里の家ファーム

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内田樹 性善説と民主政の成熟

2024年12月16日 | 社会・経済

「内田樹の研究室」2024-12-16 lundi

 日替わりで政治的事件が続くので、コラムを書くのが大変である。でも、これはある意味では「よいこと」だと思う。それだけ政治的状況が流動化しているということだからである。

 公人としての資質問題で失職した県知事が、なぜかSNSで圧倒的な追い風を得て再選されたかと思うと、そのSNS戦略を受注した広報会社の社長が内幕を公開したせいで公選法違反を咎められるという展開になった。

「選挙にまつわる膿」がこうして噴き出したおかげで「なるほど選挙制度というのはこういうふうに腐ってゆくのかが可視化された。これも「よいこと」に数えてよいかも知れない。

 ある候補者は公選法が想定していないトリッキーな行動を次々ととることで都知事選も県知事選もカオス化してくれたけれど、改めて公選法が性善説に基づいて設計されているという厳粛な事実を前景化してくれた点では功績があったと思う。 

 私たちの社会制度の多くは性善説に基づいて設計されている。喩えて言えば田舎の道にある無人販売所みたいなものである。「りんご5個で300円」と看板が出ていればふつうの人はりんごを取って代価を置いておく。でも、たまに「システムの穴をみつけて悪用する人間(ハックする人)」が出てくる。あるだけのりんごを持ち去り、ついでに置いてある代金も盗んでゆく。ハッカーたちは「性善説を信じているやつらはバカだ」と高笑いするのだろう。

 だが、その後りんご農家がこれに懲りて、店番を置いたり、防犯カメラを設置したりすれば、そのコストは商品価格に転嫁されて、次は「りんご5個500円」に値上がりしたりする。ハッカ―の取り分は良民が分担することになる。だから、制度の穴をみつけて自己利益を増やす人間をを「スマートだクレバーだ」とかほめる人は自分も彼らに盗まれていることに気がついていないのである。

 盗まれるだけでは業腹だから「オレも今日からハッカーになる」と人々が我さきに制度の穴を探すようになると、今度は社会制度をすべて性悪説で作り直さなければならない。「市民全員が潜在的には泥棒である」と思われて暮らすのはずいぶん気鬱なことである。何よりまったく価値を生み出さない「防犯コスト」を全員が負担しなければならない。

 そんな生産性の低い、気分の悪い社会に私は住みたくない。

 あらゆる制度は性善説で制度設計した方が圧倒的に効率がよいし、生産性が高い 。何より性善説で作られた制度は利用者たちに向かって「善であれ」という遂行的な呼びかけを行ってくれる。「私はあなたが善良な人間であることを願う」というメッセージを制度が個人に送って来るのである。

 これは「民主政には無数の欠点があるが、それでも他の制度よりはましである」というチャーチルの理路と通じるものがある。民主政は不出来な制度である。なにしろ有権者の相当数が市民的に成熟していないと機能しないからである。市民の過半が「子ども」だと民主政は破綻する。だから、民主政は市民の袖を捉えて「お願いだから大人になってくれ」と懇請する。

 そんな親切な制度は他にない。帝政も王政も貴族政も市民に向かって「バカのままでいろ」としか言わない。統治者ひとりが賢者であって、あとは全員愚民である方が統治効率がよいからである。でも、独裁者はほぼシステマティックに後継者の指名に失敗する。そして、独裁制はどこかで「統治者もバカだし、残り全員もバカ」というカオスのうちに崩落する。

 統治機構の復元力を担保するためには「一定数の賢者が社会的な層のどこかに必ずいて、統治者が不適切な場合に交替できる仕組み」が最も適切であることは誰にでもわかる。

 民主政はその「最も適切な制度」であるのだが、不出来な制度である。「一定数の賢者」を特定の場所に特定の方法で育成しプールするということができないからである。当然のことだが、強制や脅迫や利益供与を以て人を成熟させることはできない。成熟した市民は「調達する」ことができず、「懇請する」という仕方を通じてしか呼び出すことができない。そこが「不出来」である所以なのである。

 私たちの社会制度の多くが性善説で設計されているのは、その制度そのものが私たちに向かって「性、善であれ」と懇請してくるからである。その遂行的メッセージを聴き取れない者は邪悪であるのではなく、単に未熟なのである。

 制度は生き物である。それが人間をどう成熟させ、世界をどう住みやすくするために作られたものなのか、たまには思量すべきだ。(12月16日)

 


そもそも「日本国憲法」が「性善説」に依っている。
日本人の大多数がそうであるようであるが・・・
youTubeでもおなじみの外国人が見た日本(人)にもよく表れている。
それは他人に対する「思いやり」。
日本の特徴的「文化」と言ってもいいのかもしれない。


ボーナス支給も「社会保険料高すぎ」の悲鳴続々 厚労省のSNSにも批判殺到

2024年12月15日 | 生活

2024/12/11

『女性自身』編集部

12月10日、国家公務員に冬のボーナスが支給された。24年冬の国家公務員(管理職を除く行政職)のボーナスの平均は65万2800円。このあと給与法が成立すれば追加分が支給され、約72万2000円となり、去年比4万7000円の増加となる。コンサルティング会社「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」によると、民間企業の一人当たりの平均支給額も、去年より2.5%多い40万5573円と予測されている。

 微増ながら賃上げ傾向が続く一方で、Xではこんな嘆きの声も……。

 我が家教育費が心配で3人目の子どもは諦めたんだけど…一個人から取りすぎじゃないですか?》

《今日はボーナス支給日。税金、年金、社会保険料で10万以上引かれてるの悲しい…》

《ボーナス、厚生保険料・社会保険料・所得税で一撃25万くらい引かれてんだけど計算合ってる?引きすぎやて》

 中には厚生労働省の“悩み相談”を促すXのポストを引用して、次のように“泣きつく”声も。

 《ボーナスもらったんですけど、なぜか12万も引かれてて、とても悩んでいます。 返してもらえませんか?》

《社会保険料取りすぎです。なんでボーナスからも税金で国民からお金奪うんですか。 私たちのお金、返して下さい》

《冬のボーナスが支給されました。 厚生労働省管轄の保険で15万以上引かれてます。 頑張ってるのにあんまりです》

健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険などが含まれる社会保険料。社会保障給付費の増加に伴い、その負担額は年々増え続けている。

たとえば、家計調査の「二人以上の勤労者世帯」において、2023年の実収入は月額60万8182円で、社会保険料は6万6896円。一方、2000年の実収入は56万2754円で、社会保険料は4万8019円。社会保険料の伸び率が約1.4倍なのに対し、収入の伸びは約1.1倍にとどまる。

社会保険料の負担増に加えて、ダブルパンチとなっているのが“物価高”だ。

 「特に昨今は物価高が国民の頭を悩ませています。総務省が発表した東京23区の11月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた総合の速報値で去年の同月より2.2%上昇しました。政府による電気・ガス料金への補助額が減ったことなどが主な要因とされています。

また、“生鮮食品を除く食料”は去年の同じ月より4%上昇し、食料品の値上がりも続いています。中でも“米類”は62.8%の上昇となりました」(全国紙記者)

今年7月に厚生労働省が公表した、2023年の国民生活基礎調査では生活が「苦しい」と感じる世帯は59.6%にも上ることがわかった。現役世代の負担はもはや限界となっている。


キックバックはないのかね!?
なんてね!

