箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

千の風か・・・?

2020-08-26 | *編集・夏/8月

千の風か・・・?

 箕面ビジターセンターの西側にある、もみじ広場の丸太ベンチの上で

ウトウトとまどろんでいた・・・

暑い暑いとはいえ、木蔭には涼しい風がそよいでいます・・・

お昼を食べた後の、何とも言えないけだるさ? 安堵感? なのか、

夢の入り口にいる時でした・・・

 

半ばボンヤリとした目で横の木を見つめていると・・・

あれは・・・?  

ヒマラヤスギ だ!

今まで気がつかなかったものの、数本の大きなヒマラヤスギが

そそり立っています。

トロン~ とした半睡の頭の中には・・・ ヒマラヤスギ・・・!?

 

私の生家の近くにあったような・・・?

旧制・松本高校(信州大学、今は あがたの森) 

その広大なキャンパスにあった木だ・・・ 想いだした!

母の叔母が営んでいた近くの下宿屋には、あの北杜夫ら文士達が

集い、青春の詩を高らかに叫んでいたとか・・・

冬に大雪が積もったヒマラヤスギの枝から ドサ! と雪が落ち、

その下を歩いていたら、その雪に埋もれたしまった・・・ 冷たい!

私はそのヒマラヤスギの下で、幼い弟と泣いていた事を思い出した。

 

お互い大きくなり、兄弟3人で、あのヒマラヤスギの横の喫茶室で、

お茶を飲んだな・・・

グリークラブが練習する歌声が響いていた・・・

ヒマラヤスギ か・・・! 懐かしいな~  

 

でも、あそこで泣いていた弟は、近年 事故で突然に昇天して

しまった・・・ 一瞬にして。

あれほど二人して、老後の語らいを共に楽しみにしていた次弟を、

急に想い出してしまった・・・ 辛い! 

涙がとめどなく流れる・・・

 

ボンヤリと目を開くと、箕面のヒマラヤスギが風に大きく揺れて

いた・・・

あの風はもしかして 千の風・・・?

 

日本アルプスを望む信州の教会墓地に、今は亡き父母と共に、静かに

 

眠っているのだが・・・

 

箕面の森の中での、思いがけないヒマラヤスギとその想い・・・

これもお盆が近づいたせいなのかな・・・? (笑)

 09-8・13 (完)


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森での川遊び!

2020-08-26 | *編集・夏/8月

森での川遊び!

 箕面ビジターセンターのある、政の茶屋園地の東側に、

バーベキューのできる(予約制) もみじ広場があります。

 

やっと来た感のする、真夏のカンカン照り・・・

とはいえ、木蔭は涼しく、さぞかし沢山の家族連れで賑わって

いるだろうな・・・ と思いきや、

前を通ると一組もいません・・・?

暑すぎるのかな?

それとも連日の曇天に、予約が入れられなかったのかな?

いい季節なのに不思議な思いです。

 

私は自然3号路の癒しの森から下りてくると、そのもみじ広場の

横にある木蔭の丸太ベンチで、お昼を食べる事にしました。

相変わらず木蔭に入ると、涼しい風が爽やかです。

 

前を流れる箕面渓流・・・

岩と岩間を白いしぶきをあげて流れるその動きに、しばし見入って

しまいました・・・

小さな流れですが、私の好きな流れと共に、時が流れます。

もみじの小枝が川面に掛かり、その白い渓流と、真緑の可愛い

葉の色とが対比し、合致し、一体となって、実に絵になる光景を

かもし出しています・・・

 

小さな子供連れの若夫婦がやってきました・・・

その川の中へ入ろうと試みていますが・・・

見ていると、ここからは無理! のようなので、先の橋を渡り、

対岸から挑戦しようとしています。

 

昼食にします・・・

私は今朝、自分でおにぎりもコーヒーも作れなかったので、

今日は珍しくコンビニ寿司と飲料を買ってきました・・・

酢のきいた寿司を口に運びながら、先ほどの家族連れを何となく

眺めていました。

今日は休日なのに、この広い空間に不思議なことに、私とあの家族

だけなのですから・・・?

