父の退院に備え、父本人と、母とともに病院で栄養指導を受けた。
母曰く、「わたしは栄養士の資格をもってるんだし。偏食のお父さんは何を言っても食べたくないものは食べないんじゃ」と今さらの指導が気に入らない様子だ。
しかし今回は腸の病気だ。
五分粥がようやっと食べられるようになってからの退院なので、気をつけなくてはならない。
お話によれば、繊維や刺激の多いもの、油っぽいものが避けたい食べ物に加わった。
塩分の取り過ぎは心臓によくないと言われたばかりだ。
どんどん食べられないものが増えていく。
ただでさえ好き嫌いが激しくて食べられるものが少ないのに。
しかし偏食のわりには90歳まで生き延びたことを栄養士さんに褒められた。
栄養のバランスは大事かもしれないが、長生き体質というのか、寿命というのはかなりの部分、生まれもった体質によるものなのだろう。
甘い物、肉類が好きな父である。
食べたいものを我慢してもらうことがどの程度まで、本人のためになるのかどうか、年齢を考えると迷うことが多くなりそうだ。
帰り際、「じゃあまた来るね」と父に声をかける。
入退院を繰り返したためか、絶食治療で日々のリズムがくずれたのか、「せん妄」症状が起きて、不穏な日があったという。
先日わたしが面会に行ったときは、なんと「富山県への出張からもどったばかり」だった。
顔の大きさゆえか、”おふくろ”にまちがえられたこともある。
家族の顔を覚えていてくれるというのも、あたりまえのことではなくなった。
「じゃあ、またね」の意味が日ごとに重くなる。
3月11日が近くなると、東日本大震災関連の番組が多くなる。
「ありがとう」のひとことでも、伝えられるときに伝えることの大切さ、いなくなってしまったら伝えられないこと、いつ何が起きるかわからない、今をしっかり生きるということ、
失ってから気がつくたくさんのこと——。
文字にするとベタになってしまうが、災害を経験した人たちが実感をこめて語る言葉はひとごとではない。
母曰く、「わたしは栄養士の資格をもってるんだし。偏食のお父さんは何を言っても食べたくないものは食べないんじゃ」と今さらの指導が気に入らない様子だ。
しかし今回は腸の病気だ。
五分粥がようやっと食べられるようになってからの退院なので、気をつけなくてはならない。
お話によれば、繊維や刺激の多いもの、油っぽいものが避けたい食べ物に加わった。
塩分の取り過ぎは心臓によくないと言われたばかりだ。
どんどん食べられないものが増えていく。
ただでさえ好き嫌いが激しくて食べられるものが少ないのに。
しかし偏食のわりには90歳まで生き延びたことを栄養士さんに褒められた。
栄養のバランスは大事かもしれないが、長生き体質というのか、寿命というのはかなりの部分、生まれもった体質によるものなのだろう。
甘い物、肉類が好きな父である。
食べたいものを我慢してもらうことがどの程度まで、本人のためになるのかどうか、年齢を考えると迷うことが多くなりそうだ。
帰り際、「じゃあまた来るね」と父に声をかける。
入退院を繰り返したためか、絶食治療で日々のリズムがくずれたのか、「せん妄」症状が起きて、不穏な日があったという。
先日わたしが面会に行ったときは、なんと「富山県への出張からもどったばかり」だった。
顔の大きさゆえか、”おふくろ”にまちがえられたこともある。
家族の顔を覚えていてくれるというのも、あたりまえのことではなくなった。
「じゃあ、またね」の意味が日ごとに重くなる。
3月11日が近くなると、東日本大震災関連の番組が多くなる。
「ありがとう」のひとことでも、伝えられるときに伝えることの大切さ、いなくなってしまったら伝えられないこと、いつ何が起きるかわからない、今をしっかり生きるということ、
失ってから気がつくたくさんのこと——。
文字にするとベタになってしまうが、災害を経験した人たちが実感をこめて語る言葉はひとごとではない。