皆保険制度や介護保険制度、我々も守ってゆきたい。
しかし高すぎる。
軍事費を削って教育や社会保障にあててもらいたい。

わたしの今年の漢字(感じ)
  

 


米兵実刑判決 女性ら性暴力に怒り新た 勇気の告発、少女に拍手

2024年12月14日 | 事件

「しんぶん赤旗」2024年12月14日

 昨年12月に起きた米軍嘉手納基地所属の空軍兵による少女暴行事件。13日、那覇地裁の佐藤哲郎裁判長が懲役5年の実刑判決を言い渡すと、勇気ある告発をし、厳しい裁判をたたかった被害少女に心を寄せてきた女性らは安堵(あんど)の表情を見せ、米軍の性暴力への怒りを改めて語りました。

 公判は33人の傍聴席の抽選に9倍近い人が詰めかけました。午後2時、無罪を主張し続けたワシントン被告が沈鬱(ちんうつ)な面持ちで入廷。開廷直後、判決主文を聞いた記者が飛び出し実刑判決を告げると、フラワーデモインおきなわ呼びかけ人の上野さやかさんが涙を見せました。

 琉球大法科大学院の矢野恵美教授は実刑判決を評価。「若い被害者が一生懸命声をあげ、裁判で証言したことがすべて認められた。被害者の努力が少しでも報われれば」と語りました。一方、在沖米兵の性暴力への適切な処罰を勧告した国連女性差別撤廃委員会の日本審議を傍聴した「Be the Change Okinawa」代表の親川裕子さんは「性暴力の不処罰の文化が終えんするのか問題提起が必要。米軍基地を抱える沖縄全体の問題だ」とします。

 沖縄県女性団体連合会の伊良波純子会長も「米軍基地があるからこその事件。22日に開く県民大会で政府に日米地位協定改定を求めたい」と話しました。

 午後6時から県庁前広場で開かれた報告集会には数十人が参加。基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表の高里鈴代さんは「少女の勝利に拍手をおくりたい」と語り、拍手に包まれました。


政府や警察は事件を把握していたにもかかわらず、発表せず、県にも情報を共有しなかった。裁判が沖縄で行われたこと自体画期的であり、有罪判決を勝ち取ったのは沖縄県民と国民の声が大きくなったからでしょう。

話は変わりますが、下記のビデを見て驚きました。
公明党が一番利権の利く国土交通省にしがみついています。
よほど甘い汁が吸えるのでしょうと思っておりましたが、そのようです。

【改悪】軽を購入した人が来年から大後悔してしまうヤバい理由とは… 来年から軽に乗ったらいけない理由【ゆっくり解説】


国際刑事裁判所(ICC)への圧力 大国の横暴排除せねば

2024年12月13日 | 事件

「東京新聞」社説 2024年12月13日 

 個人の戦争犯罪などを訴追する国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が年次総会の冒頭演説で「(ICCが)国連安全保障理事会の常任理事国からテロ組織のように脅迫されている」と訴えた。国際法と国際司法の危機にほかならない。

 日本政府は「法の支配」を守るため大国の圧力に屈せず、ICC擁護の姿勢を鮮明にすべきだ。

 ICCは11月、パレスチナ自治区ガザでの戦闘に絡む戦争犯罪などの疑いで、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出した

 同国首相府はICCを「反ユダヤ的」と非難。米国のトランプ次期政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に内定したウォルツ下院議員も「(2期目が始動する)来年1月にはICCと国連の反ユダヤ的な偏向に強く対処できる」と対抗措置を示唆した。

 1期目のトランプ政権はアフガニスタンでの戦闘に加わった米兵たちの戦争犯罪捜査を巡り、ICCの主任検察官に米国内の資産を凍結する制裁を科している。

 ICCはロシアのウクライナ侵攻でも昨年3月、プーチン大統領に戦争犯罪の疑いで逮捕状を発行したが、ロシアは報復措置として赤根氏らを指名手配した。

 ICCは大量虐殺などを犯した個人を追及する独立の常設機関で2002年に活動を始めた。日本は07年に加わり、最大の資金拠出国だ。現在124カ国・地域が加盟するが、安保理常任理事国の米国、ロシア、中国は未加盟だ。

 米国はICCによるプーチン氏逮捕状を歓迎する一方、ネタニヤフ氏の逮捕状は非難する「二重基準」を隠そうともしない。

 加盟国は逮捕状執行の義務を負うが、加盟国モンゴルがプーチン氏訪問を受け入れるなど、政治的利害優先の骨抜きも広がる。放置すれば、重大な人権侵害に国際法を適用して再発防止を促すICCの創設理念が崩れかねない。

 赤根氏は「歴史の転換点に立っている」とも警告した。日本政府は「法の支配」を目指す赤根氏を力強く支え、「力の支配」をもくろむ大国の横暴を排除する先頭に立つべきである。


まったくである。

さて、昨日恒例の「今年の漢字」が発表されたが「流行語大賞」同様心に迫るものがない。
しかも「金」は5回目だという。
「腐」「抜」「代」「民」「世」・・・
なんかあるだろう!
マ、国「民」による投票の結果か。


ノーベル平和賞 被爆者に応え核兵器の廃絶を

2024年12月12日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗」主張 2024年12月12日

 「核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論ではなく、核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願いです」

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員は10日、ノーベル平和賞授賞式(ノルウェー・オスロ)の講演でこう強調しました。

 13歳のとき長崎で被爆した田中さんは、その筆舌に尽くし難い体験を語りました。淡々とした口調のなかに込められた、核兵器は人類と共存できないし、させてはならないという強い信念が、聞く者の胸を打ちました。

 核威嚇を繰り返し、核戦力の増強をはかる核保有国、その「核抑止力」に依存する同盟国は、この訴えに応え、核兵器廃絶を決断し、足を踏み出すべきです。

■世界を動かす証言

 ノーベル委員会のヨルゲン・バトネ・フリードネス委員長はスピーチで、被爆者は「核兵器によって引き起こされる想像を絶する痛みや苦しみを、自分のものとして実感する手助けをしてくれています」と述べました。この「実感」が世界を動かしてきました。

 核兵器禁止条約は国連加盟国の半数近くが署名するなど、核兵器廃絶の世界的な流れを支えています。この条約を実現する原動力の一つが、核兵器を道徳的、人道的観点から議論する新たなアプローチでした。

 田中さんは講演で、被爆の実相に関する国際シンポジウムや国連軍縮特別総会など、1970年代からの国際的な活動も紹介しました。この長年の努力が、世界の人々と為政者たちの認識を深め、禁止条約の実現へと向かわせたのです。

 ヒロシマ・ナガサキの実相を広げることは、核使用を抑える「核のタブー」を強化し、核兵器廃絶への道を照らす「光」となっています。

■国家補償の実現を

 石破茂首相は同じ10日、衆院予算委員会で、日本被団協に祝意を述べる一方、「核の傘」を含む拡大抑止を肯定し、禁止条約の署名・批准を拒む態度を示しました。オスロとは対照的な光景でした。このような被爆国にあるまじき政治を続けさせるわけにはいきません。日本は「核の傘」から脱却し、すみやかに禁止条約に参加すべきです。

 原爆被害に対する国の償い(国家補償)を求める被爆者の声にどう応えるのかも、日本政府に厳しく問われています。

 田中さんは講演で、援護施策の拡充をかち取ってきた運動の歴史を語りました。しかし、「何十万人という死者に対する補償は一切なく、日本政府は一貫して国家補償を拒み、放射線被害に限定した対策のみを今日まで続けてきています」と力をこめ、しかもこの言葉を2度繰り返し、強い憤りを表しました。

 日本政府の姿勢に、世界の厳しい目が向けられています。石破政権は、国家補償の実現と援護施策の抜本的拡充をただちにはかるべきです。

 田中さんは最後に、被爆者の証言が「自国の政府の核政策を変えさせる力」になることを願うと述べました。日本共産党は、被爆者と固く連帯し、非核の日本と世界の実現に力を尽くしていきます。


地球生命を危うくする「核兵器」の廃絶とCO2の大幅削減、今喫緊の課題だ。
日本政府の軍事増強、増税政策に反対し、「平和」な国を目指す政権を樹立するのが近道だ。

園のようす。
今日は吹雪状態で昼から歯科へいっただけ。
もちろん、雪かきは・・・
この写真は昨日の晴れた日のものです。

ウサギの

 


日本の立つべき位置

2024年12月11日 | 戦争と平和

平和賞授賞式の日に

核抑止力強化 日米が協議

「しんぶん赤旗」2024年12月11日

 日米両政府は10日、米国の「核の傘」=核抑止力の強化に関する日米拡大抑止協議を日本国内で開催しました。12日までの日程。国内外で核兵器廃絶を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞授賞式と同日、米国の核抑止強化に関する協議を国内で開催する異常事態です。

以下のビデオ日本の立つべき位置を示しています。
ぜひご覧ください。(約27分)

【海外の反応】「日本が恨むのはおかしい」広島を訪れたアメリカ人観光客。ある少年の本音が世界中で話題に!