 

やがて、川への降り口を見つけたお父さんが先ず下に降り、二人の

子供を降ろすと、今度はお母さんの手を取って、抱きかかえるように

して川に降りました・・・  やった!

子供たちは大喜びです・・・

喜んだ子供たちは早速水をかけ合い始めました・・・

そこへお父さんも入って、見る間にみんなびしょ濡れです。

それでも、カメラを構えるお母さんはニコニコして見守っています。

いい光景です・・・

 

楽しそうな家族の響きが、森にこだましています・・・

自然の中で思い切り遊べる子供たちは嬉しそうです。

そんな子供たちと一緒になって遊べるお父さんとお母さん!

伸びやかで、いい家族です・・・

  

そんな光景を見とれている間に、箸で持ったままのいなり寿司を一個

うっかりと下に落としてしまいました(笑)

拾うつもりでしゃがむと・・・

もうアリたちが ごちそうだ! とばかりに群がってきています・・・

働いているアリさんに、少しだけ残して置きました。

 

人一倍汗かきの私が、まだタオルを使っていないのが不思議な

ぐらいに、木蔭の風が爽やかです。

私は丸太ベンチの上で仰向けになり、大の字になりました・・・

真っ青な空には、大きな真っ白い雲がポッカリと浮かんでいて

ゆっくりと動いています。

時折り風が吹くたびに樹木が揺れ動き、暑い太陽の木漏れ日が

時折り顔を照らします・・・ きもちいいな~

ウト ウト として目が仲良くなってしまい、まどろんできました・・・

なんといういい気分~ まさに至福のひと時です・・・ 

 

少し寝込んでしまいました・・・(笑) 

起き上がって先ほどの家族を見ると・・・

思い思いにまだ川の中ではしゃいでいます・・・ いいな!

私もかつての若き日々の子供たちとの出来事を、懐かしく想い出して

いました・・・

いま この時を 精一杯楽しんで・・・! 

 

私は川遊びに興じる、若き家族にそうつぶやいていました。

 

嬉しそうな子供たちは勿論、いい家族の思い出になる事でしょう。

 

森の中での癒しと想い・・・

小さなできごとから、今日も箕面の森は、そんな私の心を満たして

くれました・・・

ヒグラシの大きな鳴声が、森にこだましています・・・

 09-8-8(2) (完)


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森で癒し!

2020-08-26 | *編集・夏/8月

森で癒し!

 やっと梅雨明け宣言が出されたかと思ったら、もう暦の上での立秋も

過ぎてしまい、何となくこのまま夏が終わってしまうのか?

と思いきや・・・

今日は朝から30℃を超える真夏日です。

夏の高校野球が甲子園で始まりました・・・

やっと夏らしい風情ですね。

 

ギラ ギラ~ と、今までの曇天を振り払うかのような真夏の太陽!

私は真夏の太陽を実感すべく、その炎天下で意識して帽子をとって

みたものの、すぐに薄くなった頭皮が  暑い! と(笑) 

1分もたたずに湯でダコ状態になり、すぐに木蔭に避難しましたよ(笑)

 

今日は「箕面ビジターセンター」前から出発です。

ここは自然4号路から勝尾寺へ、東京・高尾山へ向う東海自然歩道

(西の起点地)、天上ケ岳への修験道など・・・の起点地です。

それにこの北側の森は、それぞれへ向う時のウオーミングアップにも

適した森ですね。

 

サラ サラ~ と、気持ち良く流れる箕面川を眼下に、ゆっくりと森へ

入っていくと、それまで ムッ~ としていた真夏の空気が、

少しヒンヤリと変るのが肌で感じられます。

ミンミンゼミ、クマゼミの大合唱を聞きながらも、風が心地よく、

コナラ、ヤマザクラ、ケヤキ、リョウブなどの小枝がゆっくりと揺れて、

真緑になった葉が小さく踊っているように見えます。

 

