみられる。インターネット上の誹謗中傷の厳罰化が進んでおり、その流れをくんだ判決だ。社会的評価を下げたかという客観的要件ではなく、名誉感情を害したという主観的要件を認定したのも踏み込んだ判断だ。比較的高い賠償額からも裁判所のメッセージが読み取れる」

◆杉田氏の加害の意図を認定した「特殊なケース」との見方も

 SNSでの誹謗中傷が社会問題化する中、匿名の投稿者を特定しやすくするプロバイダー責任制限法が改正され、刑法の「侮辱罪」に懲役刑が導入された。「いいね」や「リツイート」行為について裁判で責任が争われるケースも相次ぐ。

 リツイートをめぐり元大阪府知事の橋下徹氏がフリージャーナリストの岩上安身氏を訴えた訴訟は、20年6月に2審の大阪高裁が岩上氏に賠償を命じた。松井一郎大阪市長は、現参院議員の水道橋博士氏を提訴。ツイッターで、経歴についての動画を紹介した水道橋氏の投稿に対し、松井氏は「リツイートされた方も同様に対応致します」と書き込んだ。19年に茨城県の常磐自動車道で起きたあおり運転殴打事件で、無関係の女性をあおり運転の車に同乗していたとするデマを引用し、SNSで拡散させたとして、賠償を命じたケースもある。

 SNSのトラブルに詳しい中沢佑一弁護士は「今回の判決は、過去の発言などを検討し、杉田氏の加害の意図を認定した特殊なケース。一般の匿名ユーザーの場合は難しい」と話す。ただ、フォロワーが多く影響力があるユーザーの場合は「いいね」が「リツイート」と同様の拡散効果もあるとし、こう指摘する。「SNSでの発信には責任が伴う。悪口や真偽不明の情報などに『いいね』『リツイート』をすることのリスクを認識する必要がある」

◆同性カップルは「生産性ない」、性暴力被害「女性はいくらでもうそつける」

 特殊なケースとして、「いいね」が誹謗中傷と認定されるほど、杉田氏による伊藤さんへの攻撃は執拗しつようだった。この異様さは杉田氏による数々の差別・中傷発言に通底する。

 2018年には、月刊誌「新潮45」8月号に寄稿し、同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子供をつくらない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」などと持論を展開。猛烈な批判を浴びて、後に「不適切な表現」と認めたが、謝罪や撤回はしなかった。新潮45は、この問題を受けて休刊した。

 20年9月の自民党会合では、性暴力被害者の相談事業を巡って、「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言。杉田氏の謝罪と議員辞職を求めるインターネット上の署名は13万筆余に上ったが、杉田氏はブログで「女性を蔑視する意図は全くない」と釈明したのみだった。

 選択的夫婦別姓導入を巡って、20年1月の衆院本会議で、国民民主党の玉木雄一郎代表が夫婦別姓を選べず悩みを抱える男女の例を紹介した際、議場で「だったら結婚しなくていい!」とやじが飛んだ。野党側は目撃証言などから、杉田氏のやじだとして自民党に事実確認と謝罪を求める騒動になったこともある。

 兵庫県出身の杉田氏は、住宅メーカーや西宮市役所勤務を経て政界入り。日本維新の会や次世代の党などを渡り歩き、17年の衆院選で自民党の比例中国ブロックから出馬し、現在3期目。今年8月の内閣改造では総務政務官に就いた。

◆総務省は誹謗中傷のない健全なSNS利用を呼びかける官庁なのに…

 数々の問題があったのになぜ岸田首相は、大臣、副大臣に次ぐ要職に杉田氏を起用したのか。背景には故安倍晋三元首相との関係の近さがあるという。

 「安倍さんが、保守的な考え方が近い杉田さんをかわいがっていたのは有名な話」と話すのは政治ジャーナリストの泉宏氏。「私が得た情報では、首相も側近も、杉田さんを総務政務官に起用するかどうかを含めて全部党任せにしていた。党内で安倍さんに近い人たちが、結果的に配慮する形で杉田さんを推したのではないか」とみる。

 性的少数者や選択的夫婦別姓などに否定的な杉田氏の言動は、現在解散命令請求に向けて動きが加速している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の主張と重なる部分も少なくない。16年に米国の教団関連施設で講演したり、19年に行った熊本の講演会の主催者が教団の関連団体だったとの報道もあったが、杉田氏は8月の政務官就任会見で「関係団体を含め、旧統一教会から金銭的、人的支援を受けたことは一切ない」と関係を否定した。

 教団に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏は「現時点で、杉田氏は自民党の中では教団との関係が薄い方だ。しかし、根本的な人権感覚に問題がある人に、政務官がふさわしい役職とは思えない」と話す。

 総務省といえば、電波、情報通信行政をつかさどり、誹謗中傷のない健全なSNS利用を呼びかける側の官庁だ。その政務官がSNS上で中傷を行っていたと裁判所に認定されたのでは示しが付かない。職務の適格性も疑われる。

 ネット上の言説に詳しい評論家の古谷経衡氏は「杉田氏は今の地位以前に、国民の代弁者たる国会議員にふさわしくない」と切り捨てた上で続ける。「杉田氏にはもともと保守的な思想の核がみられない。後発で保守ムラに入り、ムラの男性に気に入られたいために過激なことを言う典型的な『過剰同化』の人。こうした女性は、地方議員を含めてまだまだいる。男性優位の保守ムラの構造がある限り、第2、第3の杉田氏が出てくる」

◆デスクメモ

 判決文には、杉田氏が「いいね」をつけた投稿が掲載されているが、とても新聞には載せられないほど下品な差別語・侮蔑語ばかりだ。こんなに汚い日本語で人を攻撃する品性は、健全な保守思想に合致するとは思えない。杉田氏と、それに同調する人々は本当に「保守」なのだろうか。(歩)


いよいよ明日の予想最低気温は氷点下だ。パブリカのまだ色づかないのも収穫してきた。まだ小さいのがたくさん残っている。

帰りに気づいた。
近くの山も白くなっていた。

 



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