今夜ノーベル平和賞授賞式

2024年12月10日 | 戦争と平和

“高校生平和大使” ノルウェー首都の高校で原爆の悲惨さ訴え

ノーベル平和賞の授賞式に出席するため、ノルウェーの首都オスロを訪れている「高校生平和大使」が現地の高校で交流授業を行い、原爆の悲惨さとともに、核兵器廃絶を訴えました。

核兵器廃絶を求める署名を国連に届ける活動を続けてきた「高校生平和大使」の長崎、広島、熊本の代表4人は、10日に行われるノーベル平和賞の授賞式に出席します。
これに合わせて、多くの人たちに原爆の悲惨さを知ってもらおうと、4人は9日、オスロの高校を訪問し、現地の高校生と交流する授業を行いました。

授業では、原爆が投下されたあとの広島や長崎の写真を見せるなどして、原爆がもたらす被害の悲惨さとともに、核兵器廃絶を訴えました。

このなかで、長崎県の「高校生平和大使」の津田凛さんは、被爆した祖父が複数のがんを患い、何度も手術を受けてきたことに触れ、原爆投下から79年がたっても、苦しみが続く現実を伝えました。
このあと、平和への願いを込めて折り鶴を作る時間が設けられ、現地の高校生たちは4人に教わりながら丁寧に鶴を折っていました。

高校生平和大使「平和への思いは一緒 理解しあうことが大事」

長崎県の被爆3世の大原悠佳さんは「『被爆体験者』や『在外被爆者』の問題を通して、核兵器の問題がいまも続き、苦しんでいる人がいることを伝えたいと思っていたが、そのことを現地の高校生が『すごく伝わった』と言ってくれてうれしかった。もっと多くの人に伝えていきたいと思った」と話していました。
広島県の甲斐なつきさんは「オスロの高校生と実際に話し、平和への思いはみんな一緒で、対話やお互いを理解しあうことが大事だと共有できた。それぞれの地域に帰ってからも、理解しあうことの重要性を広めていきたい」と話していました。
熊本県の島津陽奈さんは「ことばの壁があったが、平和について現地の若者が考えていることは私たちと同じで、対話や声を上げ続けることがすごく重要だと再確認した。広島、長崎、被爆地ではない熊本でも、対話の重要性や声を上げ続けることの重要性を広めていきたい」と話していました。

オスロの高校生「核兵器の使用 繰り返されてはならない」
オスロの18歳の女子高校生は「日本の若い世代が『原爆の悲劇が2度と繰り返されてはならない』と思っていることを知ることができてうれしかった。一方で、オスロで核兵器が使われたら、その影響がどこまで広がるかがわかる地図を見せられ、かなり遠くまで届くことが分かり、とてもおそろしくもあった」と話していました。
また、別の18歳の女子高校生は「自分たちと同世代の高校生と話すことがで
きて興味深かった。私たちは未来を担っているからこそ、核兵器の使用が決して繰り返されてはならないと意識することが大切だ」と話していました。


今日は重要な記事がたくさんあって、どれを載せようか迷いました。
今夜のパホーマンスがどのようなものになるか期待しています。

韓国では内乱罪で大統領捜査、出国禁止になっていますが一時国外逃亡とのニュースも。
「共に民主党」は再び弾劾訴追案を12日に提出する構え。

また長きにわたる独裁政権アサド政権が崩壊。
アメリカとイスラエルの動きに警戒が必要でしょう。

シャーム解放機構とは
「しんぶん赤旗」2024年12月10日

 アサド政権を打倒した反政府勢力の主力となった「シャーム解放機構(HTS)」は、シリアにおけるイスラム法シャリアに基づいた統治を目指してきたイスラム主義組織です。
 HTS指導者のアブ・ムハンマド・ジャウラニ(本名アフマド・フセイン・シャラ)氏は、米軍のイラク侵攻直前の2003年にイラクに渡り、5年間の投獄を経て国際テロ組織アルカイダに参加。釈放後、当時のアルカイダの指導者バグダディ氏によってシリアに送られ、アルカイダ系の「ヌスラ戦線」を結成しました。ヌスラ戦線は自爆テロなど激しいテロ作戦を展開しました。
 バグダディ氏から過激組織ISに合流するよう迫られると、バグダディ氏と決別。シリアでのアルカイダ組織として、アサド政権打倒を主目標に定め勢力を伸ばしました。
 16年に政府軍がアレッポ、ハマなどを奪還するなかで反政府勢力の支配下にとどまったイドリブでは、ジャウラニ氏を首長とする統治を敷き、イスラム法に基づく法廷も設置。同年アルカイダとの絶縁を表明し、17年にHTSに改名しました。
 HTSは、イラクやアフガニスタン、中央アジア、ウイグルからの外国人戦闘員も結集し、強力な軍事力を構築。アサド一族が属するイスラム教の少数派アラウィ派については、「イスラムと矛盾する要素を放棄すれば」手を付けないと表明したこともあります。最近は、シリアの少数派がHTSを「何も恐れることはない」とも述べています。(伊藤寿庸)


北極海の氷消える日 早ければ3年後にも スウェーデンの大学などが発表

2024年12月09日 | 自然・農業・環境問題

「しんぶん赤旗」2024年12月6日

 北極海の氷が完全に消える日が、早ければ3年後には来るかもしれない―。スウェーデン・ヨーテボリ大学と米コロラド大学の研究グループが、科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』(3日付)に発表しました。太陽光を反射している氷が消えることで、北極海とその周辺の温暖化がいっそう進み、世界中でより極端な気象現象が発生する可能性があるとしています。

 北極海では夏に、前年の秋からその年の春にかけて生成した氷が解け、氷の面積は秋の初めに最も少なくなります。

 北極海の氷は、地球温暖化が進むもとで10年ごとに12%以上という前例のない速度で減少しています。2012年9月に記録した最小面積は約318万平方キロメートル。1979~92年までの同時期の平均面積685万平方キロメートルと比べ大幅に少なくなっています。

 研究グループは、コンピューターで北極海から氷が完全に消える日がいつごろ来るかを予測。九つのシナリオにもとづいてシミュレーションした結果、3~6年以内にその日が来る可能性が示されました。これまでの研究では、23年以降、9~20年という予測が示されており、その日が来るのが早まる恐れがあることがわかりました。

 その理由として研究グループは、異常気象により短期間で200万平方キロメートル以上の氷が解ける可能性があることをあげています。異常に暖かい秋が最初に氷を弱体化し、その後、暖かい冬と春が続いて氷の形成が妨げられるサイクルが3年以上続いた場合、北極海の氷が完全に消える最初の日が来る可能性があると指摘しています。


これによって小さな島々は水没してしまう可能性がある。
「国」として成立することが難しいところも出てくるところもあるかもしれない。
日本でできること、真剣に考えていかなければいけない。
戦争を終結させることに力を注ぐこと。
「軍事費」を削ること。
再生可能エネルギーに切り替えること。
緊急にだ!