新設なったゆるやかな丸木階段を上っていくと、杉林に入ります。

見上げると樹冠が大きく揺れて、上空では風が舞っているようです。

それは真夏の太陽をいっぱい浴びて、感激の踊りのように見えます。

その踊りのたびに、森の小径の木もれびも変化し、木蔭がまるで

影絵のように動き出し、移り変わり、物語を演じているように思え

ました。

 

朽ちた杉の大木が横たわり、その崩れた幹の端から、小さなスギの

新芽が顔をだしています・・・

それがひと筋の木もれびを浴びて、まるで森の精や親木たちが

その誕生を祝福しているようです。

 

豊能自然歩道、箕面川ダム湖方面とある表示の前で、

一組の同年輩のご夫婦が、地図を広げながら、一休みをされて

いました。

・  こんにちわ!

    *  こんにちわ!  こんちゃ!

       すいませんが・・・五月山の方へ行きたいんですが・・・

       こっちでいいんですか?

と、奥さんが声をかけます。

・  どちらからでも行けますが・・・

 

私はダム湖沿いから自然7号路経由、また天上ケ岳コースなどを、

自分のオリジナル地図を示しながらご案内しました。

・  よろしければこれを差し上げます・・・

私はその地図を差し上げました。

    *  やあ!  ありがたいわ!  すいませんね・・・

       これ分かりやすいわ! お父さんよかったわね!

       私らはいつも二人して山歩きをしてるんです・・・

       いつも家ではケンカばっかりしてるのに、山へ来ると

       不思議とケンカしませんねん・・・

       なんでやろな?  お父さん!

       ハ ハ ハ ハ ハ ハ ~

豪快な笑いの奥さんの横で、お父さんは苦虫をかんでいます(笑)

・  山ではいつもご主人が、先に歩かれているのですか?

    *  そうですねん!  私、怖いの苦手ですねん!

(何でそんな事聞くの? と言う顔をされていましたが・・・

 私には山でケンカしないお二人の理由が少し分かるような気が

 しました・・・ 

 家ではきっと逆なんでしょうね? (笑))

 

私は分岐点から、自然3号路の東コースに向いました・・・

コバノミツバツツジ、リョウブ、クヌギ、モミジ・・・

尾根の雑木林は、気持ちいい樹木のトンネルを作ってくれています。

ここにも涼しい風が吹いています。

私は腰を下ろし、しばしいつもの森浸りを楽しみました。

 

足元を金色のコガネムシが歩いていきます・・・

蝶々が足元の枯れ小枝にとまりました・・・ シジミチョウぐらいの

大きさで、紫と銀色に輝く美しい蝶々です・・・

思わず身を乗り出して見とれてしまいます・・・ きれいだな!

 

夏鳥たちがあちこちで飛び回っては鳴いています・・・

すると、急に目の前の樹木に、尾の長い鳥が飛んできました・・・

よく見ると、くちばしと目の回りがコバルトブルーの特徴のある鳥です。

サンコウチョウだ!

箕面の森で誕生し、成鳥になったばかりの青年鳥のように見えます。

 

ゴソ ゴソ ゴソ・・・

見ると、枯れ葉の横を7色の鮮やかな虹のような色をした、小さな

トカゲ君が、チョロ チョロ と這っていきました・・・

それにしても素晴らしいグッドデザイン!(笑)

足元のアリさんたちも、今を盛りと忙しそうです・・・

アリとキリギリスの童話を思い出します・・・

 

今日の私は、朝から少しうつ鬱です・・・

しばしいろいろな事があって、心が悶々としていました。

それが森の散策をはじめ、森に浸って自然の営みを見たり、感じたり

していると、いつの間にか忘れてしまっていました。

それは固い氷の塊が、太陽の暖かさに溶けだし、徐々に氷解して

いっているようで、それが実感できるのです・・・ 不思議です。

 

もう9年も前の冬の事・・・

私が初めて箕面の森を訪れ、突然のパラダイムの大転換を図れた

のも、この森の同じこの場所でした・・・

私にはこの森の、この場所は、いつも心の癒し場所なのです。

そんな所が存在し、それを持っている私は何と幸いなことなの

だろうか・・・ と、いつもそう思っているのです。

 

「山歩きしてると、不思議とケンカしませんねん!」 と大きな声で

話していたあの奥さん・・・

第一は、森のかもし出す不思議な自然力と、それによる心の癒し

効果が大きな原因と思いますが、もう一つは・・・ 内緒です (笑)

09-8-8 (1) (完)


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とどろみの森へ!

