TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

ちゃんちゃんばらばら

2023年08月28日 | エッセイ
課長と、部下のA氏がもめていた。
A氏曰く、「これは嫌がらせではないですか!!」
そう叫ばれては課長も黙ってはいられない。
「話し合いましょう!」と返す。
6月に異動してきて以来、A氏はことあるごとに、課長に異議を唱えてきた。
そのたびにかわされたり逃げられたりして、うっぷんがたまっていたようだ。
今回は服務の件だったので、急遽、副所長を巻き込んでの話し合いになった。
初めは、「まあ、まあ、ふたりとも落ち着いて」などと言っていた副所長だが、急ぎの仕事を中断させられたあげく、話の展開においてけぼりになったものだから、「ちょっと! わざわざわたしを呼んだんだから、もう少しわかるように話してよ!」と机をバン!と打ち鳴らして憤り、もめごとの炎がさらに拡大するかに見えた。
仕事の方針や方向性についての意見の食い違いではなく、「休暇の扱い」をめぐるもめごとであるというのは、いかにもお役所らしい。
その昔、自分にだけ、休暇の申請方法の変更が伝えられていなかったということで、課長にくってかかっていた年配の職員がいたっけ。
傍から見たら他愛のないことこの上ないが、当事者にとっては、メンツをかけた真剣勝負。
火事場の野次馬のごとく、こちらに火の粉が降りかからない限り、成り行きを見守るのは、なんだかワクワクとする。
野次馬どうし、連帯感のような空気も流れてくる。
時間にして40分ほどで、火の手は収まった。
類焼を免れた安堵感と、「ああ、もう終わっちゃったんだ」という物足りなさ……。
席にもどってきた彼ら、もちろん無言のまま、その日は言葉を交わす事もなかった。
同じ部署の中でもめると、あとあとお互いに居心地が悪くなるだろうし、歩みよりのきっかけ作りもむずかしいだろう。

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保留

2023年08月22日 | エッセイ
ブログの更新もしないで2週間以上がたった。
デパート開店を待つ5分間はじりじりと長く感じられるのに、こういう2週間あまりはあっという間に過ぎ去る。

さて、先日上司と面接があった。
面接の前触れ、「ちょっといいかしら」というセリフを聞くといつもドキドキする。
今回は、退職の延長をするか否かの、現段階での確認であった。
あれほど退職日を願っていたのに、いざ、あと半年、そしてこんなふうに決断を迫られてみると、執着心と未練がわきあがってくる。
しかも、世間は65歳までの雇用促進へ舵をきっている。
6年間も同じ職場にいると、さすがに事務の手順も手慣れてくる。まだまだ続けられるのではないかという気持ちもある。かと思えば、これまでだったらありえない記憶違いに遭遇して、限界を感じたりもする。
結局、今のところ、なにごともなければ退職の方向で……などという、なんとも歯切れの悪いお答えとなった。
上司としては、笑顔と寛容な態度を見せながらも、「退職します!」と潔く言ってほしかったかもしれない。
そう思うと、よけい雇用延長を選びたくなってしまうという、なんともへそまがりな性分である。
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三つ子の魂

2023年08月04日 | エッセイ
引っ越しを前提に家の中を整理していたら高校生のときの日記を見つけた。
片づけ作業の最中にこういうのを見つけると、もういけない。
つい読みふけり、肝心の作業が中断する。

高校1年の秋。台風が接近。
傘も差せないほどの雨風の中、近所に住む友人とキャーキャー言いながら帰宅する途中の話。
暴風雨というのは子供にとって楽しいものだ。
それだけでも盛り上がるのに、友人のビニール傘が風に煽られてビニールの部分がまるごとはがれて飛んでいってしまった。
彼女の手には傘の骨組みだけが残っている―—。
窒息しそうなほど笑った、と書いてある。
そして翌年。
雪が降った次の日の朝、坂道が凍結して、何度も転びそうになりながらわたしは駅に向かっていた。
と、後ろでドサッという派手な音がする。
誰かが思いっきり滑って転んだらしい。
振り返るとワルイので音だけ聞いた、と書いてある。
そして前方では、ホームでよく見かけるおばさんが、これまた、すってんころりん、横倒れに寝っ転がった形になっている。
そしてやっぱりそれらの様子を日記にまで書いて笑っている。
今もって思い出し笑いをしてしまうところをみると、そういう性格はいつまでも変わらないらしい。

スマホどころかネットもゲームもない40年以上も前の話。
雪が降れば雪合戦、人が集まれば、かくれんぼや鬼ごっこはもちろん、泥巡(泥棒役と巡査役に分かれてする追いかけっこ)や、色オニ(オニ役が「赤!」と叫べば赤い色の物にタッチしなければ捕まってしまう)を実にいきいきと楽しんでいた。
いまどきの高校生は、こんな遊びなどしないだろう。
メールのやりとりもそれなりに楽しそうだが、ワルクチを言われたとか、返事がこないとかトラブルも多いと聞く。
そういう意味では、オニ役なんか決めてからだじゅうで発散していた昔々は、子供っぽいとは思うが、健康的といえなくもない。
今も体力が許せば、泥巡はもちろん、鬼ごっこやら、かくれんぼやら、機会があれば夢中になってやってしまいそうである。


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