話は変わるけど、仏教伝道協会による「輝け!お寺の掲示板大賞2024」なるものがあるそうだ。
ことしの大賞に選ばれたのは超覚寺の


  『望もうと望むまいとあなたは独りじゃない』
だそうです。

 他に仏教伝道協会賞は「私なんか、という自慢」顯證寺(浄土真宗本願寺派・鹿児島県南さつま市)、寺社NOW賞は「声を上げられる人だけが世界を構成しているわけではない 小川公代」西光寺(真宗大谷派・大分県日田市)、お寺の窓口賞は「暗闇だからこそ光に気づく」徳性寺(浄土宗・東京都文京区)。

困難な時代を生き抜く支えとなる言葉の数々に救われる思いだ。

「新語・流行語大賞」の心に響かない存在よ。

 


弁護士・猿田佐世  韓国のデモ、なぜ日本より圧倒的に若い世代が多かったのか 「戒厳令を止める一人に」自然体の抵抗に共感

2024年12月08日 | 戦争と平和

AERAdot 2024/12/08

 韓国の国会が揺れている。突然、非常戒厳令が宣布されたが、一夜にして解除。これを受けて尹錫悦大統領の弾劾訴追案が提出された。7日夜に不成立になったものの、すでに再提出に向けた動きが出ている。戒厳令が宣布された日、偶然にも、シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」代表で、弁護士(日本・ニューヨーク州)の猿田佐世さんはソウルに滞在中だった。韓国で経験した一部始終を寄稿した。(前後編の今回は後編)

前編【韓国人でなくとも怒りが湧いてきた 戒厳令の夜、私がソウル国会前を離れなかった理由】

*  *  *

中の闘い 「議員をブロックせよ」「議員を入れさせよ」二つの声

 戒厳令が宣布された3日は、ソウルで行われた日米韓中の研究者の国際会議に参加し、1日目の日程を終えた後だった。その会議の韓国側の受け入れ団体の代表は国会議員だった。半日後に彼に話を聞くことができた。

 その日、彼は、仕事を終えて帰宅したが、自宅で車を降りたところで、補佐官の電話を受け戒厳令が出たことを知る。直ちに国会に急行するが正門は警察が封鎖しており国会敷地内に入れない。「中に入れろ」と求め、数10分間もがき続けた後、誰かが「国会図書館(国会議事堂に向かって右横)側から入れる」とささやいたため、移動して国会に入ることができた。

 ヘリ24機で軍の特殊部隊230人が運ばれ、さらに50人が塀を超えて国会敷地内に乗りこむ。国会議事堂の中では、補佐官たちがソファーを積んでバリケードを作っており、国会議員たちはその内側にいた。ネットでは、軍から銃を向けられた若い女性の野党職員がその銃を素手でつかみ、「恥ずかしくないのか」と兵士に叫んでいる映像が瞬く間に世界中に拡散した。「向こうは銃、こちらはソファーのバリケード。本当に怖かった」とその議員は振り返る。

 戒厳令解除決議に賛成する議員の数を確保しようと、国会議員たちは連絡を取り合い、情報を交換し続けた。情報統制で携帯電話が使えなくなることを恐れていた。

しかし、幸いなことにそれは起きなかった。

 代わりに、家族や友人たちから次々とメッセージや写真が届いた。議員たちは、議員らの行動を支えるために、国会の外にたくさんの人々が集まり、体を張って軍や警察を国会の敷地に入れないようバリケードを作り、命がけで闘っていることを知る。

 外の民衆の声に支えられて、議員たちも粘り、様々な働きかけを行った末、午前1時、遂に議員たちは、与党も含めて集まった190人の議員の満場一致で戒厳令の解除を決議した。その男性の議員は、思わず感極まって泣きそうになった、と話してくれた。

「これは国会の中と外が連帯して勝ち取った歴史的勝利だ」と彼は語る。国会の外の人々の頑張りがなければ、議員たちは持ちこたえることができなかっただろうと。

 彼からは他にも幾つもの貴重な話を聞くことができた。

 国会図書館の側に彼が移動した時、そこでも警察が封鎖体制を敷いていたが、その議員の耳に、警察の一群から二つの違った声が聞こえてきたというのである。片方からは「議員をブロックせよ」と、そして、もう片方からは「議員を入らせろ」と。

 また、国会議事堂内で軍を迎えたのは「ソファーを重ねたバリケード」に過ぎなかった。にもかかわらず、兵士たちはそこを突破することを躊躇しているようにも見えた。また、議員たちの身柄を拘束するか否かも悩んでいるようにも見えたとのことであった。

 集まった人々に頭を下げて謝った兵士の映像もネットで拡散されている。「彼らは、自分たちがやらされていることが正しいことではないとわかっていたのではないか」と、その議員は振り返った。

 彼は続けた。韓国の人々は、軍事政権を倒し民主主義を勝ち取ったこと、またたった8年前にも朴槿恵大統領をキャンドル・デモで弾劾に追い込んだことを記憶している。民主化を経験していない若い世代も、親から聞き、学校でも学んでいるし、小さい頃から政治参加の経験を積んでいる。

「朴槿恵弾劾の時は自分は小さな子供で、親に連れられてデモに行っただけだったけど、今はこうして自分から参加できます」と話す若者たちがたくさん選挙活動にも参加してくれた、と彼は嬉しそうに話してくれた。

自然体の抵抗 気がつけば午前3時だった

 私の宿泊先ホテルは国会の真ん前。国会前の集会には会議参加者の日本人4人といた。

 解除決議が通ると、国会の外では、張り詰めた空気が少しだけ緩んだ。まだ、決議を突きつけられた大統領は戒厳令を解除してはいなかったが、もう軍も無茶はできまい、そんな安堵と私は理解した。しかし、その後も人々が帰ることはなく、今度は「大統領弾劾」を求めて彼らは声を上げ続けた。

 もしかすると、これを読む方々の中には、軍が投入された危険な場所にいるなんて無責任だ、と考える方もいるかもしれない。

 私も、軍から暴力的行為を受けるかもしれない、デモが暴徒化するかもしれないと、緊張し続けた。雪がちらつくほど冷え込む中で深夜11時頃からずっと立っていたが、寒さも疲れも感じないほど張り詰めており、気づけば午前3時だった。

 しかし、それでもその場を離れなかったのは、ひとえに、そこに集まった人々が実に自然体で、平和裏に声を上げていたからであり、また、私もその姿に共感したからである。深夜にもかかわらず集まった4000人とも5000人ともいわれる人々は、戒厳令が出たと知り「止めるその一人にならなければ」と駆け付けた数多くの個人の集まりだった。

 日本のデモに比べると圧倒的に参加者の年齢が低く、カップルや友達同士で来ている若い世代も多かった。大学生から60才前後くらいまでの男女が偏りなく参加していた。一人で参加する車椅子の人も何人も目にした。彼らも警察車両の前に自分の車椅子を止め、車両の進行を阻止していた。

 みなが落ち着きを失わずに声を上げていた。一人だけ少し興奮した様子の若者を見かけたが、すぐに中年の男性が声をかけ、なだめながら彼をデモの外に連れ出していた。SNSのビデオ通話でその場にいない家族や友人とつないで状況を伝えている若者たちもいた。

 いつ何時、軍が踏み込んでくるかもしれない、という緊張はあったが、そんな自然体の彼らとその場にいることには何らの躊躇も感じなかった。そればかりか、彼らに共感し、その場にともに留まりたい思いに駆られたのである。

さいごに

 民主主義を勝ち取ってきた人々の、実に自然体の抵抗であった。人々の手で、民主主義や人権が守られたのである。

 日本では、既に今回の出来事を受け、日韓関係を「改善」した尹氏が退陣し「反日」の大統領に代わるのでは、などと尹氏の退陣やそれに伴う韓国の政権交代を見据えた否定的な声も出てきている。しかし、隣の韓国が軍隊で民意を屈服させる国になれば日本への影響は計り知れない。

 日本はかつて朝鮮半島を植民地化したが、その後、敗戦。その空白に米軍とソ連軍が進駐し朝鮮は南北に分断され、韓国でも軍事政権が続いた。今日まで韓国は、日本の占領や続く軍事政権などに抵抗し続けてきたのである。自らの手で民主主義を守る韓国の人々に心からの敬意を表しつつ、闘わねばならない状況を作り出した責任の一端が日本にあることにも思いを至らせなければならない。