2020-08-26 | *編集・夏/8月

とどろみの森へ!

 今日は車に乗り 「箕面グリーンロードトンネル」 を抜けて

箕面・止々呂美(とどろみ)へ出ました。

(現在、通行割引の社会実験期間とかで、通常片道600円が

 400円となっていましたよ)

 

箕面森町(しんまち)のTV-CMを見ると、大阪梅田のビジネスオフィス

から新御堂筋を走り、千里中央を過ぎ、箕面・白島から

このトンネルに入り・・・

そこを抜け出ると、そこが森の中に出来た新しい街・森町・・・

約25分で到着!  と。

 

確かに、トンネルを5-6分で抜けると、そこはもう別世界の感じです。

(計画では、第二名神高速道路とここで結ばれるとか・・・

 森の中に立つ巨大なコンクリートの橋脚は、私には言いようのない

 違和感を覚えましたが・・・?)

 

都市近郊の貴重な森の空間・・・

里山的な自然林の中に誕生した森の街・・・森町(しんまち)

しかし、諸問題を抱えての街開きでしたが、徐々に住宅建設も進んで

いるようです。

私は今日まで箕面の西の山尾根から、開発、造成段階からずっと

この出来事を自分の目で見つめてきました。

私ながらのいろんな意見もあるのですが、それは別の機会として・・・

今日は偶然に目にした 「とどろみの森」 についてです。

 

森町の北にあるバス車庫横を通った時・・・

こんな看板がありました・・・

「NPO法人・とどろみの森クラブ」(開館中)

早速下車して表示板を見ると、森の案内図がありました。

 

私は好奇心もあり、車を置いて「里山周回の道」表示に従って

細い山道を少し登ってみました・・・

どんな森なんだろうか・・・?

しかし、今日の私は何の森歩きの装備もなく普段着で、しかも

タウンシューズなので、すぐに下りてくるつもりです。

 

登っていくと、クヌギ、コナラなどドングリのなる木が多くあり、

ヤマザクラやリョウブ、アカマツなどが生えている気持ちのいい

雑木林です。

前夜の雨の影響から山道は濡れていて、濡れ落ち葉に足を滑らせ、

ぬかるみもあり悪条件です・・・

でも、見上げる森の新鮮さに心が奪われます・・・

 

とどろみの森の散策・・・

それも初めての森は好奇心もありますが、いつになく緊張もします。

それでも、私はひきつけられるようにどんどんと登っていきました・・・

「沢わたりの道」 「展望の道」などの表示に従って、とにかく

どこへでも行ってみる・・・

 

新しく作られたと思われる山道です・・・ どこもいい所です。

何年もかけて、この森の街の開発に併せて準備され、整備されて

きたように思われます。

途中、尾根道の樹間から森町の街並みが見渡せます・・・

まだ空き地の方が多い造成地が見えますが、山の上から見る

新しい街はきれいです。

 

全く初めての山、森、山道は、いつになく緊張します・・・

しかも薄暗い谷間では、五感を目一杯働かせています(笑)

そんな時です・・・

 

   ギュー   ギャオ!

 

ドキン!

首をしめられたような叫び声!?

もう一斉に血の気が引きましたよ(笑)

何?  なんなんだ!?  なんの声?  動物?

もう小さな心臓はパクパクものです(笑)

しばらく立ち止り耳を清ませていましたが・・・

その後、全く何も聞えてこない・・・

不気味な静寂が余計の気にかかる・・・

 

再び登りで尾根にでると、前方に金色に輝いている物が見える・・・

近づいてよく見ると真黄色のキノコ・・・

それが一筋の木もれびに照らされて、まるで黄金のように浮かび

上がっています・・・

一瞬! 自然と手を合わせるような、厳かな気分になりました(笑)

初めてみるきれいなキノコです。

周りにはいろんな夏キノコが生えていました。

 

汗だくになり、相変わらず足を滑らしながらも、気持ちのいい

森の散策を楽しみました・・・

やっと下り坂に差し掛かり、滑りながらも急坂を下っているときでした・・・

突然頭上で・・・

 

 ギャー  ギャー  の鳴き声! 

