TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

生き続ける

2024年02月23日 | エッセイ
若い職員に仕事の引継ぎを行った。
退職まで秒読み。日記帳の、年間スケジュール欄にひと月に1枚ずつシールを貼って退職までの日を待ち焦がれていたが、あと1枚となった。
となると、かなり名残惜しくもなってきた。
コロナ禍の最中はあまりお役に立てなかったが、通常業務になって元の仕事がもどってきたとたん、わたしにも彼らに教えられる仕事がそれなりにたくさんあったのだな、と改めて思う(まあ、6年も同じ部署にいたのであたりまえだが)。

本庁からは退職手続きに必要な書類が一括して送られてきた。
3月20日からは有給休暇を取って少しのんびりしよう……。
4月からは週3日ほど働きたいと思っているがそれもどうなることやら。
職責は軽くなるが、反面、それ以外の気がかりなことはどんどん増えていき、ともすると、気持は重くなっていく。
それでも生きていかなくてはいけない。

先日、歩くのもやっとの高齢の女性が、スーパーの冷凍庫にはいった鮭の切り身を一生懸命、吟味していた。
旦那の分か、それとも自分用か? 選択基準は、値段なのかそれとも大きさか……。
大きなお世話だがしばしじっと見つめてしまった。
人って最後の最後まで、どんな些細なものであれ、自分にとってできるだけ良いものを選んで、よりよく生きていこうとするものなのだな、という思いが湧いた。

食べ物といえば、ポテトサラダとポテトコロッケ、サトイモの煮つけ、マカロニサラダ……と、でんぷん尽くしのおかずがあたりまえのように入った昼の仕出し弁当500円とももうすぐお別れ。
4月からはどこでどんな昼食を食べることになるのかな。
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映画鑑賞

2024年02月16日 | エッセイ
映画『PERFECT DAYS』を見る。
役所広司さん演じる清掃業員の男性の日常を描いた作品である。
「今、この瞬間が大事」、という最近はやりのテーマが込められているようだ。
なにごともないような日々の繰り返しに見えても、全く同じ日はない、というようなメッセージも……。
石川さゆりさんが出てきて急に歌いだしたり、三浦友和さんが役所さんと”影踏み”したりと、確かにキャストを見ると、それだけで十分変化に富んでいる。
「今度はどうなるんだろう」と思って見ていると、エンドロールが流れ始めて、ちょっと拍子抜けがした。
そうかといって、退屈というのでもなく、あっというまの2時間だったので、日常の、ちょっとした変化の演出に工夫があったのかもしれない。
あまり起承転結を期待し過ぎてはいけない作品のようだ。

片や、出演者の起こした事件によって延期になった『劇場版 緊急取調室』はどうなったのだろう…とネットを検索してみたら、代役をたてての撮り直しが決まったそうで、公開は2026年新春だとか。
あと2年……。月日が経つのが早く感じられる昨今だが、こういう楽しみについては、果てしなく遠く感じられる。
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エッセイ集

2024年02月12日 | エッセイ
 懲りもせず、3冊目のエッセイ集に挑戦することになった。
思いついたのは昨年11月末。12月には契約をして、完成原稿とは程遠いデータ原稿を送ること2か月。
「本格校正」というオプションをつけてもらったら、これがまた細かいところまで表記の統一をチェックしてくださり、いかに自分が表記というものに無頓着だったかがわかった。
さらに、言葉についての思い込みも多い。(メリーゴーランドは正しくは、メリーゴーラウンドなんですってね!)。
朝4時に起きてせっせと校正。
読み直すたびに修正箇所が見つかる。
読み返すたびに、自分の生き方に向き合うことになり、逃げだしたくなる。
モチベーションを上げ、どんより気分を盛り上げるために、控えていた珈琲に頼らざるをえなくなった。
そして通勤時間になると、今日はここまで、と救われた気分になる。……の繰り返し。

そして本日、初校を送った。
ああ、やれやれ。もう読みたくない!というほど何度も読んだ。(どんなストーリー展開かわかっている本ほどつまらないものはない)。
たぶん、読み返すと、また書き直したいところが出てくるんだろうな。

前作でお願いした出版社は、印刷部数も本の値段もすべて決まっており、パッケージされていたが、今回は基本料金のみで、あとは必要なサービスをオプションとして追加していく方式なので、リスクや無駄が少ない。
再校が送られてくるまでのひとときが、しばしの休息タイム。
映画でも観に行きたいなあ。
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2024年02月07日 | エッセイ
先日は天気予報が珍しく?当たり、久しぶりの雪となった。
慣れない雪と風に、傘を持つ手に力がはいり、家に着くころには肩がガチガチに凝った。
そんな中、自転車に乗っている人もいる。コワイコワイ。
夜半には降り方も激しくなり、空の色も怪しく赤みを帯びて見える。
なんといっても雪はぬくぬくとした部屋から眺めるのが一番いい。
近所は車や人の通りが多い。
翌日にはあっけなく溶けた。

雪が純粋に楽しみだったのは小学生まで。
雪の朝、「今日は雪合戦だってえ!」と職員室から伝令があると、歓声を上げて校庭に飛び出した。
寒さなんか感じなかった。
運動神経が鈍い割には、あのような”合戦もの”が大好きなのである。
坂道の多い町に住んでいた頃は、雪の降った翌朝、「ドサッ」という音を背後に聞きながら凍った道を駅に向かった。
足元に集中しないと自分も転びそうになるので、他人に気をとられている場合ではないのだが、ちょっと振り向いて見たい誘惑との闘いだった。
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