 今日も韓国では、多くの人が街に出て声を上げている。
12月7日、弾劾を求めて15万人が国会前に集まった

〉〉前編【韓国人でなくとも怒りが湧いてきた 戒厳令の夜、私がソウル国会前を離れなかった理由】

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尹大統領解任求めゼネスト

韓国 7万人「民主主義守れ」

「しんぶん赤旗」2024年12月8日

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による突然の「非常戒厳」宣言に対し、民主主義を守るための国民の運動が広がる中、労働組合も闘いを強めています。

 5、6の両日、製造業の労働者らによるゼネストが取り組まれ少なくとも7万人が参加しました。全国金属労組が呼び掛けました。

 同労組が加盟する国際的な製造業労組「インダストリオール」によると、現代自動車や傘下の部品メーカー、韓国GMなどの労働者がシフトあたり2時間のストを実施しました。

 金属労組は、尹氏による「非常戒厳」宣言は、民主主義が一瞬で消され得ることを印象付けたと強調。戒厳下に戻れば労働者が失うものは大きいとして、尹氏を解任し危機を終わらせることが必要だと主張しています。

 金属労組が加盟する中央組織の全国民主労働組合総連盟(民主労総)は4日、尹氏が辞任するまで無期限のゼネストを続けると宣言しており、ストの規模がさらに広がる可能性もあります。


「非人道性」が核兵器廃絶の鍵 国連総会決議

2024年12月07日 | 戦争と平和

「しんぶん赤旗」主張 2024年12月7日

 「核戦争の瀬戸際」とも言われる危機的状況のもとで、第79回国連総会は、それを乗り越える希望を示すものとなりました。2日には、核兵器禁止条約への参加を訴える決議を国連加盟国の約3分の2、昨年を上回る127カ国の賛成で採択しました。ロシアの核威嚇やアメリカなどの「核抑止力」強化に対し、禁止条約を力にした流れは揺るぎなく発展しています。

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授与の発表をうけて、議論では核兵器の非人道性と破滅的な影響が焦点の一つとなりました。

■被爆者証言が貢献

 メキシコ代表は演説で「被爆者の証言は、最後の核弾頭が廃絶されるまで国連に響き渡らなければならない」と述べました。サンマリノ代表も「被爆者のたゆまぬ努力は、核軍縮と平和への粘り強い取り組みの模範だ」とたたえるなど、人道的な立場から、核兵器廃絶の必要性を強調する発言が相次ぎました。

 総会の第1委員会(軍縮・安全保障)では新たに、核戦争が引き起こす影響を科学的に研究する専門家委員会を設立する決議案が多数の賛成(144カ国)で採択されました。核兵器禁止条約を推進してきたアイルランドとニュージーランドが提案したもので、研究結果は2027年の総会に報告されます。

 米ソの核軍拡競争が激化していた1980年代、核戦争で地球を覆う「核の冬」が出現し人類が絶滅の危機にひんするとの研究が発表され、反核世論を広げる契機にもなりました。気候研究など40年を経て発展した科学的知見も生かした成果がでれば、核兵器廃絶をめざす流れを後押しするものとなるでしょう。

 核兵器の非人道性を直視すれば、その使用を前提にした「核抑止力」が許されないのは明白です。それだけに核大国の多くは、この決議案に対し、「結果は分かっているので研究は不要」「新しい証拠はない」などと言って、反対(英仏ロ)や棄権(米)をしました。

 総会では、被爆者と核実験被害者への支援をすすめる決議案も174カ国の圧倒的多数で採択され、2026年に核兵器の人道的影響についての国際会議を開くことが提起されました。

■問われる日本政府

 被爆者や核実験被害者の証言が、核兵器禁止条約を生み出す原動力となりました。日本被団協のノーベル賞の授賞理由も、戦後79年間、核の使用を抑えてきた「核のタブー」への貢献でした。非人道性の議論の発展は、核兵器に固執する勢力を追いつめ、「核兵器のない世界」へ前進するカギとなっています。

 日本政府が国連総会に提案した決議案も日本被団協のノーベル賞受賞に言及しました。そうであるなら、被爆者の願いに真摯(しんし)に応えるべきです。

 石破茂政権は、来年3月の核兵器禁止条約の締約国会議に、少なくともオブザーバーで参加すべきです。これは、いまや党派を超えた要求となっています。

 来年は被爆・戦後80年です。唯一の戦争被爆国の政府としての責務をはたすべきときです。アメリカの「核の傘」から脱却し、核兵器禁止条約に参加することを強く求めます。


日本国憲法前文より

日本國民は、恒久の平󠄁和を念願し、人間相互の關係を支配する崇高な理想を深く自覺するのであつて、平󠄁和を愛する諸國民の公󠄁正と信義に信賴して、われらの安全󠄁と生存を保持しようと決意した。われらは、平󠄁和を維持し、專制と隷從、壓迫󠄁と偏狹を地上から永遠󠄁に除去しようと努めてゐる國際社會において、名譽ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全󠄁世界の國民が、ひとしく恐󠄁怖と缺乏から免かれ、平󠄁和のうちに生存する權利を有することを確認󠄁する。

まさに日本の出番、日本国憲法の出番である。

園のようす。
かなり積もりました。

 


婚姻数が戦後初の50万組割れ 「お金がなければ…」若者が結婚しない切実な理由

2024年12月06日 | 生活

日刊ゲンダイデジタル 2024/12/03

 

 先週(11月26日号)、2024年に生まれる日本人の子供の出生数70万人割れについて書いた。この取材の中で結婚、子育てで未婚の若い男女の意識・行動は大きく変化してきたことに驚いた。少子化に影響しているその背景を追取材した。

「お金がなければ子供は産めない」。内閣府男女共同参画会議専門委員で、中央大学教授の山田昌弘氏が学生たちに「少子化問題」について尋ねると、男女とも同じ言葉が返ってきたという。とくに男子学生からは、

「今後就職して普通の給与をもらっても、子供が2人いたら2人を大学に行かせることは無理。自分の給与では結婚もできないし、子供をつくることはさらに無理です」

 女性は結婚相手により人生が変わる可能性が大きいといえるが、男性は自分で家族を支えなければいけないという意識が強い。それだけに結婚は重荷になると考える若者が多く、婚姻数が戦後初めて50万組割れとなった大きな要因といえる。学生たちの声はまさに「少子化傾向」を象徴するそのものではないだろうか。

 こうした未婚男女の意識は、国立社会保障・人口問題研究所が実施している、若者や子育て世代の結婚や出産をめぐる行動や意識の変化を捉えた「出生動向基本調査」にはっきり表れてくる(5年ごとに調査、2022年9月公表)。気になった結果を挙げてみる。

「いずれ結婚するつもり」と考えている18~34歳の未婚者では男性81.4%(前回85.7%)、女性84.3%(同89.3%)と男女とも減少。「一生結婚するつもりはない」と答える未婚者は男性17.3%(同12%)、女性14.6%(同8%)と、いずれも10%台だが、女性が大幅に増加していることが注目される。

■相手女性に「経済力」を求める男性が増加

「結婚の障害」では「結婚資金」を男性で47.5%、女性で43%が挙げている。そして、「結婚相手に求める条件」では、相手の女性に「経済力」を重視する男性が48.2%と約半数の人が女性の資金力を求めているのである。

 賃上げを抑えられ、経済成長の停滞が長引くなか、まさに冒頭の男子学生の「お金がなければ結婚も、子育ても無理」とする現実を裏付ける調査結果だ。

 政府の少子化対策の基本となる児童手当の対象拡大、所得制限撤廃、子育て世代の支援額倍増の3本柱は必要不可欠な重要課題だが、先の山田教授はさらにこう付け加える。

「日本では子供の大学の学費は基本的に親が負担しています。しかし結婚して親になると、子供たちの将来の学費の負担ができないことを気にして結婚をためらい、子供の数を絞っているのが現実です。学費の無償化、軽減は少子化を反転させる転機になると思います」