 

バタバタバタ・・・ 何かが飛んでいく~

一瞬 恐怖が襲い掛かってきましたが・・・ 待てよ!

鳥だったのか?  鳥か!

なんだ~!

原因が分かり ほっ! とするも・・・

それにしても動物的な汚い鳴声? (笑)

自分の恐怖姿にも苦笑!

でも鳥だと分かって一安心です。

 

やっと下り、下りてきた所は管理小屋の前でした。

見ると、看板下にあった(開館中)の札が、いつしか外されています。

もう閉館なのかな?

中を見せてもらい、森のことを少しお聞きしようと思っていたので

残念です。

 

それにしても、思いがけずに「とどろみの森」を散策でき、楽しむ事が

出来ました。

新しい街の 新しい森・・・

その 「とどろみの森クラブ」の活動が楽しみです。

 

ところであの ドキン! と、私の小さな心臓に衝撃を与えた鳥は

何と言う名の鳥だろうか?

初めての森に緊張しながら歩いていただけに、

自分の神経が過敏に反応した事が印象的です・・・

しかし怖かったな~ (笑)

 

それはそうと、この森には猛禽類のオオタカが生息している事で

注目されているようですよ・・・

また来ます。

 09-8-5 (完)

 


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最高の気分!

2020-08-26 | *編集・夏/8月

最高の気分!

 今日も豊かに流れる箕面川渓流を楽しみながらの、森の散策です。

 私はいつから?  なぜ? 渓流が好きになったのかな?

先日、家に帰り書斎でボーとしている時、ふっと気づきましたよ。

 幼児期に過ごした信州・安曇野・・・

果樹に囲まれた藁葺きの家だった・・・

前に大きな農業用の川が流れていた。

しかし、その源流は日本アルプス連山からの流れを集めた高瀬川、

犀川、梓川だ。

蒸気機関車D-51を目当てに、旧国鉄 篠ノ井線の田沢駅まで歩くと、

その前には大河があり大きな岩の間を、いつもゴーゴーと流れる

犀川の激流があった。 

箕面川と比べようもないけれど、幼児期の源風景は生涯忘れられない

もののようです・・・ (笑)

 

先ず、あの夏目漱石が、その作品「彼岸過迄」(新潮社)の中で

自伝的に書いている 旧朝日倶楽部跡 を見てみよう・・・ と、

瀧安寺、みのお弁財天裏へ上がってみました・・・

丁度、行者堂の上方になります。

 

しばしの間、その跡にたたずんでいました・・・

「 若葉して 手のひらほどの 山の寺 」 (夏目漱石)

セミの大合唱にもかかわらず、静寂に感じる森の山寺を、その句と

共に味わう・・・ 贅沢な時間の流れです。

 

大滝への脇道、山裾道を通ると、一般の方々が歩かれる舗装された

滝道との違いを感じます・・・

それは岩場もある土道は勿論ですが、出会う人ほとんどの人と

挨拶を交わすことです。

こんにちわ!

こんにちわ・・・! 

と、お互いに自然にかわす言葉が最初は不思議でした。

同じ大滝方面を目指し、上と下の違う道を歩くだけで、人はこんなにも

自然に、素直に、優しくにもなれるものなのか?

この少しの環境の変化、違いによる人の心の変化を、どなたか

研究されてませんでしょうか? (笑)

 

雨が多く、しかも最近は異常と思える突然の大雨で、ビックリさせられ

ます。

8月に入ったというのに箕面の梅雨はまだ空けず、後一週間もすれば

暦の上では立秋なのに・・・

不気味でおかしな気候ですね。

そのお陰? で、私は沢山の夏キノコを見かけたし、激しい箕面渓流も

楽しめますが・・・ (笑)

 

私はこの冬以来のこと・・・

久しぶりに、滝道の茶店に寄って見ました。

いつものオバサンが元気よく迎えてくれます。

   *  やあ!  いらっしゃい!  今日はなにしましょ!

