コーヒーショップで食事をしていた時のことだ。
小柄でやせたふたりのご婦人がはいってきた。
見たところ、友人同士のようである。
A夫人が、B夫人の分も一緒に、コーヒーを注文して、席まで持ってきた。
そこでひと悶着が始まった。
Bさんが、自分のコーヒー代を払おうとしたら、Aさんが断ったのである。
「ダメ、ダメダメ。そんなことしてもらったら。これから友達付き合いができなくなっちゃう」
とBさん。
何とか自分のコーヒー代をAさんの手の平に握らせようと、必死である。。
しばらく、払う払わない、受け取る受け取らないと、押し問答していたが、
結局Bさん、Aさんに小銭を受けとらせることに成功したようだ。
「わたしが払います」
「いいえ、ここはわたしに払わせて」
というような譲り合い(…というか、引き受けあい)は、
レジなどでたまに見かける光景だ。
決まって女性同士である。
しかも、ある程度年配の世代。
あまり見良い風景ではない。
払った方が勝ち。奢られた方が負け、のような雰囲気が漂う。
そんなことなら、最初っから割り勘にすればいいのに、と思う。
それとも、割り勘なとどいうのは、かえって割り切り過ぎていて、水臭いと思う世代なのだろうか。
さて、くだんの二人組。
ひとしきり、近況報告に盛りあがっていたが、やおらAさん立ち上がり、
ご贈答用にお菓子を買ったついでに、ばら売りのお菓子を買って、
Bさんに渡そうとした。
そこで再び、Bさん。
思い切り困った顔をして、
「え!!ええ、いやだあ。こんなことしてもらっちゃ、本当困るわあ。
またわたし何か、あなたにお返ししなくちゃならなくなるわあ」
本当に嫌そうである。
ここで受け取ったら、世も末と言ったような、固辞の仕方である。
よっぽど借りができるのが、苦痛なのだろう。
Aさんの方も、一度差し出したお菓子を今更ひっこめるわけにはいかない。
「いいから、いいから。ほんのちょっとなんだから」
「ダメダメ、困る困る」
の押し問答の末、
結局Bさんが根負け。
「そお? それじゃあ、まあ。ありがとう」
とようやく、お菓子の袋を受け取った。
渋々といった感じだ。
今度はAさんの勝ち。
結局受け取るのだったら、最初っから
「わあ、うれしい、ありがとう」と受け取っておけば、お互い気持がいいのに、
と思う。
受け取ったあともBさん、脇にあったケーキのショーケースをのぞきこんで、
「ねえ、あなた、何か食べたいものない? 買って差し上げるわ」
と、一刻も早く、さきほどの負債を清算したいようであった。
はたから見ていて、ついつい、頑ななBさんの態度にばかり気持ちが向いてしまったけれど、
日頃から、Aさんが、何かと言うと人に奢りたがり、ものを与えたがる方だっとしたら、どうだろう。
Bさんの負担感というのも、わからないでもない。
小柄でやせたふたりのご婦人がはいってきた。
見たところ、友人同士のようである。
A夫人が、B夫人の分も一緒に、コーヒーを注文して、席まで持ってきた。
そこでひと悶着が始まった。
Bさんが、自分のコーヒー代を払おうとしたら、Aさんが断ったのである。
「ダメ、ダメダメ。そんなことしてもらったら。これから友達付き合いができなくなっちゃう」
とBさん。
何とか自分のコーヒー代をAさんの手の平に握らせようと、必死である。。
しばらく、払う払わない、受け取る受け取らないと、押し問答していたが、
結局Bさん、Aさんに小銭を受けとらせることに成功したようだ。
「わたしが払います」
「いいえ、ここはわたしに払わせて」
というような譲り合い(…というか、引き受けあい)は、
レジなどでたまに見かける光景だ。
決まって女性同士である。
しかも、ある程度年配の世代。
あまり見良い風景ではない。
払った方が勝ち。奢られた方が負け、のような雰囲気が漂う。
そんなことなら、最初っから割り勘にすればいいのに、と思う。
それとも、割り勘なとどいうのは、かえって割り切り過ぎていて、水臭いと思う世代なのだろうか。
さて、くだんの二人組。
ひとしきり、近況報告に盛りあがっていたが、やおらAさん立ち上がり、
ご贈答用にお菓子を買ったついでに、ばら売りのお菓子を買って、
Bさんに渡そうとした。
そこで再び、Bさん。
思い切り困った顔をして、
「え!!ええ、いやだあ。こんなことしてもらっちゃ、本当困るわあ。
またわたし何か、あなたにお返ししなくちゃならなくなるわあ」
本当に嫌そうである。
ここで受け取ったら、世も末と言ったような、固辞の仕方である。
よっぽど借りができるのが、苦痛なのだろう。
Aさんの方も、一度差し出したお菓子を今更ひっこめるわけにはいかない。
「いいから、いいから。ほんのちょっとなんだから」
「ダメダメ、困る困る」
の押し問答の末、
結局Bさんが根負け。
「そお? それじゃあ、まあ。ありがとう」
とようやく、お菓子の袋を受け取った。
渋々といった感じだ。
今度はAさんの勝ち。
結局受け取るのだったら、最初っから
「わあ、うれしい、ありがとう」と受け取っておけば、お互い気持がいいのに、
と思う。
受け取ったあともBさん、脇にあったケーキのショーケースをのぞきこんで、
「ねえ、あなた、何か食べたいものない? 買って差し上げるわ」
と、一刻も早く、さきほどの負債を清算したいようであった。
はたから見ていて、ついつい、頑ななBさんの態度にばかり気持ちが向いてしまったけれど、
日頃から、Aさんが、何かと言うと人に奢りたがり、ものを与えたがる方だっとしたら、どうだろう。
Bさんの負担感というのも、わからないでもない。