 少子化傾向反転へのラストチャンスが迫っている。

(ジャーナリスト・木野活明)


パートナーとじっくりと話し合ってください。
「103万円の壁」など氣にせずバリバリと働く方がお互いに良いのではないかと思います。

しかしこれは「政治の貧困」だ。


韓国、一時「戒厳令」 市民千人超 戒厳軍と対峙

2024年12月05日 | 事件

現地ジャーナリスト 徐台教さんの寄稿

「しんぶん赤旗」2024年12月5日

 韓国・尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣布を受けた3日夜、韓国国会での様子について、現地ジャーナリストでニュースサイト「コリア・フォーカス」編集長の徐台教(ソ・テギョ)さんに寄稿してもらいました。

 「空輸部隊が国会を占拠しようとしているぞ!」

 ソウルを東西に流れる漢江の中州・汝矣島(ヨイド)にある国会の正門前。よく通る声で政党関係者とおぼしき若い男性が叫ぶ。空輸部隊とはいわゆる空挺(くうてい)部隊で、韓国軍のエリート兵士だ。戒厳軍は本気だ。警官隊に国会への進入を阻まれている市民や記者の表情がこわばる。

 「補佐陣(国会議員秘書)が消火器を噴射して対抗している!」

 男性がさらに叫んだ。まるで戦争だ。

 国会内の激しさに呼応するかのように、外に集まった千人を超える市民が司会者の音頭に合わせ声を上げる。「尹錫悦を弾劾しろ!」と大統領を拒否し、「国会内に届くように歓声を。ウォ~!」と戒厳軍と対峙(たいじ)する人々にエールを送る。いつの間にかその数は数倍に増え、国会内の状況にも好転の兆しが見え、がぜん熱が入る。

 冬の気配が広がる3日午後10時すぎ、韓国の尹錫悦大統領は緊急会見を開き「非常戒厳」を宣布した。そしてその理由を国会300議席のうち170議席を占める最大野党・共に民主党に求めた。

 尹氏は検察幹部や監査院長の弾劾を進め、積極的に政府予算を削減する同党を「国民の自由と幸福を略奪している破廉恥な従北反国家勢力」と位置づけ、その剔抉(てきけつ=えぐり取ること)を訴えたのだった。

幕を閉じた「戒厳令」

韓国社会が培った民主主義の勝利

 「従北」という聞き慣れない言葉は「北朝鮮に従う」ことの略語で、韓国では相手に対し「アカ」とのレッテルを貼る際に使われる。戦争を経験した分断国家ならではの悪口と言えるが、尹大統領がこの会見で示した認識は世間のそれとは大きくかけ離れていた。言うまでもなく、強い野党を選んだのは民意である。

 しかし非常戒厳の進行は粛々と進んだ。尹氏は陸軍参謀総長を戒厳司令官に据え布告令を発表させた。国会や地方議会などの政治活動は禁じられ、メディアも同司令部に統制される。集会やストライキも禁止となる。明らかに昨日までとは異なる世界への入り口が広がっていた。

 もはやこれを止める手だては国会にしかない。在籍議員の半数で解除要求案を可決すればよいのだ。国会が「戦場」に選ばれた訳がここにある。軍の介入は許さない。

 市民は同じ空挺部隊に蹂躙(じゅうりん)された44年前の『光州5・18民主化運動』の痛みを想起し立ち向かった。国会内で議員と補佐陣、そして国会職員が共に戦い、国会外では市民が戦う。市民の口からは「死ぬ覚悟で来た」という言葉も飛び出した。

 この懸命の連携プレーは実を結び、非常戒厳という韓国憲政の危機はわずか6時間で幕を閉じた。それはつまり、韓国社会が培ってきた民主主義の勝利だった。

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韓国の「戒厳令」

緊急事態条項 危険性鮮明に

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜に「非常戒厳」を宣言し、4日未明に解除に追い込まれた経緯は、「緊急事態条項」の危険性を改めて鮮明に示すものとなりました。

 韓国では「非常戒厳」のもとで、陸軍大将(参謀総長)が「戒厳司令官」として布告を発出。集会やデモなど一切の政治活動を禁止し、すべてのメディアと出版を戒厳司令部が管理するとしました。国防相が軍に態勢強化を指示。軍隊が出動し国会で野党勢力ともみあいになるなど緊迫しました。

 日本ではこの間、自民党、公明党、国民民主党、日本維新の会などがコロナ禍や震災対応などを口実に「緊急事態条項」創設のための改憲を強く主張。「非常時における議員任期延長」の早期導入でまとまってきましたが、自民党は8月30日の改憲実現本部の会合で「緊急政令」の導入を改めて当面の課題とすることを確認。9条への自衛隊明記と合わせ早期の改憲実現を強調してきました。

 「緊急政令」とは「法律と同一の効力を有する政令」(自民党改憲草案)です。国会の立法権限を内閣が奪って、内閣の判断で人権制限を含む広範な規制を行うことができる仕組みです。内閣が、国会審議を抜きにして政治活動の自由や報道の自由を「政令」で制限することも可能です。乱用の危険が大きく、それを防ぐ手段も乏しい。まさに今回の韓国での「非常戒厳」が示したのと同様の危険をもたらすものです。

 戦前の大日本帝国憲法には、緊急勅令(8条)と財政上の緊急処分(70条)、戒厳令(14条)と天皇の非常大権(31条)という多くの緊急事態条項が規定されていました。治安維持法の改悪が緊急勅令で強行されるなど、議会の関与を抜きにした人権破壊や乱暴な国家運営が繰り返され、戦争による国民生活の破滅へと導いたのです。

 その反省から終戦直後の憲法制定議会では、金森徳次郎・憲法担当相が、緊急権は権力者には便利だが民主主義を無視するものとして、「緊急権は必要ない」としたのです。その復活の動きに厳しい批判が必要です。(中祖寅一)

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韓国の「戒厳令」

維新・馬場前代表 憲法知らず

 日本維新の会の馬場伸幸前代表が、Xで韓国での「非常戒厳」の動きを受けて「憲法改正で緊急事態条項を整備すべき」などと投稿しています。

 韓国の事態は、政治的に行き詰まった尹錫悦大統領が「体制転覆の脅威」を言い立て、政治的結社、集会、デモなど「一切の政治活動の自由を禁じる」としたファッショ的動きです。これを受けて「緊急事態条項の整備を急げ」という馬場氏―驚くべき危険な本音を明確にしました。

 さらに馬場氏は緊急事態条項が「権力の暴走を止める装置」だとも投稿で述べていますが事態をあべこべに描くもの。緊急事態条項は、「緊急」の名のもとに権力に対する憲法の制約を解除し、まさに権力の暴走をもたらすものです。自民党改憲草案には「緊急事態」の例示として「内乱等による社会秩序の混乱」がありますが、それを判断するのは権力者です。大きな乱用の危険があります。馬場氏の発言は、憲法の歴史と論理に対する根本的無理解を示すものです。


韓国の尹大統領「宣言した非常戒厳令を表明」国会決議を受け軍を撤収

2024年12月04日 | 社会・経済

時事ドットコム 2024.12.04

 【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は3日夜、緊急談話を発表し、野党が多数の弾劾を試み、「国政がまひ状態にある」などとして、1987年の民主化後初めて「非常戒厳」を宣言した。戒厳司令部は、国会や政党などの政治活動を禁止し、言論と出版が同司令部の統制を受けるとの布告を発表。国会が4日未明の本会議で戒厳令解除を求める決議案を可決したことを受け、尹氏はテレビ中継を通じ解除を発表した。

 尹氏は、北朝鮮に従う「従北勢力を一挙に撲滅する」と戒厳令を突然発表。金龍顕国防相は軍に警戒、態勢強化を指示し、国会に軍が進入した。約6時間での解除表明となったものの、政治の混乱はしばらく続きそうだ。