・  こんちわ!  そうだね・・・  このおでんのこれとこれとあれ・・・

   そしてビール中ビン一本!

 

窓の下には ゴー ゴー と流れる箕面川・・・

セグロセキレイがお尻をヒョコヒョコさせながら岩と岩間を飛んでいる。

見上げると森の中では新緑、真緑でいっぱい!

 

コップに注いでもらった冷たいビールを一杯 グイ グイ と飲む!

美味い!

何ともいえないこの幸せ感!

温かいおでんがくる・・・  これも美味い!

古びた茶店には三人の先客がいて、みなさん私と同年輩の様子・・・

オバサン相手におしゃべりしては高笑いしていて屈託がない・・・

この雰囲気はもう最高にいいな・・・ (笑)

 

   *  こんにちわ!

見ると、店の外から英国紳士? がオバサンに挨拶している・・・

私も時々出会うと会釈をするのだが、ちゃんと帽子をとって挨拶して

くれる律義が方だ。

いつも3匹の犬を連れ、正装し、背筋を伸ばし、英語で何事か

つぶやきながら颯爽と歩いておられるだが・・・

 

店のオジサンたちがしゃべり始める・・・

   *  この夏の暑い日もちゃんと背広着て、帽子かぶって

      犬の散歩やなんて!  大変だんな!

*  毎日歩いてはるんやで・・・ 真冬でも、年中やで!

   *  どっかの偉いさんらしいでんな?

*  しかし、あの高級そうな背広・・・ 

   背中まで汗ビッショリで染みてるわ!

   毎日のクリーニング代かて大変でっせ! (笑)

 

その内に次の話題に移る・・・

   *  ウチの息子な、もう40でんね!

       誰かええ娘、おりまへんか?

       人はジジババ抜きの家持ちがええ言うんでな・・・

       そんで別に家を建ててやりましてな・・・

       そやのにな・・・ だれも嫁に来てくれまへんのや・・・

       何でかな?

*  そりゃもったいない話しやな!

    ウチの娘・・・ 別れさせてそっちでもろてくれるか?

    *  アホいいな!  

                お前さんと親戚なんかなれますかいな・・・

        ハ ハ ハ ハ ハ (笑)

私ももらい笑いをしてしまった・・・

 

ふっと長男を思い出す・・・  同じ年だったな!

19歳でアメリカに留学し、そのまま居着いてしまった。

幸い家庭を持ち、子供にも恵まれ、永住権を得て活躍中だが・・・

今頃どうしているかな? と思いを巡らせる。

 

・  ごちそうさま!

    *  ありがとさんです!  また寄ってください。

 

オバサンの笑顔に見送られて茶店をでる。

外ではセミとウグイスとカジカガエルが一緒に合唱している・・・?

すこし可笑しな不協和音? (笑)

私は日頃 酒を飲まないので中ビン一本でもうフラフラのいい気分!

 

風呂ケ谷、地獄谷への山道沿いを上がる・・・

登りきった途中で立ち止まり、下方の谷間を眺めると・・・

岩に激しくぶつかり、白い波しぶきをあげている箕面渓流が見える。

しばらくの間、その光景を眺めていた・・・

谷底までは20Mぐらいあるだろうか?  いい眺めだ!

 

木漏れ日が谷間を照らし、照葉樹林が一斉にキラキラと輝き、

川面もきらめいている・・・ なんという素晴らしい光景!

美しい!

まさに 天国だ!

 

深呼吸をして新鮮な森の空気を胸一杯取り込み、酔気をはきだす・・・

フラ フラ ~ と足元がふらつき、岩につまづく・・・

オッ トット!  危ない!

このまま谷間に吸い込まれたら、本当に天国へ行きそうだ・・・(笑)

 

しばし大きなモミジの木の根元に腰を下ろし、森浸りを楽しむ事にした。

それにしてもなんと言う、幸せ気分!

 最高にいい気分なのだ! (笑)

 09-8-1 (完)


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