 韓国で戒厳令が出されるのは、抗議する市民が軍に鎮圧され犠牲になった「光州事件」へとつながった80年以来、44年ぶり。尹政権の支持率はこのところ約20%と低迷。政権の求心力低下が著しい状況下で、権力回復へ形勢逆転を狙った大胆な行動に出たが、失敗に終わった。

 国会は4日未明、戒厳令の解除を求める決議案を可決。禹元植国会議長は「戒厳解除決議案が可決されたことにより、戒厳令の宣告は無効となる」と述べた。憲法は、国会議員の過半数が賛成し解除を求めた場合、大統領はこれを解除しなければならないと定める。

 国会では、革新系最大野党「共に民主党」が過半数を占め、国政運営を思うように進められない状況が続く。尹氏は3日の談話で、野党が政権や検察などへの弾劾訴追案を多数発議する状況は「建国以来、全く例がない」と言及。野党が2025年の予算案に反対し「政争の手段」としていると批判した。4日の解除発表の談話でも「国の機能をまひさせる非道な行為を直ちに中止するよう国会に要請する」と訴えた

 共に民主党は「国会議員一同」名で決議文を出し、尹氏の即時退陣を要求。辞職しない場合、直ちに弾劾手続きに入ると宣言した。一方、与党「国民の力」の韓東勲代表も、尹氏が直接国民に状況を説明し、戒厳を建議したとされる金国防相の解任といった対応を取るべきだと主張。大統領府の首席秘書官ら尹氏の側近は、一斉に辞意を表明した。


失敗に終わってよかった。
我が国でもこのようなことが起きないように常に「権力」への監視が必要だろう。
「非常事態」など要注意だ。

園のようす。


高野孟 「一本化」できなかったのは小沢一郎のせい。“政界の壊し屋”が連立政治イロハのイの字も知らぬ大問題

2024年12月03日 | 社会・経済

MAG2ニュース2024.12.03

  by 高野孟『高野孟のTHE JOURNAL』

オールド・メディアで何を訴えても届かず。「新しい政治」をどう築くべきか

「自主・平和・民主のための広範な国民連合」は11月30日都内で全国総会を開き、「現状をどう変え、新しい政治どう築くか」をテーマに討論した。問題提起者として鳩山由紀夫元総理、山崎拓元自民党副総裁、孫崎享東アジア共同体研究所所長、羽場久美子青山学院大学名誉教授らと共に私も招かれ、午後の討論冒頭に20分余りスピーチをしたので、その内容を一部補足しつつ要約する。

口先だけに過ぎなかった野田立憲代表の「政権交代」

「新しい政治どう築くか」とは大きなテーマで、とても私一人で答え切れることではありませんが、とりあえずここが大事だと思うことを3点だけ申し上げたい。

まず大きな柱の第1に、野党、とりわけ野党第一党は旗を高く掲げなければなりません。何の旗かと言うと「政権交代」の旗です。立憲民主党の野田佳彦代表は選挙戦を通じて確かに「政権交代」を何度も口にし、ある場面ではそれをフリップに大書して掲げて見せましたが、私は彼のこの発言は口先だけだと思います。

野党第一党が本気で政権交代を果たそうとするなら、道は2つに1つで、1つには単独過半数を獲得できるだけの候補者を揃えるのは当然として、その当選を確実にするだけの万全の備えをすること。そうでなければ、全ての小選挙区で野党候補を一本化して与党を圧倒することです。野田さんはそのどちらにも取り組まずに、口先だけで政権交代を言ったにすぎませんでした。

名古屋大学名誉教授の後房雄さんはイタリア政治の研究家です。日本とほぼ同じ時期にほぼ同じような選挙制度を導入したイタリアで、1994年の最初の選挙では「メディア王」と呼ばれたベルルスコーニというトランプの先輩のような人が率いた保守連合が勝ったけれども、余りにも寄せ集めの政党連合だったために2年で行き詰まり、96年の2回目の選挙ではイタリア共産党の後身である左翼民主党が中心となった中道左派連合「オリーブの木」が政権を奪い、そのまた4年後の3回目の選挙ではベルルスコーニが再び返り咲いた。

このように、保守側もリベラル側も政党連合を組んで、日本と同じような選挙制度の下で最初から「政権交代のある政治風土」を耕して行ったのがイタリアです。

後教授は書いています。

小選挙区制に相応しい選挙戦略は何かといえば、核心は2大勢力が政党連合によって全ての小選挙区で候補者を統一することである。中選挙区制や完全比例代表制の時代が長く多党制が定着していた国が小選挙区制に転換した場合、ただちに2大政党制が確立することは困難。しかし、事前の政党連合によって、首相候補とマニフェストを統一した上で全小選挙区で候補者を統一できれば、機能的には2大政党制と同様の役割を果たすことができ、有権者が政権選択をすることが可能になる。このイタリアの政党の戦略的行動様式は、日本の政党、特に野党に最も欠けているものである。

(『政権交代への軌跡』花伝社 2009年刊)

ここで「特に野党に欠けている」と言うのは、98年7月の参院選で自民党が大敗し橋本龍太郎首相が辞任し、小渕恵三政権に代わり、自由党(小沢一郎代表)、公明党(神崎武法代表)との「自自公」連立が実現。以後、自由党は離脱するが自公連立は今日まで続いているのに対し、野党側にはそういう政党連合の探求が欠けていることを指している。

もちろん、この選挙制度の下でも野党第一党の単独過半数獲得ということは起こり得るので、2009年9月の鳩山政権がまさにそうだったが、それはむしろ稀というか偶然の重なり合いのような形でしか実現しない。やはりイタリアに学んで毎度、政党連合を組んで政権交代を期すのが本筋ということです。

連立政治のイロハのイも分からない小沢一郎という人

私はまだ小沢一郎さんには少し期待していて、野田代表の下で選挙対策本部長代行に就いたので、水面下で他の野党との連携、選挙協力のための工作を進めているんじゃないかと思っていたのですが、そうではなかった。それで今週の『週刊ポスト』に登場して「どういうわけか、野党が結集して政権をとりにいこうという発想が出てこない。解散総選挙も(野党が候補を)一本化できていたら、もっと勝っていたはずだ」などと語っている。

国民民主玉木代表の「103万円の壁」論では作れない政治の流れ

大きな柱の第2に、戦略を立体的に組み立てて、可視化すると言いますか、国民が一目見て「ああそういう方向に進もうとしているのか」とパッと分かるようにすることが大事です。

これは、今日配布されている『国民の進路』11月の拙稿にも〔また本誌No.1282「自民の事情通が囁く『事実上の森山政権』発言が炙り出した、石破茂政権“大嘘だらけ”の本質を見抜け!」などでも〕書いていることなので、簡略に述べますが、

(1)9月の自民党と立憲民主党の党首選からその直後の総選挙を経て来年7月の参院選までは「ひと連なり」の戦略局面である。

(2)その中心テーマは「安倍晋三政治からの完全脱却」、すなわち第2次安倍政権とそのエピゴーネンにすぎない菅義偉、岸田文雄の12年間を徹底的に総括しそれが残した害悪を完膚なきまでに取り除くことにある。それを成さない限り、この国は先に進むことができないという基本認識を国民が共有できるようにすべきである。

(3)それを具体的に議論していくのは3分野で、

(i)内輪だけで舐め合って利益を貪る縁故主義の政治体質。派閥の裏金問題はその一端で、モリカケサクラと言われながら隠蔽されたままの醜聞、統一教会との癒着なども同根、

(ii)アベノミクスの出鱈目の清算、

(iii)安倍の集団的自衛権解禁、岸田の43兆円防衛費など対米屈従をさらに深める軍拡路線の中止、

である。

(4)これらがある程度まで達成の見通しが立ったところで次の戦略局面に移ることになるが、そこでは、石橋湛山の「小日本主義」を理念にした与野党にまたがる大きな再編も浮上するかもしれない……。

このように全体を組み立てて、例えば裏金問題の究明はこの(i)の入り口として避けて通れないことなのだと位置付けるべきでしょう。今は全体の中のここを取り上げていて、そこを突破すると次にはこうステップアップできるのだというふうに持っていくことができれば、政治の流れを作っていくことができるでしょう。

その反対に、人々にとって受けが良さそうな或る結論だけを持ってきてキャッチフレーズ化し手軽に支持を集めようとするのがポピュリズムで、玉木さんの「103万円の壁」論はその典型と言えるでしょう。

何が「どういうわけか」だ。お前がしっかり働かなかったから一本化ができなかったんじゃないか!まあ結局小沢さんも、93年に8会派をまとめ上げて細川護熙政権を作って55年体制を終わらせたのは凄くて、「小沢神話」が生まれたのですが、今になって振り返ると彼の成功例というのはあれだけだったんじゃないかとも思います。

実際、今度の選挙で、立憲民主党を軸に、例えば維新、国民民主とのいわば「中道右派連合」が出来ていれば、比例得票数を単純に合計しただけでも44.5%で、自公計の39.1%を上回った。逆に立憲が共産、れいわ、社民と「中道左派連合」を組んだ場合でも37.1%で2ポイント足りないけれども、一本化効果が大きいから、やはり自公を上回ったでしょう。こんなことはイロハのイですが、なんで分からないのか。

これと関連して、玉木雄一郎さんなどが口癖のように言うことに「基本政策が一致しなけれ協力はできない」というのがありますが、これは全くの間違いです。そもそも「基本政策」が何を意味しているか不明ですが、例えば共産と組むのに「あそこは日米安保廃棄、天皇制打倒を言っているじゃないか」ということを意味しているのであれば、「そんなことは次期政権の4年間(イタリアの下院だと5年間)の内に成し遂げなければならない喫緊の課題ではありませんよね」という話です。

理念やその直下の基本政策が同じなら一緒の党になればいいわけで、そこがどんなに隔たりがあろうと、当面の課題の2つか3つかで合意ができれば政権が組めるわけだし、次の選挙ではまた別の組み合わせで次の課題で組めばいいわけです。そこに連立政治時代の醍醐味があるということが分からないのですね。

もう1つ、これに関連して、小選挙区制を導入しても「政権交代ある政治風土」は実現しなかったから、中選挙区制に戻すべきだということを言う人がいます。自民党の中にもいるし、公明党は前々からそうですし、最近では国民民主の古川元久が音頭をとって自民、立憲、国民、共産などの50人ほどの議員が新しく「政治改革の柱として衆院選挙制度の抜本改革を実現する超党派議員連盟」を結成したりしていますが、私はこれには反対です。

日本はイタリアと違って、せっかくこの制度を導入しておきながら、それを徹底的に使いこなすことをしてこなかったわけです。「制度を小選挙区制に変えただけではダメだった」と言いながら、その運用についてきちんと検証し総括しないでまた選挙制度を中選挙区制に変えたところで同じことでしょう。

SNSを駆使すればどんな選挙にも勝てる」という“新常識”

大きな柱の第3として、SNSを特に若い世代とのコミュニケーションの手段として重視し、それを積極的に活用するための人材育成やメディア開発に取り組むべきです。

米大統領選挙では、旧ツイッターを買収して「X」と名称変更しただけでなく、これを一層金儲けができる仕組みに次々に改変してきた世界トップレベルの大富豪イーロン・マスクが最大の献金者となり、トランプの周りで飛び跳ねるくらいならまだしも、当選後は政権移行チームの部屋に入り浸り、まるで次期政権の陰の主役であるかのように振る舞っています。SNSが選挙の道具から出世を遂げて政権中枢を乗っ取るのかという姿を示している。

世界中でそういうことが起きていて、11月24日投票のルーマニアの大統領選では、事前には泡沫候補扱いだった親ロシアの極右政党の代表ジョルジェスクが、SNS一本に絞った選挙活動の結果、首位に躍進し、第2位との決戦投票に臨むことになった。当初は有力視されていた現首相は第3位で、決戦に残ることもできませんでした。

日本でも同様で、7月の東京都知事選での石丸伸二=元安芸高田市長の第2位食い込み、11月の兵庫県知事選での斎藤元彦=前知事の再選などまさかの事態が相次ぎ、「SNSを駆使すればどんな選挙にも勝てる」という“新常識”を語る者さえ現れています。

兵庫での立花孝志=N党党首の「当選を目的としない立候補」の場合は、選挙の妨害・撹乱と、その様子をユーチューブで面白おかしく配信して閲覧数を増やし収益を得ることが目的です。これは選挙でのSNS活用とは別次元の話で、こういうものも一緒くたにして「選挙とSNS」を語るのは間違いだと思いますが、それにしても、昨年のある調査によると、若い世代と老年世代のメディア生活は余りに大きく隔たっています。

    ネット  テレビ  新聞

20歳代 275.8分   60.1   0.5

60歳代 133.7    288.3   15.9

20歳代の若者が新聞を読むのは0.5分ということは30秒ですか……。それに対してネットには4.6時間を注いでいます。ということは、我々が昔ながらのオールド・メディアで何かを訴えたところで若い人たちには全く届きようがないわけで、その恐ろしいほどのギャップを立花のような人たちが上手く突いているのです。

そこで我々も政治に、選挙に、SNSを上手に活用することに習熟しなければならない。彼らと同じ次元で、デマやフェイクニュースを流して相手を撹乱し敵対を強めるといったことではなく、そもそもSNSは人間同士の繋がりを深め共感と協働を広げていくことを求めて創られてきた技術なのですから、そういう本源に立ち戻って、その醜い悪用の仕方に立ち向かっていく必要があると思います。

とは言っても、何をどうしたらいいのか私にも分かりませんが、面白いと思って見ているのは、例えばウィキペディアの創設者であるジミー・ウェールズが、イーロン・マスクのX改悪に対抗する形で「トラストカフェ」という、広告も、「いいね」ボタンも、寄付のお願いも、送金ボタンも何もない、ただ人間的信頼感だけを求めて人々が集うような新しい電子空間を生み出そうという試みを始めていて、世界中の人々の注目を集めつつあることです。

Mastodonや、日本で言うとMisskeyのような「分散型SNS」は、Xのように中央集権的に管理されているが故にオーナーの意向次第でカネカネカネへと過度に傾斜して行っても誰も逆らえないことに対する反動として現れてきたもので、こうした新しい発想と技術で真に人間的な共同体を電子的に形成していくことが可能なのかどうか、探究していくべき時が訪れています。

 

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2024年11月25日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)


保険証残そう 東京・両国 医師ら宣伝

2024年12月02日 | 社会・経済

「しんぶん赤旗」2024年12月2日

 現行の健康保険証の新規発行停止が目前に迫った1日、全国保険医団体連合会(保団連)は、東京都墨田区のJR両国駅前で、宣伝を行いました。医師・歯科医師らが白衣を着て、国民の多くが望んでいない中でマイナ保険証を推進することに疑問の声が上がっているとし、「保険証を残そう」と訴えました。

 保団連の竹田智雄会長は、同団体が実施したマイナ保険証に関する調査で、トラブルがあったと答えた医療機関が7割に上っていることを紹介。「トラブルの多くはシステムの根幹にかかわるものだ。マイナ保険証の対応に困難を抱える現場からは不安の声が尽きない」と指摘した上で、新規発行が停止する2日以降も現行の保険証は使えると強調し、「いのちと健康を守るためにも、保険証を残して」と訴えました。

 リレートークでは、「保険証の新規発行停止は国民皆保険制度の根幹にかかわる」(小児科医)や「今まで使ってきた健康保険証は有効期限まで使えるので絶対に捨てないで」(歯科医)などの声が上がりました。


園のようす。